魔法少女リリカルなのは 炎の紋章を持つもの 作:コウチャカ・デン
「ってことは、あれか? 完成は難しいってことか?」
「誠に申し訳ない事ですが……はい、その通りです」
マークがふと思い出した『ソール・カティ』の一件であったが、連絡が無いことで想像できた通り、未だ完成は遠いどころか、現状不可能と言う状況であった。
「……まあ、精霊が改造を拒否したのは、そこに思い至らなかった俺が悪かったんだと思う。だが、なぜ判明した時点で連絡してくれなかった?」
「最初はレプリカを用意しての実験をやってたんで、それにより発覚が遅れてしまって……それに、こちらも技術者としての意地がありましたから」
第四技術部のマークに対する窓口を押し付けられたマリエルは、申し訳なさそうに隈ができた顔をゆがめる。
マークとしても、試行錯誤していたという事なら、連絡が遅れたことも仕方がないかと思う一方で、精霊が拒否した事について、考えを巡らせていた。
(担い手に都合の良い形状になることを、剣が拒むとはなぁ……)
ちなみに、実験作だと渡されたレプリカは、なるほど形状は全く同じものであった。
「一般的なベルカ式デバイスの素材を使った一品ですので、信頼性と汎用性はピカイチですよ?」
「確かに悪くは無いな」
受け取ったマークの見立てでは、一級品には届かずとも、正規軍に支給できる一品である。ただ、武器としての性能では、『ソール・カティ』はもちろん、すずかに渡した『マーニ・カティ』にも届かなかった。
「悪くはないが……」
「はい、わかっています。それはあくまで『ソール・カティ』をデバイス化した際の、バランスなどを見るためのものですから」
もちろん、かといって手を抜いたわけではありませんが、などと付け足しながらも、本命となるせめてもの成果を取り出す。
「これは?」
「えっと、簡単に言えば、後付け型のカートリッジユニットです」
それは、『ソール・カティ』の鍔から、刃の裏側である峰にかかる、マークの拳より一回り大きいユニットであった。
「剣すべてをデバイス化できないなら……と、作ってみたんですけど、どうしても通常のデバイスより安全面に劣ってしまって……」
「危険なのか?」
「使用者ではなく、対象者への安全が確保できないんですよ。もともと、ベルカ式はミッド式に比べて、ダメージコントロールが難しいですから」
マークがその言葉を聞き、シグナムのレヴァンティンを思い出し、納得する。そして、その程度のデメリットならばと、確認を進める。
「もしそれを使用した際、管理局の法には触れるか?」
「う~ん……所持、使用については法には触れないけど、普通のデバイスと同じようには使えないですね」
確かに法には触れないが、例え局員として使用しても、一定以上の傷を負わせてしまえば始末書は免れないだろう。ましてや一般人が使うとなれば、一歩間違えれば犯罪者である。
だが思い出してほしい。これをマークが渡そうと思っているすずかは、人への直接攻撃を禁忌としているため、実質問題にならないのだ。
「念のため、使い勝手を確認したいな……許可は必要か?」
「あ、テストは元々必要だったので、同意書にサインさえもらえれば手続きはこちらで済ませられます」
「じゃあ、頼む。……同系統の剣なら、互換性があるよな?」
「はい、こちらで確認できているものなら『マーニ・カティ』でも使用できます」
それを聞いて、今マークの手元にある『ヴァーク・カティ』でも大丈夫だろうとあたりをつける。問題は試験場所であるが、どこかの施設内でただ的を相手するのでは信頼性が低く感じてしまう。
「……グレアムあたりに、どこかに害獣でもいないか聞いてみよう」
「(……まあ、より詳細なデータが取れるのであれば、文句をつけるのも無粋というものですよね)」
試験と言うより、もはや実戦であるという突っ込みをマリエルは胸の内にしまい込む。それに気付いているのかいないのか、マークはユニットを片手に同意書の書類にサインをする。
