ラブライブ!-女神と武神のアイドル戦極記-   作:Professor灰猫

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戦極ドライバー

武神(アーマードライダー)に変身する際にロックシードと共に使用されるバックル。最初に使用した者のみが使用出来る。
腰に当てると自動的にベルトが巻かれ、右腰にはロックシードホルダー、左腰には無双セイバーが出現する。尚、無双セイバーは変身時前でも使用可能。
真ん中の窪みにロックシードを施錠し、隣の小刀のカッティングブレードを倒しロックシードの断面を切り開く事によって、変身が完了する。










肆話 迷っても進む

「ここからは俺のステージだ……」

 

 

 

 

 

彼、祐也────武神鎧武は『シカインべス』に向けて言った。

 

まだ心の奥には迷いがある、恐怖がある……そんな意味も隠った言葉だったが、祐也の足はシカインべスに向かって進む事を止めない。

 

シカインべスは身体を震えさせる。その言葉を聞いて反応したのでは無く、威圧感(・・・)。武神鎧武から放たれる強烈な雰囲気を感じ取ったのだ。

 

 

「フンッ!」

 

《グルァァァァ!?》

 

「ひぃっ……」

 

 

武神鎧武が大橙丸で、シカインべスを斬り付ける。切り口から吹き出てくる奇妙な血液に、希は目を背ける。

 

武神鎧武は返り血を浴びるが、アスファルトの地面に垂れた血液は……同化していくように染みていった。

 

 

「昨日のよりかてぇな……オラァっ!ウラァ!」

 

 

シカインべスの強固な皮膚を、横に一回……二回と斬り込む。シカインべスは激痛で悲鳴のような鳴き声を上げるも、武神鎧武は気にする様子も無い。

 

 

「まずは一発目……」

 

 

『ブラッドオレンジスカッシュ!』

 

 

「────ウラァァァ!」

 

《グヴァ"ァ"ァ!?》

 

 

シカインべスは完全に怯み、弱っていた。その様子を見ると、武神鎧武はもう一度カッティングブレードに手をかける。

 

 

「終わりにして……っ?」

 

「……フフッ」

 

 

武神鎧武はシカインべスの数メートル後ろ────黒いスーツを着付けた不気味な男が立っていた。服装が割と丁寧ではあるが、耳にはピアス、顎には薄ら髭を生やしている。

 

その男は、武神鎧武がシカインべスを一方的に攻める光景を見つめ、不意に笑う。そしてその口を開いた。

 

 

「君は救済が欲しくないのか……?」

 

「……は?」

 

「この世界に……救済を!」

 

「それは……!」

 

 

そう不可解な言葉を放つと……彼の右手には、赤黒い果実のロックシードが握られていた。そうすると男は、ロックシードを地面に放り捨てた。

 

 

《グァァァァア!》

 

「錠前を……食べて……!?何っ……!」

 

《グオ"ァァァァア"!》

 

「巨大化するのか……!お前ぇぇぇ……っ!?」

 

 

ロックシードを食べ始めたシカインべス。その身体は次第に肥大化し、筋肉は腫れ上がって身体は五十メートルまで大きくなった。顔の原型も変わり『シカインべス強化体』はとてつもない咆哮を上げた。その強烈な音に、希は耳を押さえる。

 

男の策略にまんまとハマってしまった武神鎧武は、怒りの声を男に浴びせようとする……が、その男はまさに空気の様に、サッパリその場から消えてしまった。

 

 

「ゆうっち危な────」

 

「ぐうぅぁ……!?ぎぃ……!」

 

「ゆうっち!」

 

 

武神鎧武は希の警告に気付かなかった。横からシカインべスの薙ぎをモロにくらい、吹き飛ばされて近くの木に激突する。

 

その力量が起こした薙ぎは、武神鎧武を確実に苦しめていた。ジンジンとした痛みが、武神鎧武を襲う。

 

 

「クソッ……うらぁ!」

 

《グオ"ァァァァ!》

 

「っ……!?効いてないのか……!?」

 

 

武神鎧武は左腰から無双セイバーを引き抜き、その動作と共にバレットスライドを引いてトリガーも引いた。光弾は、全てシカインべスに当たっていく。

 

だがその光弾はシカインべスの強固な皮膚には全く効かず、痛がる動作もない。

 

 

「や、やめて……こないでぇ……」

 

「このぉぉ野郎!希に近づくんじゃねぇぇ!」

 

 

『ブラッドオレンジスパーキング!』

 

 

シカインべスが近づいて来て、怯えて泣き目になる希。武神鎧武は、カッティングブレードでロックシードを三回たたっ切る。

 

 

「ウォラァァァァァ!!」

 

《グルオァァ!?》

 

