3×3=μ's(さざんがミュ~ズ)   作:スターダイヤモンド

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『えりことぱな』で『パ○サー風』

 

 

 

 

ことり「絵里ちゃんとカラオケなんて、久しぶりだね」

 

花陽「うん、1ヶ月ぶりくらい?」

 

絵里「この部屋、少し蒸し暑いわね…」

 

花陽「エアコン、ドライ(除湿)にするよ」

 

絵里「お願いするわ」

 

 

ぴっ!

 

 

絵里「前回は…確か2人がデートしてる時に、たまたま出くわしたのよね。…で…どういうワケか『カラオケ行こう』ってなって」

 

ことり「デートだなんて…」

 

花陽「ねえ…」

 

ことり「あれはね、絵里ちゃんとの距離を縮めたかったからだよ」

 

花陽「いつか絵里ちゃんと一緒に遊びたいね…って、ことりちゃんとずっと言ってたんだよね?」

 

絵里「そうだったの?実を言うと…声を掛けてもらって凄く嬉しかったわ。あれで花陽も私のこと、怖がらなくなったし」

 

花陽「別に怖がってたわけじゃないですけど…」

 

絵里「でも、あの時は最初、結構、居づらかったのよにねぇ…」

 

ことぱな「え~?」

 

絵里「だって、あなたたちは2曲もデュエットしてるし、衣装作りも一緒でしょ?…だけど、私はふたりと全然接点がないんだもの」

 

ことり「だからこそ、誘ったんだけどね?」

 

花陽「今日は?まだ居づらい?」

 

絵里「少しだけ『Printemps』のメンバーになった感じかしら」

 

ことり「それは慣れた…ってことかな?」

 

絵里「穂乃果には悪いけど、この3人でユニットを組むのも悪くないんじゃないかな…って」

 

ことり「ちゅんちゅん♡」

 

花陽「うれしいです!」

 

 

 

絵里「それより、何か飲み物頼まない?」

 

ことり「私は…まだいいかな…さっき飲んだばっかりだから…」

 

花陽「はい、花陽もまだ、そんなに喉、渇いてないので…」

 

絵里「そう?…じぁあ…私も、またあとでにするわ」

 

 

 

花陽「あぁ、そういえば…前に3人で遊んだとき、街角オーディションみたいなのに、参加したじゃないですか?」

 

絵里「あったわね!すっかり忘れてたわ。…あの時は…カラオケ終わって出てきたら…」

 

ことり「急に『1曲歌ってください!』って言われたんだよね?」

 

花陽「それがですねぇ…偶然にも今日、一次審査の発表みたいなんです」

 

絵里「えっ?そうなの?」

 

花陽「今、それを思い出して…サイトを確認したら…」

 

ことり「あ、本当だ!えっと…メールで通知が来るんだったっけ?」

 

花陽「うん」

 

絵里「突然だったし、受かるわけないけど…一次審査くらいなら…なんて期待しちゃうわね」

 

ことり「絵里ちゃんは通るよ」

 

花陽「うん」

 

ことり「美人だし、スタイルいいし…」

 

花陽「スクールアイドル界でもトップクラスのルックスですから」

 

絵里「あら、それを言うなら、あなたたちだって…」

 

 

 

花陽「!!」

 

ことり「!!」

 

絵里「!!」

 

 

 

花陽「…って、言ってるそばからメールが来ましたぁ!」

 

ことり「来ちゃったね」

 

絵里「来たわね…」

 

 

 

花陽「で、では…は、花陽から見ます…」

 

 

 

ことり(どきどき)

 

絵里(どきどき)

 

 

 

花陽「『小泉花陽さま、第一次審査、通過です』」

 

ことり「うわぁ!やったぁ!」

 

絵里「凄いじゃない!」

 

花陽「えへ!通過しちゃいました!…あっ、じゃあ、ことりちゃんも…」

 

ことり「え~…どうかなぁ?…」

 

 

 

絵里(どきどき)

