爆走兄弟レッツ&ゴー!! 第二回世界GP 作:モンキー・キック
激突!?星馬兄弟vs一文字兄弟の巻
大興奮のまま幕を閉じたWGPルーキー戦から数日後──
星馬家宅、兄弟二人の部屋にて。
「ハァ〜やっぱいいぜ、我が家は」
星馬豪は部屋の真ん中で大の字になって寝ていた。
「半年ぶりだもんな」
そう言ったのは豪の兄の烈。
彼は背もたれを前にして椅子に座っていた。
豪「でもまたすぐに行かなきゃなんねーけど」
烈「ああ…それにしてもルーキー戦は面白かったよ」
豪「う〜ん…俺はまぁまぁって感じかな」
烈「そうか?僕には誰より楽しんでるように見えたけど………で、お前と豪樹くん、最後はどっちが勝ったんだ?」
「そりゃもちろん──」と豪が答えようとしたその瞬間。
「俺だー!」
バタン!!──と勢いよくドアを開け一文字豪樹が部屋に入ってきた。
それに続いて弟の烈矢も呆れ顔で入る。
豪「な、なんでお前らがここに!?」
「へっへーん、土屋博士に聞いたのさ!」と、豪樹は鼻の下を擦りながらに言った。
豪「ったく…それよりなんでお前の勝ちなんだ?そもそもゴールなんてなかったろ」
「うっせーやい!ならまた勝負だぜ!」
豪樹はブレイジングマックスを前に突き出す。
すると──
『グゥ〜〜』と一文字兄弟のお腹が鳴った。
烈矢「そういや朝から何も食べてない」
烈「そうなの?なら僕らの家で夕飯食べていきなよ」
豪「おい、烈兄貴」
「大丈夫だよっ、きっと母さんのことだから久しぶりに帰ってきた僕らにたくさん作ってくれてると思うからね」
烈はニコッと笑う。
豪「しゃーねーなぁ」
豪樹「ホントか?そりゃありがてぇぜ!」
「うん、じゃあ母さんに一応聞いてくるから」
烈は部屋を出てリビングへと向かった。
「ん、これは…」
烈矢は烈の机の上に置かれているパーツや設計図を覗く。
豪樹「なんだ?…おい、星馬豪!机の上の──」
豪「ああ、それは製作途中の新しいソニックだよ」
「へー」と烈矢は興味津々に見渡す。
豪「変にいじくったりすんなよ」
豪樹「わーってるよ」
「母さんいいってさ」と烈は部屋に戻ってきた。
「あの、これ…」
烈矢は机を指さして聞いた。
烈「ああ、新マシンの『ブリッツァーソニック』を作ってるんだ」
烈矢「ブリッツァー…ソニック」
豪樹「ヘンっ!『ブリッツァー』だろうと『ブリーダー』だろうと、俺のマックスにゃ敵わないぜ!」
豪「アホっ、そういうのは実際に勝ってから言えっての」
豪樹「なにぃ〜?じゃあ兄弟まとめてブッちぎってやるぜ!」
烈「それはいいけど…もう“バーチャルレース”の時みたいな無茶はしないでよ」
豪樹「ギクッ──」
烈矢「バーチャルレース?」
豪樹「いやいやなんでもない!なんでもないぞ烈矢!」
烈矢「?」
「実はな、ゴニョゴニョゴニョ…」と、豪は烈矢にバーチャルレースでの出来事を耳打ちした。
烈矢「…ハァ、まったく弟として情けないよ、お前みたいな兄貴をもって」
豪樹「うう…」
烈「まぁまぁ…でもお互い兄弟には苦労するね」
豪「よく言うぜ烈兄貴!兄貴こそソニックの事になると無茶するじゃねーか、今回のブリッツァーソニックだって何をしでかすか心配してんだぜ?」
烈「ハハ、そんな無茶はしないさ、それに『ハリケーン』『バスター』と豪には手伝ってもらってばかりだからな!今回は僕一人で頑張ってみるよ」
豪「へへ、期待してるぜ」
と、そこへ──
「烈!豪!豪樹くん!烈矢くん!ご飯の用意が出来たよ!」
豪「おっ母ちゃんの声だ!」
豪樹「いやー腹へった腹へった」
四人はリビングへと向かった。
豪「ひゃっほースキヤキだ!」
良江「ささ、遠慮なく食べてね」
四人「いっただっきまーす!!」
豪と豪樹はものすごい勢いで食べ始める。
良江「な、なんだか豪が二人いるみたいだねぇ」
豪「おい豪樹!肉ばっか食ってんじゃねー!」
豪樹「なにを〜!お前こそ肉ばっか食ってんじゃねーか!」
豪「まったく、だからお前はチビなんだよ」
豪樹「なっ!?だからお前もチビじゃねーか!」