「大丈夫か?希、あっちに隠れてろ!」

 

「う、うん……」

 

 

鎧がブラッドオレンジの形に戻り、それを手で回転させシカインべスの攻撃を防いだ。シカインべスはたじろぐ。武神鎧武は怯えていた希に声をかけ、神社の陰に隠れるように言った。

 

 

「てめぇぇ……怯えるような弱い存在に、手ぇ出しやがって……何が楽しいんだぁ!」

 

 

武神鎧武は強く言い放った。その理由無き悪意に(・・・・・・・)

 

だが彼は、まだ真実を知らなかっただけである。今はそんな事、武神鎧武にしてみれば全くとして関係なかった。

だがこれだけは分かったのだ────自分の力を使う理由。それは大切なモノを守り、脅威になる存在をぶっ潰す事(・・・・・)である。

 

そして覚悟を決めて、右腰のロックシードホルダーからロックシードを取り外す。そのロックシードは元々パインロックシードだった物だが、次に武神鎧武が放った言葉と共に、虹色に光って変化していく。

 

 

「そこで神妙にしていろ……!」

 

 

『アナナスパイン!』

 

 

解錠したのは、赤く茨模様の入ったパイナップルの錠前『アナナスパインロックシード』と呼ばれるロックシードである。

 

ブラッドオレンジロックシードを取り外して、アナナスパインロックシードを施錠する。すると、ブラッドオレンジの鎧はすっかり消え去り、変わりにクラックからはアナナスパインの鎧が降りてきた。

 

そしてカッティングブレードを倒す。

 

 

『アナナスパインアームズ!撃砕・デストロイヤー!』

 

 

アナナスパインの鎧が展開される。戦況に応じて鎧を変える『アームズチェンジ』を行ったのだ。

 

 

「ウラァ!!」

 

《グオァィァァ!?》

 

 

右手に握られている、妙に刺々しいハンマー『アナナスパインアイアン』を、シカインべスの頬を叩きつけた。

 

その打撃は凄まじく、先程はビクともし無かったシカインべスが、横に倒れ込む。だが、すぐに起き上がり体勢を立て直し、武神鎧武の方に向かってくる。

 

 

「ハァッ! ……これでも喰らいやがれ!」

 

 

武神鎧武はアナナスパインアイアンのチェーンを、シカインべスの首に巻き付ける。そして勢いを付けて宙を周り、無双セイバーとアナナスパインアイアンの持ち手を連結させ、周りながらシカインべスの身体を斬りつけた。

 

 

《グゥ"……オ"ォォォァァァ!!》

 

「うぉっと……これで終いだぁ!!」

 

 

『アナナスパインスカッシュ!』

 

 

シカインべスがチェーンを振りほどき、武神鎧武を鳥居の方に弾き飛ばしたが、防御力のあるアナナスパインアームズにはさほど通用しない。

 

威力を抑えながら鳥居を蹴り、カッティングブレードを一回倒す。アナナスパインアイアンが巨大化し、そのエネルギー体となったアナナスパインを蹴り飛ばす。そのアナナスパインはシカインべスの頭にすっぽりハマってしまった。

 

 

「────ウオリァァァァァ!!」

 

 

『無頼キック』赤い果汁のエネルギーを溜めた右脚が、シカインべスを腹部を大きく貫いた。シカインべスはそのまま大きな爆発を上げて、消え去っていった。

 

 

「すぅー……はぁ……」

 

 

武神鎧武は大きく溜息をついて変身を解除し、祐也の姿に戻ると、希の元に駆け寄って行った。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「お、おい?怪我無い「何で……」……え?」

 

「何で……ゆうっちがその姿に……?」

 

「……!希、何か知ってるのか!?」

 

「え……いや、あの……」

 

 

見た感じ、希は怪我が無かったようだ。

 

希が言った事に俺は反応し、肩をがっちりと掴む。それに戸惑っているようだ。

 

 

「あ、電話……家から……?」

 

 

すると、俺の電話が鳴ったので携帯を取り出し、着信画面を確認する。そこには『自宅』と表示されていた。

 

まさか空き巣かとも思ったが、冷静に考えてみれば空き巣が電話を掛けてくるはずがない。おそらくアイツだろう。

 

 

「もしもし、にこ?何で俺の部屋にいんの?」

 

「あ、祐也!どこ行ってんの、早く戻ってきて!」

 

「お、おい?何があったんだ?」

 

 

やはり主はにこだった。また鍵を開けて入って来たんだろう。

 

だが、様子が少しおかしい。とても焦っているように聞こえる。

 

 

「後で言うから、取り敢えず帰って来て!」

 

「お、おう……分かった」

 

 

それだけ言うと、俺は電話を切り希の方を向く。

 

 

「えっと……そんな事なんで。また学校で」

 

