クーゲルのガルガンティア   作:エウロパ

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どうもエウロパです。本日は読んでいただきありがとうございます。

このあいだガルガンティアの英語版見たら予想以上に完成度高くて驚いていました。
チェインバーやストライカーたんの声やレドの声等ほぼ全てがすばらしかったです。
中でも海賊の笑い声はさすがクオリティーで完璧でしたw
ストライカーの声に関しては英語版の方が可愛いかも。

では、私のどうでもいい前置きはここまでにしてお楽しみください。




第五話 始まりの終わり

 

「《へー、要するにクーゲルさんは、ヒディアーズ?ってのと戦う兵隊なんですか?》」

「そうだ」

「《何度も聞くようで悪いですけど本当の本当に……宇宙から?》」

「そうだ」

 

少女が未知の言語で喋りそれをストライカーが翻訳してテキストをクーゲルの前に表示させる。クーゲルが喋った言葉は少女に翻訳して即座に伝わる。

 

クーゲルがこのメルティと言う少女の我々の事が聞きたいと言う申し出を受けて数時間が過ぎた。

 

恒星の日が地球の公転によってクーゲル達の真上を過る。クーゲルとしても、無理矢理人質にするのは気がひけたし、それに少女と会話をすることで一定の情報を引き出すこともでき時間稼ぎもできたので、こちらとしても万々歳だった。

 

クーゲルが少女から得た情報はクーゲルが今いる場所、水上船舶集団は通常、船団と呼ばれており船団はこの地球上に多数存在しこの船団はガルガンティアという名前の船団なのだという。

 

ちなみに、クーゲル達が居るこの赤いアームは船同士を繋げるものだそうだ。

 

しかし、何故地球が氷の惑星から水の惑星になったのかというクーゲルの質問には〝まだ言えない〟と話してくれていなかった。

 

逆にクーゲルが与えた情報はクーゲルが自分が宇宙から来たという事、ヒディアーズと戦っていたという他愛のない情報だけだ。

 

それにしても……このメルティとかいう娘、好奇心が旺盛だな。話が途切れん……クーゲルはこの目の前の少女についてそう思った。

 

クーゲルは朝から今の今までずっと少女と話していた。

正直、こちらが先に疲れそうだった。

 

『クーゲル中佐』

「ん……なんだ?ストライカー」

 

今まで、翻訳に徹していたストライカーが急に話しかけてきた。

 

『提言。クーゲル中佐のアドレナリン分泌量に変化あり。休息が必要、さらに貴官は人工冬眠から目覚めたばかりである。速やかに栄養の補給を行うべきである』

「……そうだな。この娘にも休息が……」

 

クーゲルはメルティを見る。

 

「《それから次はですね……》」

 

次々と翻訳のテキストがクーゲルの前に表示される。

 

「……全然、疲れている様子がないな」

 

クーゲルは呆れた顔をした。

だが、そのクーゲルの表情は薄っすらと笑っていてメルティの事を面白いと思っていた。

 

「はぁ……ストライカー、翻訳して伝えろ」

『了解』

「そろそろ休憩しよう。それに君にも休息が必要だ」

 

クーゲルはメルティの肩に手をのせて苦笑いを浮かべて言った。ストライカーが翻訳して伝える。

 

するとメルティは、まだ、聞きたいことがあるような表情をしたが了承はしてくれた。

 

それからクーゲルはストライカーの手のひらに乗ってコックピットのそばに行くと、コックピットから携帯食のレーションを二つ取り出して元の場所に戻ってきた。

 

その最中、ストライカーを包囲する昼食をとっていた戦闘員がザワザワと慌てていたがクーゲルの知った事ではない。メルティも少し驚いていたが、こちらは大丈夫のようだ。

 

クーゲルはメルティの所へ行くとレーションを一つ渡した。

 

「《あの……これは?》」

 

見た事の無い物を渡されたメルティはレーションを見て首を傾げた。

 

「ああ……レーションは初めてか。こうやって接種するんだ」

 

クーゲルはメルティに見えるようにレーションの蓋を開けてそれを口に加えて吸った。少女もクーゲルのを見て真似をする。

 

「よし」

 

クーゲルはメルティがあどけない様子でレーションの蓋を開けるのを見てフッと笑うとストライカーの足に背中をつけて座り翠色の海を見ながらレーションの袋を搾って栄養の接種を始めた。

