並盛から五十キロほど離れたところの上空でジェット機から身を投げ、キャリーケースと共に落下し大地の炎で重力操作して着地する。その後重力を無くしたキャリーケースを持って全速力で目的地を目指す。
ルッスーリアから貰ったツナ達がいるアジトが書いてある地図を見て、文字を唱える。
「【隠】」
何も変化は起きていないように見えるけど、これで私とキャリーケースは誰からも見られなくなった。
この術は言霊のようなもので、先程の【隠】というものは『隠れる』という意味を持つため、対象者、対象物は姿を隠せるというわけだ。
意味のある文字の数と術の数は同じだけど、最初から何でもかんでも使いこなせるわけじゃないから、制御したり修得しなくちゃいけない。この術はチェッカーフェイスが漫画で使用している術だ。
【隠】は対象者が止まったまま使うならそこまで難しくないんだけど、動く速さが速ければ速いほど困難になっていく。
ずっと対象者に銃の照準を定めているようなものだから、私に合わせていたのがずれてしまったら術は解除されてしまう。この文字を修得するのに結構時間がかかったんだよなぁ。
幻術も使えるは使えるけど私は幻術の才能はあまりなかったようで、この術を使うより力を消費しやすいから止めておいた。しかもこの術は死ぬ気の炎を微量しか使用していないから感知されにくいし。
並盛に入り、ここから一番近いアジトの入り口は五丁目の工場跡地なのでそこに向かう。
そこに向かう途中にミルフィオーレファミリー関係の黒服の男達が何人かいたが、目の前を走って通りすぎても全然気付かないのは滑稽だった。
【隠】だけじゃただ姿が隠れるだけで匂いとか足音が鳴るとバレてしまうけど、そこは令嬢時代に淑女がヒールを履くとき以外に足音を鳴らすなんてはしたないと死ぬほど鍛えましたから、足音を消すなんて余裕だ。
ぼろぼろの今にも崩壊しそうな工場跡地に到着し、地図を辿ってアジトの出入り口がある建物を発見する。
一応入る前に敵が隠れていないか探るけど、敵はいないようだ。
一見この建物の地下に通じる階段のように古いけど、途中まで下りて地上から見えなくなったところから、階段の作りが新しくなっている。
なるほど、階段の作りを途中から変えることによってその先に何があるか怪しまれないようにしているのか。
地下まで着くと左右に開くドアの横に指紋を認証する機械がある。
ふむ。恐らくだけど、ボンゴレファミリーに入っていた私は指紋登録してある筈だ。
ルッスーリアだって「真夜ならちょちょいのちょいで簡単に入れちゃうわよ~」って言ってたし、大丈夫だろう。