ラブライブ!-女神と武神のアイドル戦極記- 作:Professor灰猫
アイドル研究部で三人目の部員。にこと裕也が二人で部活動をしていた所に、入部してきた一年生の後輩。先輩でもある裕也とにこに溺愛していて、裕也とにこも朱果を溺愛している為、非常に仲がいい。
アイドルの知識にも詳しく、頭も良く運動も出来て良く食べるスーパー少女。裕也の事を『戦極先輩』と呼び、にこの事は『部長』又は『まな板部長』希の事は『おっぱい先輩』と呼んでいる。
斬月に殺されそうになる裕也を庇い、戦極ドライバーとロックシードを一度は裕也から没収した。だがその後に裕也と和解して、自分は裕也を信じると心に決意する。
彼女の素性は一切不明で、ユグドラシル・コーポレーションの孤児院で暮らしていた模様。斬月からも不可解な言葉を残されているが……?
八月下旬。暑さも大分落ち着いて来たこの頃、学生は最後に迫って来た夏休みを楽しんでいた。そして秋葉原の街中に、一人の可憐な少女が立っていた。
「ふ〜ん♪ ふふふ〜ん♪」
鼻歌を歌っている少女は、何とも楽しげで微笑ましくなってくる。グレーの長く伸びた髪の毛をサイドテールに結び、頭にはトサカのような特徴のある跳ねた髪。そしてその胸にある二つの球体は、通り過ぎる男達の目を次々と奪っていく。
彼女────南ことりは人混みの中、一人の少年の姿を見つけると手を振りながらその名を呼んだ。
「あっ、ミッチくーん!」
「ことりさん!」
青のパーカーに身を包んだ少年────呉島光真もにこやかな表情で、ことりの方に走ってくる。その少年には、多くの女性の目線が追った。
「すいません……待ちましたか?」
「ううん。ことりも今、来たばっかりだから」
今来たばかり……というのは流石に嘘である。ことりはとても楽しみ過ぎて、約束の時間よりも早く来ていた。嘘をついたのは、光真が謝るのを防ぐためである。
「そうですか。なら行きましょう!」
「はいっ! けど久しぶりに見たら大きくなったね、ミッチくん」
「ことりさんもいつの間にか、凄い可愛らしくなりましたね」
「う、嬉しいけど、こういう事はここで言うもんじゃないよ」
ことりはもー、と言いながら顔を赤らめる。光真もははは、と笑いながらも少し恥ずかしそうだった。周りからは嫉妬の目が向けられる。だが、この二人は気にしたもんじゃない。
何故なら、幼馴染みとの数年ぶりの再会だからだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「最初は何処に行きます?」
「うーん……ことりはお洋服が欲しいかなぁ」
ことりと光真が入って行ったのは、秋葉原の有名な洋服店。ことりが洋服好きなのは光真も昔から知っていた。よく、着せ替え人形にさせられていたからだ。
「どう? 似合うかなぁ?」
「えぇ、とっても似合ってますよ」
試着室から出てきたことりの姿を見て、光真は微笑む。何着か試着した後、ことりがある提案をしてきた。
「ミッチくんも着てみようよ」
「えぇっ……と。僕はいいですよ」
光真も服を試着しようという提案だったが、光真は遠慮しておく。だが、ことりはこうなってしまうと、もう止まらない。次々と男物の服を持ってくる。中には、女物も何故か混じっているのだが。
「ど、どうですか?」
「うん、似合ってるよ! じゃあ、こっちも着てみて」
試着した光真にことりが差し出して来たものは、それも可愛らしい女物のワンピースだった。それを見た光真は慌てふためく。
「こ、ことりさん……それは恥ずかしいですよ……」
「うふっ、冗談だよミッチくん。やっぱりこっち着てみて!」
冗談だと笑うことり。周りからは黄色い目線。女性店員はクククと肩を震わしていた。その後、ことりの着せ替えパーティーが十数分程続いたんだとか。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「んっ〜! このパフェ美味しいっ!」
「それなら良かったです」
