ラブライブ!-女神と武神のアイドル戦極記-   作:Professor灰猫

3 / 14
貮話 鎧武者

「「「えぇぇぇぇー!?」」」

 

 

祐也、にこ、幸汰の3人は驚きの声を上げていた。祐也は自分の顔や身体をペタペタと触っている。

 

 

「何だこれぇ!?」

 

「うほぉぁ!?祐也、変身しちまったよ!」

 

「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ幸汰!ちゃんと隠れるわよ!」

 

「いてててて!」

 

 

幸汰は大声を出しながら驚いている。対してにこは、出来るだけ冷静になって物陰に隠れようとして、幸汰の頭を押し込む。だが1番驚いたのは、やはり祐也だ。

 

何故なら夢に出てきたあの青い鎧武者と、ほぼ同一の姿になってしまったからだ。だが所々違うと言われてみれば違う。伊達政宗でもイメージしたかのような頭の三日月の兜飾りは、赤色が入っていたり、クラッシャーの部分は黒い。さらにオレンジの鎧は赤く、茨模様が入っている。複眼も赤く禍々しい。

 

 

《キュルァァ!》

 

「うぉっ!?いてぇよ!」

 

《ギュル!?》

 

「え……これいけんのか?」

 

 

突然、灰色の怪物『初級インベス』が青い鎧武者に変身した祐也を、後ろから多い被さるように襲いかかった。勿論、祐也は痛みを感じ、抵抗する。すると初級インベスは弾き飛ばされ、驚いている様だ。弾き飛ばした祐也自身も、唖然としている。痛みこそ感じるが、力は向上しているのだ。

 

 

「う、ウラぁ!」

 

《ギュルゥゥ!》

 

「お、お……オラぁ!ウラぁ!」

 

《ギュルゥァァ!?》

 

「うわぁ……」

 

「う……血みたいなのが飛び散ってる……」

 

「いける……!」

 

 

変身と共に握られていた、赤黒いオレンジの断面を模した刀『大橙丸』で、初級インベスの装甲を切り裂いた。

 

その斬り口からは火花と共に、緑と赤が混じったような血が噴き出し、祐也の鎧に"ビチャ"という音をたてながら付着する。その気持ち悪さに幸汰は口を開けながら、にこは口を抑えながらその光景を見続けている。祐也自身は、余り気にしていないようだ。

 

すると後ろにいた初級インベスは、紫色の果実『ヘルヘイムの実』を次々と食べ始めた。そうすると初級インベスの背中からは羽のようなものが生えて、空を飛んでいた。『初級インベス強化体』の姿に戸惑っていた。

 

 

「や、やべぇ……!ぐはっ……!」

 

「ゆ、祐也ぁ!」

 

《ギュルァァァァァ!》

 

「やばっ……」

 

 

空から強化体が、鋭利に尖った爪で祐也の鎧を切り裂く。火花が飛び散ると共に、祐也はよろめく。かなりダメージが入ってしまった。

 

さらには先程、大橙丸で斬り裂いた初級インベスの顔が、口のX字型に開かれて巨大な牙が現れる。『初級インベス凶暴体』になってしまった個体は、祐也の方に向かってくる。

 

 

「どうすればいいんだ……っ?これか!ウラぁっ!」

 

《ギュァァァ!?》

 

「おっし!……ってこれ銃剣か?オラぁ!」

 

《ギュルゥ!?》

 

「オラオ……って、もう弾切れかよ!?」

 

 

右腰に付いていた黒い刀『無双セイバー』を、咄嗟に左手で引き抜きそのまま横に一閃────凶暴体を切り裂き、返り血を浴びる。

 

凶暴体が後ろに下がった後に、祐也は無双セイバーを良く見ると、銃口と後部に黄色のスライドがある。そう、祐也の思う通り無双セイバーは銃剣なのだ。

 

祐也がスライド『バレットスライド』を引くと、無双セイバーに黄色い光が4つ充填される。トリガーを引くと光弾が発射され、初級インベス凶暴体に撃ち込まれる。もう一発撃ち込んで凶暴体との距離を取った。さらに飛んでいる上級体の2体にも、光弾を撃ち込み落下させるが、ここで弾切れとなり決定的な一打を決める事が出来なかった。

 

 

「何か必殺技みたいなのがあれば、良いんだけどな……」

 

「なぁ、祐也!そのブレードをもう一回倒したらどうなるんだ?」

 

