ラブライブ!-女神と武神のアイドル戦極記- 作:Professor灰猫
『ロックオン!』
《グォァァァァァ!!》
「はぁっ!オラオラオラオラオラ!」
『一・十・百・千・万……』
橙色の鎧を纏った青い鎧武者と、この世のモノとは思えない緑と灰色の虎────二足歩行で歩く怪物が戦っているのが見えた。
俺はその姿を確実に見ている筈なのに、自分の姿が見えない。恐らく夢とかで良くある三人称視点という奴か。
鎧武者が、薙刀に錠前を施錠する。虎の怪物は咆哮を上げながら、ツタ状のエネルギーで攻めるが、鎧武者が両手首を器用に使い、薙刀を回転させそのツタ状のエネルギーを全て弾き返してしまった。その姿に虎の怪物は少々驚いている。
「いくぜ!おらッ!オラぁっ!」
《グラァ!?》
鎧武者が気合いを入れる為に声を出しているのか分からないが、そんな声を出しながら薙刀の黒い方の刀を右下から右上の方に斬り上げ、さらに左下から左上の方に斬り上げる。そしてその刃からは橙色のエネルギー刃が放たれ、虎の怪物に直撃する。
そのエネルギーがフルーツのオレンジの形に変わり虎の怪物を拘束し、虎の怪物が疑問に思っているかのように鳴いた。
『オレンジチャージ!』
「うらぁぁぁぁぁっ!」
《グゥ"ォ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!》
等々、鎧武者が虎の怪物に斬りかかって行った。見事に虎の怪物が横に真っ二つに斬り裂かれ、苦しみの咆哮を上げ爆散した。
────俺にはその咆哮が人の悲鳴にも聞こえた
────貴方はその力をどう使う?────
────今ある物を理由なき悪意から、守る為に使う……?今ある物を破壊し、新しい世界を創る為に使う……?それとも……────
────××を×す為に使う?────
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「────なさい!起きなさいよ祐也!」
「……ふぁっ……?」
耳に届いた突き声の御陰で、目が覚めてしまった。俺は開かない瞼を無理矢理開けようとする。最初は焦点が合わずに目の前の存在がぼやけて見えていたが、それも段々と見えて来た。
俺の顔の前にいる存在は、幼い体型をした黒髪ツインテールの女の子。瞳の色は珍しく、透き通ったような赤い色をしている。その可愛い顔には見覚えがあった。
「にこか……こんな朝早くにどうした……?」
「どうした……じゃないわよ祐也!私との約束忘れたの!?」
そいつの名前は
そういや俺の紹介を忘れてたな。俺の名前は
父親と母親は研究者で忙しく家におらず、俺は一人暮らし。父親と母親について行くという方法もあったが第一、俺は研究などに興味はない。頭も割と平凡だと思うし、趣味なんかはゲームとダンスといったところだろうか。俺の紹介はハイ終わり。
国立音ノ木坂学院といえば、女子校なんじゃないのかとか思う奴がいるかもしれないが、それは誤認だ。あそこは元々共学で、ただ単に男子の数が減っていった結果、男子0人となってしまっただけである。
俺が入学した理由は、幼馴染みがいるのと家から近いというだけの事だった。ただ正直に言うと入学式の時に変態を見るような目で見られたのはきつかった。
さて、只今俺が直面している問題の方に戻ろうとするか。
「一緒に秋葉に行くって約束だろ?忘れちゃいないよ」
「良かった……」
「お前との約束を俺が忘れるか?んな事一生ねぇ……あだっ!?」
「はっ、恥ずかしい事言うんじゃ無いわよ!いいのよ、祐也が約束忘れてなければ」
にこのチョップが俺の頭に炸裂する。痛い。理不尽だ、俺なんか変な事言ったか?恥ずかしい事を言った覚えは無いし、にこが顔を真っ赤にさせる理由も分からない。
約束というのは、今日────日曜日に秋葉へにこと一緒に買い物に行くという内容だった。恐らく小遣いでアイドルグッズでも買うのだろう。にこの母親が久しぶりに帰って来ているというので、にこは姉弟達を母親に預けて買い物に行ける。それに俺が誘われただけだ。
にこの家は母子家庭で、にこの下に3人姉弟がいる。にこの父親は中学一年の頃に事故で他界し、その時のにこが大泣きしながら俺に抱き着いて来たのは今でも覚えている。にこの母親は働き詰めで家計をやりくりしている為、言いたくはないが金銭事情は余り宜しくない。さらに、にこは平日の間は、必ず姉弟の面倒を見なければいけない。俺も出来る限りの事は手伝っている。