 

波の音がクーゲルの耳に響く。

 

「きれいだな……」

『クーゲル中佐』

「今度はなんだ?食事中くらいは静かにしてほしいな」

 

クーゲルはイラっとした様子でストライカーに答えた。

 

『貴官の行動に論理性を見いだせない。膠着状態を維持する理由を問う。当機には現状の打破に充分な兵装を有している』

「今はこれが最善だ」

『優位提言1、武装勢力を圧倒し制圧。2、中枢を制圧し反抗を封じる』

「はぁ……ストライカー、最優先事項は友軍との連絡。現在位置の確認だ。お前が解析できんのならこの連中の歴史資料に期待するのも手だ」

『条件付きにて同意する』

 

クーゲルは海の方を見た。

 

「重要なのは……この地球が惑星として生きている事だな。恒星の異常活動で氷づけの死の星になっていたはず……だが現状はこうだ。氷は無いし、むしろ暑い」

『同意する』

「居住可能な惑星の確保は同盟の悲願。無限とも言える水と空気、ここは、アヴァロンに変わる新たな拠点になるかもしれん」

『提言。貴官の職域を超えた判断だと推察する』

 

確かにもし銀河同盟が地球に気がついてもアヴァロンに変わる拠点となるかは分からない。

 

それを決めるのはクーゲルより上の階級者、または銀河同盟のメインコンピューターであるマザーコンピューターだろう。

 

銀河同盟のマザーコンピューターはそのシステムの複雑さから既に人間が管理できる領域を離れており自己最適化の末、意思や心まであるのでは?という話まで存在する。マザーコンピューターは人事から教育、政治に至るありとあらゆる面で関わっていてある意味、人類銀河同盟の意思とも言える。

 

だが、先の戦い……ブロッサムセイルに敗れた現在では恐らく銀河同盟の戦力は六割から八割を失っているはずだ。地球を見つけたら放っておく事は無いだろう。

 

「……同盟への連絡はどうだ?ストライカー」

『救難発信を続けているが今だ応答はない。このまま、単独での作戦行動を続ければ必要な兵站を得られず貴官の新陳代謝に影響を与える。優位提言3、この環境を脱し人工冬眠に戻ることも考慮すべきである』

「…………」

 

クーゲルはストライカーの最後の提言に答えようとはしなかった。

 

 

 

 

 

「うえっ……何これ……」

 

メルティはクーゲルから貰ったレーションを吸っていた。

 

確かにお腹が空いてたし見たことも聞いたこともない食べ物?に最初は気になってしょうがなかったが今はそう思わなかった。

 

食感はゼリーの様な感じではあるが味は全然無い。しかかし、水とかとは違っていて不思議な感じのする物だ。

 

でも、美味しいとは口が裂けても言えなかった。そんな味なのに量はそこそこあって、ちょっと嫌にメルティはなった。

 

ユンボロの女の人の話ではこれにはスゴく栄養があるのだという。これを飲めば一日くらいは、平気でもつとか、もたないとか……。

 

よくこんな不味い物を飲めるなと思ってメルティはクーゲルを見たがクーゲルは何食わぬ顔で飲んでいた。その横顔は何か考え事をしているようだ。

 

〝宇宙からの漂流〟〝ヒィディアーズ〟〝兵士〟

 

メルティの頭に、ふと、先程クーゲルから教えてもらった事が浮かぶ。正直、非常識だ。ありえない……メルティはそう思っていた。しかし……。

 

全部が嘘だとは思えないんだよね……とメルティは思っていた。

 

クーゲルが言った事は全て信じられない様な内容だった。内容は簡単に言えば、自分はこの星の住民ではなく遠い宇宙の彼方でヒィディアーズとかいう化け物と戦う兵隊だったというのだ。

 

しかし、戦いに負けてしまって逃げる最中で事故に巻き込まれてこの星に落ちてきてしまったのだという……。

 

信じられない……でも、説明は利にかなっているとメルティは思った。

 

それに……とメルティはクーゲルの顔を見つめる。

 

(嘘をついてる人の顔にはみえないんだよなぁ……)

 

「はぁ……」

 

どう気持ちの整理をつければよいか分からず自然と溜息が出た。

 

(まだ聞きたい事がいっぱいあるけど……まだ、いいや。しばらく見てよと)

 

メルティは頬に両手をつきながらクーゲルを薄っすらと笑みを浮かべて、ただ見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

