爆走兄弟レッツ&ゴー!! 第二回世界GP   作:モンキー・キック

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迅雷の如く!進化したホイールの力の巻

ファイター「これはどうした豪選手!マグナムのスピードがのってない!?」

 

マグナムとジャミンRGの差は物凄い勢いで縮まっていく。

 

豪「頑張れマグナム!」

 

シャアアア…

 

ファイター「あーーっと!マグナム、ジャミンRGにのまれて…」

 

 

烈「──豪のやつ、セッティングに失敗したのか!」

 

藤吉「どど、どーするんでげす!?リョウくんが一位でも、残りの二位から五位を向こうに取られたらこっちの負けでげす」

 

J「恐らく豪くんも今の状況から、再びセッティングし直すと負けてしまうとわかってるんでしょうね」

 

烈「くそっ、一体どうしたら──」

 

 

ファイター「…いやまだのまれてはいない!マグナムはなんとか二番手に着いている〜!!」

 

豪「…マグナム」

 

ピコ「さっすがウンコのマシン!」

 

コーナーにさしかかりマグナムはあっさり抜かれると思われたが、ジャミンRGのサス同様にコーナーの立ち上がりが早くなっていた。

セッティングミスが逆にコーナーでの走りを良くしたのだ。

 

「フフフ、実に豪くんらしいね」

客席のミハエルは嬉しそうに言った。

 

 

藤吉「なんとか持ちこたえてるみたいでげすな」

 

烈「くそっ僕たちにできることは…」

 

J「あります」

 

藤吉「へ?」

 

J「このピンチの中にある僅かな光明…それが僕たちにはありますよ」

 

烈「ホントかいJくん?」

 

藤吉「一体どんな方法なんでげす?」

 

J「スピンバイパーです」

 

藤吉「へ?わてのスピンバイパーでげすか?」

 

J「そうです!進化したスピンバイパーの力なら…きっと」

 

藤吉「いやいや進化したって言ってもでげすよ」

 

J「………実は“あのパーツ”…もう一段階変化可能になったんです」

 

藤吉「え…ええええ!!?」

 

烈(あのパーツ?)

 

藤吉「わ、わては再度調整になったから今回は見送りって聞いたんでげすけど」

 

J「はい、だから今からぶっつけ本番でいきましょう!」

 

藤吉「ええ!?………ん〜~~………わかったでげす!やるだけやったるでげす!!」

 

J「そうですよ!僕もD・E・D(ドルフィン・エターナル・ダッシュ)で、できるだけやってみます!」

 

烈「詳しくは分からないけど…うん!僕も最後まで諦めない!」

 

ファイター「ビクトリーズの後ろの三台もファイルラップ!そして最後のピットイン!果たして追いつく事ができるのか〜〜!!?」

 

J「土屋博士!新型ホイールを!」

 

「ああ、分かった!」と土屋博士はボックスの中から四本のタイヤとホイールを出した。

 

烈「それがスピンバイパー用の新たなパーツ?」

 

J「はい、今までの可変ホイールは二段階のみの変化でしたが、今回のホイールはそこから更に増え、四段階まで可能です!」

 

烈「二人がまさかそんなパーツを開発してたなんて」

 

J「すいません、言いそびれて」

 

藤吉「本当は前回のアストロレンジャーズ戦で披露して驚かせたかったんでげす…でもその時はホイールの変化は三段階って聞いたんでげすけどね」

 

「それもすいません」と申し訳なさそうに笑うJ。

 

そうこうしてる内にスピンバイパーのセッティングは完了し、藤吉が先にピットアウト。

 

藤吉「じゃあ行ってくるでげす!」

 

烈「藤吉くん、豪と一緒に頑張って!」

 

藤吉「任せてくれでげす!!」

 

シャアアア…

 

藤吉「おお!凄い軽い走りでげす!」

 

そして早速コーナーに差し掛かったスピンバイパーは──

 

藤吉「こ、これは…!」

 

 

残った烈たち──

 

J「よし、僕のEVO.(エボリューション)はOKです!烈さん──」

 

烈「僕もだ、いこう!」

 

シャアアア…

 

 

ファイター「さぁトップのライジングトリガーは二番手集団と一定の距離をおき、独走だ〜〜!」

 

ピコ「やっぱりリョウとの差は中々縮まりませーん!」

 

豪「へへーん、リョウをあんまり舐めんなよ!」

 

ピコ「ウンコ、そんな事言ってる場合じゃないんじゃない?」

 

豪「う、うっせーうっせー!マグナムだってこっからさ」

 

