「━━━ッ!!?」
途端、神奈子の体が民家の方へと勢い良く吹っ飛んでいった。レッドゾーンが、神奈子ですら反応出来ない速さで蹴り飛ばしたのだ。
━━━━何が起きた?あの姿の変わった赤い亜人にやられたのか?全く見えなかった...あの人間は何だ?あの亜人を使役出来るのか?
突然亜人の姿が変わり、とてつもなく早い一撃を受けたのに対し、吹っ飛ばされながらも冷静に、瞬時に考えを巡らせられるのは、やはり戦い慣れしている軍神だからだろう。然し、幾ら考えを巡らそうともあの人間、レッドゾーンに対する情報が少なすぎ、結論には至らなかった。だが、神奈子は神。あと少しの時間冷静に考えれば、何故レッドゾーンが攻撃したか位の結論には辿り着けるのだが、レッドゾーンがそれを許す筈も無かった。
吹っ飛んでいる神奈子をその速さで追いぬき、そのまま頭目掛け踵落としを繰り出したのだ。
「━━なッ!?」
それをギリギリの所で両手で受け止めたが、地面に叩き付けられる。全身に走る痛みを堪え、次の追撃が来る前に咄嗟に飛び起きてその場を離れ、反撃を開始する。
「舐めるな!『
途端、背中に着いていた巨大な二本の柱と、ルーミアとアクアガードに突き刺さっていた柱が宙を舞い、二つは自分を取り囲み、もう二つは後ろからレッドゾーンの方へ突き刺さるように追突していく。
地面に叩き付けられた時の砂埃で、レッドゾーンの姿は上半身しか見えない。故に、それに気が付いたのは砂埃が御柱の追突によって完全に晴れてからだった。
その拳は、赤い、炎の様なオーラを纏っていた。
━━━ッ!!?
咄嗟に自分の周囲にある御柱と、レットゾーンに追突させようとしていた御柱をクロスさせ、盾の様にする。神奈子が次に目にした物は、四本の御柱全てを壊し、尚も自分に突き進んでくる、燃えるような、赤い拳。戦いの中で培われた勘が警報を鳴らすのは、少しだけ遅かった。
グラグラと、今にも倒れそうな位に不安定な体を必死に足で支える。此処で、倒れるわけにはいかない。だが、這いつくばるしか無かった前よりは、二本足で立てている事から、自分でも成長しているのがわかる。
「ルー..ミア...」
この世界の妖怪の事何て全く知らないが、流石に体のど真ん中に大穴を開けられて平気な生物何てそうそういない筈だ。一応人外のアクアガードでも青色の光になり、消えかけている。『破壊』されたと言う事だろう。つまり、手遅れだ。だが、ルーミアは苦しそうな表情をしているものの、僅かに息をしている。まだ、間に合う。
考えろ。考えろ。何か傷を治す呪文....傷を治すクリーチャー....
デュエルマスターズのクリーチャーには、HPというものは存在せず、その代わりにパワーが存在する。何らかの呪文、クリーチャーの効果でパワーが0になったクリーチャーは、例外を除いて破壊される。つまり、パワー=HPとも考えられる.....
ルナティック・エナジー
自然文明の呪文で、一時的にバトルゾーンにある自分のクリーチャーすべてのパワーを+3000する能力を持つ。今、瀕死状態のルーミアのパワーは限りなく0に近い。この世界でもパワー=HPが通じるならば、パワーを上げれば良い。これでルーミアは助かる.....筈だ。問題は、ルーミアが
俺には、こんな方法しか思い浮かばない。イチかバチだが、これに賭けるしかない。
「頼む!!『ルナティック・エナジー』!!」
途端、魔法陣の様な物が空に浮かび上がり、その間を潜り抜けるかのように美しい光が差す。その光は、昼間であるのになぜか目視でき、一直線にルーミアと自分の元へ降り注いでくるのがわかる。
それは、まだ出ても無い筈の月の光。
『神聖なる霊月の光を浴びた者は、その秘めたる力を開花させる。』
「━━━ゲホッ!ゲホゲホッ!」
ルーミアが咳込み、それに伴い僅かな量の血を吐くが、腹に空いた大穴は、いつの間にか塞がっていた。
━━治った。成功だ。良かった。
穴が塞がったのを見届けた途端、俺は意識を手放した。
遅くなったのに内容すっからかんで本当すいません。パワー=HPはかなり無理やりです。回復の方法がこれしか思い浮かびませんでした。他に良い案が有ったら教えて下さい。