爆走兄弟レッツ&ゴー!! 第二回世界GP   作:モンキー・キック

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アフリカ大会の因縁の巻〈前編〉

話は少し前に遡る──

 

 

『世界GPルーキー戦』

最後は即興で作られた豪樹、烈矢、クリフ、ネロ、カリームのルーキーチームとTRFビクトリーズのレースとなった。

 

レースの途中、圧倒的な差をつけられていたルーキーチームだったがクリフの機転によりなんとか追いつくことができた。

しかしネロの『ディオマース・ネロ』が無理な走りをしたため粉々に壊れてしまう。

それでもルーキーチームは最後まで諦めず一丸となってディオマースを修理したが結局間に合わず、そのままビクトリーズの勝利に終わる。

 

そこから豪は豪樹に対し一対一(サ シ)で勝負を挑む──

 

やがて豪と豪樹は走りだす。

会場を飛び出し、例え街中だろうとコースは無限にあると言わんばかりにどこまでも走る二人。

さらにその二人に感化され、その場にいるレーサー、かつてはレーサーであった大人たちも見えないゴールを目指し走りだしたのだ。

 

そんな中でカリームは一人の金髪の少年に話しかけられる。

 

「やあ、あなたのマシン凄いですね」

 

カリーム「誰だ貴様は…日本人か?」

 

「ええ、そうです」

 

カリーム「だがお前はビクトリーズのメンバーじゃないな」

 

「ええ、僕はサバンナソルジャーズのコーチをしているカイと言います」

 

カリーム「サバンナソルジャーズ…」

 

カイ「そうです、あなたの国のチームですよ…いきなりで悪いんですがお願いがあるんです、あなたに──」

 

「悪いな、あいにく俺はルーキーチームの一員だ…それに」とかなり食いぎみで、カイの具体的にはまだ何も言ってない頼みを拒否したカリーム。

 

カイ「それに…なんです?」

 

──と、そこへ「カイコーチ〜!」と後ろからジュリアナたちがやってきた。

 

カリームは振り返り彼女たちを見たあと「あいつらと走るのはごめんだ」とカイに言った。

 

カイ「え?」

 

カリームの存在に気付くソルジャーズのメンバー。

 

ジュリアナ「お前は…!?」

 

カイ「ジュリアナ?…(そう言えば彼のレースを見てた時、ジュリアナたちの顔がやたらと険しかったような………)」

 

ジュリアナはカリームを睨みつける。

 

「あ、あの…もしかしてあなたたちは前から知り合いだったんですか?」とカイは恐る恐る聞いた。

 

「まぁね」とサリマが何か言いにくそうに応える。

 

カイ「それなら話が早いです…今後のサバンナソルジャーズのため、是非ともカリームくんにお力添えをお願いしていたんですが、どうでしょう?」

 

「な!なんだって〜〜!!?」

サバンナソルジャーズは声を合わせて驚いた。

 

カイ「だ、ダメでしょうか?」

 

ジュリアナ「いくらコーチの頼みとは言え、それだけは頑固反対!!」

 

他のメンバーたちもジュリアナのあとに続き「反対!反対!」と声を合わせて言った。

 

カイ「そ、そうですか…残念です」

 

「フン」

カリームは轟音のデザートゴーレムとともに去っていった。

 

カイ「………」

 

 

その次の日──

 

空港。

アフリカ行きの機内にて──

 

サリマ「えーっと…席順は右端からクレモンティーヌ、ミシェル、ヴィッキー…そして私にジュリアナだ」

 

ミシェル「オッケー」

 

クレモンティーヌ「あれ?ジュリアナどうしたの?キョロキョロして」

 

ジュリアナ「いや、カイコーチの姿が見当たらなくてさ」

 

ヴィッキー「ああ、コーチなら私たちより遅れて並んでチケット取ったみたいだから多分ここより後ろの席にいるよ」

 

