都会とも田舎ともいえないなんとも微妙な場所にある小さな病院。
その病院はボロで、見た目も汚いし、隙間風は冷たいしでなんとも嫌な病院だった。
そんな病院にpi●ivでちょっと名が知れている程度の自称絵描きの八剱壽は用もないのに入り浸っているのであった。
壽は別に病気というわけではない。
体は大きく、タバコは吸わないし、酒もあまり飲まない。生活習慣もコンビニなどに頼らず、栄養面も考えて自炊するくらいの男だ。
だが、そんな壽が抱えている唯一の問題点がこの病院にはある。
それは何か―――そう、女である―――
壽は決して悪いやつではない。電車に乗れば老人に席は譲るし、迷子になっている小さい子を親と合流させてあげたりなど、心優しい青年だ。
だが、唯一の問題点が「女」なのだ。
壽の女癖の悪さと言ったら口に出せないようなものばかり。
道端で女子高生をひっかける、人妻だろうと彼氏がいようとお構いなしでホテルへ連れていく。
友人だと思われたくないレベルでの女癖の悪さだ。
そして、今回のターゲットは病院の受付の若い娘。
壽の勤務が終わったら飲みにいかないか? なんて誘ってはいるが、見事にあしらわれいた。
「えぇ~おねーさん彼氏ないんでしょ? ならさ、一晩くらい付き合ってよ~」
などと、普段は飲みもしない酒のことを話題にしていた。
そんな時だった。
小さな女の子を連れた母親が病院に入ってきた。
「邪魔です。患者さんが来たので後にしてください」
と、冷たく言い放たれた壽。
それでも彼はあきらめてはいなかった。
何故って? 受付の娘から「後にしてくれ」って自分から言ってもらえたのだから。
彼があきらめる訳がないのだ。
どうやって落とすかを考えている時だった。
母親が受付を済ませ、子供に言った。
「じゃあ、お母さん仕事終わったらまた来るから。看護婦さんやほかの患者さんに迷惑かけちゃだめよ?」
少し寂しそうに女の子は母親に手を振った。
その顔を見た時に壽の邪な考えはいったんシャットアウトされたのだった。
「お嬢ちゃん」
「おじさんなぁに……?」
少女の寂しそうな顔のせいか、壽は声をかけていた。
少女は突然しらないおじさんから話かけられたため、すこし不信そうな顔で壽を見ていた。
「おじさんって……まあ、お嬢ちゃんくらいの子からすれば十分おじさんか……って、そんなことより」
ごそごそと鞄をあさる壽。
割と大きめのそのバッグからはスケッチブックと、さまざまな濃さの鉛筆が取り出された。
「お嬢ちゃんの好きなものは何かな? おじさんがそれを描いてあげよう!」
こうして、壽の女癖の悪さに「ロリコン」が加わったのだった。