私が悟ったことを分かった紀光さんは、無理矢理私の身体を暴きながら母さんへの想いを話した。
母さんは父さんと出会う前に紀光さんと一度出会っていて、紀光さんは母さんに一目惚れをし、父さんに相談をしていたらしい。
だけど母さんの名前を知らなかった紀光さんは、父さんが母さんと知らない間に出会って恋に落ち、結婚式に呼ばれた時に、父さんの結婚相手が愛してやまない彼女が母さんだということを知ってしまった。
紀光さんは自分の知らない間に母さんと結婚した父さんを憎むようになり、その感情を表に出すことなく虎視眈々と母さんを狙っていたけど私が生まれてさらに狙うことが難しくなり、母さんが無理なら、と代わりに私を狙ったんだ。
それから四年が経ち、私が二十歳になった今も、紀光さんは変わらない。
可哀想な人だ。
私は無理矢理抱かれ続けているというのに、情が芽生えてしまっていた。
自分でもバカだと思う。強姦した相手に同情しているだなんて。
「……は……っ、ゆき……ゆ、き」
だけど、私を抱く度に切なそうに母の名前を囁くこの人が、母親を求める迷子みたいだったんだ。
◆◆◆◆◆◆
髪から伝って床に吸われていく水滴の音がする中、私は静かに鏡を見ていた。
小さい頃から成長するのが早かった私は、十二歳で身長が一六〇センチを超し、容姿も子供らしくなく、自分でいうのもなんだけど洗練されていた。
だけどそれから成長がぱったり止まり、二十歳になった今でも容姿はその時のままだ。
母さんに似たからそういう体質なのかもしれないと今まで思っていたけど、それにしても変わらなすぎている。
それに、母さんの容姿が若々しいまま変わらなくなったのは、私を妊娠したあたりからだそうだ。
父さんはどんな姿でも母さんは母さんだと気にしていなかったけど、私はそれを知った時、薄ら寒さを感じた。
私には、私の知らない“何”かがまだある。
死ぬまでにそれを解明してやろうと意気込んで浴室を出て自室に戻り、何となくさっき隠したリボーンが気になり、背表紙をそっと撫でる。
「もしリボーンの世界にトリップできたら、ファンタジーだから自分のこともそう変に思わないでいられるし、きっと退屈なんてせずに楽しく過ごせるんだろうなぁ……」
私はリボーンのキャラの中でも、リボーンが一番好きなキャラだった。
紀光さんと同じ横暴だけど、不器用な優しさがあるから憎めなくて、ストーリーが進むごとにツナ達を認めて信頼し、自分の傍を許して円くなっていくところが好き。
「まぁ、どんなに願ったって無理なんだけどね」
あはは、とそんなことを考えた自分に呆れて軽く笑うと、突然目を開けられないほど強い真っ白な光に包まれた。