海未「すみません、先生の手伝いをしていて、少し遅くなってしまいま…と…みなさん、お揃いで何をしているのですか?」
穂乃果「あっ!海未ちゃん!実はさ、昨日、勢いで将棋セットを買っちゃって…」
海未「はぁ…あまりそういう物は勢いで買ったりしませんが…」
穂乃果「だよね!でも、たまたまコンビニのレジの後ろにあったんだよ。オモチャみたいなもんだけどさ…これ駒っていうの?ほら、マグネットでボードにくっつくんだよ!」
海未「なるほど…そういうことですか…」
穂乃果「今、ブームなんでしょ?だから、ちょっとやってみようかな…なんて」
海未「ブーム…というには少し乗り遅れている気もしますが…まぁ、知的な趣味を持つということは良いことですね」
穂乃果「ところが、ところが…」
海未「はい?」
穂乃果「誰もルールがわからないときたもんだ!」
海未「誰も…ですか?」
希「正確に言うと…ウチ以外…やね」
海未「さすが希です」
花陽「私は駒の名前くらいはなんとか、わかるんだけど…動かし方までは…」
海未「…ということは、穂乃果にはそこから教えなければならないのですね」
希「ウチひとりで教えるのも面倒やし…ほら、実際、対戦しながらの方が、わかりやすいやろ?だから、海未ちゃんが来るのを待ってたんよ」
海未「なるほど…。しかし、遊び方もわからないのに、よくこういう物を買いますね…」
穂乃果「いや、だから…そこは勢いで…」
海未「いいでしょう。私も嗜み程度ですが、将棋は指すことができます。駒の名称も併せて、やりながら説明致しましょう。希、相手をして頂いてもよろしいですか?」
希「もちのろんやで…」
海未「では…」
…
…
海未「まず将棋は、こうして対戦相手と向かい合って、1対1で行います」
希「そして、この9×9マスの盤の上で、相手の王様を獲り合うゲームなんよ」
海未「はい、先に王を獲った方が勝ちですね」
絵里「チェスに似てるわね」
真姫「そうね」
海未「ですが、チェスと違うところは、獲った手駒を自分の駒として復活させることが出来るのです」
希「そやから、チェスよりよっぽど複雑なゲームなんやで」
絵里「ハラショー…」
真姫「へぇ…」
…
…
海未「競技は…駒をこのように並べるところから始めます」
穂乃果「並べる位置は決まってるの?」
海未「決まってます」
凛「何か法則とかあるのかにゃ?」
海未「法則…ですか?」
希「どうしてこう並べなきゃいけないか…までは、さすがのウチも知らんけど…まぁ、これは『野球と言ったら9人』みたいなもんで、そういう決まり事なんよ」
海未「はい。では…次に駒の名称を説明します。まず…これが『王将』です」
穂乃果「餃子の?」
にこ「言うと思った!」
凛「『μ's?』『石鹸?』くらい、お約束にゃ」
穂乃果「え~…にこちゃんも、凛ちゃんも絶対言おうとしたでしょ?」
にこ「い、言わないわよ」
凛「い、言わないにゃ」
穂乃果「あぁ…ズルいなぁ…」
ことり「くすっ」
海未「説明を続けますよ?先ほど希が言いましたが、基本的には、この駒を獲られないように守らなくてはなりません」
凛「あれ?さっき『王様を先に獲ったほうが勝ち』って言ってたような…」
希「同じことやね。自分は相手の王様を取らないといけないけど、逆に『先に獲られたら負け』ってことやんか」
凛「そっか!」
海未「攻めることばかりに気を取られて、守りを疎かにしてしまうと、知らぬ間に自分が負けている…などということは、穂乃果のようなタイプの人にはありがちですね」
穂乃果「あはは…いちいち引き合いに出さなくても…」
希「この王様は前後左右、斜め前後ろ、1マスなら、どこにでも動けるんよ」