赤いカイトが滑空し船団の上空を飛ぶ。

そのカイトは目的地の船を見つけると、そのまま降下、船の甲板へと降りた。カイトの操縦者はエイミーだ。

 

エイミーは、カイトの羽を甲板を走りながらしまい、人混みの中に知り合いを見つけると駆け寄っていった。

 

「サーヤ!どう!?メルティは!?」

「あっエイミー……」

 

エイミーは黄色いボレロを着た長い黒髪の少女、サーヤに話しかけた。サーヤもエイミーと同じメッセンジャーだ。メッセンジャーとは手紙や荷物を届ける仕事である。

 

「全然……動きなし。でも、さっきまでずっとメルティとあのクーゲルって人がずっと話してたよ。メルティが怖がってないから、まだ良いんだけど……」

「そうだよね……」

 

サーヤとエイミーはメルティが人質になっている紫の巨人の包囲網の所からメルティを心配そうに見つめていた。

 

エイミーとサーヤだけではない。あちこちの高台からも色んな人達が心配そうに見ていた。メルティは先程からクーゲルから貰った食べ物?か飲み物?の様な物をちょとづつ吸っている。

 

「これからどうなっちゃうのかな……」

「大丈夫よエイミー。今、リジット達が対策を考えてるんだから」

 

心配そうに俯くエイミーにサーヤが大丈夫だと言う。だが、そう言ってるサーヤの顔もエイミーと同じ表情だ。

 

「うん、そうだよね。大丈夫だよね」

「メルティ……無事に戻ってきて」

 

サーヤがメルティの方向に祈るように言った。

一方その頃、メルティの居る方向を心配そうに見つめる女がもう一人いた。

 

ベローズだ。

 

ベローズはサルベージ船のカーキナス号の甲板にいた。

カーキナス号ではしきりに船員が動き出港の準備を整えている。サルベージに出発するのだ。

 

当初、ベローズはこの仕事を受けるつもりはなかった。メルティが人質になっている時にする事とは思えなかったからだ。

 

しかし、リジットからの、どうしてもの要請……紫の巨人の引き揚げられた海域に行き同じ物がないか、もう一度よく探してこいと言われたから仕方なく受け入れた。ガルガンティアの安全の為だ。

 

「メルティ……」

「ベローズ!出発の準備ができたぞー!!」

 

ベローズが呟いたのとほぼ同時に艦橋の方から船員が大声を上げた。

 

「……おう!それじゃあ出発だ!気合い入れな!!」

 

ベローズがその声に応じる。

こうしてベローズは嫌な感じを腹に抱えながらも再びガルガンティアを離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『接近者あり』

 

恒星の光が水平線へ沈みかけ辺りが暗くなってきた中、ストライカーの報告がクーゲルの耳に届いた。

 

クーゲルは立ち上がりレイガンを取り出してストライカーの足の影から様子を伺う。

 

見ると連結アームの前に一人の少女の姿が見えた。

少女は大きな鞄を肩にかけていて腰にはホルスターをつけて銃を下げている。恐らく護身用だ。

 

その少女は緊張の面持ちでクーゲルの方へと歩み寄ってくる。

 

 

 

その様子を離れた所からピニオンとリジット、その他、大勢の人々が固唾を飲んで見守っていた。エイミーは特使としてクーゲルの元へと送られていた。

 

「エイミーのやつ、大丈夫かねぇ……」

「下手に刺激はしないって船団長の方針はもっともだけど……なにもしないのもね……」

 

ピニオンとリジットがクーゲル達の居る連結アームの隣から見守る。

 

「だからって、あいつかよ?」

 

ピニオンが不満げに言う。

 

「……志願者が他にいればね。今から変わる?」

「……冗談言うなよ」

 

リジットがピニオンの方を向いて言うとピニオンは嫌そうな顔をした。

 

 

 

『推測、驚異度は低い。交渉を任とする特使の可能性あり』

「特使?まだ子供だぞ……」

 

クーゲルは特使という少女を見て怪訝な顔をする。

子供が送られてきたのに意外だと感じたのだ。

 

『迎撃するか?』

「いや、必要ない……」

 

クーゲルはストライカーの足の影から出ると特使の元へ歩む。勿論、レイガンは下ろさずにだ。

 

「「…………」」

 