ことりと光真は服を購入した後、ドルーパーズでパフェを食べていた。何とも嬉しそうな表情でパフェを食べることりを、相変わらずの笑顔で光真は見つめていた。
「けど本当に大きくなったよね、ミッチくん。前はことりの方が大っきいかったのに」
「流石に身長は負けてられませんよ」
彼、呉島光真はUTX高校の理事長の弟でもある。ことりの親も音ノ木坂学院の理事長であり、光真の兄とは小学校、中学校、高校と同級生であった。なんやかんやでことりと光真は昔に一緒に遊んでいた中であった。
だが数年程前から光真の兄の仕事が忙しくなり、そこから会う事は一度も無かった。だが高校一年生のことりと、中学三年生の光真は久しぶりに遊んでみようという事になって今に至る。
女の子とは子供の頃によく身長が伸びるものだ。一歳の歳の差もあってか、昔はことりの方が光真よりも身長が高かった。だが今となっては、光真は160センチを超える身長だ。ほんの数センチではあるが、ことりよりも光真の方が大きかった。
「そう言えばミッチくんって、中学三年生だよね。高校ってどこ行くの? やっぱりUTX?」
「うーん……まだ悩んでるんですよね。もしかしたら気が変わって、音ノ木坂学院に入ったりするかも知れません」
「あっ、それだったら嬉しいなぁ。ミッチくんと同じ高校で学べるんだもん」
「僕もです。まぁ、もしかしたらの話なんですけどね」
光真も今年は受験生である。本来ならば兄が理事長をしているUTX高校に入るのが最適だが、仲のいい幼馴染みがいる音ノ木坂学院に入りたい気持ちも少しはあった。まぁ、ユグドラシルからの直下で情報が来て、すぐ兄貴分の葛葉幸汰と動ける状況を作っといた方がいいとも思うのだが。
そんな事を考えて、もしかしたらの所で声のトーンが下がってしまう光真を、ことりは不思議そうに見ていた。光真も心配はかけまいと、すぐに話題を切り替える。
「ことりさんは、服のデザイナーになるって夢がありましたよね。あれからどうなりました?」
「うん。まだデザイナーになりたいって思ってるよ」
「じゃあ、あの留学の件はどうなったんですか?」
「それは……」
ことりは黙り込んでしまう。光真は悪い事を聞いてしまったのかと思い、バツの悪そうな顔をするが、ことりは大丈夫だよと声をかけた。
「やっぱりデザイナーさんにはなりたいけど……今は穂乃果ちゃんや海未ちゃんと、一緒に居たいんだよね……」
穂乃果と海未がことりの親友でもあり幼馴染みなのは、光真でも知っていた。ことりは生まれつき左膝が悪く、幼い頃に手術を受けていた。最初は手術痕を気にしていたようだが、海未に話してからは吹っ切り、現在に至る。自分の事を理解してくれた友達がいると嬉しそうにしていた事は、光真は今でも覚えている。だからこそ、幼馴染みから離れたくないのだろう。
「穂乃果さんと海未さん……僕の事は覚えてるでしょうか?」
「うーん……一緒に遊んだのは本当に小さい頃だったからなぁ……」
穂乃果と海未が光真の事を覚えているかは、少しだけ怪しかった。写真こそ一緒に写っておらず、遊んだのも本当に小さい頃の話だからだ。どうだろうかと、ことりは苦笑する。
「まぁ、ことりさんもデザイナーになれる様、頑張って下さい。あと穂乃果さんと海未さんにも、よろしくと伝えておいて下さい」
「うん。頑張るよ」
そう吐くと光真はパフェを食べ始めた。ことりはその様子をみて自分もパフェを食べようかと思ったが、一つだけ光真に言いたい事があった。
「でもねミッチくん……」
「はい?」
そう呟いたことりは、情けない返事をする光真の両頬を指で釣り上げた。
「昔からの幼馴染みなんだし、歳も近いんだから『ことり』でいいんだよ?」
「この……けいごくせはなおんないんですぅ……」
口が釣り上がって、話しにくそうにしながら苦笑いする光真。その敬語癖は本当に昔からのモノで、中々治らないものだった。
「何だミッチ? ガールフレンドか?」
「ち、違いますっ! ことり達はそんな関係じゃありません!」
「そうですよ、坂東さん……」
「へぇ〜、ことりちゃんって言うのか。可愛いな」