「……はい、これで問題ありません。それじゃあ、試験日が決まり次第連絡します」
「ああ、任せた。それと、最後に……」
その言葉に、思わずマリエルの頬が引きつる。前回はこれと似たような状況で、『ソール・カティ』を任されたのだ。今回は一体どんな難題をよこされるのかと、警戒してしまったのは仕方のないことだろう。
だが、今回は特に難題を残されるようなこともなかった。
「差し入れだ。頑張っているのはわかったから、倒れないようにしっかり休んでおけよ」
無理をしているのが、一目瞭然だったのだろう。気遣う声と共に渡されたのは、翠屋のクッキーと、インスタントの紅茶であった。
「あ、ありがとうございます……」
警戒していた分、拍子抜けしたマリエルが感謝の言葉を伝える間に、マークは席を立ってしまっていた。
マークが本局へ行ってそんな交渉をしていたころ、アースラの一室ではとある莫大な術式の試算が大詰めを迎えていた。
「えっと……ここがこうなって、あそこがこうだから……」
「目的の地点が……ああ、これが邪魔になってるのねぇ」
アミタとキリエ、それぞれが確認している術式は、帰還のための術式、すなわち時間移動魔法である。
だが、この部屋で術式の改竄を行っていたのは、二人だけではなかった。
「はい、最後の目的地の座標を見つけたから、確認の方をお願いできるかな?」
「りょーかい!」
「助かるわぁ!」
そこにいたのは、夜天の書の元管制人格代理であるリオンであった。
なぜ彼がこの場にいるのかと言うと、彼の持つ術式により、目的地となる三点へのルートを確立しているのであった。
「ホント、私たちだけなら、もっと時間がかかっていたでしょうね」
「それでも一週間も変わらなかったと思うよ? まあ、交友を深めていた彼女たちにとって、この時間短縮がよかったのかは知らないけどね」
座標を受け取ったキリエの感謝の言葉に、リオンは苦笑しながら答える。
そう、例えばアインハルトあたりから見れば、マークと一手交える前の帰還は、否ではないが、是ともしにくいだろう。
「私たちにも目的はあるし、そこまで面倒見きれないわよ」
「まあ、僕たちも、君たちが帰ってから準備しないといけない事が多いしね」
呆れたように言うキリエに、リオンが一部肯定の言葉をかける。その言葉を聞いて思い出すのは、リオンが初めて協力を申し出たときのことだ。
『僕も未来視が使えるし、邪魔にはならないと思うよ?』
その言葉は、未来を変えることを是としない二人にとって看過できないものを感じたが、彼の言葉には続きがあった。
『まあ、未来が見えたからって、何ができるってわけでもないけどね』
それは、立ち向かい折れたものにしかわからない諦観。未来を変えようと足掻きに足掻いて、それでも届かなかったという絶望であった。
そのような思いを聞いてしまえば、もはや対処に動こうなどと欠片も思えなかった。
(まあ、元々そう言う技能を持っていたというのなら、過剰な干渉をするべきではないのでしょうね)
(問題となるのは、未来から持ち込んだ情報、だからね)
一度は危機感を覚えたものの、干渉するほどでもないと考え直した二人は、リオンの協力を受け入れたのであった。
そして、協力という事で、もう一人の協力者のことに思い至る。
「そう言えば、ムルヴァさんは大丈夫なんでしょうか? あの場ではエトルリアに来て下さるという事でしたが……」
「流石に、約束を反故にするようなことは無いと思うよ?」
ふと不安に襲われたアミタを、リオンは自身の知識に基づき応える。
「竜族は、人と違って基本的に長生きだからね。嘘をつくなんて信用を失うようなことを、そう考え無しにやるような存在じゃないよ」
「いえ、あの、疑っているとかいう事じゃなくてですね……」
思わず否定してしまったアミタであったが、不安に思ってしまったのは事実だ。そのことを恥ずかしく思い、身を小さくするアミタに、リオンはわかっているとばかりに頷く。
