もう一つの空へ、愛を。   作:Noche

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嵐の前の静けさ

 

翌日、やっぱりツナと獄寺は行方不明になった。監視しておいて正解だった。

 

今日と明日は学校休みだから騒がれることはないけど、明日になればツナの母親の奈々、それにビアンキは心配するはず。

 

それに明日も山本やハル、イーピンにランボ、それに京子も行方不明になるため、明後日には集団失踪として騒がれるだろう。

 

今まで以上に雲雀は多忙になるだろう。ちょっと仕事手伝ってあげようかな。

 

そう雲雀に同情しながら登校し応接室に到着する。ノックすると許可が出たので中に入ると、鋭く玉鎖が飛んでくる。それを宙返りで避けると、次の攻撃は飛んでこなかった。

 

「こんにちは、雲雀さん」

 

「何の用?」

 

あ、ムスッとしてる。不機嫌な黒猫みたいでかーわいい。内心にまにまと笑っているが、それを顔に出せば意地になって私のお節介を受け入れてくれなくなるので、微笑んでおく。自分が言うのも何だけど、ポーカーフェイスは得意なんでね。

 

「雲雀さんがこれから忙しくなると思いまして、お手伝いに来ました」

 

「ふうん」

 

雲雀は何の関心もなさそうに相槌を打ちながら、書類に目を向け仕事を素早く熟していく。

 

 

「今日、沢田綱吉と獄寺隼人の二人が行方不明になりました。明日になれば、山本武と三浦ハル、それに笹川京子と他二名が行方不明になります」

 

さっきまで人の話に付き合っている暇はないというように忙しなく動いていた手が、止まった。

 

「明後日、明明後日には確実に集団失踪として騒がれるでしょう。そうなれば、あなたのお仕事が増しますね。ですから、少々お仕事のお手伝いをと思いまして、こちらに来ましたの」

 

「余計なお世話だ。並盛の風紀を守るのが僕の役目なんだから、手助けなんていらないよ」

 

「あら、つれないですわね」

 

「君の反応は一々僕を苛つかせるね。咬み殺したくなるよ」

 

「ふふふ、では落ち着くために紅茶はいかがですか?」

 

家を出るときに一緒に持ってきた魔法瓶を取り出し、立てた人差し指でくるりと小さく宙に円を書けば、二つの温まっている薔薇で彩られたティーカップがテーブルに現れた。

 

そこに丁度良い温度になっている紅茶を注ぐと、リンゴのような香りが鼻腔を掠める。

 

ジャーマンカモミールのハーブティーを雲雀に渡せば、毒が入っているかもしれないと疑われ拒否されるかと思ったけど、意外にも素直に飲む。

 

それが少し懐いた黒猫みたいで可愛く、嬉しい。それなら、これも食べるだろうか。

 

「雲雀さん」

 

「なに」

 

「あなたのことだから、朝からずっと仕事なさっているのでしょう? そう思ってお弁当持ってきましたの。よろしければ食べてください。いらなかったら持って帰りますから」

 

漫画を読んでいた時から確信を持っていた。この人絶対不摂生な生活送ってるって。それで草壁さんが胃を痛めているに違いないって。

 

鞄から出した弁当箱と箸を渡す。作ったばかりのを入れて夜の炎でワープしてきたから、中身はまだ温かい。

 

雲雀は和食とハンバーグが好きだから、作るのにそう迷わなかった。

 

中身はかぼちゃの甘煮とハンバーグ、だし巻き玉子に鮭の塩焼き、それに菜の花のマヨ和えとプチトマト、ポテトサラダとレタスで彩りを出し、ご飯には野菜のふりかけがかかっている。

 

蓋を開けてそれをしばらく見ていた雲雀は、ソファーに移り箸を取って小さな声で「いただくよ」と呟いてから、綺麗な箸使いで静かに食べ始めた。

 

よっし、餌付け成功。もし食べるなら喉が渇くだろう、ともう一つ用意していた熱い緑茶が入った魔法瓶を取り出し、湯呑みに注いで雲雀へ渡す。無言で受け取ると、一旦弁当を置いて緑茶を飲んだ。

 

ずずっと啜る音を聞きながら、ふと私達って熟年夫婦みたいだなと思った。

 

飲み終わった空の湯呑みを軽く揺すって差し出されるから、おかわりなんだなと察し再びお茶を入れて差し出す。

 

「はいあなた、どうぞ」

 

「……なに、それ」

 

「いえ、この状況が端から見れば熟年夫婦みたいな光景だったもので。空気に乗ってやってみました」

 

「……ふうん、まぁどうでもいいけど」

 

切れ長な瞳が緩く細められ、口角が少し上がっただけなのに、その微笑みは女性なら誰もが見惚れてしまうほど綺麗なものだった。あ、私は見惚れていませんけどね。

 

さすが人気ナンバーワンのイケメン様。イケメンスマイルどうもありがとうございます。

 

それから数分後、綺麗に空になった弁当箱が嬉しくて気分が良くなった私は、雲雀に膝枕をして無理矢理寝かせるという大胆な行動をし、自分もつい一緒に寝てしまったというのは別の話。

 




主人公からしてみれば雲雀は年齢が離れすぎているので、恋愛感情は一切なく、懐かない黒猫と接しているような感じです。雲雀を猫だと思って読むと、可愛すぎます。
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