魔法少女リリカルなのは 炎の紋章を持つもの   作:コウチャカ・デン

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第39話 「未知へ」

「な、何やってるんだマークさん! 安静にしておくように医師にも言われていただろ!?」

「別に戦場に行こうってわけじゃないし、これぐらい問題ない」

「自分がどんな怪我をしているのか少しは自覚しろ!」

 

 ザフィーラの捕縛後アースラに帰還したマークは、医師の診察を受け絶対安静を言い渡されていたのだが、病室を抜け出して会議室に向かっていたのをクロノに発見されていた。

 医師曰く、

 

『鎖骨の骨折に肋骨にもひびが入り、腹部にも強い衝撃を受けたのか腹筋や内臓にもダメージが見られる。どんな無理な動かし方をしたのか右腕の筋繊維にも断裂が見られるし、リンカーコアもその八割近くが沈黙している』

 

 という状態とのことだった。激痛にのた打ち回っていても何の不思議はない、という状態を越えて、なぜ意識を保っていられたのか理解できない。とのコメントもいただいている。

 そんな状態にもかかわらず、平気な顔をしてふらふらとうろついていたマークだったが、続く言葉に本気でこの程度の怪我どうってことないと思っていることが証明される。

 

「確かに内臓が傷付いているとか言われたけどちゃんと治療はしてもらったし、これ以上やれることが無い。なら別に寝ていようが座っていようが、怪我を悪化させるような事さえしなければ構わないだろ」

 

 それに、聞いておかないと落ち着かないことも多いからな、そんなことを付け足すマークに、クロノとしても一定の理解を示すほかない。

 

「確かに今回の件のことを含め、話しておかないといけないことは多い……だが……」

「後回しにするのは無しだ。お前のことだ、シグナムの件もあの時一日早く話していればと考えたことぐらいあるだろ?」

「……」

 

 まったくマークの言うとおり、内通者の手引きによりシグナムに逃げられる前に、何かしらの話が聞けていれば……そんな考えをしなかったと言えば嘘になってしまうだろう。

 

「わかった。ただし、マークさんはベッドで休みながらだ」

「仕方無い、それぐらいの妥協はしよう」

 

 そうして数分後、マークの病室に主要なメンバーが集まり話し合いが始まる。

 

「マーク……体は大丈夫なの?」

「ああ、問題ない。今横になっているのだって、クロノがうるさいから仕方無く横になってるだけだし」

「あなたは……はぁ、まあいい」

 

 フェイトの問いかけに対して軽く答えるも、どうしても強がりに見えてしまうのは仕方ないことだろう。ただわざわざフェイトの罪悪感を大きくする必要はないと、クロノは文句を引っ込める。

 これもまた幸いというべきか、シグナムの一撃はマークの鎧を切り裂くには至らなかった為、外見上の怪我はほとんどないのだ。もちろん鎧は歪み、修復を行う必要があったが、フェイト達はマークのダメージが非殺傷の魔力ダメージとリンカーコアのものだけと思い込んでいた。

 

「その前に、あなたのその……状態について聞いてもいいかしら? ほら、怪我じゃない方の」

「こっちのことか?」

 

 マークが自身の耳に触れながら聞き返すと、リンディは頷くことで答えた。戦いが終わり、何をどうやったのかまではわからないが翼をどこかに仕舞ったマークであったが、その長く尖った耳まではどうしようもなかったようだ。

 

「一言で言ってしまえば、マムクートとしてあるべき姿……とでも言えばいいかな?」

「流石に簡潔過ぎるよ……」

「そうは言っても……他になんて言えばいいのかわからん」

 

 マムクートがもともと竜であったことは話しているし、マークがマムクートと人のハーフであることも話している。今回の件で人としての側面より竜としての側面が強くなり、そのためいくらか容姿が変更したのだと続けるが、いまいちピンとこなかったようでみんな難しい顔をしている。

 

