もしもデミサーヴァントになったのがマリー所長だったら 作:イチヤ
まだセイバーオルタとは戦いません
キャスターにしごかれるオルガマリーちゃんです
「……(´・ω・`)」
「先輩、先輩!マリー所長が明らかに落ち込んでいます、マスターとしてのメンタルケアが必要と思われます」
「そうだね、ぐだ男君。サーヴァントのケアもマスターの仕事のうちの一つだ」
「いーや、ここはキャスターであるこの俺がアイルランド秘伝のケアを…つーか姉ちゃんやっぱりいいケツしてんなあ」(サワッ
「キャッ!ちょっとアンタ!ケアってただのセクハラじゃない!それにキャスターとか関係ないし!」
「ははっ、役得役得〜。でもまあ元気出ただろ?」
「フォウ、フォーウ!」
…2人と1匹だけの珍道中だったのが騒がしくなったものである。
なんでこんなことになったかって?
カルデアでの大規模な火災による不具合で聖杯戦争真っ只中の冬木に飛ばされた俺とオルガマリー所長だったけれど、その時既に絶命寸前だった所長はサーヴァントとの例外的な契約によってその力と命を手に入れ、俺はそのマスターとして所長と契約を結んだ。
…未だに慣れないし、今すぐに逃げ出したい(どこにも逃げる場所などないのだが)気持ちはもちろんあるが右手の甲に刻まれた3画の令呪がそんな気持ちを抑えてくれる
冬木に来るだけ来てなんとなくあたふたしているとカルデアにいるDr.ロマンと通信が繋がり、状況を打破するため冬木の霊脈に向かって進んでいる途中でレイシフトに巻き込まれたらしいマシュとも出会えた、実際のところこの再会は俺の心を著しく弾ませた、その感情を抑えきれず、よく生きていてくれた、よく助かってくれたとマシュに言ったものだが、反応は思っていたより薄くて心が折れかけた、マシュを見つけた瞬間大声で叫び散らしたというのに
「え、ああ、先輩…?ああ、ついに先輩までもが走馬灯に現れてきました…私の命もここまでということですか…」
走馬灯扱いだった、失礼な、俺は本物だ
マシュも仲間に増え、落ち着いていたところに
この聖杯戦争において、実に5騎のサーヴァントを打ち倒しシャドウサーヴァントを作り出しているセイバーに対抗しているキャスターのサーヴァントと同盟及び契約を結び、ここに至る
「…先輩?どうかしましたか?先程からどこか一点を見つめてボーッとしているように見えますが」
え?ああ、ごめんごめん
読者様に向けて状況説明してたよ
「どく…しゃ?いえ、そんなことより所長の落ち込んでいる原因の究明とその抹消をすべきかと」
むう、確かにそれは大事だ
所長の悩みは俺の悩み…なんだろう、所長の悩み…装備の露出が多いこと、とか?
「なっ、なななっ、た、たしかにこの礼装は露出が多いけど…そんなことで悩んでなんかないわよ!その、あれのことなのよ…」
ふむ、あれとはやはりあれのことだろうか
というか身体をクネクネさせながら訴えてくる所長可愛い
高飛車な性格のせいなのか所長には一見とっつきにくいオーラがあるが、この数時間で所長の可愛さがわかってきた
まあなんだ、その、一言で言うとツンデレ、というヤツである
「何黙って見てんのよ!……その。悩みというのは、私はサーヴァントになって何度か戦ってある程度の戦闘経験は積んだつもりよ?それなのに…私は、まだ宝具が使えない、むしろ使い方すらわからないわ…無様なことに」
…ふざけるのもこれくらいにして
宝具、それは英霊の人生を、成し遂げた偉業を象徴するもの、その宝具が使えないというのが所長の悩み…
だが所長は実際に偉業を成し遂げた本人ではなく能力を譲り受けた者であるから、使い方はすぐにわかるものでもないのではないだろうか、こう、いずれ来る覚醒期というか、鍛錬を重ねた上でなにかの拍子に使い方がわかる…みたいな
「あ?そんなもんすぐに使えるに決まってんじゃねえか。英霊と宝具は同じもんなんだから」
…使えるに決まっていたらしい
だとしたらなぜ宝具が使えない、なんてことになるのだろう
「そこの姉ちゃんがサーヴァントとして戦えんならもうそれで宝具は使えんだよ。単に魔力が詰まってるだけっつーか、なんだ、気持ちの問題っつーの?本気で大声を出そうとしてねえだけだぞ?」
「…き、気持ちの問題、ね
マスター適性がなかった影響とかでは、ないのね…そう、それならいいわ」
と、小声でボソボソと所長がなにか言っているが…
所長!ここは本気で大声をあげてみるべきですよ!ほら、せーの!
