ラブライブ!-女神と武神のアイドル戦極記-   作:Professor灰猫

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今回から視点が三人称視点になります



伍話 詮索

神田明神での戦いから、五日も経過していた。その間、怪物は一度っきりとも裕也達の前には現れておらず、あの奇妙な男も出て来なかった。

 

そこからは普通に学業に専念していた。後もう少しすれば期末テストもあるので、にこに勉強も教えていかなければならない。謎解きは二の次になっていた。

 

 

「だけど神主さんが、あっさりと許可してくれるとはなぁ……」

 

「んー、まぁ結構優しい神主さんやし?」

 

 

だが神田明神の神主が書物を保管している倉庫への立ち入り、更には閲覧の許可までもしてくれた。このチャンスを逃す訳にはいかない。

 

そして今はその倉庫の中。窓は締めっきりで埃っぽく、懐中電灯の灯りを頼りに書物を閲覧している最中だった。

 

そこには祐也とにこと希。そしてもう一人(・・・・)、裕也達には見い知った顔があった。

 

 

「で、何でアンタは此処にいるわけ?」

 

「だって……先輩達だけで……面白そうな事、ずるい……」

 

「でも特に面白い事なんて、無いと思うで? 朱果(しゅか)ちゃん」

 

「おっぱい先輩は……黙って「そんな事言う子はわしわしするで〜!」ひぅぅ……戦極先輩っ……」

 

「お前ら程々にしとけよ……」

 

 

黒髪のショートヘアーに動物耳のような癖っけ。落ち着いた顔立ちにらにこ以下の低身長を持ちアイドル研究部の部員で後輩の一年、出雲(いずも)朱果(しゅか)は希のわしわしを避けようと、祐也の後ろに隠れる。

 

それを見た希は手の動きを止めると、ため息をつきながら書物を手に取り始めた。

 

祐也も朱果の方を向く。

 

 

「あのな朱果……今日は俺達だけでする事だから、今日は家に帰ろっか」

 

 

その祐也の言葉はまるで、仕事中の父親が娘に対しての対応と言ってもいい程だった。

 

 

「……嫌です。私も楽しい事、したいです……」

 

「いや、楽しくな「……楽しいです……。私の第六感が、言っています」えぇ……」

 

 

対する朱果の方も、駄々を捏ねる娘の様だ。それを見た祐也は第六感とは何だろうか……と疑問に思い、戸惑ってしまう。

 

 

「あのね、朱果。これはアンタが踏み入れる様な領域じゃ無いの。遊びじゃ無いの。アンタが言っている第六感……? とか何とかが楽しいと思っている様な事は、丸一つ無いから。分かったらさっさと自分の家に帰りなさい」

 

 

そこに部長であるにこが呆れ顔で朱果を説得させようとし、祐也の助太刀に入る。真面目なのか、少し言い方がキツい。

 

そう、これは遊びでは無いのだ。謎の怪物、謎のベルト、謎の錠前…………何も知らない朱果は、できるだけ巻き込みたくない。

 

 

「……部長もずるい。私、此処にいる……!」

 

「えっ? 朱果?」

 

 

すると朱果はほっぺたを膨れ上げさせ、裕也の左腕にがっちりとくっ付いてしまった。祐也は余りにも突然な事に、ポカンと口を開けている。にこはそれを見て慌てていた。

 

 

「アン、タ祐也にくっつき過ぎよ! 離れ……なさい……!」

 

「いや……離れ、無い……!」

 

「何かゆうっち、子連れのパパさんみたいやなぁ〜。写真撮ってもいい?」

 

「希……! スマホで撮って無いで、助けてくれよ……」

 

 

祐也にくっ付く朱果、それを引き剥がそうとするにこ。更にスマートフォンを取り出して、微笑ましそうに撮影する希。祐也の高身長もあってか、周りから見てみれば仲のいい家族に見えてしまう。

 

 

「っ……分かった、分かった! 朱果、此処に居てもいいから大人しくしてろよ……」

 

 

朱果の猛アタックによって、遂に祐也が折れた。それを聞いて子供のようにぴょんぴょん跳ねて喜ぶ朱果と、頭を抱えて溜息をつくにこがいた。

 

するとそれを聞いた希が、祐也の耳元で小さく言った。

 

 

「いいん? ゆうっち。朱果ちゃん此処に居させて……」

 

「大丈夫なんじゃないか? 多分、朱果が分かる話では無いと思うし」

 

 

祐也は思っていた。朱果は子供の様な性格の子だ。ならば…………朱果がこんな事態を分かる頭は、持っていない……と。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「おぉ〜! これや、あったで! タイトルはえぇっと……『戦国武神記』や!」

 

 

そう叫んで希が右手に掲げた書物は、古来からの墨で『戦国武神記』と書かれてあった。古そうな書物だが、破損や虫食い等は殆ど無い。

 