「降って湧いた幸運を、つい疑ってしまう気持ちはよくわかるよ。まあ、疑ったところで、何ができるわけでもないんだけどね」
「それは……そうですね」
これ以上悩んでもまったく意味がないと思い知らされた以上、ただ無心に作業に身を入れる。
ただただ無言で、延々と続いた作業は、そうして最後の時を迎えた。
「お、終わった~……」
「流石に三点同時転移はきつかったわねぇ~」
「お疲れさま」
ようやく総ての工程を終えた姉妹が大きく息をつき、リオンがそれにねぎらいの言葉をかける。
「これでいつでも帰れるようになったのかな?」
「ええ、でもいつ帰るかは今決めておいた方が無難かしらね」
「え、なんで?」
リオンの問いかけに対し、キリエは帰還時間を決めるべきだという主張をするが、アミタにはどうしてそうすべきか思い至らなかったようである。
「もう少し、あとちょっと、って言いながら帰還が遅れることを防ぐためだね」
「ああ! なるほど!」
まるで教師のように、アミタの疑問に答えたリオンであったが、キリエの本心がそれだけとは思えなかった。
(危険な時間移動までする優しい子だしね……次に会った時の約束を残すため、なんてロマンチックな思いがあったって驚かないよ)
言葉にこそしなかったが、どうしても顔がにやついてしまったリオンであったが、キリエが顔をそらすことで、さらにその笑みを深くする。
「そうだね、明日じゃ心の準備ができないだろうし、明後日というのが妥当かな?」
「そ、そうね! じゃあ、明後日の正午ちょうど……いえ、この夢を終わらせるなら、やっぱり深夜の方がいいかしら」
「子供が多いし、遅い時間にするなら黄昏時ぐらいがいいんじゃないかな?」
では場所をどうするか、やっぱりもう少し時間があった方が等と、なかなか結論を出さないあたり、この時間が終わることを惜しんでいたのだろう。
結局、結論が出たのは、そろそろ日が変わる時間になったころであった。
アースラの一室で白熱した話し合いが行われていたころ、当の本人たちは帰還の時が近づいていることも忘れ、月村邸の広い庭で静かに瞑想を行っていた。
「……パレガとは、清き願い。大きな想いを成就させる祈り」
冷えた空気に、穏やかな日差しが照らす中、静かな重い声が響く。
「空と大地と気の調和を知り、己を見つめ、世界を見つめ、森羅万象を想う……」
その声の主はムルヴァであり、その言葉を聞き、実践するのは、未だ幼さを残す少年少女たちである。
それぞれが思い思いの姿勢で祈りをささげる中に聞こえるのは、ムルヴァの声とわずかな風のざわめきだけであった。
「そして想いとは、場所や時間は関係なく、継続し成すものだ」
時間にして、わずか数分。気の短い者が気もそぞろになる前に、最後の一言を添える。それを合図に、皆が大きく息を吐き、瞑想を終わらせる。
「思ってたより短いのね」
「これぐらいなら続けられそうだね」
アリサが少し拍子抜けだと言わんばかりに、すずかが少し安心したかのように言う。周囲の感想も似たり寄ったりであったが、そんな中クロノが自分なりの答えを述べる。
「最終的に世界がどうあって欲しいか考え、自分がそのために何をすべきか見つめ直す……それがパレガの目的か?」
「……貴方がそう思ったのであるなら、そうなのだろう」
それなりに自信があったクロノの答えに対するムルヴァの応えは、あまりにそっけないものであった。
「私が伝えられることは、すでに伝えた」
「つまり、どんな解釈をするかは私たち次第、と?」
エイミィの確認に、ムルヴァは厳かに頷く。とはいえ、彼らとて最初からこのような事を話していたわけではない。パレガについて語り終えたムルヴァが、これでよかったのかとすずかに尋ねる。
「しかし、アレが行っている鍛錬など、私もほとんど知らないのでな……」
