完全オリジナルは単純に文章が思い浮かばないのとで
ぶっちゃけこの「自分にしかない選択肢」しかモチベーションも書く気も起きてないデス。
「あ、はい、分かりました。ありがとうございます」
電話越しに何度もお辞儀をしながら店長にお礼を言う。怖い人ではないけれど目上の人と直接話す時は焦って舌が空回りする気がして電話にした。シフトの相談だから直接言うまでもないという思いももちろんあった。
「たぶんこれで月に10万くらいかな」
バイトを増やしたのは収入を増やして艦娘が来ても問題ないように貯金するためというのが一つだ。
そしてもう一つ
「……後回しにしてるだけなんだけどさ」
”考える時間をなくす”ようにバイトの時間を増やした。
彼はここにきてまで目を逸らそうとしているのだ。
運営から告知され
友人と話し合って
夕張から選んでほしいと言われ
明石に覚悟をしろと忠告されて
そのうえでまだ逃げようとしているのだ。選択肢は自分にしかないと分かってなお先延ばしにしようとしている。
具体的な時期を告知されていないので実際時間はある。
「でもどうしたらいいんだよ……」
何度も自問自答はした。
自分は選ぶべきなのか、選んだとして誰を選ぶのか、その後をどうするのか、そのために何をするべきなのか、同じようなことを何度も頭の中で繰り返した。
艦これも艦これスレも3DSも開かずにずっと考えた。
それでも具体的な行動は何も思いつかなかった。出来ることはせいぜいバイトの量を増やすくらい。
結局のところ、艦娘を選ぶと決めたくせに艦娘の人生を背負う覚悟が未だに固まっていないのだ。
「覚悟ったって、何すりゃいいんだ……」
何度も口にした愚痴をため息とともにこぼす。
「ちょっと相談事がしたいんだけど、いい?」
『なんでありましょうか提督殿』
ゲーム内のキャラなんだから区別がされてるとは思わないけど、陸軍出身扱いの「あきつ丸」なら何か閃くような発言をしてくれるかもしれない。という浅はかな期待を胸に質問する。
「例え話なんだけどさ、仲のいい異性の友達が複雑な事情によって家がなくなったとするじゃん?んで、それを助けたい俺は一応一人を賄うくらいの余裕はある。俺はその友達を助けたいと思っている場合、どうするのが一番かな」
『どうと申されましても提督殿の家に泊めて差し上げればよいのでは?何か問題が起こった場合はその都度話し合えばいいでしょうし』
「うん、まあ、そうね……。じゃ、じゃあさ、引き受けるとその友達のことは全部自分が何とかしないといけないとしたら?趣味とか服とか……同棲って言う形を取るならどうするべきかな」
『これはまた随分な例え話でありますな。まるで[結婚しようと思っているものの結婚するべきなのか分からない]とでも言われているようであります』
「そ、そうか?」
あきつ丸の当たらずとも遠からずな例えに動揺してしまう。しかし彼女は彼の様子を気にした風もなく考え込む。
『うーん、そうでありますなあ。結婚したいのなら覚悟を決めるべき、と自分は思うであります。』
「……その覚悟について説明お願い」
『いや説明と申されましても……。自分はこの者と共に生涯を共にする!という気合と言いましょうか、自分から相手の全てを背負う意思を持つことでありましょうか』
今のセリフの後半に何かが閃きかける。
「自分から相手の全てを背負う……」
『ええ。背負わされるとか背負わないといけないとかそんな消極的な気持ちではなく、自分の意思で、自分から背負ってやるという気持ちでなければ引き受けたとしても長くは続かないでありましょう』
あきつ丸の言うことは精神論だったけれど、ヘタレが認識を改めるには十分な精神論だった。
何の認識かと聞かれれば、自分が向き合うべき問題への認識だ。
『どのような真意を持っているのかは皆目見当もつきませんが、尻込みしているようでは大事な決断をするときに後悔するであります。多分』
あきつ丸の言葉を聞いて、頭の中で何度か反復して、かみ砕いて、あきつ丸を見る。
「ありがとう、答えがなんとなく見えた気がするよ」
『それは良かったのであります』
ヘタレのお礼を聞いてあきつ丸はニッコリとほほ笑んだ。未改造の時からは考えられないほど血色の良い肌と、思わず見とれてしまう綺麗な笑顔はあまり練度を上げていない(レベル50)ことを後悔するほどだった。
(おかずにはしてたんだけどな……)
下世話な感想こそ内に秘めたけど、感謝の念は本心だった。
「やー、これは参ったな」
おーぷんでとある質問を投げかけた。
へたれが何とかできるギリギリの、誰もが幸せになれるかもしれない手段の可能性の話だ。
返ってきた回答は実に単純明快で
『不可能ではないが諦めろ』
『よほどの技術がなければ無理』
というものだった。色々と難しい説明をたくさんしてもらえたけど全然理解出来なかった。
しかし見えた。あきつ丸の助言が全部とは言わないけど、おかげで目標が見えた。
「たぶん、これが俺の目指せる一番高い理想なんだろうな」
これ以上はないって思えるような満足感と、もっと何かしてあげればっていう力のなさからくる無力感が押し寄せる。
到達しうるはずのゴール、自分にしかない選択肢から選ぶことができる最適解
届く気がしないくらいに遠い理想までの現実という大きな壁
誰かだけじゃなくて誰もが諦めろという親切な助言をした可能性を
ヘタレは選ぶことにした。
「ありがとうあきつ丸、お前のおかげで」
「俺は答えを得た」