 

花陽(どきどき)

 

 

 

ことり「はい!ことりも合格してました!一次審査、通過です!」

 

絵里「良かったわね」

 

ことり「うん」

 

花陽「これなら、3人でユニット組めるね!」

 

絵里「花陽ったら、気が早いわよ!」

 

花陽「いやいや…だって花陽とことりちゃんが受かって…」

 

ことり「絵里が落ちるなんてないもんね?」

 

絵里「やめてよ。変にハードル上げないでよ…」

 

 

 

花陽(どきどき)

 

ことり(どきどき)

 

 

 

絵里「…ハラショー…」

 

 

 

ことり「えっ!?そのハラショーは…」

 

花陽「落ちちゃったのぉ!?」

 

 

 

絵里「…ま、まぁ、ほら…突然のことで…真剣に受けたわけではないし…ねぇ?」

 

花陽「…えっと…一次審査って『1万人が8千人に絞られる』って話だったよね?」

 

絵里「…私なりに少しは期待してたけど…ううん、そんなに気にしてないから…そもそも、このことは今の今まで忘れてたくらいだし…」

 

ことり「そ、そうだよね…きっと、プロデューサーのイメージに合わなかっただけだよ」

 

花陽「はい!気にすることはありません!絵里ちゃんが『残念な2千人のうちのひとり』であっても、花陽の絵里ちゃんに対する気持ちは変わりません!」

 

絵里「残念な?…ご、ゴホン!…そ、そうよ!遊びでやったみたいなものだから…」

 

 

 

ことり「花陽ちゃん、飲み物頼もうか?」

 

花陽「賛成です!」

 

絵里「えっ?」

 

 

ぷるるるる…

 

 

ことり「すいません…あの…アイスティーを3つ下さい…で…そのうち2つにハチミツ入れることってできますか?…は~い、お願いしま~す♡」

 

絵里「ちょっと待って!ねぇ『まだ喉、渇いてない』とか言わなかったかしら」

 

花陽「言ったっけ?」

 

絵里「言ったわよ。それに、何、ハチミツ入りって?…しかも、2つだけって?」

 

ことり「ことりと花陽ちゃんは、甘党だから」

 

花陽「うん」

 

絵里「それなら、私もそっちの側の人間なんだけど」

 

ことり「そうだっけ?」

 

花陽「さぁ…」

 

絵里「好きなもの…チョコレート…」

 

ことり「だっけ?」

 

花陽「だっけ?」

 

絵里「ねぇ、なんか喉をケアしようとしてない?2人だけ喉をケアしようとしてない?」

 

 

 

花陽「それにしても、ことりちゃん…この部屋、乾燥してないですか?」

 

ことり「うん!確かに乾燥してるよね」

 

絵里「えっ!?だってそれはさっき、エアコンをドライにしたからでしょ?」

 

 

 

ことり「あ~、あ~」

 

花陽「う~、う~」

 

ことり「マスクあったかな?」

 

花陽「どうせなら潤いマスクがいいですね」

 

ことり「あとで買おうね」

 

花陽「うん」

 

絵里「一気にプロっぽい感じ出してない?喉、気にしたりしてるけど、まだ、一次審査通っただけでしょ?まだ8千人にもいるんでしょ?」

 

花陽「絵里ちゃん!!」

 

絵里「な、なに?」

 

花陽「絵里ちゃんはまったく、わかってないです!!これ8千人のグループでデビューだったらどうするんですか?」

 

絵里「ないでしょ!そんなの…8千人のアイドルグループって」

 

花陽「これからのアイドルは『インパクト』が大事なんです!」

 

絵里「インパクト?やめて、そのフレーズは。嫌な記憶が甦るの…」

 

ことり「『説明してもらえるかしら?』」

 

絵里「理事長の真似をするのはやめて」

 

 

 

花陽「…ということで、絵里ちゃん、景気付けに1曲どうぞ!」

 

絵里「景気付けの意味がわからないんだけど…」

 

