東方超獣録   作:河馬

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2.制限

 

 

そこは、この世の物とは思えない程綺麗な場所だった。

 

空は何処までも青く、正に晴天と言った所。目の前にある川は、遠目からでも解る位に綺麗で、不純物が一切混じってない事が一目で解る程。

 

「すげぇ....」

 

柄にも無く、感動していた。唯の森の中にある川の水があんなに綺麗なのだ。富士山も吃驚である。あの羽生やしたねえーちゃんは『違う世界』、『とうほうなんちゃら』とか言っていた。恐らく、とうほう何とかとは凄くファンタジーな世界なんだろう。いや、わからないが。

 

「あ、そうだ。能力の確認しないと」

 

危ない。危うく忘れてしまう所だった。然し、どうやって確かめれば良いのだろう。『マナ』とか必要なのか。多分、必要だ。何せ、マナが関係無くなってしまえば、いきなりコスト『10』超えの鬼畜カードをバンバン出せるからだ。ちなみに『コスト』とは、召喚するのに必要なマナの数である。

 

取りあえず、何か召喚出来るか試してみるかな...

 

今から召喚するのはコストがたったの『1』のクリーチャー

 

「....いでよ!『アクア・ガード』!!」

 

途端、青い光が何処からとも無く集まり、気付けばそこには紛れも無い、『アクア・ガード』がいた。

 

「...マジか」

 

思わず声に出してしまった。正直、信じてなかった。まさか、本当に『Duel Masters』のクリーチャーを召喚できるだなんて。アクアガードはまるで、『待て』をされた犬の様にじっとしており、全く動かない。

 

「あ、あのー、いきなり呼び出してすいません、アクアガードさん。あのー..そのー..何と言うか..俺を守って...欲しいんですけど....」

 

いきなり呼び出して守れとか迷惑じゃ無いだろうか。『使役』してるのだから関係ない気もするのだが、一応は意見を聞いておかないといけない気がする。

 

コクコク。頷くアクアガード。あ、よかった。どうやら守ってくれるらしい。此処は違う世界だ。この世界については俺は全くわからないので、何が出てきても最低限自分を守る事が出来るクリーチャーを出しておきたい。

 

『アクア・ガード』は、たったの『1』コストでありながらパワー2000、加えて『ブロッカー』を持っており、コスパは悪くない。パワーとは、その名の通りそのクリーチャーの『力の強さ』みたいな物で、当たり前だが高ければ高いほど力は強い。『ブロッカー』と言うのは、プレイヤーとかクリーチャーを『相手クリーチャー』の攻撃から守ってくれるのである。

 

まぁ、それがこの世界で果たして意味を成すのかはわからないが。例えば、ブロッカーを持たないクリーチャーに『俺を守れ』と命令したらどうなるのか。『攻撃できない』と言う能力を持つクリーチャーに、『外敵を排除しろ』と命令したらどうなるのか。後々確認しよう。

 

唐突だが、何かちょっと疲れた。

 

少し興奮して気付かなかったが、少しだけ疲れた気がする。50メートルを、全力で走った後の様な感じだ。多分この疲れの原因はアクアガードを召喚したからだろう。と言う事は、なんと『マナ』と言う概念は無いようだ。代わりに、自分の体力やらを削ってクリーチャーを召喚してると見た。

 

然し、1コストでコレなら、単純に2コストなら100メートルを全力疾走した後の疲れが襲ってくるのだろうか。それとも、一日に使える制限とか決まってたりするのだろうか。まぁ、そのうちわかるだろう。

 

問題は住居だ。

 

家が無い。雨風凌げる場所も無いとすれば、行く先は野宿。そんなのやだ。断じていやである。今こそ天気は良いが、もしかしたら急にゲリラ豪雨ばりの雨風が襲い掛かってくるかもしれない。前の世界なら有り得ない話だが、ここならばありえる可能性だってある。もしそうとなれば、野宿は困難を極めるだろう。

 