にこ「…って、これ全部、動かし方が違うわけ?」
花陽「そうなんです!それがちょっと難しくて…」
希「そこまで複雑でもないんやけどね…」
海未「はい。覚えてしまえば簡単ですよ!」
穂乃果「…」
にこ「…」
凛「…」
希「いや、急に黙らんでも…」
海未「今、説明した通り、王将を獲られたらゲームはそこでおしまいですから、孤立させてはいけません。従って、どの方向にも動けますが、むやみやたらに移動させる駒ではないのです」
凛「μ'sに例えると…王様って誰かにゃ?」
にこ「当然、部長のアタシよ!」
穂乃果「え~?リーダーの穂乃果だよ!」
海未「そうですね。本来の立場から言えば、どちらかと言うところですが…駒の特性から考えれば…希に近いですね」
希「ウチ?」
海未「王将はひょこひょこと前に出ていくことなく、後方でドシッと構えてなければいけませんから、にこたちよりは希に近いと」
穂乃果「ぷふっ!」
にこ「ドシッと!」
凛「ドシッと!」
希「そこ、笑うとこやないんやけど…」
海未「はい、駒の特性から判断しただけで、希の体型を揶揄したものでは…」
希「いや、言ってるやん…」
ことり「…あれ?こっちの王様は『点』が付いてるよ?」
真姫「王じゃなくて…『玉』?」
海未「はい。正式には『玉将(ぎょくしょう)』と言います。詳しい歴史等は私も把握しておりませんので、言及は避けますが…王将と役割は変わりません。確か、対戦する2人のうち、実力のある方がこちらの駒を使うと記憶しております」
穂乃果「つまり点があるかないかの違い?目印的な感じ?」
凛「『大』と『犬』みたいにゃ?」
海未「そう例えるのはどうかと思いますが…」
希「実はな、この将棋の駒って、元々、宝物を指してるんよ」
花陽「宝物?」
希「よく見てみると…金やろ、銀やろ、桂馬は…馬ではなくて『肉桂(にくけい)』…」
真姫「肉桂?」
希「シナモンのことやね」
ことり「シナモン?」
希「そう。和風に言うなら『ニッキ』」
真姫「肉桂…にくけい…ニッキ…なるほどね」
希「その昔はとっても貴重なものやったんよ」
絵里「勉強になるわね」
希「そして香車は『香炉』」
海未「なるほど!!そういうことですか!…つまり、この玉は本来、宝石を表すものであると」
希「正解!そやから、本当は『王様を取るゲーム』やなくて『玉(宝物)を取り合うゲーム』やったんよ。歴史的には『王将』の誕生の方が後やったと思う。呼び方に関しては、チェスなんかの影響があるとかないとか…」
穂乃果「ひょえ~…希ちゃんって本当に博学だよね」
希「勉強にはなんも役立たんけどな」
海未「いえ、私もその話は目から鱗でした」
…
…
海未「では、解説を続けます」
希「はいな」
海未「王将を簡単に獲られないよう、周りに強い駒を置いて守ってあげる必要があります」
希「それが、この金や銀やね」
海未「正式には『金将』『銀将』と言います」
穂乃果「例えて言うなら…水戸黄門の助さん、格さんみたいな感じかな?」
海未「穂乃果にしてはいい例えです!」
穂乃果「穂乃果しては…は余計だよ」
希「金はこう…銀はこう…どちらも前には同じように動かせるんやけど、金は斜め後ろは行けんのよ」
花陽「銀は左右と真後ろには行けないんだね?」
海未「はい。一見すると同じような駒ですが、金は守りの駒、銀は攻めの駒とも言われています」
花陽「攻めの駒?」
ことり「守りの駒?」
海未「えぇ、あとで説明しますが、駒によって得手不得手というのがあるんです。そういうところも、将棋の奥深いところではないでしょうか」
穂乃果「えっと…やっぱ将棋は覚えなくていいかな?」