ライトニングマグナムはまだ何とか粘っている。

 

 

そしてトップのリョウは──

 

シャアアア…

 

ファイター「ゴーール!!一位はリョウ選手のライジングトリガーだ〜!!」

 

リョウはカチッ──とマシンを止める。

「よくやったぞライジングトリガー………豪、待ってるぞ」

 

 

ファイター「そしてここで最も重要な二番手からの争い!豪選手とカリビアンズのメンバーも残すところ、150メートルを切った!」

 

シャアアア…

ギャアアア…

 

粘っていたマグナムだったがピコとリタのジャミンRGよりやや後方にきてしまった。

 

豪「くっそー………ん?」

 

ピキ………ピキピキ………パーン!!──

 

ファイター「あーっとぉ!ここでマシントラブル発生!!パティ選手のマシンが停止してしまったぞ〜!?」

 

パティ「やっぱり早すぎたのね…」

 

ピコ「パティ…絶対に勝つから!」

 

パティ「うん!」

 

豪「お、おい、あれは大丈夫なのかよ!?」

 

タムタム「『ラスタファリズム走行』はマシンのポテンシャル以上の力を発揮してギアに負荷を掛けすぎるんだ…だから本来は終盤でしか使えない」

 

豪「そんな走りをどうしてあんなところから…」

 

ピコ「ウンコたちに勝ちたいからさ!」

 

豪「えっ!?」

 

ピコ「ウンコたちに会って、走る事の本当の意味を教えてもらった、だから今度は勝ってその喜びもたくさん知りたい!ウンコみたいに!!」

 

豪「へへ、それでこそミニ四レーザーだ!いっけーマグナム!!」

 

ピコ「負けるなジャミン!!」

 

ファイター「残り100メートル!この連続オフロードコーナーを抜けストレートの先がゴールだぞ!」

 

豪(いくらセッティングミスの偶然でオフロードのコーナーにいつもよりキレがあるマグナムでも、このままじゃ…)

 

 

客席──

 

ブレット「今回はクールカリビアンズの勝利となるか」

 

ミハエル「いや、コースをよく見て」

 

ブレット「なに!?」

 

 

ギュン!………ギュン!ギュン!──

 

ファイター「ん、んん?なんと!二番手集団のすぐ後ろ、もの凄い勢いで追い上げてきたマシンがぁ!!」

 

ピコ「だ、だれ?」

 

「フフ、ピコくん、君たちのリズムは凄く心地いいでげすね」

 

ピコ「レゲエさ!」

 

「レゲエでげすか…わてもレゲエと同じく素晴らしいリズム、否!“ハーモニー”を知っているでげす」

 

ピコ「ハーモニー?」

 

藤吉「クラシックでげすよ!」

 

豪「藤吉!!」

 

藤吉「待たせたでげす豪くん!」

 

ファイター「さぁここでまた分からなくなったぞー!ライトニングマグナムと四台のジャミンRGによる残りポイントの取り合いに思われたが、ここにきて藤吉選手のスピンバイパーが追い込む!」

 

リタ「一体どうやってあの差を!?」

 

ピコ「負けない!レゲエのリズムで勝ってみせる!」

 

シャアアア…

 

豪「くっ」

 

マグナムはコーナーに入ると同時に大きく外に膨らんでしまい、タムタムとモンティのジャミンRGにも抜かれるが差は完全に開きはせず、なんとかまだカリビアンズの最後尾であるモンティのジャミンRGに半車身だが食らいつく。

 

藤吉「ベートーヴェンの“運命”の如き走りを見るでげす!…そこだースピンバイパアァァァアア!!」

 

ギュン!ギュン!──

 

ファイター「な、なんと」

 

それは一瞬であった。

スピンバイパーのコーナーリングは一気にその差を縮めマグナムのすぐ真横の位置に。

 

ピコ「ひえ〜〜〜〜!!」

 

豪「マジかよ!?」

 

藤吉「見たか!でげす!」

 

豪「藤吉、今のはサンダードリフトか?」

 

藤吉「フッフッフ、ちょっと違うでげすなぁ…これは『サンダードリフト“改”』でげす!」

 

豪「サンダードリフト“改”!?」

 

藤吉「ホイールの4段階変化によりコーナークリアが格段にスピードアップしたんでげす、しかもこの可変ホイールは普通とは違うんげす!」

 

豪「文字どおり4段階に伸び縮みするんじゃねーのか?」

 

藤吉「わても走らせてみてわかったんでげすが…──」

 

 

烈「一つ一つのホイールが別々に?」

 

