爆走兄弟レッツ&ゴー!! 第二回世界GP   作:モンキー・キック

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マシン復活編
烈矢に託した一文字博士の想いの巻


ビクトリーズがカリビアンズに勝利したその日の夜──

 

土屋博士の部屋にメンバーは集まった。

勝ったにも関わらずビクトリーズの雰囲気はどんよりとしている。

 

豪樹「………おい烈矢、なんだよこの空気」

 

烈矢「俺に聞くな」

 

豪樹「勝ったってのにまったく…よし烈矢、あれだ!“ドッジ弾平”のモノマネしろ!」

 

烈矢「声が同じとか原作者が同じとか、そんな理由で安易に俺にふるな!バカ!」

 

豪樹「な、なんだと〜!」

 

そんな中。

バーーン!!──と烈が机を叩き、俯きながら立ち上がった。

 

豪「烈兄貴?」

 

烈「今回のレース展開の運び方の悪さは僕に原因がある…すまない」

 

リョウ「そう気負いするな烈、誰もそんなふうには思っていない…それを言うなら俺も含め、他のメンバーにも悪い点があったぞ」

 

豪「………俺も最後のピットインで失敗しちまった」

 

藤吉「なんというか…クールカリビアンズの本当の力を見誤っていたかもしれないでげすね」

 

土屋「みんな、勝ったとはいえ反省するのも確かに大事だ…だが今日はもうゆっくり休もう」

 

 

メンバーはそれぞれの部屋に戻り、眠りにつこうとしていた。

 

星馬兄弟の部屋──

 

(ソニックとプロトセイバーもあそこでああしていれば………いや違うな、そもそもライジングトリガーはあそこまでの差を………うーん、それにしてもスピンバイパーのあの走りは今後のレースにも………)

──と、烈はその日のレースの事を振り返り、ベッドの中に入っても中々寝付けずにいた。

 

「烈兄貴、もう寝ちまったか?」

 

上のベッドから豪が烈に話しかけてきた。

 

烈「ん…いや、お前も寝れないのか?豪」

 

豪「ああ、なーんかひっかかっちまって」

 

烈「………もうどこのチームも前大会とは比べものにならない強さだ」

 

豪「そうだよな、だけど俺たちも速くなったぜ」

 

烈「うん…でも正直ビクトリーズの個々のマシンの力は二回のレースですでに出尽くした感が否めない」

 

豪「〜〜〜ぐぐ…んん………だーーーーー!!!!」

 

烈「うわ!…なんだよ豪、こんな夜中にいきなり叫ぶな」

 

豪「ごめん…なんか昔はもっと…こう単純に突っ走ってさ…なんていうか…うう〜ん」

 

烈「お前もそんなこと考えるんだな、見てるこっちとしてはあまり変わってないように見えたけど…やっぱり成長してるんだな」

 

豪「…まぁな」

 

烈「………よし、豪!明日の朝早くにみんなでレースしよう!フォーメーションとか関係なく、それぞれ本気で………って、ん?」

 

豪「………」

 

烈「豪?」

 

豪「Zzz………いっけーマグナ〜ム!むにゃむにゃ…」

 

烈「アハハ、やっぱりお前はそういうところは変わってないよ…でもまぁおかげで、ふぁ〜〜ぁ………僕も寝れそうだ、おやすみ」

 

 

そして次の日──

 

「起ーきろー!!」

 

陽が出てまだ間もない早朝にその声は響いた。

 

「う、う~ん………なんだよ烈兄貴、今何時だと思って──」と、目覚まし時計を覗く豪。

そして「まだ5時半じゃんかよ」と枕に顔を埋めた。

 

烈「いいからいくぞ!豪!」

 

豪「いくぞったってどこにだよ…今マグナムがトップでファイナルラップだったんだぜ…だからもう少し寝か──Zzz」

 

藤吉「ハハーン!それじゃあ豪くんはリタイアでげすね!」

 

リョウ「そうみたいだな」

 

J「いいんですか?豪くん」

 

そのメンバーの言葉に対し豪はガバッ──と勢いよく起き上がった…がしかし──

 

ゴチ~~ン!!