海未「何を言ってるのですか!常に相手の数歩先を読んで、考えることこそ、将棋の醍醐味!将棋の神髄!何も考えずに脊髄反射的に行動してしまう穂乃果たちにこそ、是非覚えて頂きたい趣味のひとつです!」
にこ「穂乃果…」
凛「…たち?」
海未「当然、にこと凛も含まれています」
にこ「ぬゎんでよ!」
凛「とんだとばっちりにゃ!」
穂乃果「まぁぁ、旅は世に連れ…って言うし…」
真姫「意味わかんない…」
希「金は…μ'sで言うなら、えりちやね」
穂乃果「金髪だから?」
希「そやね」
絵里「単純すぎない?」
希「ふふふ…」
海未「いえ、金の役割は王を守りつつ、ここぞという時に相手にトドメを刺す駒なのです。μ'sでの絵里との役割と似てないこともありません」
穂乃果「トドメを刺すって…」
にこ「何か物騒ね!」
絵里「海未の私に対する印象って、そんな感じなの?」
海未「…言葉の綾です…」
希「つまり、攻守にバランスがいい、しっかり者…そう言いたかったんやろ?」
海未「は、はい!」
絵里「むふっ!そういうことね!」
穂乃果(単純だなぁ…)
にこ(単純ね…)
凛(単純にゃ…)
絵里「じゃあ、これからは『ハラショー』じゃなくて『キンショー』ね」
穂乃果(絵里ちゃん…)
にこ(…ポンコツ発動…)
凛(アホにゃ…)
海未「…つ、続いて…銀です…こちらは『いぶし銀』などという言葉がある通り、μ'sで例えるなら…私…と言いたいところですが、自分は『角』ではないかと思いますので…ここでは…にこを推します」
にこ「アタシ?」
希「そうやね!いいんやない。金と並んで王を守りつつ…そやけど、どちらかといえば攻撃的な駒やし、引くときも真後ろやなくて、斜め後ろに逃げるっていうとこが、にこっちらしいかもやね」
にこ「どういう意味よ」
凛「素直じゃないってことかにゃ?」
にこ「アンタねぇ!」
希「まぁまぁ…『かよわいウチ』を守ってくれるのが、えりちとにこっちってことで、全て丸く収まるやろ?」
にこ「…まぁ、そういうことにしておいてあげるわ…」
穂乃果「かよわい?」
凛「ドシッと…なのに?」
希「穂乃果ちゃんと凛ちゃんは、あとでワシワシMAXの刑やからね!!」
穂乃果「うへっ!?」
凛「前言撤回にゃ」
ことり「くすっ」
花陽「あは」
真姫「はぁ…懲りないわね、あなたたち…」
…
…
海未「さて、次は『角行』です。通常は『角』と呼びますね」
希「角さんは、前後左右には進めんけど、前斜め、後ろ斜めはどこまでもいけるんやで」
穂乃果「格さん?…水戸黄門の?」
海未「いえ、そちらは先ほど説明した通り、金と銀です…希も、ややこしくなりますので、変な呼び方はやめてください」
希「にっしっし…」
ことり「これが海未ちゃん?」
海未「はい。自分で言うのもなんですが、斜めにピュッと動く様が、矢を射る私と重なるのではないかと」
穂乃果「ラブアローシュートだね」
海未「はい!あ、いえ…今、それは関係ありません!!」
希「この角と『飛車』と『桂馬』と『香車』は『飛び道具』なんて言われ方もするんよ。う~ん…角かぁ…移動距離も長いし…ウチも持久力のある海未ちゃんにピッタリやと思うな」
海未「ありがとうございます。そこで私と対を成すパートナーが、この『飛車』です」
真姫「対を成す?」
海未「はい。角は斜めにどこまでもいけますが…飛車はこのように…前後左右にどこまでもいけます」
花陽「じゃあ、この駒は真姫ちゃんかな?」
真姫「私?」
花陽「海未ちゃんと対を成すなら…、作曲担当の真姫ちゃんかな…と」
海未「そうですね!…と言いたいところですが、真姫だと機動力という面では物足りませんね」
真姫「放っておいてよ」