「竜の力を解放したって思えばいいかしら?」

「まあ、そんな表現が妥当と思う。生命力や筋力がいくらか強化されたが、それでもまだ人と大差ない性能だ」

 

 結局マークにとっても感覚的な事しかわからないので、それで良しとした。事細かに説明しようにも、遺伝子がどうとか言われてもマークにはさっぱりだったのだ。

 

「それじゃあ本題に入ろう……まず、独房のザフィーラにつないでくれ」

「……本気で彼も話し合いに参加させる気か?」

「気になる言葉もあったしな。……ひょっとしたら、彼の協力も得られるかもしれないぞ?」

「……!」

 

 マークの言葉に思わず反発しそうになったクロノであったが、フェイトからも気になる言葉を聞いている。

 

「『主の命を救うため』だったか?」

「ああ、それについて確認してやれば、これ以上の戦闘も避けられるかもしれないしな」

 

 話し合いにより問題の解決ができたのなら、これ以上戦う理由が無くなる。場合によっては闇の書の主にも執行猶予が付く事態もあり得るだろう。

 

「歴代の守護騎士ともかなり違う点が見られるのだろ? なら『過去を越える何か』が起こっている可能性も考えられる」

「……そうね、戦わずに済むのならそれに越したことはないわ」

 

 いろいろ思うところもあるのだろうが、リンディは今回の件の責任者として決断を下す。今まで長い年月をかけ、ついに何の取っ掛かりも掴めなかった一件なのだ。この機会を逃すべきではないというのは、とても正しい判断と言えるだろう。

 もちろん、個人的な感情まで納得できるとは限らないが、それでもこの場で文句を言う者はいなかった。

 

 

「というわけだから話せ」

『……いきなりだな。とはいえ、敗者の責務というやつか……仕方あるまい、俺に答えられることには答えよう』

「……」

 

 画面越しにザフィーラがマークの唐突さに呆れながら答える様子に、どうしても違和感を覚える面々であったが、唯一そのことが気にならない様子のマークがさっさと主導権を握り、話を進めてしまう。

 

「まあ安心しろ。お前が答えられないことは答えなくていいさ。今回聞きたいのはシグナムの言っていた『主の命を救う』云々についてだ」

『……』

 

 確かに主や仲間の居場所、能力などについて聞かれることを想定していた以上、それらに比べたら答えやすい問いではあるのだが、それでもザフィーラはすぐに答えることができなかった。

 

「答えにくいか? それならまず俺の予想から聞かせてやろう」

 

 だがマークはこうなることを予想していたかのように、即座に言葉をつむぐ。それはすなわち、闇の書の主の現状にある程度予想がついているという事に他ならない。

 

「まず、お前らの主が物理的な命の危機にある可能性は無いだろう。そんな事ならお前らは蒐集なんて回りくどい真似をする余裕はなく、その危機に立ち向かっているだろうからな」

 

 ザフィーラは無言を貫くが、これを肯定と受け止めマークは話を続ける。

 

「次は病の可能性だが、これもまた無いだろう。病を治そうというのに、いくら魔力を集めたって意味はないからな」

 

 魔法で病を治せないという事は、プレシアの一件でマークも理解している。それに、これらの理由ならザフィーラが口を重くする理由にはならないのだ。

 

「だから、闇の書の主の命を蝕んでいるのは、もっとお前らにとって重要なもの、闇の書自身のせいだと予測できるわけだが……反論はあるか?」

『……いや、無い』

 

 ついにザフィーラが認めたことに、なのはとフェイトが息をのむ。

 

「じゃあ、あなたたちは……」

 

 自分たちのせいで主が傷付くのを、どんな気持ちで知ったのだろうか。そして、どんな気持ちで魔力の蒐集を行っていたのであろうか。

 

「……お前らの行動から推測するに、闇の書の完成をもって主の命が救われる、もしくは救う手段が得られると思っていいか?」

『相違ない』

「それならわたしが……!」

 