その光景をみてからかっているのか分からないおじさん、坂東。ことりと光真は顔を赤くしながら否定していた。
「(あれで付き合ってないのかぁ……)」
その場にいたイヨ、バイト達、ドルーパーズに来ていた客は皆、そんな事を心の中で呟いていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……! ことりさん、ちょっと待ってて下さい」
「ん? どうしたの?」
ドルーパーズを出て、次の目的地である洋菓子店『シャルモン』を目指して秋葉原の街の中を歩いていた。何と光真はシャルモンの店長と知り合いだと言うのだ。流石、UTX高校の理事長の弟である。顔が広い。ユグドラシル関係もあると思うのだが。
歩いている途中で光真が立ち止まった。見ると携帯が鳴り響いているので、電話が来たようだ。だが話している光真の表情はいつもより強ばっていて、何だか緊迫した雰囲気が見て取れる。
「……すいません、ことりさん。少し用事が出来てしまったので、あそこで待っていてくれませんか?」
電話が終わった光真が指さしたのはカフェのテーブル席。本当に急ぎの用らしく、ただすぐ戻ってくるとも言うので、ことりは承諾する事にした。
「うん。いいよ?」
「ありがとうございます。すぐ戻って来ますから!」
そう言って光真は走って行ってしまった。何だか、本当に急な用事である。
「……どうしたんだろう?」
その様子を見たことりは、違和感を覚えずにはいられなかった。だが光真を疑うというのも悪いので、大人しくカフェの椅子にゆっくりと腰掛けた。
あの腰にぶら下がるブドウの錠前も、一体何なんだろうと考えながら。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はぁ、幸汰さん」
「悪いなミッチ……久しぶりに幼馴染みの女の子と、遊んでたんだろ……?」
「いえ、大丈夫ですよ。それよりもさっさと終わらせちゃいましょう」
光真の向かった先は、人目につかないような路地。そこには親友である葛葉幸汰と、その後には異世界ヘルヘイムとこの世界を繋ぐ割れ目、クラックが開いていた。
済まなそうな顔をする幸汰をよそに、光真は戦極ドライバーを取り出し腰に装着する。それを見てハッとした幸汰も戦極ドライバーを取り出し腰に装着した。
そして腰にぶら下げていた錠前『ブドウロックシード』を取り出し解錠する。幸汰も渋々『オレンジロックシード』を取り出して解錠した。
『ブドウ!』
『オレンジ!』
すると光真の上空にクラックが開き、そこからはブドウの形をした鎧が降りてくる。一方、幸汰の上空にもクラックが開き、オレンジの形をした鎧が降りてくる。それを見た二人はそれぞれロックシードを、戦極ドライバーに施錠した。
『『ロックオン!』』
光真の戦極ドライバーからは中華風の待機音声が鳴り響き、幸汰からの戦極ドライバーからは和風の待機音声が鳴り響く。それなりの音なので、内密な作業をするならいらないとも思ったが、どうにも開発者の趣味らしい。はぁ、と溜息をつく二人はカッティングブレードを下ろした。
『ハイ〜ッ! ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!』
『ソイヤッ! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!』
ロックシードから面白可笑しい音声が鳴り響くと、二つの鎧は二人に急降下してくる。光真にはブドウの鎧が降りてきて、装着と共に緑のライドウェアが身体を包み込む。幸汰にはオレンジの鎧が降りてきて、何処かで見たことのある紺色のライドウェアが身体を包み込んだ。
「ふぅ……やっぱり着慣れませんね」
ブドウの鎧が展開されて姿を現したのは、緑の龍の戦士『アーマードライダー龍玄』である。彼の右手にはブドウを象った片手銃『ブドウ龍砲』が握られていた。
「っ…………」