海未「ということで、私的には凛ではないかと思うのですが」
穂乃果「あぁ確かに!シャー!シャー!って動くもんね」
にこ「飛車だけに?」
一同「…」
凛「にこちゃん…寒すぎにゃ…」
にこ「悪かったわよ…」
…
…
海未「さあ、駒の説明もあと3つですね」
希「次は『桂馬』やね」
真姫「さっきのニッキね」
希「そやね。まぁ、今の将棋だと『馬』の性格が強いんやけど…」
海未「桂馬はこの中ではかなり変則的な動きします。先ほど希が『飛び道具』という言葉を使いましたが、唯一、駒を飛び越していけるという、特性を持っています」
穂乃果「駒を飛び越す?」
海未「動かし方は、こう…もしくはこう…2マス前進して右か左…です」
希「ほんでもって…例えばこんな感じで、自分の駒がここにあっても、それを飛び越して、こう置けるんよ。相手の駒がある場合は…こんな感じやね」
にこ「他の駒は飛び越せないの?例えば、さっきの角とか飛車とか」
海未「そうですね。これは実際の遊び方で説明しようかと思ったのですが…基本的に駒を進める先に自分の駒がある場合は、そこには動かせません。逆に自分の駒を進める先に相手の駒があった場合は、それを『獲る』ことができます」
真姫「獲った駒は、自分の『持ち駒』になって、あとで使うことが出来る?」
絵里「それがチェスと違うところ?」
希「その通りやね」
海未「これをμ'sで例えるとすると…ことりでしょうか?」
ことり「ちゅん!?」
海未「ことり以外、人の頭の上を通り越していくことなどできませんからね」
穂乃果「急に駄洒落っぽくなったね…」
海未「…ですが、他に該当する人がおりませんので…」
希「お次は…『香車』やね」
海未「『きょうしゃ』あるいは『きょうす』とも呼びます。動かし方は…前に一直線!その先に駒が無ければ、どこまでもいけます。しかし、後戻りは一切できません。別名『やり』とも呼ばれています」
希「μ'sに例えるなら…」
海未「穂乃果!」
希「穂乃果ちゃん!」
海未「満場一致ですね」
希「そやね」
穂乃果「いや、満場一致って2人だけだし…。でも、どうして私?」
海未「聴いてなかったのですか?前にはガンガン進むことは出来ますが」
希「後ろに引くことが出来ん駒なんよ」
海未「この中だと…穂乃果しかいないではないですか!」
穂乃果「え~?穂乃果ってそんな?そんなイメージ?」
真姫「そうね」
絵里「これは頷く以外ないわね」
凛「わかるにゃ」
にこ「激しく同意」
穂乃果「えっと…ことりちゃん?花陽ちゃん?」
ことり「ちゅん…」
花陽「あはは…」
穂乃果「うわぁ!否定してくれないよ…あぁ、Printempsの絆が…」
希「最後は『歩』…『ふ』やね」
穂乃果「『ほ』じゃないの?」
凛「それだと、穂乃果ちゃんの練習着みたいになっちゃうにゃ」
海未「『歩兵』と書いて『ほへい』ではなく『ふひょう』と読みます。見ての通り、一番数が多い駒です」
にこ「一番前に並んでるってことは…真っ先に獲られる駒ってこと?」
海未「一般的にはそうなりますね。ゲーム序盤では、相手の攻撃を防ぐ防波堤の役割を担ったりします」
希「動かし方は…こうやって、前に1マスずつしか動けんのよ」
にこ「トロいわね」
希「そうやね…この中では一番非力かもやね」
海未「ですが!『歩のない将棋は負け将棋』という言葉がある通り、決して侮ってはいけない駒でもあります」
希「そう、μ'sで言うなら」
海未「花陽!」
希「花陽ちゃん!」
花「ぴゃあ!」
海未「満場一致ですね」
希「そやね」
穂乃果「だから、2人しかないじゃん…」
にこ「でも、これは想像付いたわ」
