(ほぼ)高速艦のみのTRPG   作:ツリ目

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準レギュラーと言いますか、そこそこよく登場するキャラです。


お助けNPC登場

 大神から相談を受けた翌日、四人は警察署の前にやってきていた。一度職場に入り、時間が来てから明石と夕張と川内を迎えに来た。

 

「それじゃあ行きましょうか」

 

挨拶もそこそこに明石が指揮る。警察署に入って夕立の上司を探す。

 

 

立[提督さん、夕立の上司の名前って何かしら?]

 

K[あー、そうだな。(所轄が違うからアイデアロールさせてもいいが……、こいつのアイデアはあれだしこれでファンブルされても困るしな)んじゃ、名前プラスαのデータを送ってやる]

 

 

「さーわらびさーん!」

 

間延びした声で自分の上司の名前を呼ぶ。が、返事はない。

 

「今日は休みとかじゃないの?」

 

「うーん、上の人から言われないと休まないくらい真面目だからいるはずっぽい」

 

上司―早蕨の所轄デスク付近で呼び続ける。

 

「早蕨さーん!」

 

「……うるさいぞ夕立」

 

夕立の声を一人の男が遮った。近く、というか通り過ぎる寸前のデスクにいた男が立ち上がった。

 

「俺を探していたなら人に聞くなりなんなりしろ」

 

男―早蕨警部補は百八十近い身長、特徴は余計な脂肪も筋肉もない身体とハリネズミのようにツンツンした髪だろうか。目つきの悪さからして川内の同業者と思われてもおかしくない。

 

 

張[って、これ提督じゃないの]

 

K[前に使った探索者としてのデータが残っていたのと写真フォルダに俺のがあったからぶち込んだ。前回のセッションだと上司が偉すぎたから調整みたいなもんだ]

 

明[調整ってことは他にも何かしたんですか?]

 

K[俺の友人が作ったプログラムを組み合わせた。ゲームでのダメージとリアルでの痛みをリンク、自動BGM、これで臨場感が出るはずだ]

 

立[提督さんとの関係は勝手に決めていいっぽい?]

 

K[無理のない範囲ならな。あとこいつは提督じゃなくてさわらb]

 

立[やったー!]

 

 

「こうやって騒いでたら早蕨さんが夕立に構ってくれるっぽい!」

 

「俺はお前の世話係じゃねえんだが?」

 

「でも無視しない……ツンデレっぽい?」

 

「うるせえデコピンすんぞ」

 

そう言って後ろの三人に眼を向ける。

 

「そいつらは?見た感じだとお前がしょっ引いてきたってわけじゃなさそうだが」

 

「突然すみません」

 

夕張が先頭に立って頭を下げる。

 

「実は私たちの友人が危ないことに関わっているみたいで……」

 

「危ないこと……っすか」

 

おうむ返しをする早蕨の態度は煮え切らない。

 

「どうしたのさ、何か不都合なことでもあるの?」

 

川内のため口に気を悪くした風はなく答えた。

 

「……詳しいことが分からない以上ははっきり言えないが、少なくとも俺の管轄ではありません。夕立は所轄が何を担当するのか教わってねえのか?」

 

「でも早蕨さんが前から調べてたっぽい」

 

「あ?何のことだ」

 

【心理学ロール 明石 心理学 75→??】

 

川[あれ、ダイス結果が表示されてないけどバグ?]

 

K[いや、バグじゃない。むしろちゃんと機能しているぞ。色々と技能はあるが、心理学だけは結果を表示しない。心理学が完全な嘘発見器になるよりは面白くなるはずだ]

 

 

明石は早蕨の言動を観察していてとぼけているわけではないと感じた。

 

「浮雲教団という教団が絡んでいるらしいんですが、その教団について何か知りませんか?」

 

「……悪いことは言わねえから手を引け」

 

さっきまでのガラが悪いコンビニ店員のような態度から一変、雰囲気が変わった。視線が鋭くなったわけではない。

 

「何かあるんでしょうか?」

 

「確かにその教団について俺は調べている。だからこそ忠告してやる、この件には関わらないほうが良い」

 

「説明をしてくれないと納得できないんですけど」

 

夕張の言葉に早蕨はため息を漏らす。

 

