爆走兄弟レッツ&ゴー!! 第二回世界GP 作:モンキー・キック
砂漠の貴公子と五人の女たちの巻
ビクトリーズが
宿舎の星馬兄弟の部屋にて──
烈「おーい!豪」
「ん、なんだよ烈兄貴?今いいとこなんだよ…ギャハハ!」と豪は上のベッドで寝ながらコロコロコミックを読んでいた。
「今日の勉強はどうした?」
烈は低いトーンで言いながら冷たい視線を豪に向ける。
豪「ギャハハ…うぇ?」
烈「全くやってないだろお前、それどころか昨日も一昨日もやってないだろ」
豪「な!?何言ってんだよ烈兄貴ぃ、ちゃんとやったさ!」
烈「嘘つけ…まったくどうするんだ!いざ学校へ行った時に勉強についていけなくなったら!」
「わーったよ、やりゃあいんだろやりゃあ」
そう言って豪は梯子を降りてきた。
豪「次のレースについてのミーティングが終わったあとにな、へっへーん!」
そのまま部屋を出ようとする豪。
烈「おい!待て豪」
豪「い、いいのか烈兄貴…遅れちまうぜ」
烈はチラッと時計を見た。
烈「………ハァ仕方ない、土屋博士の部屋にいこう」
豪「おーう」
烈(うまく逃げたな)
こうして星馬兄弟は土屋博士の部屋へと向かった。
部屋に到着するとすでに藤吉、J、鷹羽兄弟、一文字兄弟の姿があった。
豪樹「おっせーぞお前ら!」
二郎丸「待ちくたびれただすよ」
豪「いやぁワリーワリー、烈兄貴がモタモタしてたからさ」
烈「な…コラ豪!」
「ケケケ」と笑いながら豪は椅子に座る。
「まったく」
烈も呆れて笑いながら椅子に座った。
土屋「よしみんな揃ったね、それじゃあ次のレースについて話をしよう」
ビクトリーズ「はい!」
「えーまず次の対戦相手だが──」と土屋博士はモニターを点ける。
ピッ──と、スイッチが入ると画面には静止画状態であるチームが映った。
「サバンナソルジャーズ」
画面を見てリョウが呟く。
土屋「うむ………実はここまで全戦全勝してるチームは君たちビクトリーズの他にも2チームある」
二郎丸「もしかしてその内の一つがサバンナソルジャーズなんだすか!?」
土屋「ああ」
豪「そうなのかぁ…博士博士!あとの1チームはどこなんだ?」
土屋「ドイツのアイゼンヴォルフ」
烈「やっぱりそうなるか」
リョウ「博士、ロッソストラーダはどうですか?」
土屋「ロッソストラーダは一敗している、その一敗の相手が──」
「サバンナソルジャーズなんだ」
そう口を開いたのはJであった。
烈「Jくん?」
土屋「ああ、そうか…確かJくんは会場で実際にレースを見たと言っていたね」
J「ハイ」
リョウ「それで、レースはどんな内容だったんだ?」
J「それなんですが…実はコーチのカイくんが出ていたんですがもう一人………“とんでもないレーサー”が」
豪樹「とんでもないレーサー?」
J「ええ、たぶんそのレーサーについては一文字兄弟のお二人の方がよく知っているかと…」
豪樹「俺たちが?なぁ烈矢、心当たりあるか?」
烈矢「いや…あいにくサバンナソルジャーズのレースは見ていないからな」
豪樹「俺もだ」
豪「──とにかくJ!そのとんでもないレーサーって誰なのか早く教えてくれよ!」
藤吉「もう豪くん、せっかちでげすよ」
そんな話し合いをしてる途中、コンコン──とドアを叩く音が聞こえた。
「はい」と土屋博士が出ようとしたがドアに一番近かったリョウが「博士、俺がでます」とドアノブを回す。
ガチャ──
「やぁ、お久しぶりです」
リョウ「お前は!?」
リョウがドアを開けると、そこにいたのは沖田カイであった。
そしてその後ろにはサバンナソルジャーズのメンバーも覗きこむよう前のめりな姿勢でいた。
豪「カイじゃねーか!」
藤吉「今日はどうしたんでげすか?」
カイ「フフ、次の対戦相手ですからね、挨拶ぐらいはしておこうと思いまして…土屋博士、入ってもいいでしょうか?」
土屋「ああいいとも、入りたまえ」
「失礼します」
カイとサバンナソルジャーズの五人は部屋に入った。
全員が入ったと確認したところでドアを閉めようとしたリョウであったが、誰かが外の壁にもたれて立っている事に気付く。
リョウ「!?………フッなるほどな、Jが言っていた“とんでもないレーサー”とはお前の事か」
その言葉に外に立っていた男はリョウの方へ顔を向けた。
「おーい、どうしたんだリョウ?」
ドアから半身、外に出て何かをやっているリョウに気付き豪は言った。
「ん、おや?」とカイ、そしてサバンナソルジャーズのメンバーもそれに気付いた。
烈「どうやらまだ人がいるみたいだね」