取りあえず、人の住む町を探そう。上手く行けば、止めてもらえるかもしれない。いや、お金とか持ってないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あったはあった。何か町と言うよりは『都』と言うイメージだ。だが、いざ入ろうと近くまで寄ったら何か門番に追い返された。理由を聞けば、『妖怪』を連れてるかららしい。いや、妖怪て。まぁアクアガードの事だろう、追い返されるのは薄々わかってましたとも。

 

然し、これは何かひっかかる。何故村なんかに門番がいるのか。別に極悪な通り魔でもが森を徘徊してたりしたらまぁ解るが、どうもそんな感じじゃない。あの門番は『妖怪』と言った。普通なら、『化物』とか『怪物』とか言う方が多いんじゃないか?『妖怪』何て確かな存在じゃあるまいし....まるで、『妖怪』が本当にいるかの様な言い方だ。

 

.....可能性としては、信じたくは無いがありえる。少し、夜道に気をつけよう。

 

 

 

 

然し、もう行く当てが無い。人のいる場所は取りあえず見つけたし、アクアガードを置いて後で来ようと思う。

 

俺がこの世界に来たのは恐らくお昼時。それからまぁ色々あって今は日が暮れようとしている。つまり、今日は野宿するしかない。

 

だが、今日最後に一つ確かめたい事がある。

 

 

 

この世界での『城』はどうなるのか。

 

 

DMには、『城』と呼ばれるタイプのカードがある。これは、自分の『シールド』にくっつけて使用する物で、主に自分のクリーチャーを強化したり出来る。シールドとは、その名の通りプレイヤーを護る物であり、シールドが無くなって初めて、プレイヤーに相手のクリーチャーの攻撃が通るのだ。然し、恐らくだがシールドなんて物は自分には展開されていない。恐らく、『マナ』と同じくそれ自体の概念が無いのだろう。本来なら、『城』はシールドが無ければ設置されないのだが....

 

「...これに懸けるか....来い!!『雪要塞 ダルマンディ』!」

 

コスト3の城。自分のクリーチャーのパワーを+3000する事が出来るかなり使い勝手の良い城だ。建てる事ができれば、色々と楽になる筈。

 

途端、沢山もの白い光が集まり、周りの木々を押しのけ巨大な建造物を形度って良く。

 

それは、正に巨大な『かまくら』。

 

「...うわっ...キツ....」

 

瞬間、どっと疲れが押し寄せてきた。これは、ヤバイ。立っていられない程である。確かに村まで歩いてったりして疲れたが、体力は殆ど回復していた筈。この疲れは正に体力が尽きるまで全速力で走った様な感じだ。意識を失いそうだ。然し、此処で意識を失ってはならない。この世界には何がいるか解らないのだ。もしかしたらだが『妖怪』なんて物がいる可能性だってある。幾らパワーの上がっているアクアガードとはいえ、集団で掛かられれば俺を守りきれないだろう。

 

「うぅ...ぐ.....たった『3』マナでコレかよ...これは成長しないとなぁ...」

 

然し、たったの3マナでこれ程の疲れが襲い掛かるのは正直かなりキツい。アクアガードを三回召喚した方が全然マシな位だ。と言う事は、一日に使えるコストの制限とか決まってるのだろうか。そんな事を考えながら、ダルマンディの内部を何とか這いつくばって目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクアガードに手伝って貰い何とかダルマンディ内部の寝室みたいな所のベットに身を潜める事が出来た。

 

この『雪要塞 ダルマンディ』、壁や地面が全て雪やら氷で出来ており、歩いてるとやたらツルツルする。そして、このダルマンディの効果の『自分のクリーチャーのパワーを+3000する』と言う一見パッとしない効果、単純ながらかなり強い。クリーチャーが並びやすいデッキでは、相手からしたらかなりの脅威になるのである。そんな便利な効果を持つ『城』だが、これはとある一部を除き、基本的にシールドが破壊されたら『城』自体も破壊されるのである。そこんとこは如何なのか。

 

「でも、とても簡単には壊れそうに無いな...」

 

かまくらとはいえ、雪と氷を織り交ぜているかなり硬質な物だ。それに元々迎撃機能があるのか、良く見れば砲台だって付いている。強そうだ。いや、無いか。これも、後々わかることだろう。

 

 

 

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