 

上の段のベッドという事もあり天井に頭をぶつけてしまった。

 

豪「いって〜〜〜!!」

 

烈「だ、大丈夫か!?」

 

「くぅぅ…大丈夫じゃないけどおかげで目が覚めたぜ!」

そう言って豪は勢いよく梯子を降りた。

 

豪「よっしゃー!フリーコースに行こうぜ!藤吉、リタイアなんて言わせないからな!!」

 

藤吉「それでこそ豪くんでげすな、でもパジャマの格好はさすがにまずいでげす」

 

豪「すぐ着替えるぜ!」

 

豪は顔を洗いいつもの服に着替えた。

そしてビクトリーズの五人はフリーコースへと向かった。

 

豪「そういや二郎丸と一文字兄弟はどーしたんだ?」

 

リョウ「二郎丸は昨日の俺たちのレースの応援で疲れてるだろうからな、今日はゆっくりと寝かせてる」

 

烈「一文字兄弟の部屋では豪樹くんが凄い寝相といびきで寝ていたけど、烈矢くんはいなかったよ」

 

豪「そっか」

 

五人はフリーコースに着いたがそこではすでに誰かがミニ四駆を走らせていた。

 

J「どうやら先客がいるようですね」

 

藤吉「わてらみたく朝早くに走らせるレーサーも少なからずいるでげすよ」

 

 

シャアアア…

 

「よし、いい走りだ!」

 

 

豪「ん?ありゃあ…烈矢じゃねーか!」

 

烈「本当だ、お〜い!烈矢くーーん!」

 

その声に烈矢はマシンをとめた。

「フー…ん?あれはビクトリーズ」

 

五人は烈矢のもとへ駆けつけた。

 

リョウ「こんな朝早く練習か?」

 

烈矢「いや、まぁ練習というか“こいつ”を走らせてみたくって」

 

豪「ナックルブレイカー…じゃねーな」

 

烈矢「ああ、このマシンはシャドウブレイカーZ-3(ズィー・スリー)」

 

藤吉「新マシンでげすか?」

 

烈矢「いや違うんだ、これは俺が以前使っていたマシンで──」

 

烈矢はボルゾイスクールにいた昔の自分のことを話しだす。

 

『シャドウブレイカーZ-3(ズィー・スリー)』

 

このマシンを使い、空港でGPレーサーのマシンを襲撃したこと──

それ以外にもボルゾイで何台ものマシンを破壊してきたこと──

そして最後は草薙兄弟によって壊されてしまったこと──

その時言われた豪樹の言葉でミニ四レーサーに戻ってこれたこと──

 

それをビクトリーズに話した。

 

烈「そんなことがあったんだね」

 

藤吉「ちょっとウルっとくるでげすな」

 

J「前に僕が烈さんと豪くんに目を覚まさせてもらったように、烈矢くんも豪樹くんに──」

 

烈矢「…うん、認めたくはないけど………やっぱり兄さんのおかげだ」

 

「ひ〜!ケツが痒いったらありゃしねーぜ!!」

フリーコースの外、フェンスの後ろから何やら声が聞こえてきた。

 

烈「ん?…あれは…豪樹くん!?」

 

「ヘヘヘ」と豪樹はお尻をボリボリと掻きながらフリーコースの敷地内に入ってきた。

 

豪「寝てたんじゃねーのか?」

 

豪樹「実はこっそりつけてきたんだよ」

 

「い、今の話、聞いてたのか!?」と、烈矢は少しだけ頬を赤らめながら豪樹に聞いた。

 

豪樹「ああ、聞いてたぜ…烈矢!ちゃ〜〜んと言えるじゃねーか!に・い・さ・ん…ってな」

 

烈矢「う、うう、うるさい!」

 

豪樹「別にいーんだぜ、今からでも“兄さん”って言ってくれて…まぁ慣れるまでケツが痒くなっちまうのは大変だけどな」

 

烈矢「誰が呼ぶか!バーカ!」

 

豪樹「な、なんだと〜〜!?」

 

藤吉「まぁまぁ」

 

烈矢「…ふん!」

豪樹「…へん!」

 

烈「アハハ、でもその壊れたはずのマシンがなんで今ここに?」

 

烈矢「実は──」

 

 

