別に、其処まで悪い人生でも無かった。かといって、凄く良い人生だったと言う訳では無いが。普通に過ごし、普通に死ぬ。大体の人は、生涯こんな人生を送るだろう。
大学の部活の帰り道、信号無視の車に跳ねられる。
これも、特別異常な死に方と言う訳でも無い。今までこの死因で死んできた人は数え切れない程居る事だろう。自分だってその一人だ。
気がついたら、こんな真っ白な空間に居た。大方、死後の世界と言う奴か。
これから、何処に行くのだろうか。
まぁ、こうして死んでも意識がある時点で、天国だか地獄だかが存在するのは確実なのだが。今、真っ白い空間の中俺の周りには、火みたいな形をした何かふよふよした物がうろちょろしている。あぁ、恐らくこれは俺と同じく死んだ奴等だろう。大方魂とか言う奴か。という事は、恐らく俺もこいつ等と同じくふよふよしてるんだろう。
「は~い、ちょっと注目ー、これから誘導するからこっちに付いてきてー。」
何か白い羽生やしたねーちゃんが先導するらしい。追いていかれても困るので、他の魂達と一緒にふよふよと頑張って付いて行く。しばらくふよふよしてると急に白い空間が真っ黒な空間に変わり、女性の白い羽も黒い羽へと変わった。オセロみたいだなと思う。
「えーっと、此処まで付いてこれた魂は....ん?あれ?一個だけ?」
ん?と思い周りを見てみれば、さっきまで周りを頑張ってふよふよとしていた魂が見当たらない。黒い空間に入る直前までは見かけたので、恐らく黒い空間に入ったとたんに消えたんだと思う。
「え?本当に一個だけ?今年は随分と少ないな....もしもーし、そこの魂君?」
え?俺すか?声が出るわけでも無いのに、反射的に何時もの調子で返してしまう。つまり、思ってるだけ。何か空しい。
「そう、君だよ君。良かったね。一人だけって事は、
取り合い?転生?何を言ってるのかさっぱり解らない。でも、何かラッキーらしい。やったね。
「んじゃ、『能力』を選んでちょーだい。あんまし強いのは規制かかっちゃうけど、成長すれば使えるようになって行く仕様だから」
....『能力』?...なんだそりゃ。あと今更だが、この人心が読めるらしい。あの、天国とか地獄とか行かないんですか?。
「んー?普通はそうなんだけど、此処に辿り着けば転生する事が出来るんだよー。あれ?知らなかったっけ?あ、知らないって事は『新人』か」
つまり、さっきまでの白い空間に居た魂達は天国とか地獄とかに行ったと言う事か。つまり、俺は普通じゃない?てか新人って?
「まぁ、そう言う事になるよ。転生する『素質』を持つものだけが、此処に辿り着く事が出来るんだ。どんな極悪人でも、『素質』があれば何度でも転生して生をやり直す事が出来る。しかも、『一人限定』で特別な『能力』をつけてね」
取り合うってのはつまり、『一人限定』の能力を取り合うって事か?...そうまでして欲しくも無いなぁ...
「でも、今年は君一人しか居なかったからね。取り合う必要も無いって訳。で、特別な能力ってのはまぁ、あのアニメのキャラの能力が欲しいーとか、まぁそんな感じだね。勿論、自分で能力を作って決めても良いよ」
...別に、特別コレが欲しいって能力は無いんだよなぁ.....あ!あのすみません、カードゲームとかの能力使う事って出来ますか?
「うん?具体的には?」
あの、例えばカードのクリーチャーを使役したり、呪文とか唱えたり。
「あぁ、別に出来るよ。まぁ制限は付くけど」
じゃあ、『
「全然大丈夫。それでいいの?」
はい、それでお願いします。
結局、こんな能力に落ち着いた。自分が今まで生きてきた中で一番ハマった
「あ、言い忘れてたけど、転生するのって君の知ってる日本じゃ無いから。とうほう....何だっけ?まぁともかく、とうほうなんちゃらとか言う少し『違う世界』に転生するよ。んじゃ、頑張ってね」
え、何だ、とうほうなんちゃらって。
そんな問い掛けは届く事は無く、俺の意識は無くなった。