「ふーん」と言いながらジュリアナは後方の席を見渡す。

すると縦に七席ほど離れたところにカイがおり、前から自分の方を見ているジュリアナに気付くとニコッ──とほほえんだ。

 

サリマ「どう、いた?」

 

ジュリアナ「いたよ………最悪な奴も隣に座ってるけどね」

 

その言葉に他のメンバーも後方の席を見渡す。

 

ヴィッキー「どれどれ…げげ!あいつは」

 

サリマ「カリーム」

 

彼女たちから見てカイの左隣の席にカリーム・ハメドが座っていた。

 

クレモンティーヌ「く〜~なんであいつがコーチの隣に!?」

 

ジュリアナ「フン、まぁいいさ…向こうに着いてから聞けばいい」

 

サリマ「う、うんそうだね…ほらみんな、そろそろ離陸するから席に座ろ」

 

ヴィッキー「はーい」

 

こうしてサバンナソルジャーズは全員席に座りシートベルトを付けた。

 

 

一方、当の後ろの二人──

 

カリーム「わざわざ横入りまでして俺の隣に座るとはな」

 

カイ「フフフ、気付いてましたか」

 

カリーム「ああ、俺がチケットを取ったそのすぐあと、後ろに並んでる連中を無視して無理やりお前が入ったんだろ」

 

カイ「ええ」

 

「ゴッホン!!」と、本来ならカイの席にいたであろう中年男性が咳き込んだ。

 

カイ「ハ、ハハ…本当にすいません」

 

カリーム「まったく」

 

カイ「こうでもしないとあなたとゆっくり話ができないと思いましてね」

 

カリーム「本当に呆れたやつだ」

 

 

機内のアナウンスも一通り流れ飛行機は離陸を始めた。

 

カイ「まず聞きたいんですが、彼女たちとあなたの因縁…とでもいいましょうか………アフリカ大会で何があったんです?」

 

「フッ退屈しのぎにはいいだろう…教えてやる」とカリームは昔の話を始めた。

 

カリーム「『アフリカチャンピオン大会』…日本でもきっと似たようなのがあるはずだ」

 

カイ「ええ」

 

カリーム「アフリカではそれをまず大きく分けて二ヶ所で行う」

 

「アフリカですから…えーっと」とカイは目線を上げ少し考えてから「サハラ砂漠で区切られる“ホワイトアフリカ”と“ブラックアフリカ”ですかね?」と答えた。

 

それに対し「まぁ正解だ」とカリーム。

 

カリーム「日本とは違い大きな国だからな、そこから更に分けて予選をしなければならない」

 

カイ「大変そうですね」

 

カリーム「まぁな、そこで俺はホワイトアフリカ代表の内の一人…サバンナソルジャーズの連中はブラックアフリカの代表ででたわけだ」

 

カイ「なるほど」

 

 

──ジュリアたちとカリームの因縁はここから始まった。

 

WGPルーキー戦からさらに一年半ほど前、場所はもちろんアフリカ──

 

 

「アフリカチャンピオン大会!第一回戦…スタートです!!」

そんな実況の声とともにこのレースは始まった。

 

『アフリカチャンピオン大会』

この大会にはシード選手制などは一切なく、毎回、長く続く予選を勝ちぬき選出されたレーサー25名により勝負が繰り広げられる大会である。

 

内容は一回戦→二回戦→三回戦(決勝戦)と続けられ、人数も二十五名→十五名→五名と絞られ、決勝戦はその残った五名で行われる仕組みである。

 

そしてその一回戦のレースが繰り広げられているのだが──

 

 

シャアアア…

 

ジュリアナ「よーしいいぞ!サバンナゼブラ!」

 

サリマ「負けない!」

 

ヴィッキー「もちろん私だってー!」

 

実況「なんと第一レースで早くも面白い展開が見られている!…なんとトップを行く五台が同じマシンで、その五人のレーサーたちも予選をトップ5で勝ち上がってきた者たちだー!」