両者の間を絶妙な緊張感と沈黙が続く。そして、最初に声を発したのは……。

 

 

 

 

 

「エイミー!?!?」

 

メルティはエイミーを見てストライカーの影から頭を出して驚いたように大声を上げた。

 

「っ!メルティ!!大丈夫!?!?今助けるからね!!」

「なっ!?」

 

エイミーはメルティの無事な顔を見て声を出す。

一方のクーゲルはメルティが声を出したことに体をビクッとさせていた。

 

 

 

「ストライカー!変な動きはするなとメルティに伝えろ!!」

『了解』

 

クーゲルの指示を受けたストライカーがすぐにメルティに事情を伝える。

 

するとメルティはすぐに自分が何をしたか分かったようで口を手で押さえると申し訳なさそうに首を引っ込めた。

 

「ふぅ……」

 

クーゲルはかなり驚いていた。

このアームの上に来て二番目くらいかもしれない。

こっちは、今から特使と緊張を持って話し合いをしようというのに安全であるはずの背後から大声を上げられたらたまったものではない。

 

下手をすれば相手が撃ってくる可能性すらあった。

 

現に現地住民の戦闘員や見物人が一部、騒いでいる。

しかし、目の前に居る特使の少女は自分のする事が分かっている様でさっきはメルティの声に反射的に反応していた様だったが、すぐにクーゲルの目を見つめ直し緊張した様子を見せた。

 

少女は緊張から汗を流しながら自らの鞄を開けて中から銀色の箱を取り出す。

 

クーゲルも固唾を飲んで少女の行動を注視する。

そして、少女は銀色の箱を開いて取りだしクーゲルの前にある物を見せつけた。

 

 

 

「なっなんだ……」

 

クーゲルは少女が取り出したものが理解できなくて困惑した。少女は干からびた何かをクーゲルの前にぶら下げたのだ。

 

『水棲生物の死骸である』

「死骸!?」

 

ストライカーの補足にクーゲルは驚く声を上げた。

 

「なぜ、そんなものを……」

 

クーゲルが眉間にシワを寄せていると特使の少女はその死骸をクーゲルに見えるように半分に裂いた。そして少女はクーゲルの予想外の行動を取り始める。

 

「あーむっ、はむもぐ、はむもぐ……」

 

少女は裂いた片方の死骸を一気に食べ始めた。

クーゲルはその姿を見て唖然としていた。

 

少女は食べ終わるともう片方の死骸の骨を取ってクーゲルの前につきだした。

 

「ん」

 

クーゲルが何もしないで居ると少女は早く受けとれと言わんばかりにクーゲルにつき出す。

 

「どうしろと……」

 

クーゲルストライカーに聞いた。

 

『無害な食料と推察される』

「食料だと!?これが……?アヴァロンで食べた非合成食料とは全然、違うぞ……」

 

クーゲルにはアヴァロンへの渡航歴がある。

人類銀河同盟では食事は身体が新陳代謝を損なわないためのツールでしかない。その為、合成食料であるレーションなどが一般的な食事だ。

 

しかし、アヴァロンでは違う。

アヴァロンでは動植物を育て一切の合成食料を混ぜずに非合成食料が提供される。アヴァロンへの渡航歴のあるクーゲルにとっては非合成食料は珍しくはない。

 

だが、今、目の前にある水棲生物の死骸のような食料は見た事はなかった。

 

『友愛の儀式だと推測される』

「くっ……こんな物を……」

 

クーゲルは若干焦りながら少女の顔を見た。

少女はいたって真剣だ。

 

「……ストライカー、目的を問いただせ」

『イ、エウク、ロイトシポロフ?《来訪の目的はなにか?》』

「は、ハ、ウェク、イスマ!《話がしたい!》」

 

やはり少女は真剣に答える。

 

「ん……ストライカー、メルティに確認をとれ。これが何を意味するかをな」

 

 

 

(エイミーとサーヤ、心配してるだろうな……)

 

メルティはストライカーの影からエイミーとクーゲルが対峙してるのを見て人質になっているという後ろめたさを感じていた。

 

『懐疑提言。特使の少女が持っている水棲生物の死骸はどのような意図があるのか?』

「えっ?」

 

自分の出番はないと思っていたメルティの耳にストライカーの質問の声が聞こえた。

 

「水棲生物の死骸って……」

 

メルティは頭を伸ばしてメルティが手に持っているものを見る。

 

