自分にしかない選択肢   作:ツリ目

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頭痛くしながら描いてます
嘘ですノリノリで書いてます
普通に書いてて楽しいです

運営の通知の真意に頭を悩ませる主人公をお楽しみください


明石の相談

 大本営から二つの通知が来た。

 

 

1:数週間後にサービスが終了する。

 

 

2:選んだ艦娘が一人だけ提督のもとへやってくる。

 

 

一つ目はいずれ来るものだからと諦めがつくしそれ以上に掘り下げることはない。しかし二つ目はそうもいかない。

 

 もともとこのゲームは他のゲームとは違い、艦娘と会話をすることが出来る。お互いの声や顔を認識できるのだ。だから提督の人柄が鎮守府の状態にほぼ直結する。

 

雷より提督LOVEな大井からスーパードライな榛名までいろいろと鎮守府によって異なる。

 

ゲーム内はどうやらMMDの鎮守府のように艦娘の姉妹ごとに部屋が割り振られているらしい。さらに艦娘は他の艦娘の部屋に移動することができるので時雨にセクハラしたら山城に伝わることもある。

 

画面越しということを除けばほぼリアルの人間と同じようなものだ。決まったキャラで決まったセリフしか言わない、ではなく決まったキャラが自分に向けた言葉を発する。だから多くの提督が強い思い入れを持っている。

 

 さて、艦娘を選んで一人が提督のもとへ来ると通知されたがいったいどういう意味だろうか。そのままの意味でとらえるなら「艦娘が肉体を持って提督のもとへやってくる」ということになる。

 

しかしそれはあまりに現実的ではない。リアルの人間と同じような対話が出来るとはいえデータはデータ、肉体錬成は冒険もののRPGだけの話だ。では、いったいどういう意味なのだろうか?

 

 

 

 

 一人の男子大学生提督は頭を抱えていた。ゲームが終わることは仕方ないと諦めているけど、一人だけ残るとかゲーム終了とかの話を艦娘は誰も知らないらしい。

 

それを伝えるべきなのか伝えるとして誰を選ぶべきなのか、とにかく困っていた。

 

「どうしよどうしよどうしよどうしよ……マジでどうしよおおおお!!!」

 

『おいうるせえぞ!』

 

隣の部屋から壁ドンと怒号が飛んできた。

 

「ひっ、すんませんっ……!」

 

大学生提督(以下、へたれ)は大学近くのアパートに住んでいる。実家から大学までは遠いので近くのアパートに住むことになったのだ。

 

「んー……一人くらいなら増えても大丈夫そうだけど……」

 

このへたれは二年目までの学費、四年目までの家賃を親に払ってもらうことになっている。夜勤のコンビニバイトをしているので出費はほとんどなく、貯金もそこそこある。

 

多少の食費ならばなんとかなる。「多少の」食費ならば。

 

 もしも一航戦を選んだ場合、大学生程度のそこそこある貯金は食費であっという間に消える可能性がある。大食いのイメージは二次創作とか初期の印象とかによる後付が多いけどそれをリアルでされるとあってはなかなか選べない。

 

 逆に駆逐艦を選んだ場合、それはそれでマズイ。大学生のうちからロリコン扱いされて社会的に苦しい立場になるのは大変よろしくない。へたれはロリに対して父性こそあるもののそういう趣味はない。

 

そういう護身を抜きにしても(下手をすれば)小学生くらいの少女にずっと留守番を任せるのは心配だ。大学の講義、夜のアルバイトが毎日のようにあるのでアパートにいる時間は少ない。現在は春休みなのでいいけど終わったらそうもいかない。

 

少女をほぼ丸一日安アパートに留守番させるのはその艦娘に危険が及ぶかもしれない。本物のロリコンに襲われたら大変だ。

 

 燃費が食事量に直結するなら潜水艦が一番かもしれない、スク水も服を買って着せれば一番無難だろうか。オリョクルもバシクルもカレクルも疲労マークか中破以上したらやめる程度にはホワイト鎮守府なので恨まれていることはないと信じたい。

 

「……って伊山手、普通に考えて艦娘が画面超えてリアルに来るとかありえないだろ」

 

ここまで現実世界に艦娘がやってくるという前提で色々考えていたけど、そんなことは有り得ない。肉体錬成とかハガレンくらいしかありえない。

 

じゃあどういうことなんだ?「艦娘が一人だけ提督のもとへやって来る」、この言葉から考えられる可能性はどんなものがある?

 

 一つ、艦娘が画面から出てきて現実世界にやってくる

 

 一つ、……一つ……他の考え方は……

 

「だーめだ、全然分からん」

 

こういう時は友人に聞いてみよう、頭の悪いへたれよりは現実味のある意見を出してくれるだろう。

 

 

 

1:なあなあ、艦娘が一人提督のもとへってどういうことだ?よく分からんのだが

 

2:俺だってよくわかんないけど、たぶんボイスとかグラとかがパソコンに自動で転送されるんじゃないかな gifとかmp4とか

 

3:おおかた艦娘のデータがまるまるパソコンに移動するんだろ 今の時点で会話したり認識したりができるじゃん?