「えっ?ええ?うー、わかったわよ…」
スウッ
【ほおおおおうううぐうううううううう!かあああいほおおおおおおおおお!】
キーン、と耳に響く所長の叫びも虚しく、その宝具は開放の兆しすら見えない
「しょ、所長。少し声が大きすぎます…耳が…」
なにやってるんですか所長、もののたとえだったというのに
「はあ?!ちょ、アナタがやれって言ったんじゃないの!」
「ははっ、何はともあれやる気があるのは結構なことじゃねえか、まあ、今の声のせいで敵さんが寄ってきちまったが…丁度いい、ここでちょっくら寄り道して特訓と行こうや、なに、すぐに終わる。いいだろ?ぐだ男」
ああ、もちろんだ
所長に宝具の使い方を知ってもらうことはこれからの戦いで必ず役に立つだろう
────────
どれだけの戦闘を繰り返しただろうか
迫り来る果てしない数の骸骨兵をほとんどキャスターの助力なしで押しのけ終えた頃には俺も所長も体力の限界を感じていた
「はあ…っ、はあ。限界、よ
これ以上の戦闘、なんて、そも、そも根性論じゃなくて理屈に沿った指導、とか―」
「チッ、分かってねえなあ。
コイツは見込み違いかねぇ、まあいいさ、そんときゃそんときだな。
んじゃまあ、次の相手は俺だ」
「は?はあ?だからこれ以上の連続戦闘は無理だって言ってるじゃない、それにアナタに勝てるわけないでしょ?!正規の英霊にこんな埋め合わせみたいが勝てる道理がどこにあるって言うのよ!」
上がっていた息がいつの間にか落ち着いている所長がキャスターに噛み付いている…
なんだろう、猫に噛み付くネズミを見ているような気分だ、なんとなく微笑まs…
「そうかい、だったら俺は遠慮なくぐだ男を殺させてもらうぜ」
微笑んでもいられなくなったー!
…キャスターのイラつきの白羽の矢が俺にたったのかと思ったが顔を見る限りそうでもないらしい、真剣な面持ちだ
どうやら本気で俺を殺す気らしい
「なに言ってるの!?アナタ、ついに気でも狂ったというの!?この訓練にぐだ男は関係ないでしょう!?」
「あ?なに寝ぼけたこと言ってやがる。
サーヴァントとマスターは究極のパートナーであり運命共同体だ、それに、なあ?ぐだ男、そこの姉ちゃんが倒れた時がお前の死だ?」
「くっ…なんだってこんな目に会わなきゃいけないのよ…ったく、マスター!下がってなさい!」
瞬間、キャスターの放った炎を皮切りに二人の英傑の戦いが始まった
────────
戦闘開始からどれくらいの時間が経っただろうか、キャスターの方は息ひとつ上がっていない上に未だその魔術の勢いは上がっていくばかりで対する所長は息も絶え絶え立っているのがやっと、といった状態だ
俺の指示が聞こえているかどうかすらも定かではないしそもそも戦闘経験が皆無の俺の指示は所長を窮地に追い込んでしまうかもしれない
様々な思いが交錯して俺は所長に何一つ声をかけられないでいた
「はっ、そろそろ潮時か?
主もろとも燃え尽きな!」
「さ、せるもんですかあ!」
「ほう、よく言った!ならばこれを耐えてみろ!」
途端、キャスターの魔力が爆発しその炎が禍々しい像を形成する
『我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人
因果応報、人事の厄を清める社
倒壊するはウィッカー・マン!
