真剣で蜻蛉切に恋しなさい!S   作:神喰いの王

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七閃目

6月12日、今日の放課後は忠義達の誕生日会(という名の歓迎会)。会場の準備などは紋白に依頼された大和と彼の人脈により滞りなく準備できた。しかし、開始十分前、そこで問題が起きた。

与一が今になっていきたくないと駄々をこね始めたのだ。

 

「あ?いたいた。与一は屋上だね」

 

弁慶から連絡を貰った大和が三人の前に現れた。

 

「うん・・・朝は歓迎会には出るって言ってくれたのに・・・」

 

「やはりここは殴ってでも連れていく方が・・・」

 

「いや、ここは拙者が引き摺って言った方が・・・」

 

「だめだめ。今回は四人が主役なんだから」

 

「ではどうする?」

 

弁慶の問いに大和は力強く。

 

「俺が説得して見せる!だから三人はここで待っていてくれ」

 

そう言って大和は与一のいる屋上へと駆けていった。

 

「・・・大丈夫で御座ろうか?」

 

「大丈夫じゃない?彼、やると言ったらやるみたいだし」

 

心配そうに見送る忠義に弁慶はあっけらかんと言った。

 

「拙者はあまり直江殿と親しくないので御座るが・・・弁慶はそうでもない様で御座るな?」

 

「まぁ、同じだらけ仲間だし。放課後、良く部室でだらけているよ」

 

「ダメだぞ弁慶。そういう生活態度は義経は良くないと思う」

 

「確かに、ここまでして貰った直江殿を悪く言うつもりでは御座らんが、邪な思いでお主に近づいたという可能性も・・・」

 

「ああ、無い無い。だって私、自分から言ったんだし」

 

「・・・・そうなので御座るか?」

 

弁慶の答えに忠義は意外そうに目を見開いた。

 

「そうそう。あ、なに?嫉妬してくれてるのかな?」

 

弁慶はチェシャ猫の様な笑みで忠義に寄りかかって来た。

 

「そ、そう言う訳でわ御座らん!」

 

「フフッ真っ赤になっちゃって可愛いな~」

 

「べ、弁慶!忠義にひっ付きすぎだろう!?離れるんだ!」

 

「え~だったら義経もひっついたら?」

 

「なっ!?」

 

「うぇっ!?」

 

弁慶の言葉に忠義と義経が同時に顔を真っ赤にする。

 

「う、うぅ・・・」

 

チラチラと顔を真っ赤にしながら忠義の方を見る義経に忠義は更に顔が赤くなるのを感じ取った。唯でさえ弁慶に寄りかかられてクラクラなのである。

 

(うぅっ!よ、与一、直江殿・・・・早く来て欲しいで御座るよ!!)

 

「・・・何してるんだ、君達?」

 

そんな忠義の願いが通じたのか大和と与一が現れた。

 

「ああ、気にすんな直江。よくある事だからな」

 

「お、おお!与一、直江殿!よく来たで御座るな!!ささ、さっさと会場に向かうで御座るよ。義経に弁慶も早くするで御座るよ!」

 

「お、おい・・・!」

 

「お、押すなって!」

 

グイグイと二人の背中を押す忠義に二人は少々残念がっていたとな。

 

 

 

そして、四人の歓迎会は何の問題も無く滞りなく行われた。

パーティーの中、義経は畏まったり、弁慶は川神水を飲んで酔っ払い、与一は弓道部部長である矢場弓子の勧誘を受けていたり、忠義はそのあまりの大食いに周りを驚かせていたりと終始賑やかに終わった。

 

 

 

 

 

 

「いやー!真に今日は良き日に御座ったな」

 

「フフッ喜んでもらえたようで私も手伝った甲斐があったよ」

 

歓迎会も終わり忠義達は車では無く徒歩で帰っていた。

理由といえば先ほどの歓迎会の余韻を楽しみたいのともう一つは・・・

 

「くぅ~・・・ムニャムニャ・・・・」

 

「まったく。こんなに飲んでしまって運ぶ方の身にもなってほしいで御座る」

 

忠義は背中に背負っている弁慶を一瞥すると苦笑する。

 

「忠義、やはり義経が代わろうか?」

 

「いや、心遣いは嬉しいが義経では弁慶を支えきれんで御座ろう?それに先ほどもそれをやろうとしたら失敗したでは御座らんか」

 

忠義の言う様に先ほど義経が背中から弁慶を引き剝そうとしたらものすごい力で抵抗し危うく忠義の首が折れる所だったのだ。

 

「うぅ~」

 

それでも諦めきれないのか義経は気持ち良さそうに寝ている弁慶を恨みがましく睨んでいた。

 

「それよりも与一の奴め、さっさと帰ってしまったで御座るな」

 

「照れくさかったのかな?」

 

二人の言うとおり徒歩で帰っているのは忠義、清楚、義経、弁慶で与一は恥しかったのかさっさと帰ってしまったのだ。

 

「まったく・・・」

 

「フフッ」

 

「?何で御座るか、清楚殿?」

 

「だって、忠義くん顔が笑っているよ?」

 

ね、義経ちゃん?と清楚が尋ねると

 

「ああ、そんなに嬉しそうな笑みの忠義は義経は始めてみるぞ」

 

「ほら」

 

「む」

 

言われて忠義は背中の弁慶を落とさないように片手で自身の顔を触った。

・・・なるほど、確かに少しニヤけている様に感じなくもない。

 

「・・・そうで御座るな。言われてみれば嬉しかったで御座るな」

 

言いながら忠義はうんと頷き、

 

「思えば誕生日など拙者等と摩耶殿、あとは偶にマープル殿や他の従者、紋白殿を揚羽殿などが祝いに来るぐらいで御座ったらな。ここまで大規模に祝われた事は無かったで御座る。だから」

 

今日はとても楽しかったで御座る、と続ける忠義に義経と清楚は笑みを浮かべながら忠義の背中を見つめ、背中に背負われている弁慶も嬉しそうに笑っていた。

 

「故に、またやってみたいで御座るな」

 

忠義の言葉に清楚と義経は顔を見合わせうんと頷くと、

 

「出来るよ。また一緒に皆でやろ?」

 

「そうだぞ!また一緒にやろう、約束だ」

 

「やろう~・・・・グゥ~・・・」

 

「ああ、そうで御座るな」

 

忠義は微笑しながら満天の星空を見上げた。

 

 

 

 

こうして忠義達クローン組はようやく本当の意味で新たな学園生活を迎えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 




これで大体序章部分が終わりって感じですね。
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