「……お、女が餓鬼になっている……」
「あらー! 真夜とーってもキュート!」
「マーモンみたいになってるし」
「ゔお゙ぉい、真夜はアルコバレーノだったのかぁ!?」
翌日、昨日集まった部屋に行くと、ザンザスとフラン以外に騒がれた。
スクアーロには違うと一言だけ告げると、まだ話を終わらせたくないスクアーロは睨んでくるけど、視線を逸らして会話を打ち切る。
空気を変えるようにルッスーリアが「朝食にしましょ!」と部下に指示を出すと、朝食が運ばれてきた。
イタリア人の朝は、一杯のエスプレッソと甘いパンから始まる。そのエスプレッソにも砂糖をたっぷり入れ、カフェインと甘いもので朝から血糖値を上げていくのがイタリア流なのだ。
ザンザス以外にはクロワッサンの中に、チョコレート、カスタード、ジャム、チョコレートとヘーゼルナッツクリームを合わせたヌテッラなどを詰めたコルネットが。ザンザスにはクロワッサンの中に何も入れず上から砂糖がけしたコルネット・センプリチェが用意される。
私とフランはカプチーノ、スクアーロとザンザスとルッスーリアはエスプレッソ、ベルとレヴィはカフェラッテを飲み、パンを味わう。
他にもビスケットやチョコレートクリームがたっぷり入ったタルト、ブリオッシュやパウンドケーキ、それにヨーグルトが運ばれ、それらはあっという間に減っていく。
あー、久しぶりだ。イタリアの朝食。イタリア人はほんと、よくこんなに甘いものばかりを朝だけとはいえ毎日食べれるよなぁ。
「それじゃあ、ミーはこれから用事があるんで行ってきますー」
最初に朝食を終えたフランは軽く挨拶をして部屋から出ていった。
そのまま骸を助けに行くんだろう。
私も早く終わらせてツナ達の元へ行かなきゃ。この姿のことを説明しなきゃいけないから、何か言い訳を考えないといけないのはちょっと面倒だけど。
あとはツナ達の元へ行く手段だけど、今はこの状態だし無駄に力を使う必要はないから、ワープじゃなくてヴァリアーのジェット機を借りようかな。
これからのことを算段しながら食べていると、他のみんなはもう食べ終わってしまっていたみたいで、私は慌てて残りをぱくついた。
◆◆◆◆◆◆
キャリーケースをルッスーリアに持ってもらい、ベルの肩に乗って用意してもらったヴァリアー専用のジェット機に乗り込む。
「それじゃあ先に行ってるわ。色々ありがとう」
「いいのよ! 真夜のためなら何てことないわ!」
「っしし、姫のためなら何でもしてやるよ。だってオレ王子だし」
ザンザスとレヴィはここにはいなく、ルッスーリアとベルとスクアーロが見送りに来てくれた。
何も話さないが見送ってくれるスクアーロに、思い出したように話しかける。
「あぁそうそう。スクアーロ、一つ教えておくわね? フィレ肉は、二つ用意しておいたほうがいいわ」
意味が分からず眉を寄せたスクアーロにそれ以上何も告げずにいると、入り口が閉まっていく。
『Arrivederci』
音のない言葉を理解した彼は、挑戦的な顔をして呟いた。
「あたりめえだぁ」