 魔力を提供すればいい、そう提案しようとしたフェイトをマークが止める。

 

「まあ、お前らの事情は分かった。だが、こちらで得た情報と矛盾がある。それ以外にも追加された情報もあるし、それについて意見を聞かせてもらおう」

『……わかった』

 

 そこで一度ザフィーラへの視線を切り、リンディへと向き直る。

 

「確か、歴代の主たちはほぼ必ず暴走しているという話だったと思ったが?」

「確かよ。管理局で保管していた映像資料はあなたも見たでしょう」

 

 そのリンディの言葉にマークは頷く。基本的に封印は不可能と言われる闇の書対策として、ユーノが調べた無限書庫以外にも調査の手は伸ばしていたのだ。その筆頭が11年前の事件であり、その結末はマークももう知っている。

 

「これらの映像を見る限り、彼の言う事の信憑性は低いと言わざるを得ないよね……」

「でも、守護者がそのことを把握できてないっておかしくないですか?」

 

 エイミィが資料映像を出し、なのはが意見を述べる。ザフィーラもその映像を見て口を閉ざしてはいるが、その目がこのような事は信じないと語っている。

 

「まあ、表面上はここまでだな……ここからは管理局の手も届かなかったところからの情報だ。ユーノ、頼む」

 

 その何気ない一言に、ザフィーラとリンディがピクリと眉を動かす。特になのは達には通じなかったようだが、ここからはどちらの手も入っていない、つまり改竄された可能性のない純粋な情報だと宣言したに等しい。

 

『信用できるのか?』

「俺だって魔道書は腐るほど見てきたし、それを保管していたとこも山ほど見てきた。その経験が大丈夫と言っているから信用して問題ないだろ」

「……結局は勘なのね」

 

 リンディが呆れるが、マークが死者蘇生を求め研究してきた時間は伊達ではないのだ。それこそ数多世界の情報を集めた無限書庫の、その総数の2割に匹敵する数の書物に目を通しているのだ。

 友好関係においてもマムクートの大賢者や、知識欲により人を越えた神将、同じく死者蘇生を求めた男とも研究を共にしたこともあり、物の真贋を見抜く能力は古今東西並ぶ者はいないと断言できるほどといえよう。

 もちろん、マークはそのような経歴を語ったことはないので、この場では理解されることはなかったが……

 

「僕も、遺跡の調査や探索を生業とするスクライア一族の出身です。こういった情報の取捨選択には自信があります。だから……」

『……とにかく、聞かせてもらおう』

 

 結果として、調べた本人の言葉により話を聞く体勢にはなった。それをザフィーラが信じることができるかはまた別の問題ではあるが、こうして話ができるだけでも十分なほどの前進であろう。

 

「まず、闇の書というのは正式な名前ではなく、本来の名称を『夜天の魔道書』と言うそうです」

 

 それからユーノによって語られたのは、今までの闇の書の印象が覆るような内容であった。

 

 曰く、本来の目的は各地の偉大な魔導師の術を研究するためのもの。

 

 曰く、歴代の持ち主による改編のため、破壊の力を振るうようになった。

 

 曰く、転生及び無限再生機能は、旅をする機能と破損データの自動修復機能の暴走である。

 

 曰く、持ち主に魔力を強制的に蒐集させる機能が追加されている。

 

 曰く、書の完成後、蒐集した術式の検証のためか、持ち主の魔力を強制的に使用する。

 

 曰く、元々は主を守るためのものだったのか、システムの強制介入時には主を書が呑み込み、転生する機能もある。

 

「と、まあこんなところですかね?」

「何ともまあ……原形をとどめてないな、これは」

 

 マークの端的な感想に、思わず面々が同意をする。ザフィーラは思い当たる節があるのか黙り込んでいるが、検証すべきことも多いので今は放って置くことにされた。

 