「細かいことは端折るが、これは一般人が関わっていい事件じゃねえ。いや、一般人が関わっていい事件なんてないがこれは関わらせちゃいけねえタイプのものだ」

 

「ずいぶんと遠回しに言うんだね。そのくせ誤魔化す気しかないみたい」

 

「説明してわかるタイプのもんじゃねえんだ、諦めろ」

 

「じゃあ夕立がやっちゃうっぽい!」

 

「お前も手を引け」

 

「なんで!?」

 

「これは『俺たち』の所轄だ」

 

それだけ言ってデスクワークに戻ってしまう。

 

「……どうします?せっかく来たのに逆にくぎを刺されちゃいましたけど」

 

「大神くんの頼みだしどうにかしてあげたいんだけどねえ」

 

「別にいいんじゃない?動きを拘束されるってわけじゃないんだから」

 

「夕立が警察のデータベースから情報を集めたらいいっぽい?」

 

「……相談するならせめて俺のいないところでやれ」

 

呆れ顔の早蕨が戻って来る。

 

「俺の目が届くうちはやらせねえぞ」

 

「ぶー、どうやったらやらせてくれるっぽい?」

 

と言いながら早蕨の腕にからみつく。

 

「どうやってもやらせねえよ」

 

「早蕨さん、どうしたんですか?」

 

と、二人が話しているところに一人の女性がやって来た。

 

【幸運ロール 早蕨 幸運 ??→96 ファンブル】

 

川[この人も元探索者?]

 

K[いや、こいつはもともとNPCだ。だが……、前のメンツがこいつと俺をあれこれさせようとした結果……]

 

 

そして夕立の姿を見て固まる。

 

「………………」

 

「おう遠山か、こいつが危険なことに首を突っ込もうとしているから止めているんだが聞かねえんだ」

 

「……二人ってそんなに仲良かったですっけ」

 

「夕立と早蕨さんは仲良しっぽい!」

 

ニッコリと遠山に笑顔を見せる。

 

「ふざけんな、仲良しになりたきゃもっと言うことを聞け」

 

「早蕨さんが自由にさせてくれないのが悪いっぽーい。どうしてもって言うなら力づくでやっちゃうっぽい!早蕨さんが相手でも負けないっぽい!」

 

「とりあえず離れろ、邪魔だ」

 

「ぶーぶー!」

 

「そうですか……そうですか……」

 

と言いながら遠山が早蕨の頬を掴む。

 

「あ?」

 

声を漏らした直後、その頬が思いっきりつねられる!

 

「痛い痛い痛い!離せ遠山!」

 

「職場でいちゃつかないでください他の人の迷惑です場を弁えましょう」

 

「こふぇのふぉこがいちゃついれるってんらよ!」

 

無理やり遠山の手を離す。

 

【心理学ロール 明石 心理学 75→??】

 

(はっはーん、そういうことですか)

 

明石が早蕨の隣まで行って耳打ちする。

 

「このまま放っておくと面倒なことになりますよ?」

 

「あ?いや、すでになっていると思いやせんかこれ」

 

「そうじゃなくて、この場をやり過ごしたとしても次に二人が鉢合わせたらまた同じようなことが起こりますよ?」

 

「……どういうことでしょうか」

 

「私としてはどっちでもいいんですけどー」

 

意味ありげに微笑んで早蕨を上目づかいに見る。

 

「なんっすか」

 

「私たちが事件に関わることの許可、事件に関する私たちへの協力、これを受け入れてほしいんです」

 

「受け入れるわけないでしょ」

 

「私はどっちでも良いんですよ?遠山さんがこのまま情緒不安定になって宗教で癒しを求めるようになっても」

 

「……脅しのつもりか?そうならないように最低限のことはしているつもりだ、簡単には」

 

「何がこうなっているのかも分からないのに、断言できますか?」

 

「………………」

 

返事はすぐには返ってこなかった。眉間にしわを寄せ、何かを考えている。そして言った。

 

「夕立と連れの三人、ちょっとついて来い。遠山、お前には後で話がある」

 

そういうと自分のデスクから離れていく。

 

 

張[もちろんついていくわ]

 

 

 

 

背中に遠山の視線を感じながら早蕨についていった先は、署のトレーニングルームだった。

 

「夕立、どうしてもって言うなら力づくで意見を通す、って言ってたよな」

 