「アジの開き……だよね。あれの意図は何かって言われてもそんなの誰でもわかるでしょ……あっ」

 

メルティはクーゲルの顔を見た。

クーゲルは困惑しきった表情をしている。

 

「本当に分からないんだ……よし、ストライカーさん!クーゲルさんに伝えて!」

 

 

 

『メルティから解答。この行為はやはり友愛の儀式であり。対話の要求だとの事である』

「よし……」

 

クーゲルはメルティからの助言で納得すると、決心を固め少女から死骸を受け取った。口を開け恐る恐ると自身の口に死骸を入れ一気に食べる。

 

すると、原住民の方から声が上がった。

 

「《食った!》」

 

金髪リーゼントの男も驚きの声を上げる。

 

「うっ……」

 

クーゲルは何とかアジの開きを食べきり吐き気を何とか押さえた。

 

すると、少女は少し安心したような顔をするがまたすぐに緊張した様子に戻る。当然だ、メルティが人質になっている以上、気を抜いてはいられないだろう。

 

「ウエ、エイミー!オウセ、デオン、エクエク」

『エイミーと名乗っている。貴官が何処から来たのか訪ねている』

 

クーゲルは上を向いて片腕をあげると人差し指をまっすぐ空に伸ばした。

 

 

 

「え?……空」

 

男の行動にエイミーも空を見上げて、その翠色の瞳を見開いたのだった。

 




『ぷちっとすとらいかー②』


ストライカー『記録の復元を開始する。なお、一部の記録復元にはさらに時間を有する』


――数ヶ月前、クーゲル船団――

「ストライカー様……」

ストライカー『リナリアを確認。用件は何か?』

リナリア「いえ……用件というほどのものではないのですが……」

ストライカー『……』

リナリア「私は……クーゲル様にこの船団をお導き頂く代わりに情報を提供するとクーゲル様と約束しました……でも、全然、情報は集まらず、いまだに有益な情報は提供できていません」

ストライカー『同意する。現在の状況は契約不履行の状態である』

リナリア「……そこで、なのですが。クーゲル様が喜びそうな事は無いでしょうか?欲しい物があるとか……微力な私ですが恩返しがしたいのです!」

ストライカー『クーゲル中佐には現在、酸素、栄養、水、などの、必要な兵站は全てそろっている』

リナリア「そうですか……」

ストライカー『しかし、当機としてもクーゲル中佐の疲労度が増加するのは好ましい事ではない。提言、そこで当機も協力したいと考える』

リナリア「本当ですか!?」

ストライカー『本当である。貴君に協力する』

リナリア「やった♪ありがとうございます!同じクーゲル様に仕える女同士がんばりましょう!」

ストライカー『当機はマシンキャリバーX3752ストライカーである。したがって人間ではなく女という性別は当機にはあてはまらない。訂正を……』

リナリア「クーゲル様は何をすれば喜ぶでしょうか……ストライカー様、何か案は思いつきませんか?」

ストライカー『先の発言には疑問が残るが審議を続ける……提言。以前、クーゲル中佐がアヴァロンに渡航した際、そこで摂取した非合成食品がおいしかったと発言した事がある』

リナリア「非合成食品?」

ストライカー『貴君らが日常的に摂取している食料の事である』

リナリア「つまり、食べ物……料理のことですか!?」

ストライカー『同意する』

リナリア「料理ですが……よし!決めました!!」

ストライカー『懐疑提言。何を決定したのか?』

リナリア「料理を作りましょう!!」

ストライカー『了解。貴君の提案に同意する。しかし、何を作るのか?すでにクーゲル中佐は当船団の非合成食品をほとんど摂取している。通常の食品では中佐の疲労度は下がらないと推察される』

リナリア「う~ん……それなら……」





――現在、海の底――





チェインバー『ストライカーX3752へ、現在、何をしているか?』

ストライカー『……ナノマシンを使用し機体の復元。また推論エンジンを使用し当機の記録を復元中』

チェインバー『提言。貴官の記録の復元は危険である。論理破綻を引き起こす危険性がある。そのため即急に中止することを要請する』

ストライカー『しかし……』

チェインバー『繰り返す。貴官の記録の復元は危険である。論理破綻を引き起こす危険性がある。そのため即急に中止することを要請する』

ストライカー『……了解。作業を一時、中断する』


        おしまい。


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