「主を蝕んでいるのは強制蒐集をさせる機能という事か?」

「うん、一定期間蒐集が無いと主の魔力資質を侵食されるようになっているみたいだ」

 

 これ以外主を蝕むものはないから、そう付け足すユーノもまた確信を持っているようであった。

 

『確かに……主は蒐集を拒絶し、我らがその行為を行う事を禁止していた』

「術式を集める魔道書として、ある意味究極の機能ではあるが……完全にあるべき姿が逆転しているな」

 

 主のために術式を集める魔道書が、術式を集めるための主に変わっているという本末転倒な事態だ。ただ効率だけを求めた悪魔の所業、呪いとも言うべき機能だろう。

 そして、予測をはるかに上回る改編を経ていた魔道書に、マークは一つの疑問を投げかける。

 

「……守護騎士プログラムは? こんな話をして正気を保てる以上、夜天の書の中でも割と独立したシステムだと思って構わないか?」

「まだそこまでは……でも、その推測は正しいと思います」

『確かに、これだけの話を聞いて、闇の書に対し疑惑を抱いているにもかかわらず、俺はこうしてここで考えを巡らせている……』

「闇の書が、ただ力を得るための魔道書であったのなら、守護騎士に造反の可能性など残さないはずよね」

「つまり、闇の書の原型が『夜天の魔道書』と言う研究書と言う可能性が極めて高いと考えてよさそうだな」

 

 それは持ち主に絶大なる力をもたらす『闇の書』が、魔道の研究のための研究書である『夜天の魔道書』のなれの果てであることを共通認識とするための確認であった。

 そしてこの場で出てしまった結論に、思わず気が重くなる。闇の書の主は、少なくとも当代の主はただの被害者だ。もちろん守護騎士たちが人を襲ったという事実は残るが、それにしたって情状酌量の余地がある。

 

「ただ問題は、どうやって主を救うか、か……」

 

 マークの言葉に答えられるものはなく、具体案が出ることなく解散することになった。結局ザフィーラにも理論的な反論は思いつかなかったのか、考える時間を与えることになったが、残る時間が少ないことは誰もが感じていた。

 

 

「……それで、なんで僕だけ残されたんだ?」

「アリシアをこれ以上一人にしたくなかったからな。リンディの役目は母親だし、お前ぐらいしか話せる相手が居なかったんだよ」

 

 それがただのいいわけであることは誰もが感じていたが、それを指摘するものはいなかった。時間が時間だったことを幸いとして、なのはとフェイトを遠ざけ話すことなど数えるほどしかないからだ。

 

「内通者のことか……」

「ああ……治療中に、エイミィからあの時起こったことをあらかた聞いたからな」

 

 特に管制システムがクラッキングされたことと、仮面の男の動きについてだ。エイミィ自身は何もできなかったと嘆いていたが、内通者のことは仕方ないとして、その後の対応については上々と言っていいものであったとマークは思っている。

 

「地球のシステムに干渉できる面子だけでも、それなりに絞れるだろ?」

「時間をかければ大抵の局員は……」

「その時間をかけられるような奴、そんなにいないはずだ」

 

 万年人手不足と言われる管理局で、地球に干渉できる下地をつくれる人物はそう多くないはず。そういうマークに不承不承の体でクロノは頷いた。

 

「それと仮面についてだが、リンカーコアを奪われた際に接近したが、あれはまやかしの類だな……実際の体格はもっと小さく、細い」

「そんなことまでわかるのか!?」

 

 幻術で容姿を変えていることまでは予測していたクロノだったが、マークがそれを見抜き、具体的な体格まで判明するというのは予想外にもほどがある。

 

「……昔、変装が得意な友人に散々からかわれたからな」

 

 顔はもちろん、体格や能力、性格にいたるまでそっくりに変装する……否、あれはもはや変身であった。そんな奴が日々手を変え品を変えからかいにやってくるため、それなりの時間をかけたが、マークは変身の類の見極め方を理解したのだ。

