昼休みになり、一緒にお弁当食べようと誘ってくる女の子達に断りを入れ、一人屋上を目指した。
ツナ達はまだ教室だから、現れるのは今か放課後のどっちかだな。
屋上の扉を開けると冷たい風が吹き抜ける。だけど雲一つない快晴だから陽が当たってそこまで寒いとは感じない。
ぐぐっと大きく伸びをして空を見上げた。
「ちゃおっス」
気配には気付いていた。
……やっと、やっと会えた。
「何かご用かしら?」
「今日ずっと見てて思ったが、お前相当分厚い仮面持ってんな。しかも食えねー奴だ」
「あら、敬語をやめている時点で結構あなたには心を開いているのよ?」
振り向くと、そこには小さな最強の赤ん坊、リボーンがいた。
弱い風が、私達の間を走り抜ける。
「何故完全じゃないがオレにだけ心を開く?」
「それはあなたが私の大切な人だからよ」
「どういうことだ。オレがお前と会ったのは今が初めてだぞ」
「仕方ないわ。昔のことだもの。それに、あなたは私をちゃんと見ていたわけじゃないから」
円らな瞳は警戒の色を含んでいたけど、リボーンが銃を出したりすることはなかった。
「本当なら今すぐにでも素の私を見せたいところだけれど、両親にすらずっと仮面をつけて接していたからなかなか難しいのよ。それに、ここは外だから」
もう何十年と、誰かに素を見せていない。
ずっと仮面を被り続けていると、それが素の一部になってくるから不思議だ。
「そうか。じゃあ本題に入るぞ。お前、死ぬ気の炎使えるな? マフィア関係者か?」
ずばっと率直に言ってくるから清々しい。もし私が敵だったら素直に言うわけないのにね。
まぁでもリボーンだし、何かしら嘘をつけば見抜くか。
「死ぬ気の炎? マフィア関係者? 物騒なこと言わないでくれるかしら。私は一般人よ」
「ごまかしてんじゃねぇ、気配を消して入ってきたんだ。一般人なら驚くだろ。なのにお前は現れることが分かってたかのように普通に話した。それに、オレを赤ん坊として接してねぇしな」
リボーンは表情を変えることはなかったけど、口角が上がっているからきっと楽しんでいるんだろう。
「ふふ、やっぱりバレるわよね。ええそうよ。確かに私は死ぬ気の炎を使える。けれど、どこのマフィアにも所属していないわ」
真っ黒な瞳が私を見抜く。
嘘をついていないか確かめているんだろう。
だけど嘘をついていないと分かったのか、そうか、と呟き一呼吸おいて言葉を続ける。
「じゃあお前、ツナのファミリーに入れ」
予想通りの展開に笑いを漏らしながら、リボーンの脇に手を入れて抱き上げ、ぎゅっと抱き締めた。
「Sì、あなたの仰せのままに」