「こ、こうか?」

 

 

『ブラッドオレンジスカッシュ!』

 

 

幸汰からの助言に裕也は従い、腰に装着しているバックル『戦極ドライバー』の小刀『カッティングブレード』を一回倒す。すると大橙丸の刀身が赤く光り、果実のエネルギーが充填される。

 

 

「ウラぁぁぁ!」

 

《ギュ"ル"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!》

 

 

凶暴体に向かって、大橙丸を縦に振った。赤いエネルギー刃が放たれ、それが凶暴体を真っ二つに斬り裂き『大橙一刀』が決まった。初級インベス凶暴体は爆散し、溢れ出た血を祐也は全身に浴びた。それでも祐也は気にせず次の行動に出る。

 

あと残っているのは上級体が2体、またもや空を飛んでいる。何とか動きを止めたいと思った祐也は、また夢の出来事を思い出した。

 

 

「こうか!」

 

「うぉぉ!?薙刀だ!」

 

 

『ロックオン!』『一・十・百・千・万……』

 

 

大橙丸と無双セイバーをくっ付けて『薙刀モード』に変形させる。さらに戦極ドライバーから取り外した錠前『ブラッドオレンジロックシード』を無双セイバーに施錠する。そして無双セイバーと大橙丸のどちらの刀身にも果実のエネルギーが充填されていく。

 

だがすぐには動かず、薙刀を構えながらとあるタイミング(・・・・・・・・)を静かに待った。

 

 

「……っ、今だ!ウラぁ!オラっ!」

 

《ギュル!?》

 

 

そう────上級体が同時に攻撃してくるタイミングを待ち続け、無双セイバーを振り、その刀身から放たれたエネルギーで、上級体の2体を果実のエネルギーで拘束する。

 

 

『ブラッドオレンジチャージ!』

 

 

「もらったぜ!セイハァァァァァ!」

 

《ギュ"ギュ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!》

 

 

エネルギーの充填が完了され、祐也はまず1体を横に切り裂いた。そして、すぐにその薙刀を左手に持ち替えて、後ろに振り切るようにして斬り裂いた。どちらも断末魔を上げながら横に真っ二つにされ、爆散する。また祐也は返り血を浴びてしまった。

 

 

『ロックオフ』

 

 

そして怪物がもういない事を確認すると、ロックシードを閉じて変身を解除しながらにこと幸汰の方に歩いて行く。

 

 

「お、終わった」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「おぉぉ祐也!カッコ良かったぜ!」

 

「まぁ、助けてくれた事には感謝するけど……アンタかなりえげつない事するわね……」

 

「そうだったか?」

 

 

俺は変身を解除した後、幸汰とにこにそんな事を言われた。幸汰がカッコイイと言うのは別として、にこの言っている事はそうなのかもしれない。あの怪物だって生き物だ、俺はそれを幼馴染みを守る事とはいえ、躊躇いもなく殺してしまったのだ。

 

俺はそんな事を考えながら幸汰とにこの後ろの方を見てみると、あの裂け目が徐々に閉じて来ているのが見えた。

 

 

「おい!早く出るぞ!にこ、俺に乗れ!」

 

「え、え!?分かったわよ!」

 

「ちょっと待ってくれぇぇぇ!」

 

 

また転ばないようにと、降りていたにこを俺がおぶる。そしてまた裂け目に向かって全力疾走し、何とか飛び出す事が出来た。

 

随分と時間が経っていたのか、空は橙色に染まった見事な夕空だった。

 

 

「ハァ……ハァ……疲れたぁ……」

 

「あの森とか怪物って何だったのよ……幸汰も変身しちゃうし、訳分かんないわよ……」

 

「確かに気になるな……その祐也が持ってるバックルとか」

 

 

にこや祐也の言う通り、訳が分からないしこのバックルの正体も知りたいが、俺は初の戦闘をしたせいか、身体がとんでもない程に疲れていた。

 

 

「幸汰、電話鳴ってるわよ」

 

「お、本当だ……ミッチからだな」

 

「「ミッチ?」」

 

 

幸汰が『ミッチ』と呼んだ奴は俺とにこは知らないので、同時にその名前を言ってしまった。恐らく『ミッチ』というのはあだ名だろう。幸汰があだ名で呼ぶ程親しい奴だとすると、信頼されやすい人間性でも持っているのだろうか。