 

その時はまだアフリカを代表して『サバンナソルジャーズ』を結成するとは夢にも思っていなかった五人。

 

そんな五人を冷めた目で見る最後尾の男──カリーム・ハメド。

そして彼が走らせるマシンはもちろんデザートゴーレム。

 

最後尾ながらも走行音は激しくゴオオオオオ!!…と唸りをあげる。

 

カリーム(あの程度…あの程度で予選トップ通過したというのか………ぬるすぎる)

 

「こうなったら一気に終わらせるぞ!デザートゴーレム!!」

そのカリームの声に応えるようにデザートゴーレムは加速する。

 

ゴオオオオオ!!…

 

実況「後方の集団にも大きな動きがでてきた!えっとー…あれはホワイトアフリカ予選で下位通過であったカリーム選手のデザートゴーレム!!」

 

「なんだぁコイツは!?」

「見覚えあるっちゃあるなぁ、前にレースしたかぁ?」

「おいおい…テメェみたいな雑魚レーサーがこんなレース序盤から目立ってんじゃねーよ、グハハ」

 

──と、予選でカリームが下位で抜けた時に上位で通過した見るからにヤンチャそうなレーサーたちがカリームに絡んできた。

 

カリーム「…」

 

「お〜い、黙りこんでんじゃねーよ」

そう言って自分のマシンをデザートゴーレムに近付ける身体の大きなレーサー。

 

どうやらバトルレースを仕掛けようとしているらしい。

 

カリーム「…近づくな」

 

「あぁん?もしかして怖ェーのかよ!?グハハハハハ!!もうおせーよ!テメェは一度オレ様を無視しやがったからなぁ!!」と言い、自分のマシンでデザートゴーレムにアタックを仕掛ける。

 

が、しかし──

 

バチィ!ガキーン!──と、あっさり弾かれてしまった。

 

「な、なんだとォ!?…グハハ、中々やるじゃねぇか…なら、これでどうだ!!」

 

今度はデザートゴーレムより一気に前に出て、そのままUターンして真っ直ぐ正面から突っ込んでくる。

 

「ハッハー!くらえ!!」

 

バキッ!!バキバキッ!!──

 

まるで戦車の如き車体のデザートゴーレムの正面にぶつかったのだ。

アタックを仕掛けたマシンの方が粉々に壊れてしまうのも無理はない。

 

「あぁ…」

 

カリーム「貴様は己の国のことわざを知らないのか?『道を閉ざす者には、死の鉄槌を』…よく覚えておけ」

 

「うう…」

 

 

一方、トップの五人──

 

「ハァ…ハァ…何やら後ろが騒がしいな」

後ろを気にしながらサリマは走っていた。

 

そんな様子を見てジュリアナは「へ〜サリマったら随分と余裕なんだぁ、凄いねぇ」と挑発するように言った。

 

サリマ「な、なに〜!?」

 

 

クレモンティーヌ「またやってるよあの二人」

 

ヴィッキー「まぁいんじゃない?このレースはあくまで個人戦なわけだし」

 

クレモンティーヌ「あたしはこの五人で一位から五位を独占できればそれでいいかなぁ」

 

ミシェル「クレモンティーヌってば、欲がないね」

 

クレモンティーヌ「そうかなぁ?」

 

ミシェル「そうだよ、私だったら相手が前にいるあの二人でも絶対勝ちたいもん」

 

ヴィッキー「フフ、同感」

 

ここでヴィッキーとミシェルのサバンナゼブラは前の二台に追いつこうと加速する。

 

シャアアア…

 

クレモンティーヌ「あっ待ってよ〜」

 

そのすぐ後ろから轟音のマシンが近づいてくる。

 

クレモンティーヌ「ハァ…ハァ…ん、えっ!?キャッ!!?」

 

クレモンティーヌのサバンナゼブラを一瞬で追い抜いたのはやはりデザートゴーレムであった。

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