「Jくんが言っていたとんでもないレーサー…でげすかね?」と藤吉は口元を扇子で隠す。
J「うん…たぶん」
「あなたも部屋に入るんですよ」
カイは微笑みながら外にいる男に言った。
「話は早く済むはずだ…別に俺が付いていく必要もないだろう」と男は応えたが、それに対してソルジャーズリーダーのジュリアナは不機嫌になる。
ジュリアナ「おい!カイコーチが部屋に入れと言ってるんだ!メンバーの私たちが入って“補欠”のあんたが入らないなんておかしいだろ!!」
サリマ「落ちついてジュリアナ」
ヴィッキー「そうだよ」
カイ「ジュリアナ…ここは言い争うところじゃありませんよ」
ジュリアナ「…………ごめんコーチ、だけど…だけどあいつは!」
「ギャーギャーうるさい女だ、それでも貴様は元アフリカチャンプか」
そう言い外にいた男はやっと部屋に入ってきた。
男の格好は全身を布で覆い、顔だけでも見えてる部分は目元のみ、手には長い杖のようなものを持っていた。
J「彼です」
豪樹・烈矢「あーーー!!!?」
一文字兄弟は目を見開いて驚いた。
豪樹「な、なんでお前がこんなところにいるんだよ〜!!」
「…フッ」
豪樹「フッじゃねーだろ!“カリーム”!!」
豪「あいつが………で、誰だっけ?」
藤吉「もう忘れたんでげすか豪くん?」
烈「ほらっ『ルーキー戦』で豪樹くんや烈矢くんと同じチームで僕らとレースしただろ」
豪「うーん………あっいたいた!いたぜ確かに!」
「カリーム・ハメド」
そう言い、ドアを閉めたリョウは椅子に座った。
J「“砂漠の貴公子”の異名を持ち、愛用のマシンの名は『デザートゴーレム』」
豪「完全に思いだしたぜ」
一方、そのカリームはジュリアナとの言い合いがヒートアップしていた。
ジュリナア「…ぐぐ、もう一度言ってみろ!!」
カリーム「口の減らない女だ、お前はミニ四駆というよりお喋りのアフリカチャンプだよ…フン」
「も、もう許さん!!」
ジュリナアがカリームに飛び掛かろうとしたが、サリマとヴィッキーがそれを必死に静止した。
クレモンティーヌ「アンタも言い過ぎだよカリーム!ジュリナアはちゃんとれっきとしたミニ四駆のアフリカチャンプだ!」
「フン、事実を言ったまでだ」
カリームはそう言って部屋を出ていってしまった。
ジュリナア「コラ〜!まて〜!!」
カイ「ハァ………すいません、なんだが騒がしくて」
土屋「気にしなくてもいいよ──あ、君たち!!?」
一文字兄弟はカリームを追って外へ出ていった。
豪樹「おい待てよ!待てったらカリーム!」
カリームは立ち止まり、二人の方へ振り向いた。
烈矢「まさかお前がサバンナソルジャーズに入っていたとはな、驚いたよ」
カリーム「ああ、実はあのあとチームに来ないかと誘われてな」
土屋博士の部屋──
土屋「“あのあと”?」
カイ「ええ、ルーキー戦のあとです」
ジュリナア「私は反対してたんだ、他のみんなも本当はそうだろ!?」
ミシェル「ま、まぁね」
クレモンティーヌ「うん…カリームはアフリカ大会にも出てたけど、途中でレースを棄権したような奴だし」
カイ「でも、今の僕たちには彼の力が必要だと判断しました」
烈「そう言えば博士、確か“ルーキーチーム”はこの第二回世界GPに出るはずだったんですよね?」
土屋「ああ、そうだったんだがネロくんのマシンは短期間での修理が難しいとのことで今回のGPは見送りになってしまったんだ」
豪「豪樹たち、本当はあのまま出る予定だったんだな」
カイ「…そこで僕は彼女たちと同じアフリカ出身の彼をサバンナソルジャーズに誘ったんです」
外の三人──
豪樹「へぇ、そうだったのか」
カリーム「ああ…それじゃあな」
豪樹「おい待てよ!」
烈矢「もう行くのか!?」
カリーム「楽しみにしてるぞ」
豪樹・烈矢「え?」
カリーム「………お前たちとのレースをな」
豪樹「そうは言っても…俺たちはビクトリーズのメンバーどころか補欠でもな──」
烈矢「カリームの奴、もういなくなってしまったぞ」
豪樹「なにぃ!?」
カリームは二人の前から姿を消していた。
豪樹「あんにゃろ〜」
一方、土屋博士の部屋では──
カイ「それじゃあ僕たちはこれで」
豪「おう、じゃーな!レース楽しみにしてるぜ!」
カイ「はい」
こうしてカイとサバンナソルジャーズのメンバーも帰っていった。
リョウ「カリーム・ハメド…おそらく次のビクトリーズとのレースでカイと共に出て来ると思うんだが…」
J「そうかもしれませんね」
豪(………豪樹に烈矢、あの二人もホントはこの舞台でのレースに出たくて仕方ねーのかな…)