そしてオレンジの鎧が展開されて姿を現すのは、フルーツ鎧武者こと『アーマードライダー鎧武』である。彼の右手にはオレンジを象った刀『大橙丸』が握られていたのだが、鎧武は変身するごとにその刀を見て、手が震えていた。
「……幸汰さん? 大丈夫ですか?」
「あ……わりィわりィ。何でもねぇ……」
鎧武に変身するごとに嫌がるのは、分からなくも無かった。アーマードライダー鎧武のその姿は、戦極ドライバーのデーター元である武神鎧武の戦極ドライバーから、殆どそのままの状態で引き出しているのだ。武神鎧武の戦極ドライバーは装着者に多大な負担がかかる筈の為、鎧武はその危険性を抑えている分、出力が武神鎧武よりも低い。それでもアーマードライダー鎧武のその力は、アーマードライダー斬月を超えるものだった。まぁ、装着者の使い方次第によって、そんな力差など関係無いのだが。
話を戻すと、武神鎧武の戦極ドライバーは数ヶ月前に何者かによって盗まれた。そしてその何者かが現在、武神鎧武に変身している。まさにユグドラシル・コーポレーションの敵である。そんな敵と同一の姿をしているのなら、嫌がるのも当然だと光真は推測する。
『……光真、幸汰。聞こえるか?』
「うん。兄さん」
「あぁ……聞こえるぜ、
光真と幸汰に無線を繋げて来たのは、光真の兄にしてUTX高校の理事長。……そしてアーマードライダー斬月の変身者である、
『ならば、いつもの様に頼むぞ』
「はい。分かったよ、兄さん」
「了解しました……賢虎さん」
彼等の仕事は、このクラックが閉じるまで一般市民が近寄らないかの見張り。又は出てこようとするインベスの撃退である。
何故、彼等を選んだか。それはまだ子供である彼等は、戦うと大人よりも成長していく。これは今後、量産化と世間に公表を検討している『アーマードライダー黒影』を製作するための
更に言ってしまえば身体能力が非常にずば抜けていて、推薦入学をした葛葉幸汰はいい実験台と言う事だ。勿論、幸汰も光真も承諾している。
武神鎧武の戦極ドライバーの強奪については流石に危ないので、呉島賢虎本人がアーマードライダー斬月に変身して戦っている。この間は失敗に終わった訳だが。装着者は未だに分かっていない。
更に最近に至ってはバナナのロックシードを使用する、謎のアーマードライダーバロンも出現し、骸骨の鎧を被る『骸の様な』アーマードライダーまでも出現した。アーマードライダーバロンは装着者が判明しており、名を駆紋凱斗というらしい。だが彼は戸籍等が一切無く、それでも音ノ木坂学院に通っているという素性不明の男である。光真はことりとそんな男が関わっていないといいなと、心の底から思っていた。
そんな事を思いつつも、龍玄と鎧武はそれぞれの武器を構えてクラックを潜り、ヘルヘイムの森の中へと足を運んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「遅いなぁ……ミッチくん……」
光真が姿を消してから、既に二十分以上が経過していた。あれから光真からの連絡も無く、来る気配も無い。だがことりはカフェの席に座り、光真を待ち続けていた。
「あれっ……? 何だろう……」
カフェのテラスから秋葉原を歩く人波を見ていると、ビルの影だろうか。そこからは不自然に蔦が顔を覗かせていた。不自然な筈なのにことり以外の人間は、まるで気づいていないかのようにその場を通り過ぎる。ことりは不思議に思った。
「何、ここ……」
ことりが見つけたのは、まるで異世界の森に繋がっているかのような割れ目。そう、クラックとヘルヘイムの森であった。だが、そんな事を知らないことりは気になってしょうがなくなる。
「ちょっとだけなら……」
光真に待っていろと言われたが、そんな事はこの頃には忘れているも当然だった。少しだけ入るだけならと、ことりはクラックを跨いでヘルヘイムの森へと足を運ぶ。
「わぁ……凄い……」
その森は、まさに幻想的と言わざるを得無かった。鬱蒼と地面に這いよる蔦の数々。空も暗く、木は虹のような線がかかっていた。
そして何よりもことりの目を引いたのは。