「え?うん、言ったっぽい」

 

「組み手で俺を倒してみろ、そうしたらピンク頭の提案に乗ってやる」

 

「ぴ、ピンク頭ですか……」

 

「どうする、やるかやらないか」

 

「もっちろん!最高に素敵な戦闘(パーティ)しましょ!」

 

 

K[戦闘についての説明だ。

 

 攻撃、回避、受け流しは一ターンにそれぞれ一回ずつ。

 

 ダイスが一~五ならクリティカルボーナス、回避と受け流しはカウンターを行うことができ、相手は回避も受け流しも使えない。

 

 攻撃はダメージが二倍だ。

 

 九十六~百はファンブル、ペナルティとして……まあ何かつけておく。何か質問はあるか?]

 

立[説明書にあったラッシュとフェイントって何かしら?]

 

明[それが銃よりも肉弾戦のほうが強くなる要因ですね。

 

 ラッシュは二回連続で攻撃ができ、フェイントは相手の回避を無効化します。これらの行動はターンの初めに宣言することが義務になっています。]

 

K[これらを使うのは良いが、うっかり殺すと不味い。今回に限りHPがゼロになっても戦闘終了としてダメージはほぼなかったことにする(早蕨は微調整出来るほど器用に作らなかったからな)。ダメージの三割は引き継がせる、端数は切り捨てな。これ以上の質問がないなら戦闘開始だ]

 

 

 

二人は上着を脱いで、畳のバトルフィールドに立つ。

 

「言っておくが、俺は手加減が苦手なんだ。痛いからって文句言うなよ」

 

「夕立は負けないっぽい!ソロモンの悪夢、見せてあげる!」

 

【戦闘開始 攻撃順は夕立→早蕨の順です 夕立 ラッシュ宣言】

 

【先手必勝 夕立 アーツ・こぶし 90・83→73 100 成功 ファンブル】

 

K[……は?]

 

 

夕立は早蕨に向かって特攻し、攻撃を仕掛ける。

 

【受け流しロール 早蕨 武道 ??→82 成功】

 

夕立のパンチを難なく受け流し、脚を引っ掛けて転ばせた。

 

「きゃう!」

 

可愛い悲鳴をあげて二転する。

 

「……なんだ、口だけか?」

 

ゆっくりと夕立のほうへ歩いていく。彼女が立ち上がったことを確認して早蕨が動いた。

 

【きつめのお灸 早蕨 武道・キック ??・??→67 成功】

 

早蕨の鋭い蹴りが夕立を襲う。先の攻撃で脚を捻ったのか回避することが出来ない。

 

【受け流しロール 夕立 アーツ 90→79 成功】

 

持ち前の運動神経で蹴りを受け流した。危機一髪な状況から抜け出し、早蕨から距離を取る。間隔はおよそ三メートル強、特攻を仕掛ければすぐに届く。

 

【早蕨 ラッシュ宣言】

 

「今度こそ!」

 

【挽回! 夕立 アーツ・こぶし 90・83→32】

 

さっきのように無理やり攻撃しようとはせずにまずは一発

 

【受け流しロール 早蕨 武道 ??→54 成功】

 

入らなかった。さっきと同じように攻撃が通らない。

 

【お手本 早蕨 武道・キック ??・??→58 51 成功 成功】

 

再び早蕨の蹴りが夕立を襲う。

 

【回避ロール 夕立 回避 90→49 成功】

 

身体の重心を後ろにすることで間一髪で避ける。しかし、早蕨の動きは止まらない。軸足を変えて勢いそのままに連続攻撃を試みてきた。

 

【受け流しロール アーツ 90→04 クリティカル!】

 

夕立はその脚を受け流した。同時に早蕨の懐へ潜り込み、握りしめた拳を打ち込んだ!