「え、えっと……待って!」

 

「……何だ?」

 

 

俺が階段を下りようとすると、希に呼び止められた。

 

 

「ゆうっちが……さっきの姿になれるのとか、怪物の事って……にこっちは知ってるの?」

 

「……あぁ。あ、さっき胸揉んだのごめんな。んじゃ」

 

「さ、さらっと言わんでええねん!セクハラやで!」

 

 

もう希に隠しても仕方が無いと思ったので、軽く頷いて置く。後、謝ったらセクハラって言われた……酷い。

 

こうして俺は手を振って、階段を駆け下りた。あのサクラハリケーンを解錠し、急いでにこが待つ我が家へと戻るのだった。

 

 

 

 

「……あれ?あのベルトと錠前……他にどっかで見たことがあるような……」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

場所は音ノ木坂学院、アイドル研究部の部室に移る。

 

アイドル研究部は部長がにこ、そして俺ともう一人(・・・・)。計三名のみが所属する部活なのである。にこが設立する当初は他に三人部員がいたのだが、とある事件が起きて辞めてしまったのだ。

 

……本題に入ろう。此処には今、にこと俺。更に部員では無いが、希が中央にある机に向かって座っている。机の中央には、とある物体が鎮座していた。

 

 

「……どういう事だ?」

 

「にこだって知らないわよ……何でこれが家にあったのか」

 

「……で、希は何で持ってんの?」

 

「いやぁ……前にな、骨董屋で安く売ってたから買ったのを思い出したんよ」

 

「何で……何でバックルと錠前が……?」

 

 

そう、机の中央に並べられているのは、『俺と同じ様なバックル』が二つと、『錠前』が二つ。このミステリアスな光景に、俺の理解が追い付いて行かない。

 

今朝、にこが慌てていた事態とはこの事だったのだ。にこが押し入れに布団を仕舞おうとした時に、このバックルと錠前のセットがひょっこり顔を出したというのだ。

 

希に関しては、今朝の一件の後に思い出したらしい。何故、この様な物を買おうと思ったのだろうか。そこにツッコミたい所だ。

 

だが、一つ。このバックルと錠前の様子が、少しおかしい。

 

 

「これ、どう見ても錆びてるわよね?バックルも錠前も……」

 

「だから腰に巻かれないんとちゃう?」

 

「希……試したのかよ。錠前の方は錆びてると言うよりは黒ずんでないか?」

 

「言われてみれば……」

 

 

この二つのバックルは、何故か所々錆びているのだ。腰に当ててもベルトが巻かれる様子は見受けられないし、小刀も倒せる様子は全く無い。

 

保存の状態が悪かったのだろうか?にこの場合は押し入れから出てきたと言うし、希は大体一年ほど前に買ったようで、その時から錆びていた様なのだ。自然に考えるとしたらそうだろう。

 

錠前の方は錆びている……と言うよりはやはり黒ずんでいた。まるでエネルギー切れの様に。

 

 

「もしかしたら、希の言ってた胡散臭い本と関係あるんじゃない?」

 

「んー……でも、ウチチラッと見ただけやし……」

 

「だけど……今はそれしか無いよなぁ……」

 

「「「うーん……」」」

 

 

俺らは同時に頭を抱えた。このバックルと錠前、あの怪物、希が言ってる古い書物、突然出てきた錆びてるバックルと黒ずんでる錠前……謎がより謎を呼んでしまい、頭を抱える妥当な理由だった。

 

 

「その本って見せてもらえる事は出来ないのか?」

 

「どうやろなぁ……ダメ元で頼んでみる?」

 

「そうしてもらえると助かるわぁ……」

 

 

結果、希が神主さんにダメ元で頼み込む事になった。神主さんはかなり柔らかい人らしいので、恐らく見せてもらえるとは思う。

 

 

「この事は三人だけの秘密って事で」

 

「せやね〜。絶対、あの子(・・・)にはバレないようになぁ?」

 

「そうね。アイツ(・・・)は巻き込みたくないし」

 

 

『アイツ』とはこの部活の後輩……大切な後輩だ。

 

にこが巻き込ませたくない程、大切にしている……のは半分と、バレると興味を持ち始めて面倒な事になるから言いたくない。

 

……バレない、よな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







遅れて申し訳ございませんでした。

今回登場したオリジナルロックシードのアナナスパインロックシードは、パインアームズの柄をブラッドオレンジアームズに変わったと考えて下さい。パインアイアンも赤く、少々刺々しています。

このロックシードが変化したのは奇跡でもなんでもなく、戦極ドライバーの効果によるものです。この効果については、後々お話する事になります。

次回はまさかの完全オリジナルキャラが登場します。(アーマードライダーでは)ないです。
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