「いえ、マークさんが私たちに話してくれる鍛練は、基本的に自分じゃなくて他の人がやっていたものばかりですから、少しでもありがたいですよ」
そう、今回ムルヴァを中心にみんなが集まったのは、マークについて同郷であるムルヴァに何か聞けないかと期待したためだ。
そんな中、真っ先に出た質問が、アインハルトの『マークが普段どんな鍛錬を積んでいたか』であった。
「これは聞いた話にすぎんが、私が故郷をたった後の環境は、この地とは比べ物にならないほど過酷な場所であったそうだ。雲を眼下に見下ろす標高、凍てついた土地……ゆえに生活自体が鍛錬であったとも言えるかもしれんな」
「なぜそのような環境に?」
「……アレは、神剣と神竜王の娘を任された。そして『氷竜神殿』にてその守護を行っていた」
「その神殿が過酷な環境下にあったのですね……」
それならばと、アインハルトたちはマークの身体能力の高さに納得する。そして、すずか達は、マークが一族の中でも重要な地位にあったことを知った。
「守護ですか?」
「ああ、神剣を託すにふさわしい者を待つ事と、強大な力を持つ娘の監視を任されていた」
「それじゃあ、ひょっとしてこの世界にとどまっているのはまずいんじゃ……!」
その情報に、マークが元いた世界で重要な役割を担っていたという事実に、顔を青くするフェイトであったが、ムルヴァは不思議そうに首をかしげるだけであった。
「なぜまずいんだ?」
「だ、だってマークがこの世界にいるってことは、その役割を果たせないってことで……」
「なるほど……アレはその話をしていないのか……」
自分が転移に巻き込んでしまったからと、自責の念に駆られるフェイトであったが、何やら納得するムルヴァに、再度視線を向ける。
「与えられた役目はすでに果たされている。神剣はアンリという若者の手に渡り、娘は大地にその力を封じたらしい」
「じゃあ、マークは……」
「私が生きていたころは、数多ある異界に渡った同族の無事を確認して回っていた」
懐かしそうに眼を細めるムルヴァの言葉に、目の前の存在が魂だけの存在であったことを思い出す。それだけでマークの役目を邪魔したわけではない事を、素直に喜べなくなってしまった。
そして、ムルヴァにはそのような機微を感じ取ることはできなかった。
「それ以外にも、規模の大きな戦いには顔を突っ込んでいたらしいな。女神の癇癪にも付き合ったと言っていたぞ?」
「女神、ですか……」
「そう言えば、フライパンに加護貰って怒られたとか言っとった気が……」
続くムルヴァの言葉に、トーマはフェイトを気にしつつも無難な返答を返したが、はやてはヴィータを引っ叩いたふざけた武器のことを思いだしていた。
「女神の加護を得たフライパン……おいしい料理ができるようになるんでしょうか?」
「それはちょっと食べてみたいかも」
リリィの少しずれたつぶやきに、ヴィヴィオが想像を膨らませ唾を呑む。確かに、事情を知らなければその感想こそ相応しいものなのだろう。
だが、そのフライパンの真実を知る者からしたら、あまり考えたくない事であった。
「ま、まあフライパンの話は置いておいて……じゃあ、マークさんって結構あっちこっちの世界を渡っていたんですか?」
「そうだな、私が知るのは、大きな戦いがあった四つ……いや五つだけだが、それ以外の世界にも訪れたことがあっても不思議とは思わん」
ヴィヴィオがこれ以上フライパンに興味を持たないよう話を逸らすなのはに、ある意味予想通りの答えが返る。
「マークに味方された者たちからすれば、マークは間違いなく英雄だったろうな」
「突如戦場に現れた救世主……か」
やはり男の子だという事だろう。わかりやすい英雄譚に、僅かな憧憬を感じたクロノとユーノであったが、そんな自分たちに苦笑するしかなかった。
その英雄譚を想像した一部が、夢見る乙女のような眼差しをする。
戦渦に巻き込まれた民を、迫りくる白刃から庇う英雄の姿を。
決戦の先陣を切り、駆ける勇者の背中を。
剣を掲げ、兵を鼓舞する覇者の威風を。