J「はい!従来の可変式ならホイールは4つ同時に変化…ですが今回は左右のフロント、リヤ、一本ずつが内臓カメラによるコース判断で変化するんです」

 

烈「なるほど、EVO.(エボリューション)はボディとシャーシによる安定性・スピードの確保に対し、スピンバイパーはホイールでそれを…」

 

J「実際、可変ホイールの段階を増やすことには苦労はなかったんですが、内臓センサーとタイヤをそれに対応させる作業が………とても苦労しました、ハァ」

 

烈「た、大変だったんだね」

 

 

藤吉「──っという具合でげすな」

 

豪「へ、へ〜(イマイチよくわからねぇ)」

 

モンティ「ノ〜〜〜〜〜〜!!」

 

豪「な、なんだ!?」

 

ピコ「どうしたのモンティ!」

 

先ほどのパティのマシントラブルに続き、今度はモンティのジャミンRGが止まってしまった。

 

モンティ「くっそー!みんなぁごめん!」

 

タムタム「気にするな!」

リタ「ぜったい勝つから任せて!」

 

ここでカリビアンズは二台目のリタイヤが出たが残りの三台の加速は衰えず、残り50メートルにしてマグナム、バイパーをさらに引き離そうとしていた。

 

ピコ「そのままゴールだ!ジャミン!」

 

藤吉「させないでげす!!」

 

ギュン!──

 

藤吉「『サンダードリフト“改”』!!」

 

直線ながらに小石や土の歪み、そして三台のジャミンRGの間をも利用してスピンバイパーはコーナリング──というよりも反復走行のようにコースの間を動き回る。

 

藤吉「豪くん!意地でも勝つでげすよ!」

豪「あったりめーだぁ!」

 

豪・藤吉「ぐおおおお!いけぇえええ!」

 

ピコ「凄い気迫…でも」

 

ピコは右腕を前に伸ばし吠える。

 

「負けるなジャミン!!」

 

ギャアアア…

シャアアア…

ギュン!ギュン!──

 

 

ファイター「ゴーール!!!!」

 

二番手集団はゴールし、そこから1分半ほど遅れて烈とJもゴール。

 

そして両チームが息を整えたあと、ファイターの結果発表が始まった──

 

ファイター「まずはリョウ選手のライジングトリガーが独走の一位でビクトリーズに5ポイント!そして2位から5位はあまりにも際どいため、スローモーション映像で確認するぞ!!」

 

ファイターの合図とともに巨大スクリーンに真上からのゴールの瞬間が映され、その場にいる観客やレーサーは食い入るように映像を見上げた。

 

「お〜っと…これはライトニングマグナムだ」と映像を実況するファイター。

 

次の瞬間、会場がどよめく。

 

ファイター「しかし直前でピコ選手のジャミンに抜かれそのままゴール、2位の4ポイントはカリビアンズに入る」

 

豪「あ…ああ」

 

そしてピコのマシンの後ろをぴったりと付けていたリタのジャミンにもフロントバンパーの僅かな差で抜かれ、3位はリタ、4位は豪。

ここまで両チームとも7ポイントの同点。5位のマシンに注目が集まる。

 

ファイター「さぁマグナムがゴールしたすぐ後ろ!タムタム選手のジャミン!しかーしスピンバイパーがドリフト走行でギリギリの所でかわし残り1ポイントはビクトリーズに!」

 

豪「──ってことは」

 

ファイター「クールカリビアンズ7ポイント!TRFビクトリーズ8ポイント!本日最後のレースはビクトリーズの勝利だーー!!」

 

豪「やったーー!!」

 

ビクトリーズのメンバーはチームの勝利に喜んだが、烈だけは一人浮かない表情。

 

そこへ──

「完敗!僕たちの負けです!」とピコが烈に手を伸ばした。

 

「完敗だなんて…今回は運が良かっただけだよ、君たちの内の2人のマシンにトラブルがなかったら、僕らは負けていたかもしれない」と、烈はピコと握手を交わす。

 

ピコ「それを言うならウンコもラスト一週でセッティングミスさえなかったら、まさに完敗でしたね!」 

 

烈「…うん、ありがとう!次のレースも期待してる!」

 

ピコ「もちろーん!ジロマルの応援も胸にすごーく響きました!」

 

烈「うん」

 

両チームのメンバーは観客席のある方向に目をやる。

そこには大きな旗を振っている二郎丸の姿。

 

表には『がんばれカリビアンズ!だす!』

裏には『がんばれビクトリーズ!だす!』

歪んでいるが一生懸命書いたであろう字が風に揺れていた。

 

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