花陽「私たちの門出を祝して…ってことかな?」

 

絵里「…それなら、あなたたちが歌えばいいでしょう?」

 

ことり「うん、だけど…飲み物が、来てからにしようかな…って。もう喉カラカラだもんね?」

 

花陽「うん!」

 

 

 

絵里「…」

 

 

 

ことり「あ、ねぇねぇ、花陽ちゃん」

 

花陽「はい?」

 

ことり「今年の冬休み、一緒に旅行しよう!って言ってたでしょ?」

 

花陽「うん、言ってたね!」

 

ことり「どこにしようか?」

 

絵里「それ、今、決めることかしら」

 

花陽「そうだねぇ…ふたりのツアーでしょ?」

 

絵里「ツアーって…」

 

花陽「だけど…そうすると年末はスケジュール的に、ちょっと厳しいよね?」

 

ことり「あっ!そうだぁ!大みそかはお仕事になっちゃうもんね?」

 

絵里「だから、まだ一次審査通っただけで…」

 

ことり「でも花陽ちゃん…『ホール』に行かなくても『中継』ってあるんじゃないかな?」

 

花陽「あるねぇ!その手があったよ!」

 

絵里「どの手?」

 

ことり「それでHANA-YOはどこ行きたいのかなぁ?」

 

絵里「HANA-YO?」

 

花陽「やっぱり…水田かなぁ」

 

絵里「そこはブレないのね…」

 

花陽「KTRは?」

 

絵里「誰?」

 

花陽「KoToRiちゃんに決まってるじゃないですか!」

 

絵里「イメージ変わりすぎよ」

 

花陽「でも、絵里ちゃんだって…KGBだし…」

 

絵里「それを言うならKKEでしょ?…ううん、厳密に言えばそれも違うんだけど…って花陽、何してるのかしら?」

 

花陽「エゴサーチです」

 

絵里「エゴサーチ?」

 

ことり「うん、気になるよね!自分のことを、なんて言われてるのか?」

 

花陽「♪私のことなど、たぶん気にしてないの…」

 

ことり「♪だけど…ここにいるんだよ!私はここよ」

 

花陽「♪自信が揺れ動く…」

 

ことり「♪嫌われてないかな?」

 

絵里「さすがに息がぴったりね…って感心してる場合じゃないわ。ねぇ、何回も言うけど、まだ、一次審査を通っただけなのよ。いくらなんでも、誰も呟いてないわよ」

 

ことり「あったよ!KTR」

 

絵里「えっ?」

 

ことり「北近畿タンゴ鉄道(Kitakinki Tango Railway Corporation.)」

 

絵里「ハラショー!!いえ、ハラショーじゃなくて…」

 

花陽「花陽もありました!HNY!」

 

絵里「さっきと、呼び方変わってるわよ」

 

花陽「Happy New Yearです!」

 

絵里「ハラショー!これはハラショーだわ!」

 

花陽「ちなみにERIは…」

 

絵里「私はそのままなのね」

 

花陽「つまらないね」

 

ことり「うん」

 

絵里「…じゃなくて…ねぇ、気持ちはわからなくはないけど、少しハシャギ過ぎじゃない?」

 

 

ばんっ!

 

 

花陽「絵里ちゃん!ふざけないでください!!」

 

絵里「きゃっ!」

 

ことり「私たちH&Kは本気なんですよ」

 

絵里(H&K…ヘックラー ウント コッホってドイツの銃器メーカーなんだけど…)

 

絵里「そうね…私と懸ける意気込みが違ったのよね…」

 

ことり「わかってくれたらいいよ」

 

花陽「それでね、絵里ちゃん…明日のスケジュールなんだけど、どうなってるのかな?」

 

絵里「えっ?えっ?明日のスケジュール?なに、私、マネージャーなの?」

 

花陽「あ、でも21時以降はお仕事できないから、気を付けてください」

 

絵里「明日は学校で授業、終わったら部活!」

 

