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「で、何か用ですか?えっと・・・・八雲紫さん」
悠磨は一切感情を表に出さずに八雲紫に問う。
「特に用という訳でもないけど・・・・強いて言うならお話してみたかったからかしら?」
紫は笑みを絶やす事無く続けた。
「興味があったのよ、貴方にね」
少しづつ、少しづつだが、頭の中に抑えていた疑問が溢れ出す。悠磨が封じ込めようとするも、何度も何度も疑問はしつこく浮かび上がって来る。その原因は先程の紫の言葉だった。
「・・・・あの」
悠磨は疑問を抑え切ることが出来ず、ふっと口に出した。
「俺について・・・・誰かに聞いたんですか?」
そう、紫は確かに、聞いていた通りと言ったのだ。この言葉から、悠磨について第三者から聞いたのは多分、いや確実だった。
悠磨がその一言を発した瞬間、紫の顔から一瞬笑みが消えた。だが、紫はまた笑みを戻して冗談めいた感じで言った。
「フフッ・・・・別に何でもないわよ?」
普段の悠磨なら追求せず「あぁ、そっか」で片付ける所だが紫の聞いたという言葉、自分が拾った篠笛、そしてあまり思い出したくもない過去によって頭の中で成り立った仮説を決定付けるにはどうしても紫の言葉が必要だった。
思い出してしまったせいでか痛み出した頭を押さえながら悠磨はもう一度紫に
訊ねた。
「もしかして・・・・霊夢や魔理沙、貴方以外に俺の事を知っている人が幻想郷にいるんじゃないですか?」
更に悠磨は言葉を続ける。
「その人が・・・・もしかしたら唯一の友人かもしれないんです、教えてください」
悠磨は唯一の友人というところを強調して言った。
だが、紫は平坦な声でこう告げた。
「貴方がそんなふうに聞いてくるって事はよっぽど大事な人なのね。でも、」
一息吸うと、紫はいきなり声のトーンを低くして言った。
「貴方はそれを知ってどうするの?」
ズキン
その一言で悠磨の頭に酷い頭痛が襲いかかった。続けて酷い耳鳴りも始まる。自然と悠磨の息は荒くなっていた。
思い出したくもない過去がまるでスライドショーの様に流れ込む。
気づいた時には口に出していた。
「・・・・・・・だよ」
「何か言った?」
「あんたに何がわかるんだよ!!!!」
初対面の者には確実に使う筈の敬語を忘れ、悠磨は感情のままに叫んだ。
悠磨の声は静かなこの場所に響いたが、耳鳴りのせいで悠磨には殆ど聴こえていなかった。
紫は驚いて目を見開いていた。
それもその筈。悠磨が叫んだその瞬間、真っ暗だった幻想郷が一瞬で太陽で明るくなったからだ。
「・・・・凄いわね、その[刹那を操る程度の能力]は」
紫はそう言って悠磨を見据えた。
「・・・・え?」
冷静になって悠磨はやっと自分の現状に気が付いた。
「貴方、何かしたんですか?」
悠磨は恐る恐る紫に訊ねた。
紫は驚いた表情を浮かべながら答えた。
「私は何もしてないわ。もしかして無意識?」
悠磨は紫の答えにすぐに頷いた。
が、悠磨は一つの可能性を考えた。
幻想郷に来てから、何度も聞いている言葉だ。
「・・・・まさか、能力?」
いやいや、俺はただ運動能力低めの至って普通な人間だ。霊夢や魔理沙の様に魔法とか能力使えるわけじゃない。
悠磨は脳内で必死に考えていたが、悠磨が能力を持っていると仮定すると全ての辻褄が合うのだ。
「・・・・大丈夫?」
悠磨が考え込んでいた事によって始まった沈黙を紫が破った。
「あ、えっと・・・・」
悠磨が言葉を詰まらせた時だった。
先程まで明るかった空が暗闇へと戻ったのだ。
「やっぱりずっと続く訳ではないのね、[刹那を操る程度の能力]は」
紫は暗くなった空を見上げながら呟いた。
「[刹那を操る程度の能力]?」
悠磨は思わず言葉を繰り返した。
「貴方の能力の名前よ」
自分に能力があるとわかった時の悠磨の気持ちは決して明るい物ではなかった。
少しだけ治まっていた頭痛が再び起きそうになって、悠磨は話題を変えた。
「あの・・・・博麗神社までの帰り道わかりますか?」
紫と話していたせいで忘れていたが、悠磨は今絶賛幻想郷をさ迷い中だったのだ。
もし霊夢に見つかったら何か言われる可能性が高い。
面倒事を避けるには、急いで帰るのが最善策だろう。
「道なら教えるけど・・・・貴方まさか方向音痴?」
仰る通り方向音痴音痴だよ。悪いかよ。
悠磨は紫がくすくすと笑っている姿を見て、心の中で呟いた。
次回もよろしくお願いします!
(後書きも書く事無かった・・・・)