 

3:ゲーム終わるから移せるようにした、一人だけにしたのは容量の問題じゃねえの

 

2:なるほど、それなら有り得そうだな 練度90以上って設定はむやみに移動させて容量圧迫するのを避けるためか

 

 

さすがは3だ、MMOで一日に数千万(ゲーム内金銭)を動かせて一時期サーバー全体を落とした男だ。へたれにはない発想をする。

 

2が言う練度については「誰でも選べるのは何かマズイんだろう」くらいの認識だった。

 

「提督のところに来るっていうのはこういうことだったんだな。でもなあ……」

 

これを艦娘に伝えるかどうかっていう問題がある。ゲームが終わることはみんな平等に消えるから仕方ないと思えるかもしれないけど、最後の最後でメンタル壊れたら嫌すぎる。

 

でも何も知らないまま消えていくのは…………。

 

「艦娘の誰かに相談してみようかな」

 

誰に相談しようか、育ててなくてあまり話したりもしない艦娘したら適当な助言されそうだな。もしくは姉妹の誰かを推薦するかもしれない。

 

逆に特別仲が良い艦娘だと思い入れが強くなって贔屓にしてしまうかもしれない。

 

 

『それで私に相談しにきたんですか?正直そんなことを相談されても困るんですけど……』

 

アイテム屋さんにいる明石さんに相談したら案の定困惑された。

 

「いやまあそうだろうけどさ、相談するとしたら明石さんが適任なんだ。第三者視点っていうか、公平な意見を出してくれそうな気がするから」

 

『いきなりそんなこと言われても。そもそも運営からのお知らせっていうその二つは今初めて聞きましたし』

 

艦娘には伝わっていないというのは本当らしい。運営がそこで嘘を言う必要はないから疑うのはおかしいんだけども。

 

「ゲームが終わることは伝えようと思うんだけど、一人は俺のとこに残るって言うのは伝えるべきなのか迷ってるんだ」

 

『私に言われても……。そうですね、このゲームが終わることは伝えても問題ないと思います。さすがに驚くとは思いますけどいずれ終わることはみんなどこかで分かっていましたから。でも提督が危惧しているように一人を選ぶという話は考えたほうが良いと思います』

 

「だよなあ……」

 

『でも提督?最後に決めるのはあなたです、私の意見に流されて決めるんじゃなくて「みんなの提督」であるあなたが決めるんですよ』

 

「……うん、そうだよな、俺がちゃんと決めないとな。選択肢を与えられたのは俺だけだもんな」

 

 明石に相談した後、へたれは全艦娘にゲーム終了することだけを通知した。やはりほとんどの艦娘は動揺していた。特に駆逐艦の潮のような気の弱い艦娘は7駆の部屋にこもりきってしまったと朧が報告してくれた。

 

 羽黒は意外にも落ち着いたものだった。

 

『始まりがあれば終わりがある、この鎮守府にいられる時間もいつか終わりが来るって扶桑さんがおっしゃっていたことがあるんです。だから悔いがないように生きてきたって。それを聞いてからワタシもいつ終わっても構わないようにしていました、だから私は大丈夫です』

 

慰めようと思っていたら逆にこっちを元気づけてくれた。やはり羽黒は天使だ。後になって曙が「羽黒さんが駆逐艦のみんなを慰めに来てくれた」と報告してくれた天使すぎやしないか。

 

 

 

 

 大本営からの通知が来た翌朝、いつものようにデイリーを消化しようとログインした。欠伸をしている嫁艦の川内をしり目に任務欄へ行こうとすると、最後のアプデで追加された「艦隊メニュー」が点滅していることに気付く。

 

艦隊メニューは最後のアプデで追加されたもので、友軍があった位置に追加されている。友軍は消えた。そこには鎮守府放送という艦娘全員へまとめて連絡をすることが出来る校内放送のような項目、提督から艦娘or艦娘から提督にメッセージを送る掲示板という項目がある。

 

この掲示板に何かしらの変化(艦娘の連絡)があったときにメニューのところが点滅する。

 

「んーあー、そういう」

 

出撃希望者というタイトルの下には艦娘の名前がずらりと載っていた。

 

ゲームが終わるとしても出撃したいという艦娘が名前を書いたのだろう。

 

「こういうのがなかったらデイリーしか消化しなかっただろうし、ありがたいな」

 

そこにはやはり川内の名前もあった。

 

「んじゃ、デイリー消化したらどっかの海域に行くか」

 

へたれの言葉を聞いた川内は寝ぼけ顔から一気に覚醒してこちら側に手をつく。こちらというか、ガラスに両手を押し付けている。

 

『ホント!?じゃあ絶対絶対夜戦できるとこにしてよね、絶対よ!!』

 

「はいはい、分かってるよ」

 

適当に返事をして川内の手を戻させようと画面に自分の手を押し付ける。押し付けると言っても画面の汚れを取るくらいの力加減だから壊れるなんてことはない。壊れることはなかったけど

 

「…………え?」

 

へたれの手が”パソコンの中に入った”。何か柔らかいものに触った瞬間慌てて手を引っ込める。

 

「……?!……??!」

 

自分の手とパソコン、川内を交互に何度も見る。川内も驚いたような顔でこっちを見ている。

 

パソコンの画面や横を見たり持ち上げて下を確認したりしてみたけど特に変なところはない。

 

『ね、ねえ提督、今何が起こったの?』

 

川内の困惑した声が聞こえて再びパソコンの画面を見る。表情も同じく困惑している。

 

「お、俺も分からないけど……とりあえずもっかい」

 

再び手を画面に突っ込む、手が画面の中に入った。

 

「うっそだろおい……」

 

川内が画面の中に入った自分の手に触れる、感触はある。つまり

 

 

「こ、こっちとあっちが繋がってるのか……?」

 

 




最初の設定と締めだけ考えてるけどそれ以外は何も考えないで書いてます。
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