別名の織水でドリームノベル様で以前書かせて頂いてましたが、夢小説ではなかったのでこちらに移動しました。
この小説が初めての二次創作小説だったので、稚拙な文章ではありますがお付きあい頂けたら幸いです。よろしくお願い致します。
空が小さな白銀と黒に包まれた頃、しっかりと部屋に鍵をかけて、私は何度も読み返した本を飽きずにまた読んでいた。
もう完結してしまった本だったけど、ずっと熱が冷めることなく、この物語は今も自分を夢中にさせていた。
「……そう、俺の先生で相棒、家庭教師ヒットマンREBORN!」
最終話の最後のセリフを口に出し、やっとまた読み終えたと達成感が溢れ、満足げな溜め息を吐いた。
「あああー! もうほんと何度読んでもおもしろいよリボーン!」
ベッドに飛び込み枕に顔を埋め、未だ冷めない興奮をベッドに向けてボフボフと叩く。
いかんいかん。大声を出したら吉野さんが来てしまう。急速に本の世界から現実へと意識が戻ってきた。
時計を見ると夜の十時十八分。もう“あの人”が帰ってくる時間だ。
全身を映す鏡へ向かい、可笑しな所がないがないか確認してからリボーン全巻を隠し本棚へ隠し、部屋を出て玄関へ向かう。
ついさっきまでは素の自分でいられたけど、あの人が帰ってきたら、私は猫を被らなくちゃいけない。
十六歳で大手自動車会社社長と結婚した、才色兼備で羨望と嫉妬の目で見られる、岸部真夜という女に。
“岸部真夜”、旧姓望月真夜。
大手不動産会社、望月コーポレーションの会長の孫であり社長の娘。
親バカな両親に甘やかされて育った、生まれながらのセレブってやつである私は、高飛車で傲慢なバカお嬢様になってもおかしくなかった筈なのに、庶民じみた性格に育った。
きっと、幼い頃からパーティーとかでまだ何の権利も持たないガキに群がってくる必死で可哀想な大人達を見ていたせいなんだろう。
三歳から醜い大人達に群がられ猫を被ることを覚えた私は、今では両親すらも猫を被った状態の私を自分の娘だと信じきっている。
五歳になった頃には、この両親に甘えたままだと自分もいつかあの醜い大人達のようになってしまうと確信し、裏で文字通り血反吐をはくほど勉学、武道、女性の嗜み、女性らしさを見せる仕種、上に立つ者の振る舞いを極めるために努力した。
その努力していた時期に、ちょっとした息抜きで屋敷を抜け出し、一般庶民達が住んでいる町へ行ったことがある。
リボーンは、その町にある小さな本屋で出会った。
分厚い本や雑誌しか知らなかった私は、小さくて絵が書いてある本を手に取り、ページをめくる。
最初はもう驚いた。全てのページに絵が書いてある本なんて家には一冊もなく、活字だけの本しか読んだことなかったから、本屋のおじさんにこれは何なのかと聞いたら漫画だと答えられ、私は漫画という種類の本を知り、オタクまでとはいかないが漫画に目覚めた。
表は才色兼備で完璧な社長夫人だけど、裏はマンガ好きの庶民じみたガキだなんて、誰にも言えないな。