「何かの果物かなぁ……?」
蔦に生えている、暗い虹色の皮を被った不思議な果実。その名もヘルヘイムの実。ことりは果実をもぎ取ると、その虹色の皮を剥く。すると綺麗な透き通ったピンク色をした、果実が姿を現す。
美味しそう。
ふと、そんな事を思った。だが、こんな正体も分からない果実を食べてはいけないと思う。毒が無いとも限らない。
なのだが。
食べたい。
「ぁ…………」
小さく声を漏らす。その尋常じゃ無い食欲に、ことりは襲われる。数十分程前にパフェを一つ食べたばかりなので、別にとてもお腹が減っている訳でもないのに。
不思議な果実を口に運ぼうとする。食べたい……食べたい……食べたい……食べたい、食べたい、食べたい、食べたい食べたい食べたい……
『キショァァァァァ!』
「ピィ!?」
突然の奇声に、ことりは体を跳ね上がらせて驚いた。後ろをふりむくと、そこにはことりよりも遥かに大きい2メートル程の異型。その白い羽を今にも羽ばたかんとする『コウモリインベス』を見たことりは、恐怖で尻餅をついてしまう。
徐々に徐々に、コウモリインベスがことりへと近付いてくる。ことりは逃げたくても腰を抜かしてしまい立てなかった。目の前の驚異になすすべもなく、その爪が振り下ろされる。
「ハァっ!」
『ギュァァァ!?』
だが目の前のコウモリインベスは謎の銃撃をくらい、後ろに下がる。ことりは状況を飲み込めず、慌てていた。
するとことりの目の前に、ブドウの鎧を身に付けた龍の戦士────アーマードライダー龍玄と、オレンジの鎧を身に付けた鎧武者────アーマードライダー鎧武が現れる。恐らく、銃撃は龍玄のブドウ龍砲から放たれたものだろう。
「何故、ことりさんがここに……?」
「えっ……何でことりの名前を……?」
「あっ……あぁ! もう!」
龍玄はしまったと頭を抱えた後に、自棄糞にブドウ龍砲のレバーを引き装弾する。そしてコウモリインベスに向かってトリガーを引き、発砲する。一方、鎧武はというとことりに右手を差し伸べて静かにこう言った。
「なぁ……その果実を俺にくれないか……?」
「えっと……これですか……?」
ことりは先程食べようとしていた果実を、鎧武の手に乗せる。するとその果実は光りながら変化していき、イチゴの錠前であるイチゴロックシードとなった。
「っ……何で似てるヤツなんだよ……」
そう震えた声で呟いた鎧武は、その錠前を解錠した。
『イチゴ!』
鎧武の上空にクラックが開き、そこからはイチゴの鎧が降りてくる。鎧武は腰の戦極ドライバーからオレンジロックシードを取り外すと、イチゴロックシードを施錠しそのままカッティングブレードを下ろした。
『ロックオン! ソイヤッ! イチゴアームズ! シュシュッと・スパーク!』
「イチゴ……?」
その鎧は一回地面をバウンドして、オレンジの鎧が消えた鎧武はそれを被った。すると鎧が展開されてアームズチェンジが完了する。そんな不思議な風景に、ことりは呆然としていた。
「早く終わらせるぞ……」
「そんな事、分かってますよ。僕だって今、イライラしてるんですから……」
鎧武と龍玄はそう呟く。鎧武はイチゴロックシードを取り外し、無双セイバーに施錠する。龍玄はカッティングブレードを、一回下ろした。
『ロックオン! 一・十・百……』
『ハイ〜ッ! ブドウスカッシュ!』
無双セイバーの刃は赤く光だし、ブドウ龍砲の銃口には紫色の球体をしたエネルギーが集まっていく。そして、どちらも森の中を飛来するコウモリインベスに向かってトリガーを引いた。
『イチゴチャージ!』
「はぁぁぁぁ……うぉらぁぁぁぁぁ!」
「うりゃぁぁぁぁぁ!」
電子音声と共に、鎧武は無双セイバーを振るう。その刃からはイチゴクナイが放たれ、コウモリインベスを貫く。更に龍玄の巨大な砲撃が、コウモリインベスにとどめを刺した。
異様な光景が以外にもあっさりと終わり、その場を離れようと自分の横を通り過ぎる龍玄にハットし、振り向いて声をかけようとした。
「あの……」
だが、その声は届かない。
「痛っ……!」