祐也達はそれを耳にすると希の所に集まり、各自の懐中電灯でその書物を照らしてみた。

 

 

「胡散臭さがぷんぷんするわねぇ……。著者が片仮名で『イエヤス』って……小学生の物語創作じゃ無いんだから」

 

「戦国時代、面白そう……!」

 

「まぁそう言ってても仕方無いし、取り敢えず見てみるか」

 

 

確かに表紙の著者名は片仮名で『イエヤス』と書かれてある。これならどっかの男子小学生が作った物語か、あるいは厨二病たる病気を発症してしまった患者が作った黒歴史か。

 

これを見て朱果も、『面白そうなファンタジー作品』ぐらいとしか思っていない。

 

と、そんな事をグチグチ言っていても仕方無いと思った裕也は、戦国武神記を床に置き、懐中電灯の光で照らしながら表紙を開いた。

 

そこには勢力分布図だろうか。線で区切られた日本地図が描かれていた。

 

 

「えっと……あ、関東はこの著者のイエヤスさんが治めてるのか」

 

「『ノブナガ』とか『ヒデヨシ』って……配置的に妙に凝ってるわね」

 

「にこっち戦国時代の勢力図とか、しってたん?」

 

「ある程度よ、ある程度」

 

 

各々の国には他に、岩手や宮城の近辺に『マサムネ』や、甲信の近辺は『シンゲン』など……授業で習うような歴史と余り変わりは無かった。

 

そしてその名前の隣には…………気になる名前も書いてあった。

 

 

「武神……?」

 

「『武神ディケイド』とか『武神ウィザード』かぁ……武神鎧武よりも洒落た名前やなぁ」

 

 

武神という単語が付いた名前が、武将と思われる名前の隣に記載されていた。武神とは何だろうかと、祐也は疑問に思った為、知っていた様であった希に聞いてみた。

 

 

「希? 武神って何だ?」

 

「んー……後から出てくると思うからそのまま見てよ」

 

 

どうやらその姿は、この書物に記載されているらしい。祐也は次のページをめくる。

 

 

「『武神ライダー』ぁ? 何? こんな奴らが昔に居たっていうの?」

 

「っ〜〜! 凄い……かっこいい……!」

 

 

そこに載っていたのは人…………いや、人が変身したと思われる『武神ライダー』という者達が、戦っている絵が描かれてあった。朱果は目をキラキラさせて興奮している。

 

この書物によると、各地の武将と同盟を組み、協力するのが武神ライダーという者らしい。

 

カードを使う者だったり、USBメモリを使う者だったり、メダルを使う者だったり、スイッチを使う者だったり……挙句の果てには指輪で魔法を使う者だったりとメチャクチャだった。

 

だが本当に知りたいのはそこでは無い…………祐也が変身する、あの姿の事だ。祐也はこの書物の、一体何が関係してるんだと思いながらも更にページをめくる。

 

 

「え…………?」

 

「コイツって…………」

 

 

開かれたページに描かれてあった武神は…………あの、祐也が変身する鎧武者だった。祐也とにこは驚きを隠せない。

 

すると希が祐也に、ひっそりと喋った。

 

 

「これが武神鎧武…………ゆうっちが変身するのと似てるやろ?」

 

「似てる所の話じゃ無いでしょ……! 全く同じじゃない!」

 

「しーぃ! にこ! 声がデカイ!」

 

 

詳しく見てみると、武神鎧武とは突如現れた武神ライダーで、どの武将にも属さず単独で動いていたらしい。

 

その性格は残忍で、他の武神ライダーを次々と倒し、ウツボカズラの様な怪人を経由して自分の力にしていたらしい。イエヤスが従えていた武神ウィザードも、その対象だった。

 

更には『運命の巫女』と呼ばれる存在を手に入れて、天下を物にしようとしていたらしいが、その理由は一切分からない。

 

 

「コイツと祐也が一緒だって言うの……? 冗談じゃないわ」

 

「まぁ同じとは決まった訳やないし……この書物も、本当の事を書いてるのかも分からんし」

 

「…………」

 

 

正直な所、祐也は"この"武神鎧武と一緒にされるのは、余りいい気分では無かった。自分は決して人を殺めない。どちらかと言えば守る方だ。

 

 

「……どうしたの、戦極先輩……?」

 

「……あ、いや、何でもないよ」

 

 

朱果は、祐也が険しい顔をしていた為か、心配して言葉をかける。祐也も朱果には心配をかけまいと、ニコッと笑って返事を返す。

 

 

「……そうなの……? じゃあ次のページ、見てみよ……?」

 

「うん、そうだね」

 

 

朱果が祐也に代わってページをめくる。

 

 

「うわっ……コイツ等々、木と合体しちゃったわよ」

 