ことり「ちゃんとお仕事取ってきてください」

 

絵里「だから私、マネージャーじゃないから」

 

 

 

花陽「…」

 

ことり「…」

 

 

 

絵里「…黙らないでよ…」

 

 

 

花陽「ごめん、そうだよね?絵里ちゃんをマネージャーだなんて…」

 

ことり「そ、そうだね。さすがにそれはなかったね」

 

絵里「当たり前でしょ」

 

 

 

花陽「では、今日から私たちのファンってことで」

 

ことり「ファン第1号だ!」

 

花陽「これは自慢できるよ!」

 

ことり「少し恥ずかしいけど…サイン…書いてあげるね♡」

 

花陽「書いてあげる♡」

 

 

 

絵里「なんか、あなたたちとの距離がどんどん離れていく気がする…。ううん、むしろアンチになってきてるわ」

 

 

 

花陽「絵里ちゃん、動画撮って!」

 

ことり「はい、スマホ!」

 

絵里「何?動画って…」

 

 

 

ことぱな「せ~の…『COUNTDOWNTV』をご覧のみな…」

 

 

 

絵里「必要ないでしょ!」

 

 

 

ことぱな「こんばんは!」

 

 

 

絵里「続けるのかしら?使われないわよ」

 

 

 

花陽「絵里ちゃんは、夢がないです」

 

ことり「♪何だか今のこの気持ち、切なくなったよ」

 

 

 

絵里「そうやって『ことぱな』を全面に出されると、私、本当に居づらいんだけど…もういいわ。エリーチカ、おうちに帰る!!」

 

 

ことり「絵里ちゃん、そんな怒鳴ったらダメだよ」

 

花陽「うん!私たちの声はね…お客さん感動をさせるためにあるんだよ!」

 

 

 

絵里「誰?あなたたちは誰なの?」

 

 

 

ことり「!?」

 

花陽「!?」

 

絵里「!?」

 

 

 

3人「メール?」

 

 

 

絵里「あら、何かしら?」

 

 

 

花陽「さっきのオーディションからだねぇ」

 

ことり「ひょっとして、二次も通っちゃった?」

 

 

 

絵里「『お詫び』って書いてあるけど…『合格通知の誤送』だって」

 

 

 

ことり「?」

 

花陽「?」

 

 

 

絵里「あっ!『こちらが公式の合格通知です』…って…私、通ってるわ!一次審査!!」

 

ことり「本当!?良かったね!」

 

花陽「だよねぇ!絵里ちゃんが落ちるハズないもんねぇ!」

 

 

 

ことり「…でも、花陽ちゃん…」

 

花陽「はい」

 

ことり「ことり…不合格になってる…」

 

花陽「まさか、そんな…って…ぴゃあ!…花陽もですぅ…」

 

 

 

絵里「ハラショー!!」

 

 

 

ことぱな「ハラショー?」

 

 

 

絵里「ハラショーよ、ハラショー!さすがKKEだわ!あれ、ふたりともどうしたのかしら?あ、ハチミツ入りのアイスティー私がもらってもいい?」

 

ことり「う、うん…」

 

絵里「花陽、部屋の湿度、何%?75くらいに調整してくれる?」

 

花陽「な、75%だね…」

 

絵里「あ~あ~…う~う~…私の声はお客さんを感動するためにあるのよね!」

 

ことり「だっけ?」

 

花陽「だっけ?」

 

絵里「ところで明日のスケジュール、どうなってたかしら?最近、朝、起きられなくて…どっちでもいいから迎えにきてくれない?あ、あと楽屋にはチョコレートは欠かさず置いておいてね!」

 

 

 

ことり「ねぇ、絵里ちゃん…」

 

 

 

絵里「なに?」

 

 

 

ことぱな「一次審査に通ったくらいで、調子に乗らないでください!!」

 

 

 

絵里「…ハラショー…」

 

 

 

 

 

~『えりことぱな』で『パ○サー風』 完~

 

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