だが、そんな英雄譚の世界を一言で破壊する人がいた。
「でも、そんなことして回ったんなら、マーク君モテたんじゃない?」
さらに英雄色を好むとも言うし、等と付け足したのはエイミィだ。
ピシリという、何かがひび割れる音が聞こえたような気がした。それで夢から引き戻された少女たちであったが、夢から覚めたら事実が知りたくなるのは当然だろう。
その視線は、当然のようにムルヴァに集まる。
「さすがに恋愛事情までは知らんよ」
「それもそうだよねぇ」
同世代の友人とはいえ、世界を隔てた二人である。そのような情報まで共有していたとはエイミィも思っていない。
とはいえ、この程度で終わるようなら、そもそも最初からこのような話題を振ったりはしなかった。
「でも、思い人がいたとか、親密になった人がいたとかいうことぐらい、聞いたことあるんじゃないかなー、って思ったんだけど?」
「……心当たりが、無いわけでもない」
「本当ですか!?」
エイミィのさらなる追求に、あくまで渋々と言った体でムルヴァが折れる。そして、それに最も強く反応したのがすずかであった。
思わず声を上げてしまい、ついて真っ赤になって縮こまるすずかを横目に、ムルヴァはその心当たりを淡々と、それでいて楽しそうに語る。
「私が故郷を離れてから、初めて再会した時の事だ。あの時アレは、確かに竜の少女を探していた」
「竜の……監視していた娘じゃなくて、ですか?」
「うむ、何でも、戦火に晒されて逸れてしまったらしくてな……争いから逃れるために、異界へ渡ったのは確かなのだが、どの世界に渡ったのかわからなかったらしい」
当時、ムルヴァ達移住組は魔王との戦いに参加していた為、細かい話はうやむやになってしまったそうだが、それでも娘の名前ぐらいは聞いていたらしい。
「氷竜の娘で、名をニニアンと言ったらしい」
「ニニアンさん……」
「その後再会できたのかすら聞いていないが……私が知っているのは、ここまでだな」
はっきり言って、こんなわずかな情報では何とも言えないだろう。言えないのだが、それでも、マークにはかつて、なんとしてでも見つけ出したいと思える女性がいたという事は、理解させられた。
そのことが、フェイトにはなんとなく嫌だった。だから、これは八つ当たりなのだろう。
「……ムルヴァさんは、マークのことを名前で呼ばないんですね」
それは、フェイト自身が思っていたよりもとげが感じられた一言であった。そのことに軽く自己嫌悪に陥りそうになるが、それでも、ムルヴァから顔をそむけることはしなかった。
「確かに、私はアレのことをマークとは呼ばないな」
「どうしてですか? 幼馴染なんじゃ……」
思っていたよりも簡単に肯定するムルヴァに、軽い憤りを感じるフェイトであったが、その感情も長くは続かなかった。
「……私がアレを呼ぶときは―――と呼ぶ」
「え、今なんて?」
「だから私は、―――をアレと呼ぶのだ……もっとも、今の私が呼んでよい名であるのか知らんがな」
わかっただろうと言わんばかりのムルヴァに対し、フェイトは疑問符しか浮かばない。いや、フェイトだけではなく、この場にいる全員がムルヴァの言葉の意味を理解できなかった。
「……別に気にするべきことではない。―――は母親が授けた名で、マークは父親が授けた名だ」
「あ~……英名と和名がある、みたいなものと思えばいいのかしら?」
追加された解説で、ようやく、何となくではあるがムルヴァの言いたいことが理解できた。ような気がした。
ただ、これ以上のことを聞く前にタイムリミットが来てしまった。すなわち、マークが本局から帰ってきたのだ。
「みんな集まって、いったい何を話してたんだ?」
「えっと、マークのことを少し聞いてたの」
「え……何を話したんだ?」
「……さて、何を話したかな?」
まさかこの間の宝剣の話か? それとも……等と、ムルヴァに問い詰めるマークであったが、ムルヴァは口を割らなかった。