凛「うん、もう残ってたのは、かよちんと真姫ちゃんしかいなかったし」
にこ「あれ?」
凛「これが最後の駒?…ってことは…」
穂乃果「真姫ちゃんは?」
真姫「!?」
希「そうなんよ…将棋の駒って8種類しかないんよ」
海未「えぇ…残念ながら…」
真姫「べ、別に無理して私を、駒に当てはめる必要なんてないから…それで寂しいなんて思わないし…悲しいとも思ってないし…」
一同(…思ってる…)
海未「基本的な動かし方を説明したところで、もうひとつ、将棋の特殊なルールを説明します」
絵里「特殊なルール?」
海未「自分の駒を相手の陣地…この場合、向こうから3列目のことを言うのですが…そこまで侵入すると…駒を裏返すことができるのです」
絵里「駒を裏返す?」
海未「希、そちらの駒をすべて裏返してみてください」
希「ほい」
絵里「あっ…」
海未「この様に、王と金以外は、表とは違う字が書いてありますね」
凛「でもなんて読むかはわからないにゃ…」
海未「角に裏側は『龍馬』、飛車の裏側は『竜王』と書いてあります」
希「その他の文字は…書き方が全部違うけど…『金』やね」
にこ「読める字を書けっていうの!」
海未「相手の陣地に駒を進めると、これを裏返すことができます。この状態を『成る』といいます。成る、成らないは任意ですので、その時の戦略により、決めることができます」
穂乃果「戦略?」
海未「はい。実はこの『成り』によって、角と飛車は確実にパワーアップするのです」
凛「どういうことにゃ」
希「例えば…角が成ると、今までの動きに加えて…前後左右1マスずつ動かせる場所がプラスされるんよ」
穂乃果「おぉ!これは強い!」
海未「そして飛車の場合は、斜め前、斜め後ろに1マスずつ動かせるようになります」
絵里「ハラショー!!」
凛「無敵にゃ」
海未「はい。このように飛車と角は非常に強い駒なので、実力差が大きい相手と対戦する場合、上位の者があえてこの2枚を使わないことがあります」
希「相手にハンデをあげるってことやね」
海未「このことを『飛車角落ち』と言います。野球やサッカーなどでも、主力を温存したりして試合に出さない状態を、こう表現することがありますね」
真姫「言葉だけなら、聴いたことあるわ」
希「意外と日常的に使ってる慣用句で『将棋由来』の言葉ってあるんよ。例えば『捨て駒』なんかもそうやし」
海未「言わずもがなですが『王手』などもそうですね。そして、やられて身動きが取れなくなった状態を『詰む』と言います」
希「あんまりいい言葉やないけど『将棋倒し』なんてのもあるし」
海未「『高飛車』なんていうのもありますね」
凛「それって真姫ちゃんのことかにゃ?…」
真姫「ちょっと凛!!」
穂乃果「高飛車かぁ…なんとなく意味はわかるけど…本当はどういうことなの?」
希「さっき説明した飛車を真ん中ら辺に置いて、相手を制圧する戦法のことやね。前後左右自由に動いて、攻め入る相手を次々と蹴散らす様…から転じて、高圧的な態度のことを言うようになったんよ」
穂乃果「なるほど」
花陽「こうやって聴いてみると、将棋って昔から日本の文化に浸透していたことが、よくわかるね」
海未「はい」
絵里「それはわかったけど…ほかの駒は?」
海未「そうですね。忘れていました。ほかの銀、桂馬、香車、歩ですが…裏返すと『金』に成るのです」
絵里「それはさっ聴いたわ」
海未「いえ、さっきは『金と書いてある』と言っただけです。実は書いてあるだけでなく『金』になってしまうのです」
絵里「?」
真姫「つまり、駒の動かし方が金と同じになるってこと?」
海未「その通りです。これを…金に成るので『成金』と言います」