 

【ソロモンの悪夢! 夕立 アーツ・こぶし 90・83→40 成功】

 

【ダメージロール ??‐2D3=??‐4】

 

夕立のこぶしは早蕨の腹筋に突き刺さり、後ずさりさせるに至った。しかし、相手はまだまだ余裕そうだ。何歩か後ずさったものの攻撃を受ける前と変化がない。

 

「悪くないパンチだ。が、軽いな」

 

彼女の戦闘能力は高い。しかし、彼女の弱点は攻撃が軽いことにある。筋力こそあれど体格に恵まれなかった彼女の攻撃は頑丈な相手には通りにくい。

 

「この程度なら手を引け」

 

「むー、そんなことないっぽい!」

 

三度開いていた距離を埋めて、身体を大きく捻る。肩を入れ替える勢いでぶん殴る。夕立のこぶしがうなりをあげる!相手を倒せと轟き叫ぶ!

 

【ごっどふぃんがー! 夕立 アーツ・こぶし 90・83→78 成功】

 

【受け流しロール 早蕨 武道 ??→89 失敗】

 

夕立のこぶしを受け流そうとしたが、それをかいくぐって再び攻撃が通る。

 

【ダメージロール ??‐2D3=??‐5】

 

「大したことないっぽい!」

 

「チッ」

 

【蹴撃ロール 早蕨 武道・キック ??・??→39 成功】

 

【回避ロール 夕立 回避 90→93 失敗】

 

戦況が優勢だったので気が抜けていたのだろうか、難なく避けられると思っていた蹴りは夕立の身体に吸い込まれる。

 

「嘘っ!?」

 

【ダメージロール 11‐(2D6+1D4)=0】

 

【耐久値がゼロ以下となったので戦闘を終了します 

 

  早蕨は3、夕立は2ポイントのダメージを引き継ぎます】

 

 

 

早蕨の蹴りをモロに受けた夕立の軽い身体は簡単に吹っ飛んだ。

 

「きゃっ!」

 

ダメージが大きすぎたようですぐには立ち上がれなかった。

 

「夕立ちゃん!」

 

頭文字繋がりの夕張が夕立に駆け寄る。

 

「心配すんな、ちゃんと手当したらほぼ全快するはずだ」

 

そう言って上着を取りに行った。

 

「まだ負けてないっぽい!もう一回!」

 

「無茶しちゃダメよ!あんなのまともに受けて平気なわけないんだから!」

 

二人が色々と言い合っている間に早蕨はトレーニングルームから出ていく。そのあとを川内が追いかけていく。

 

「早蕨さんだっけ?ちょっと良いかな」

 

「……なんだ」

 

「夕立ちゃんの戦闘力を見てどう思った?」

 

「筋は良い。身体は身軽だし単純な技術なら俺と同じくらいだな」

 

「だったらさー」

 

早蕨の首に腕を回す。

 

「別に止めなくても大丈夫じゃない?」

 

「…………………」

 

「早蕨さんみたいなのなら警戒されることはあっても油断してくれる相手はいないでしょ。夕立ちゃんは小っちゃくてかわいいから油断してくれる相手もいる」

 

「………………」

 

「さっきのも運が良かったから勝てたようなものだし。私もそういう暴力沙汰には手が回るほうだよ?」

 

【言いくるめロール 川内 言いくるめ+RPボーナス 85+10→50 成功】

 

「……分かった」

 

川内の腕を外して早蕨が言った。

 

「あれだけ戦えるなら大抵のことはやり過ごせるだろうしな。ピンク頭に言っておけ、早蕨が提案を受けるってよ」

 

「それはどうも」

 

「それとこれを渡しておく」

 

そう言って早蕨が名刺を渡した。

 

「夕立とは課が違うからお互いにメアドも番号も交換してねえ、何かあったらこれに連絡しろ」

 

川内が名刺を受け取るとすぐに行ってしまった。

 

「……チョロイ」

 

一言つぶやいて明石たちのところへ行った。

 

【手当 夕立 応急手当 90→83 成功】

 

【9+1D3=11】

 

自分で手当てをしてダメージが抜けた。ただ、一撃でやられてしまったことがショックのようだ。

 

「きっと緊張していたのよ」

 

「上司相手だから実力を出し切れなかったんですよ」

 

夕張と明石が慰めていた。夕立はふくれっ面で座り込んでいる。目には涙さえ浮かんでいる。肉体的ダメージよりも精神的ダメージのほうが大きいっぽい。

 

「ちょっといいかな?」

 

と、川内が声をかける。夕張と明石は川内の方を見たが、夕立だけはそっぽを向いている。形はどうあれ反応があったことを確認してさっきの会話の内容をそのまま伝える。

 

 




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