昨日の夕方、クールカリビアンズ戦後──

 

選手用の送迎バスで会場から宿舎につき、一同は降りる。

そこで烈矢だけ土屋博士に呼び止められた。

 

烈矢「なんですか?」

 

「うん、実は君に渡したいものがあってね」と土屋博士は烈矢に一台のミニ四駆を渡した。

 

烈矢「これは…Z-3(ズィー・スリー)!?なんでZ-3(ズィー・スリー)が!!?」

 

土屋「フフ、日本にいる一文字博士から君にとのことだ」

 

烈矢「父さんが…」

 

土屋「烈矢くん、ボディをとってシャーシを見てごらん」

 

「は、はい」と烈矢はZ-3(ズィー・スリー)のシャーシを見る。

 

烈矢「こ、これは!?」

 

Z-3(ズィー・スリー)のシャーシにはかつて積まれていたボルゾニックシステムはなかった。

 

そして土屋博士は一文字博士からZ-3(ズィー・スリー)と一緒に届いたであろう手紙を烈矢に渡し、自分の宿舎へ帰っていった。

 

烈矢は手紙を読みはじめる。

 

『烈矢へ

 

 突然の事で驚いたと思うが 、

 新たなZ-3(ズィー・スリー)をお前に託した

 いと思う。

 実は お前たちがボルゾイスク

 ールをあとにしてから 私はま

 た以前あったZ-3(ズィー・スリー)のデータ

 を元に、新たなZ-3(ズィー・スリー)を作っ

 ていたんだ。

 ナックルブレイカーを 使い続

 けてくれるのは それはそれで

 嬉しいが、 もう一度お前がマ

 シンを 破壊するためにじゃな

 く、ただ単純にZ-3(ズィー・スリー)でレー

 スを楽しんでる姿を 見たくな

 ってな…。

 これはきっと 親の私のわがま

 まにすぎん。

 それでも ミニ四レーサー一文

 字烈矢に このエアロミニ四駆

 を私は託す。

 

     父 一文字正宗より」

 

 

烈矢「───ということだ」

 

藤吉「良いパパさんでげすな」

烈「そうだね」

 

烈矢「“あの頃”の俺はボルゾニックシステムを積んでないマシンなんてミニ四駆だなんて思わなかった…だけど今なら父さんや兄さんがやっていたこと、伝えたかったことが分かる気がするんだ…このZ-3(ズィー・スリー)を見てるとさ」

 

豪樹「烈矢…本当に変わったんだな」

 

「当たり前だろ!ほら豪樹、あの時の続きだ!シャドウブレイカーZ-3(ズィー・スリー)がお前のマックスに勝ってやる!」と、烈矢はスイッチを入れ、再び走らせる。

 

豪樹「あっこいつ!また呼び捨てに戻りやがって〜!」

 

烈矢「フフ、それじゃあもし俺に勝てたらまた前みたいに兄さんって呼んでやーるよ!だからこいよ!レースだ!」

 

「ヨーシ!約束だぞ」と豪樹はブレイジングマックスをスタートさせる。

 

シャアアア…

 

豪樹(へへっ父ちゃん、相変わらず生意気なままだけどやっぱりあいつはミニ四レーサーだったぜ)

「いっけ〜〜!!マックスーー!!」

 

 

J「ハハ、なんだかすっかり置いてきぼりな感じですね」

 

リョウ「まぁでもいいじゃないか」

 

烈「………今度は弟の方に教えられたか」

 

藤吉「何がでげす?」

 

豪「レースへのひたむきさ…だろ?」

 

烈「ああ…よし!僕らも走ろう!あの二人に負けないようにね!!」

 

豪「よっしゃー!」

 

 

豪樹「おっ烈矢見てみろよ、後ろからビクトリーズの連中もやってきたぜ」

 

 

豪「まちやがれ豪樹〜!烈矢〜!」

藤吉「逃がさないでげすよー!」

 

烈矢「フッ負けないさ、ビクトリーズにも!そしてお前にも!」

 

豪樹「言ってくれるぜ!その言葉そのままお前に返してやるぜ!そこだマックス〜!」

 

朝陽を背に元気いっぱいにミニ四駆と走る七人の姿がそこにはあった。

 

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