希「一瞬にして大金持ちになった人のことを成金って言うやろ。普通の駒がパッと金に変わる様から来てるんよ」
にこ「へぇ…」
凛「成金?真姫ちゃ…」
真姫「待って!私は成金じゃないから」
凛「良かったね!真姫ちゃんに似合う言葉がふたつもあったにゃ」
真姫「だから、違うってば!…凛…あとで覚えてなさい…」
凛「にゃ~」
海未「ですが、いいことばかりでもありません」
絵里「えっ?」
海未「金になることで、これまでの駒の特性は失ってしまいます」
穂乃果「…というと?…」
海未「穂乃果はどこまでも真っ直ぐ…は動けませんし、ことりも他の駒を飛び越えられません」
希「香車と桂馬のことやね」
絵里「にこも左右と後ろにはいけるけど、斜め後ろにはいけなくなる?」
海未「さすが絵里…飲み込みが早いです」
希「にこっちやなくて銀やけどね」
真姫「成る、成らないは任意って言ったけど、そういうことね」
海未「はい、その時の局面によって、どちらが有利なのか…ただ闇雲の成ればいい…というものでもありません」
絵里「奥が深いわね」
花陽「で、でも…っていうことは…歩は確実に強くなるよね?」
ことり「うん!前にひとつずつしか進めなかったのが、斜め後ろ以外は動かせるんだもん!良かったね、花陽ちゃん」
花陽「うん」
海未「はい。一歩づつ前に進んで、その努力が実る姿は、まさに花陽そのもの!!花陽こそが将棋の主役と言っても過言ではありません!!」
花陽「い、いやぁ…海未ちゃん…そんなこと…照れるなぁ…」
穂乃果「出たよ、作者の花陽ちゃんゴリ推し」
にこ「いくらなんでも露骨すぎよね」
凛「凛はぜんぜん構わないにゃ」
…
…
海未「…と、駒の動かし方を一通り解説致しましたので、つぎは実戦と参りましょうか」
希「エキシビジョンマッチやね」
穂乃果「えっ?まだ続けるの?」
海未「ここからが本番ですので…」
穂乃果「いやいや、日を改めようよ!ほ、ほら…そもそも練習をしなくちゃいけないしさ」
海未「そう言われればそうですね…では、希、勝負はまた今度ということで」
希「ほい」
絵里「ルールを覚えれば、私も嵌りそうなゲームね」
真姫「今まで古臭い感じがして毛嫌いしてたけど…パパが真剣な顔して本とにらめっこしてる気持ちが、よくわかったわ」
花陽「すごく面白そうだよね」
ことり「うん!」
希「相手の手を読む…ことは尽きるところ、心理戦ってことやんか。つまりスピリチュアルやね!」
海未「希はそれが言いたいだけでは…」
絵里「希、練習終わったら、やり方教えなさいよ」
希「指導料は焼肉定食やで」
絵里「安いものよ!」
海未「ことり、このあと付き合ってもらえますね?」
ことり「は~い!私はチーズケーキがいいなぁ」
海未「もちろんです!好きなものを食べてください」
真姫「花陽!…あっ…えっと…その…」
花陽「うん。あとで真姫ちゃんちに行くよ。一緒に覚えよう!」
真姫「…あ、ありがとう…」
にこ(…アタシたち…)
穂乃果(…お呼びでない…)
凛(…みたいにゃ…)
こうしてこのあと、音ノ木坂の『アイドル研究部』は『将棋研究会』へと姿を変えていったのであった…。
にこ「…んなわけあるかぁ~!!」
~吹けば飛ぶような~ 完
この作品の内容について
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つまらない
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1話、1話分けた方がいい
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Aqoursの話が少ない!