 

幸汰の通話が終わると同時に俺が聞こうとするが、にこが先に幸汰に聞いた。

 

 

「えっと……幸汰、ミッチって?」

 

「あぁ。ミッチっていうのはあだ名で、本名は呉島(くれしま)光真(みつざね)って言ってさ、祐也とにこが抜けたすぐにチーム鎧武に入ってきた奴なんだ。今は中三なんだけどそれなのにしっかりしててよ!ダンスも上手ぇんだぜ!だから俺が抜けた後はミッチにリーダー任せたんだ。まぁ今は俺も直々行って、ダンスの面倒見てやってんだけどな」

 

 

幸汰はニカニカしながら話す。そうするとミッチこと呉島光真は、相当幸汰と仲が良いようだ。呉島という苗字には聞き覚えがある気がしたが、気のせいだろう。幸汰があまりにも楽しそうに話すもんだから、少しその光真に興味を持ってしまった。

 

 

「そうなのか……ちょっと会ってみたいな」

 

「だろ?今度、祐也もチーム鎧武のコテージに来いよ!あ……ミッチに呼ばれてるの忘れてたぁぁ!じゃあな祐也!にこ!」

 

「じゃ、じゃあね幸汰」

 

 

かなり嵐の勢いで幸汰は過ぎ去って行き、にこは戸惑いつつも手を振っている。と、いつの間にか話してる内にまた周りが暗くなって来ていた。

 

 

「じゃあ……にこ、帰るか」

 

「そうね」

 

 

そう言って俺らは、影が写る道を歩き始めた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「しっかし……本当にあの森とか何だったのかしら……」

 

「さぁな……俺にも分かんねぇよ……」

 

「まぁ────────美味しくなかったけど……」

 

 

俺らは歩きながらそんな事を話していた。やはりあの森での出来事が強烈過ぎて、頭から離れない。

 

にこが何が美味しくなかったかは聞き取れなかったが……もしかしたらあのパフェのブラッドオレンジが、内心余り口には合わなかったのだろうか。

 

 

「けど……今日のデート自体はとっても楽しかったわよ。でも悪かったわね……荷物持たせちゃって」

 

「いいんだよ。こんな可愛い幼馴染みと、デート出来るならな」

 

「なぁっ…………ぁ、ありがとぅ……」

 

 

にこが今日1番、顔を真っ赤っかにしてそっぽを向いてしまった。……そんなに恥ずかしい事言っただろうか。

 

別談だが、デートというものは付き合ってる男女がいうものじゃないのか。俺はライトノベルとか見ていても毎回疑問に思っている。まぁ、ここはにこに合わせておく事にしておいた。

 

 

「で、でも……やっぱり普通のまま終わりたかったわ……。もうあんなのは懲り懲りよ」

 

「だな……2度とあんなのが出てこないといいが……」

 

 

確かににこの言っている事は分かる。どんどんあんなのが出てきたら身が持たない。

 

 

「そういや、チーム鎧武のガレージにも顔出したいわね……リーダーやってるミッチって子も気になるし」

 

「だよな。にこはリーダーに相応しいかって、気になるんだろ?」

 

「そう、チーム鎧武に相応しいリーダーの素質を持っているのかってね」

 

「んじゃ今度、時間出来たら2人で行ってみるか」

 

「そうしましょ」

 

 

やっぱりチーム鎧武の今、どうなっているのかが気になる。チームの皆は元気にしているのか、ミッチって子はどんな奴なのか。

 

そんな事話している内に、いつの間にかアパートの自分の部屋の前に来ていた。時間というものは過ぎるのが早いもんだと思う。

 

 

「じゃあね祐也。また明日」

 

「じゃあな、にこ」

 

 

にこが笑顔で言ってくるので、俺も笑顔で挨拶を返す。そして自分の部屋に入っていく。こうして俺の波乱過ぎた1日は、幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





祐也初勝利です。この話では初級インベスでした。

インベスは血が出ませんが、この話では『綺麗な赤と緑が混ざった色の血』が吹き出て来るようになってます。鎧武原作重視する人は気をつけて下さい。

シリアスを追加した理由は、にこの発言の捉え方が重要になってくるのと、この後の幸汰がミッチに呼ばれた理由です。続きを見て下さる方は覚えといた方がいいかも知れません。

にこがこんな感じなのは、俺が元にこ推しだからかもです。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。