なので今日ぐらいは、にこに是非とも休んで頂きたい。いつもならにこの母親が帰ってきても、にこが母親を休ませる為に頑張っている。今日ぐらいは良いんじゃないだろうか。
「あ、そういや祐也魘されてたみたいだけど大丈夫だった?」
「大丈夫だけど……何か変な夢を見た」
「変な夢?」
にこの頭の上にハテナマークが浮かび上がる。
「何か……橙色の鎧を纏った鎧武者と、二足歩行の虎の怪物が戦ってる夢」
「ふふっ、何それ。まるで虎太郎の見てる仮面ライダーみたいじゃない」
「んー……でも仮面ライダーと言うよりは……何だか違うような……」
にこはその話を聞いて、最初は笑っていたが俺が話している内にどんどん真剣な顔になっていった。
「人の悲鳴に聞こえた……不気味ね」
「もしかしたらその怪物は元々人間だったりしてな」
「な……そんな縁起でも無い事、言うんじゃ無いわよ!」
「わりいって……でもそんな非現実的な事あるわけないだろーし」
そう、そんな事はある筈が無いのだ。だがこの話をしてここの空気が重くなったのも事実なので俺は手を叩いて話をそらす。
「よし。んじゃ着替えるわ」
「えっ、ここで?」
「ここ以外、何処があるんだよ……あっち向いてろ」
「う、うん……」
流石に異性の裸体を見るのが恥ずかしいというのは、俺でも分かりきった事だ。なので俺はにこを俺から反対側の方向に、指を指して指示をする。部屋から出すという方法もあったが、すっかり忘れていたので言わない事にしておく。
「……」
「……」
にこは肩を縮めながらモジモジしている。理由は何だか分からないが、その姿が怯える子兎の様で可愛いと、心の奥底で思ってしまった。これではにこに失礼であろう。
取り敢えずそんな邪念は心の奥底に閉まっておいて……俺はパジャマからパパッとラフな私服に着替える。濃い紺色のパーカーに迷彩柄でスウェット生地のズボンだ。地味とか言われるが、俺のお気に入りなので気にしない。
「あっ……朝飯作んねえと」
「それならもう作ってあるわよ。多分冷めては無いと思うけど……」
にこがそう言ったので俺は部屋の扉を開けて、キッチンの机の上を確認する。そこには湯気がたった白飯、ベーコンエッグ、味噌汁が2人分置かれてあった。
「食ってなかったのか?」
「……悪い?」
「い、いや……ありがとな。作ってくれて」
「いっ、良いわよこんな事ぐらい!ささっ、早く食べましょ」
「そうだな」
俺とにこは、一緒にキッチンへと足を運んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「やっぱり旨いな。にこが作る飯は」
「あ、ありがと……」
にこが作る飯はお世辞無しでめちゃくちゃ旨い。さらにベーコンエッグの黄身は硬かったり、俺の好みを分かっていやがる。俺はベーコンエッグの黄身だけを切り取って食べ、その後に白身とベーコンを食べるという独特の食べ方をする。ちなみにコショウと塩をかけた後に醤油もかけるのもしっかり分かっている。最高だ。
「にこは将来立派なお嫁さんになるな……」
「へぅっ……!?」
俺がそんな事を言うと、にこの口から変な声が上がる。何か凄いな……おっ、この硬めの白米も旨い。やっぱり好みを分かってるな。
「そ、そんな事良いから早く食べるわよ!」
「お、おう……?」
そうするとにこが急に猛スピードで食べ始めた。顔が茹でた蟹みたいになっているが何故なんだろうか。おっ、この塩っぱい味噌汁も旨い。
「……」
「な、何よ?」
「いや……その服似合ってるなーって」
「えっ……!そ、そう!」
よく見ると、今日のにこは私服だった……当たり前か。桃色のワンピースだったが、とてつもなくにこに似合っている。幼児体型な所こそ、この服の御陰でそんなの忘れて、可愛く見える。顔も見てみると、化粧をしていて美人だ。
何だかんだでそんな事している内に、朝見た夢の事などすっかり忘れていた。
────貴方は、運命を選ぼうとしている
だが俺は知らなかった……この日が運命の日になろう事を。
てなわけで始まります。仮面ライダー鎧武×ラブライブ!←またかよ。
また戦極か!とも思いますが、別にデュークが主人公ライダーにはなりませんのでお見知りおきを。
あと矢澤とは付き合っていません。夫婦漫才っぽいですけど。
P.S.祐也さんぽい人が主人公ってほとんど無いですよね