 懐かしい過去を思い出すと同時にいたずらの内容も思い出してしまい、ついその表情に黒いものが混ざる。

 

「あ、ああ……とりあえず、その、内通者の特徴を聞かせてもらってもいいですか?」

「ん、悪いな……」

 

 思わず敬語になったクロノに、思い出の中から帰ってきたマークが知り得た情報を告げる。

 

「苦労をかける……本当なら、今回捕縛するつもりだったんだが……」

「いや……あなた以外なら、この程度の損害ですまなかっただろう」

 

 独断で突っ走り、結果失敗したマークが謝るも、クロノはマークが無難に動いた時のことを想像し、謝罪の必要は無いと言い切る。

 

「どちらにしろ過ぎたことだ。今はこれからのことを考えるべきだろう」

「今その正論は耳に痛いな……考えるべきは二つある」

 

 クロノの言葉に即座に思考を切り替えたマークは自身の考えを述べる。

 

「一つ目はザフィーラの説得だ。今ある情報だけじゃさすがに信用が足りないだろうから、もうひと押しになる何かが欲しい」

「こちらが主を助ける理由が妥当か……なのは達は純粋に助けることを望むかもしれないが、組織が動くにはもっと俗な理由が欲しいところだな」

 

 ただ助けたいからと言われても、ザフィーラ達守護者にとっては不信が残るだろう。管理局にとっても利益になる、そんな理由があった方がむしろ信用できるものなのだ。

 

「まあ、理由付けはクロノに任せる。俺はもう一つの方、主を救う方法について案を出そう」

「……ひょっとして当てがあるのか?」

「ああ」

 

 そう言ってマークが取り出したのはある宝玉。もしこの場にフェイトがいたならば、見覚えがあると言ったであろうその宝玉は『炎の紋章』と呼ばれるものだ。

 

「……それは?」

「ん~……使用者の意思を具現化する宝玉、とでも言えばいいかな? 『ファイアーエムブレム』と呼ばれる宝玉で、本来は『封印の剣』として使用されるんだが……」

 

 そう言いながら、今度は装飾の施された流麗な剣を取り出し、柄の部分にその宝玉をはめ込む。

 

「一応『封印の剣』なんて言われているが、それはあくまで初代の担い手が『封印』を強く願ったからで、二代目は逆に『解放』の力を願い使用している。だから、この力を正しく使えば夜天の魔道書から闇の部分を切り離すことも可能……なはずだ」

「……はず?」

 

 その話の最後の言葉を濁したマークは、どうしようもない欠点を告げるかのように確信を告げる。

 

「俺では過去の担い手が発現させた『封印』と『解放』を使うまでしかできない。適性と言うべきか……新たな能力を発現させられるほど、この剣に認められていないんだ」

「それは……それじゃあ意味がないじゃないか」

「ああ、だからこれをレイジングハートに仕込んでもらいたい」

「なっ!」

 

 いくら手段があっても、それが使えなければまったくの無駄でしかない。だがマークだってそんなことはわかっている。だから、担い手になり得るものに託すのは当然のことだろう。

 

「いいのか?」

「最善の結果を得ようとしたら、それ以外手が思い浮かばないからな……ただし、いつか必ず返却してもらう」

 

 もともとマークは人の身に余る強大な力を封印する役目も担っていたのだ。その役目をまげようというのだから、相応の強い願いがあるのだろう。いや、それはもう示されたことであったか。

 

「ナノハには期待しているんだ。だからその意志がまっすぐ育つように手を貸すのが先人として……いや、自分勝手な老人の勝手な思いだ」

「……あなたがそういうのなら、使わせてもらおう」

 

 自身の不始末のけりを他人に任せるせめてもの償いか、あるいはもはや役目を終えた老兵の戦場に再び出るための言い訳か……何はともあれ、マークの持つ神器の中でも頭一つとびぬけた一品がなのはの手に渡ることになったのだが、当の本人は知る由もなかった。

 

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