「あ、でも……他の武神ライダーが、やっつけた……正義の味方は、勝つんだね……!」

 

「あれ……? この武神って……」

 

 

このページに描かれていた絵は、武神鎧武が『ご神木』と呼ばれる、近辺の神頼みの木となっていた物と合体し『蓮華座 武神鎧武』となっている姿だった。その姿は赤黒く、禍々しい。

 

だが祐也が注目したのはそちらでは無い。朱果が言った武神の方だった。

 

片方は『武神ウィザード』で、吸収された筈なのだが復活した……と書かれている。

 

もう片方は武神鎧武と似た様な姿をした、異世界の武神『アーマードライダー鎧武』と呼ばれる者だ。このアーマードライダー鎧武の姿を、夢の中だったが見た事がある。偶然だろうかと、祐也は不思議に思った。

 

更には他の異世界の武神『バロン』『龍玄』『斬月』『ビースト』と名乗る者も、現れたらしい。

 

この二人によって、蓮華座 武神鎧武は見事に倒された様だった。更にはご神木がポッキリと折れ、そこから雨が降り人々の争いは無くなった……という結末だった。

 

その後、イエヤスが天下を治めて本当の平和が訪れる。ご神木のあった場所には、この神田明神が建てられる……とファンタジーだった。

 

 

「ん……? 補足ですって」

 

「あ、バックルと錠前の名称じゃん」

 

 

そして下には小さく補足……と書いてあった。それは祐也とにこ、希が持っているバックルと錠前の事で、バックルは『戦極ドライバー』錠前は『ロックシード』というそうだ。

 

後々のページにもその後の内容も記載されていたが、こちらは余り関係無いようなので、祐也達が知りたい内容は、ここで終わりのようだ。

 

 

「あー……。結局、何が何だか分からなかったわ……」

 

「でも、面白かった……!」

 

「バックルと錠前の名称知れた分、いい報酬やと思うんやけどなぁ……」

 

 

それぞれが感想を口に出す。朱果は相当面白かった様で、イキイキとしていた。にこは何が何だか余り分からなかった様で、ぐでー……と床に寝そべりかえる。

 

 

「……えっ、もうこんな時間かよ」

 

「夕方の五時!? にこ達どれだけこれを読んでたのよ!」

 

「……多分、探す方に……時間、掛かった……」

 

 

携帯の時計を見ると、確かに夕方の五時。扉を開けると日が落ちてきて、段々と空が赤く染まってきていた。

 

 

「んじゃあ、今日はここでお開きやね」

 

「そーだな。朱果、気をつけて帰れよ」

 

「……うん。じゃあね、先輩」

 

 

希が手を叩いて締めると、朱果は頭をペコリと下げて走って行く。その背中を、手を降りながら見送った。

 

 

「ウチらも神主さんに挨拶してから帰ろっか」

 

「そうしましょ。一応、ここを見せてくれた神主さんにお礼したいし」

 

 

顔を見合せてふぅ、と息を吐きながら立ち上がり、祐也とにこと希も倉庫から出た。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「「「この度はお世話になりました」」」

 

「いいんだ。君達の見たかった物はあったかい?」

 

「まぁ……ぼちぼちですかね」

 

「ははは、そっかぁ」

 

 

祐也達は神主さんに頭を下げて、お礼を言った。

 

神主さんは結構若い人で、見た目からして二十代くらいだろうか。祐也の反応を聞いて愉快に笑っていた。

 

 

「まぁ、気になる物があったら来てもいいよ。何時でも倉庫を開けてあげるから」

 

「じゃあその時は……よろしくお願いします」

 

 

そう言って祐也はもう一度頭を下げる。神主さんはいいんだよ、いいんだよと笑いながら言っていた。

 

 

「じゃあ飯塚(いいずか)さん。さようなら」

 

「希くん。また巫女のバイトを頼むよ」

 

「「お世話になりました」」

 

 

三人はそれぞれ神主の『飯塚(いいずか)(かい)』に挨拶をすると、神田明神の階段を駆け下りて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 








また遅れました。

実は感染症にかかってしまい、一週間程熱を出していました。創作意欲も沸かないし、食欲も沸かない。お陰で体重が1キロ減ってしまいました。

さて、完全オリジナルキャラの出雲朱果ちゃんが出てきました。姿としてはゲーム『沙耶の唄』のヒロイン、沙耶の髪の毛みたいにぴょんとしたのに、アニメ『妖狐×僕SS』に出てくる髏々宮カルタの姿……を想像出来る人はしてみて下さい。身長は145cmぐらいで。

この子の名前を見て察する人もいると思いますが……割と重要キャラです。相変わらず分かりにくい文章ですが、これからのストーリーにご期待下さい。

そして次回は……ゆうのぞにこを離れて、ほのことうみに視点を変えようかと思います。さて……ほのことうみと関わる人は……あの強者です。

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