「はぁ……疲れた」
ツナ達が未来に行って一週間が経ち、この辺りは騒然としだした。今日はざわついている学校が終わった後にツナの家を訪ね、奈々とビアンキ、それからフゥ太を慰めて自宅に帰ってきていた。
恐らく、近いうちに私も未来へ行く筈だ。
ツナやリボーンと接触して、ファミリーになったんだ。未来に喚ばれないわけがない。
未来は今、どのあたりまで進んでいるんだろう。クロームはもう行ったのかな。
とりあえず、キャリーケースに服や下着と生理用品、化粧品や長持ちする食料品等を詰めキャリーケースを夜の炎で包み、その包んだ炎の一部を私の人差し指に絡ませおいたから、これでいつ未来に行ってもワープで持ってくることができる。
「ふう……やっぱりお風呂は最高だ」
泡風呂のもこもこと泡を丸めて遊びながら色々考えていると熱くなってきたから、そろそろ出よう。
排水ボタンを押して排水されている間に浴槽を掃除し、最後に熱いお湯を周りにかけてから窓を開ける。これで少しは体の熱が引いたから浴室から出て、ラップバスローブを着てキッチンでアイリッシュ・コーヒーを作り、ソファーに座って一息つく。
飲んでいく度に体がじんわりと温かくなっていき、ほんのりと甘さが口の中に広がった。美味しさにうっとりして自然と口から吐息が零れる。
飲み終えて空になったグラスをシンクに置き、服を着ようと部屋へ行った時に、体に異変が起こった。
体が石になってしまったかのように全く動かせない。
これってもしかして、リボーンが未来に行くときと同じ……? え、やばくない?
私って今、裸も同然なんだけど。
そんなことをぐるぐる考えていると、ボフンッと煙が立ち込め何かに引っ張られるような感覚がした途端、私は体が吸い込まれるように、落ちていく。
ボフンッともう一度小さな爆発音が鳴り、私は恐る恐る目を開いた。辺りを確認すると、どうやらここは森の中らしい。
「っくしゅ」
めちゃくちゃ寒い!! 湯冷めする! 風邪引いちゃうよ!
冷静に状況把握してる場合じゃなかった。キャリーケースをワープさせようとした時、こっちに何かが敏速に向かってくる気配がする。
これは、雨の炎の気配。並々ならぬ殺気も感じる。向かってくる雨の炎と鋭い殺気で予想すると、もしかしたらあの人なんじゃないか。なんて、決めつけるのは早いか。
「ゔお゙ぉぉぉぉい!! このヴァリアーの城内にのこのこと侵入してきた馬鹿野郎はどこのどいつだぁ!!」
……やっぱり、正解でした。
離れてても耳鳴りがするほどの大声を上げられる人はなかなかいない。
現れたのは、雨の炎を使う大声を上げる人物、スペルビ・スクアーロ。スクアーロは大木の太い枝を軽やかに飛び、その勢いを殺さずにそのまま剣を降り下ろした。
素手で剣を掴むわけにはいかず、拳を握ってスクアーロの剣を装着している腕を右に往なして攻撃を防ぐ。
「貴様……! 女、だとぉ……!?」
「少し話を聞いてください」
野外の寒さに震えながら、顔を上げてスクアーロを見上げる。
「お前……! 真夜じゃねえかぁ!」
スクアーロの声が辺りに響く。すいません、もうちょっと声のボリューム下げてください。
でもよかった。未来の私がヴァリアーと接触してて。私が十年間ヴァリアーと会わないわけないもんね。
十年後の私がここにいたのは、今の私がもうすぐ来ることを伝えようとしていたからなのかもしれない。
「スクアーロさん、私お風呂上がった時にいきなり未来に来てしまって……。とりあえず、服貸してもらっていいですか? 風邪引きそうなので」
「お、おぉ……これ着てろ」
話を聞いてやっと私の格好に気付いたのか、自分の隊服を脱いで着せてくれる。やっぱり優しいなイタリアの男性は。