豪「フフン…俺のほうが3センチた〜かい〜」
豪樹「アホか〜!」
烈「まったくいつ測ったんだか」
烈矢「恥ずかしい奴」
そんな賑やかな夕御飯も終え──
玄関前にて。
豪樹「今日はご馳走になったぜ、満腹満腹!」
烈矢「本当にご馳走様でした」
烈「なんなら泊まっていけばいいのに」
豪「よせやい烈兄貴、鷹羽兄弟の時は良かったけど、きっと豪樹じゃうるさくて寝れやしねーぜ」
豪樹「へん!悪かったな!…でもまぁ今日はありがとよ!次は絶対勝負してもらうからな」
豪「ああ、もちろんだ!」
豪と豪樹は握手を交わす。
豪樹「じゃあなー」
豪「おう、またな」
こうして一文字兄弟は帰っていった。
「ヨーシ!さぁ今日も徹夜だ!」
背伸びしながら空を仰ぐ烈。
豪「ソニックかい?」
烈「ああ」
豪「いいのか?ホントに手伝わなくて?」
烈「ライトニングマグナムだって豪、お前一人で作ったじゃないか…だからさっきも言ったけどブリッツァーソニックも僕一人で作りたいんだよ」
豪「わかった…じゃあ完成して最初に勝負するのはマグナムだぜ!」
烈「おう」
一方その頃──
帰り道の一文字兄弟。
烈矢「なぁ豪樹」
豪樹「なんだ烈矢?…つーかいい加減、昔みたいに“兄さん”って呼べよ」
烈矢「そんな小さな事を気にする奴だから呼び捨てにしたくなるんだ」
豪樹「なに〜!?」
烈矢「フン」
豪樹「ちぇっ…それでなんなんだ?」
烈矢「レースするって言ったけど、星馬兄弟はもうすぐアメリカにいくんじゃないのか?って事だ」
豪樹「あ〜そうだぜ!!あいつら二回目の世界GPのためにいっちまうんだった!」
烈矢「だからすぐにレースって言っても忙しそうだぞ」
豪樹「そうだよな〜、あの兄弟まとめてブッちぎってやりたい所だが、兄貴の方はニューマシン製作ときてる、う〜ん………あ、そうだ!」
烈矢「何か思いついたのか?まぁお前の事だ、きっとロクな事じゃ──」
「俺たちも行くんだよ!!」
烈矢の両肩を揺すりながら豪樹は嬉しそうに言った。
烈矢「い、行くってどこに?」
豪樹「アメリカだよ!ア・メ・リ・カ!」
烈矢「アメリカぁ!?」
豪樹「そうだぜ!いやぁな〜んで今まで気付かなかったかなぁ…ん、待てよ、ここで気付いたから逆に凄いのか?そうか凄いんだ!さすが俺様!天才だぜ!!」
勝手な自画自賛をし喜んでいる豪樹を見た烈矢は、額に手をあて深くため息をつく。
豪樹「どうした烈矢?俺のあまりに素晴らしい提案に感動してんのか?」
烈矢「だーれがするか、そんなモンに!まったくそう簡単にはいかないだろ」
豪樹「そこは土屋博士にお願いすんだよ!うまくいきゃ俺たちも連れていってもらって、向こうでレースができる!」
烈矢「まぁ本来は俺たちも『ルーキーチーム』として出る予定だったしな」
豪樹「そうだぜ!そうすればビクトリーズだけじゃなく、世界の奴らの走りもまた見ることができる!それに…」
烈矢「それに?」
豪樹「俺たちも土壇場で『代表』として走れるかもしれないだろ!?」
烈矢「へ?………それはルーキーチームとしてって事か?」
豪樹「違う違う!もしかしたら『TRFビクトリーズ』としてって事さ!…これで世界の連中とも今度こそ“本当の意味”で対等なレースができるってモンよぉ!!」
烈矢「ハァ〜〜そんなわけにはいかないだろ…まったく」
豪樹「ハッハーン!そうかぁ………烈矢は以前、奴らを蹴散らした事が…確か空港で」
烈矢「な!?…いや、あれは違う!今なら分かる!!………所詮不意打ちでしかなかったし、力の差だってそうだ!ルーキー戦でそれが十分に分かったんだ俺は」
「ならやることは決まってるじゃねーか!お前のナックルブレーカーの走り!また世界に見せてやるんだよ!!」
豪樹は満面の笑みで右手を掲げ、声高らかに月に吠えてみせた。
烈矢「ウーン、言いたい事はわかるけど…」
豪樹「よーし、善は急げだ!早速、土屋博士の研究所へレッツゴー!!」
豪樹は全力で走りだす。
「って今からぁ!?…ハァ〜」と、烈矢も渋々に後を追いかけていった。