転入生、来る!
「はああ~、学校行きたくないな~……宿題溜まってるし」
あの凄絶なリング争奪戦が終わって二日経ち、オレは重い足取りで学校へ向かっていた。
「十代目ー!! おはようございます!」
「獄寺君! おはよう」
「よっ、ツナ」
「山本も! おはよう」
「あ、ツナ。昨日吉田から聞いたんだけどな、今日転入生が来るらしいぜ?」
「えっ!? こんな時期に?」
「怪しいぜ。十代目! 敵マフィアの刺客だったらオレが果たしておきます!!」
「珍しいけど刺客とは限らないからやめて!」
転入生かぁ。個性的なキャラじゃなきゃいいんだけど……。
不安になりながらもくだらない話をしてオレ達は学校へダラダラ登校した。
◆◆◆◆◆◆
「席に着いてない奴席に着けー。今日は転入生を紹介するぞ」
着席してしばらくすると担任が入ってきた。
転入生が来ると知ったクラスメート達は騒いだけど、担任が「入ってこい」と言ったらピタリと静かになった。
ガラガラと教室の扉を開けて入ってきた転入生は足音を立てずに教壇まで歩き、担任はその転入生の名前だと思う漢字を黒板に書いていく。
オレ達はみんな、その転入生に目を奪われていた。
いつもは空気を気にしない獄寺君も、少し口を開けて静かに見ている。
「イタリアから引っ越してきました。望月真夜です。クォーターでこの髪と瞳は自前です。よろしくお願いします」
うわー……すごい。
彼女が笑顔を浮かべると、周りに花が咲いて見える。
容姿は少し幼いのに彼女の醸し出す雰囲気は落ち着いたもので、なんだろう、テレビで見たことある高級旅館の女将さんのような、婉美な女の子だ。
肩につくかつかないかぐらいの、触り心地よさそうな透き通る少し外にはねた金色の髪に、焼けることを知らないような白くきめ細かい肌。
その白い肌で際立つふっくらとして赤みがさした頬と、緩く弧を描いている色素が濃い唇は、頬が熱をもつほど艶やかで。
何より惹き付けられたのは、意思の強そうな、優しく細められた碧い瞳だった。
「望月の席だが、沢田の隣が空いていたな。あそこに座ってくれ」
「はい」
「え!?」
オレの隣!? どうしよう!
みんなも「なんでダメツナの隣に……」って不満そうに言ってるし……!
「えっと、沢田くん?」
「え!?あ、はい!」
「これからよろしくね?」
間近で優しく微笑んだ望月さんを見て、顔が熱くなった。
うわ、絶対顔真っ赤だよ! オレは京子ちゃんが好きなのに!
その日オレは隣を意識してしまい、いつもよりダメツナになってしまった。