オラ、善悪問わず土に還りやがれ――!』
キャスターの宝具が開放された
絶体絶命のこの状況で
ふと、声が聞こえた
耳に直接聞こえた訳ではない
脳裏に響くとでも言うのか
―それとも響いたのは心に、か
(このままだと…みんな、死ぬ、死んでしまう…折角、何かを守れるはずの力を手に入れたと思ったのに。ようやく、守りたいと思えるものもできたのに…)
その声が聞こえた瞬間は、時が止まっていたかのように周りのものが全て止まっているように見えた
(守らないと…守りきらないと…使いこなせるようになんて過ぎた願いは持たないから…一番欲したものに限って手に入ってこなかった私にそんなこと願う資格はないのだから…今一瞬、だけでいいから、守って救える、そんな力を…私は、私は───)
そして時は動き出す、いや元から止まってなどいなかった
突如として生まれた光の壁に見蕩れ、時が止まったかのような錯覚に陥っていたのだと気付いたのは隣で衝撃に耐えきれず倒れ込んだマシュの小さな呻き声を聞いてからだった
光と光の衝突により爆音が生まれる
ただし、迫り来る鬼のような荒々しい炎の光に対し、もう一方の光は全てを優しく包み込む儚い願いのような光であった
…これがオルガマリー・アニムスフィアの宝具
思わず息を飲んで眺めてしまった
一言で言えば、強大な守護エネルギーの顕現
それが所長の宝具の能力のようだが──
「喜べ…いんや、褒めてやりな、ぐだ男。
お前のサーヴァントになった姉ちゃんは間違いなく一線級の英霊だ。俺が保証する」
ああ、とてつもなく凄かった、何度も言うが、俺が見蕩れるくらいには
「…………」
宝具を使った本人が一番状況を理解出来ていないようだ、自分の手を何度も見つめ直し呆然としている
「…驚いたな、宝具の解放がこんな早いなんて、所長は宝具の使い方を全くわかっていなかったのに…」
「そりゃあちげえな、何度も言わせんなって、宝具はイコールで英霊本人と同じだっつったろ、生まれたての赤ん坊だって腕の動かし方くらいわかんだろ?おんなじことだ
それに、そこの姉ちゃんはそもそも能力の高かったはずの存在だろ?そんなやつが自分のプライドを捨てて死にものぐるいで願ったんだ、それ相応の褒美をもらって当然だろうが」
「…すごかったです、所長。所長の宝具の光は私にとってはとても暖かく優しかった、愛、というものにあまり触れたことのない私ですが、それを少し感じることが出来た気がします」
もうみんなベタ褒めだった、これ以上ないというくらいに
さっきまで呆然としていた所長がみるみるうちに赤くなっていく、だがまあそれだけのキックバックがあっていいだけのことを所長は成し遂げたのだ、これくらいの談話くらい許されよう
「んー、ただまあ、真名をモノにするには至らなかったか…」
「ええ、なんとなく使い方はわかったけれど、この宝具の真名がなんなのか、私に力を渡した英霊の真名がなんなのかはついぞ分からなかったわ…」
「真名がわからないのに宝具を解放させるって凄いな…でも真名なしで宝具を使うのはこれからも不便だろうから、この僕がいい呪文を考えてあげますよ」
「え?ロマン、アナタが考えるの?あんまりいいものが浮かぶとは思えないのだけれど…それに私にも1つ案g…「オルガマリー・スペシャル!とかどうかな?カッコイイと思うんだけど、ねえ?ぐだ男もマシュもそう思わない?」
「ふむ、私としてはアニムスフィアデスビームとかもアリかと思います!」
…スペシャルはまだわかるとしてデスビームって、出てないよビーム、さっきマシュは何を見ていたというのだろうか
それに所長に一つ考えがあると言っていたしそれにしようと思うんだけどな…
「え?私の考えたものを言っていいの?ふふん、覚悟して聞きなさい」
もったいぶらずに早く言ってください
「せ、急かさないで頂戴!……‘ロード・カルデアス’よ、‘ロード・カルデアス’!カルデアの責任者である私には通りのいい呪文でしょう?」
所長がこの上なくドヤ顔なのは置いといて悪くない呪文だと思う、それで行こう、俺もなんとなく気に入ったし
「よーし、姉ちゃんも宝具の使い方を覚えたしそろそろ行こうや」
ん?行くってどこに?
「あ?そんなのも知らねえで歩いてたのか?大空洞に決まってんだろうが、堕ちた騎士王の住まう自然要塞だぜ」
…決戦は間近のようだ
さて、じゃあ、行こうか
恐れはないと言ったら嘘になるけど今の俺には頼れる仲間がついている
キャスター、Dr.ロマン、マシュ
それに…俺だけのサーヴァント
────オルガマリーが
…呼び捨てにしたとバレたら確実に怒られるから、心の中でもこう呼ぶのはもうやめにしよう
批評、感想、要望等々たくさんお待ちしています!
なにか思ったことがあればいくらでも言ってください!
あ^~、オルガマリーちゃんhshs