突然、首に響き渡る激痛。意識が朦朧とする中、ことりは龍玄の姿を最後まで見つめている。そして彼女は、ヘルヘイムの森の中に倒れ込んだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……あれっ……?」
次に目に入った光景は、森の中でも怪物でも無い。ましてや、あの龍の戦士や鎧武者の姿でもなかった。
「どうかしたんですか?」
急ぎの用事で中々帰ってこなかった筈の、呉島光真の姿。そして自分が座っていたのはカフェのテラス席でもドルーパーズでも無い。
「お待たせ致しました。こちらがチーズケーキで御座います」
「あっ、ありがとうございます。
メガネをかけた店員だろうか。恐らく光真の知り合いであろう
「あら、貴女が呉島の御坊っちゃんのお友達ね。可愛いじゃないの」
すると店の奥から、ガタイのいい男の人が現れてくる。城乃内はその人を『師匠』と呼び『ここではパティシエと呼びなさい!』と指摘された後、城乃内の上からタライが落ちてくる。城乃内はその衝撃で地面に倒れ込むが、ことりはそれよりもそのパティシエを見て目を輝かせていた。
「貴方は
「Heureux! ワテクシを知っているなんて光栄ね!」
そう言われて笑顔になる彼の名は凰蓮・ピエール・アルフォンス。このシャルモンの店長である。彼は十五年前にフランスに渡り、十年間パティシエの修行をしたと言われている。パティシエの実力は本物で、クープ・デュ・モンドというパティシエの大会で優勝する程だ。彼の名を知らない者は、この秋葉原にはそうそう居ない。
「今日は気分がいいわ! さっ、食べて食べて!」
「じゃあ頂きましょうか」
光真がそう吐いて、フォークを持ちチーズケーキに手をつける。だが、ことりはまだあの事が夢で無いとも思っていた?
「(夢……だったのかなぁ……? だけど首痛いし……寝違えちゃった? でも……あのブドウの人……ミッチくんに似てたような……)」
「ことりさん?」
「ピャッ!? あっ、そうだね! 食べよっか!」
ことりは戸惑いながらもフォークを手にし、チーズケーキに手をつける。チーズケーキはとてもなめらかで甘く、隣に添えられていたブドウは少し甘酸っぱかった。
『第壹幕 武神再誕編』 これにて閉幕……
そして舞台は第二幕へ、足を進める……!
「にゃ? 朱果ちゃーん!」
「お久しぶりです。戦極先輩!」
猫と花との再会
「副生徒会長の戦極裕也くんね? よろしく」
裕也が副生徒会長!?
「感のいいガキは嫌いだぜ……」
ロックシードを売り捌く錠前ディーラーとは……?
「相変わらず猫には嫌われるな……」
突如、現れる謎の少年
「貴方が謎のアーマードライダーね?」
「行きますよ、師匠!」
「ちっ……こうなりゃ自棄糞だ!」
活性化するライダーの戦い
「俺は十五の武神の力を操る者……」
十五の武神の力を操るアーマードライダー!? 敵か味方か!
『ダークネスアームズ! ……オぅゴンの果実……!』
そして忍び寄る黄金の影……
時代は確実に戦極乱世となっていく……
『第貮幕 黄金復活編』
これにて第壹幕、完となりました! いやぁ〜疲れました
今回はユグドラシル・コーポレーションの素性、斬月の正体、ミッチと幸汰の行っている事について判明しました。何だか凄いなぁ……
この呉島賢虎……メロンニキもまだまだ謎が多い人間です。そして出てきた凰蓮と城乃内……彼等は変身するのでしょうか……?
そしてことりちゃんのデートは犠牲になったのだ。すまん、本当にすまん。まぁ理事長繋がりだったらこんな事もありだろうなぁ……と
実はことりちゃんの膝が弱い設定は、最近知りました。まじかよ
そして次回出てくるのは……猫と花! そしてお待たせいたしました(?)『十五の武神の力を操る者』の登場です。この人は相当な重要人物となってきます……
第二幕まではプロット組んでますので、話が壊れはしないです
前回はウィングゼロさん。感想ありがとうございました! 感想は本当に励みになります……!
感想・評価お待ちしております!