ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~   作:sora1996

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第9話「思わぬ誤解」

いつもと同じ時間が流れる私立明堂学園中等部。本日も中等部、高等部の両部では何事もなく一日が流れる・・・筈だった。

 

「たぁあああああっ!!!」

 

 

 そう今日は事情が違った。砂漠の使徒にサソリーナが懲りずに私立明堂学園中等部を襲撃してきたのだ。混乱に襲われる学園に蒼鎧騎士のブルービートが駆けつけデザトリアンに立ち向かい生徒、教員、学園関係者を避難させるべく立ち向かっていた。

 

 

「ビームモード、でやぁあああ!!!」

 

 

デザトリアンに向けて空中からのインプットマグナムの砲撃、それに加えてダメ押しの急降下飛び蹴りを浴びせてデザトリアンを無理やり倒させた。だが簡単には倒されまいとダメージを受けながらもデザトリアンは立ち上がる。

 

 

「ゴーーーーール!!」

 

 

 サッカーゴールを媒体としたデザトリアンはゴールネットをブルービートに向けて絡み付けて動きを封じにかかる。まるで蜘蛛が獲物を自身の糸に絡めるような手つきは素早く、攻撃をしようと飛び上がった状態のブルービートでも回避が間に合わない。

 

 

「ぐっ!?・・・なんだこれは?」

 

 重厚な身体に絡みついたゴールネットはしっかりとブルービートを捕らえると動きを封じる。どうにかして身体に絡みつくゴールネットを焼き切ろうにも腕の動きが制限されてしまいホルスターに収められているインプットマグナムに手が届かず使えない。ブルービートは一気に形成は不利になってしまい動けない彼を見てサソリーナはニヤリと悪者の笑みを見せる。

 

 

「さぁ、デザトリアン!! ブルービートを一気に片付けちゃってぇ!」

 

 

 今がチャンスだとデザトリアンにブルービートのトドメを刺すように命令するとデザトリアンはブルービートに腕を振り下ろし彼の青く輝くインセクトアーマーを殴ると殴られた部分から火花が散った。

 

 

「ぐっ、がぁはぁああっ!?!?」

 

 

更にそれに加えてブルービートの身体を腕で掴んで持ち上げてギリギリと締め上げたあと上空に放り投げてからの体当たりを仕掛けて凄まじい勢いで吹っ飛ばす。

 

「うわぁああああっ!!!ぐっ!?・・・」

 

 

飛ばされたブルービートの後ろに素早く回り込んでゴールネットへ捕らえと飛ばされた勢いをそのまま反動力として利用され今度は後ろから前に飛ばされてしまい校庭のグランドに叩きつけられる。

 

 

「うぅ・・・ぐぅ・・・・っ!!」

 

 

縛られていて体の自由が利かないブルービートは身体を震わせながら拳をギリギリと握り締める。そしてサソリーナとデザトリアンを睨みつけると傷つたアーマーから煙があがっている。

しかしブルービートは倒れた身体に力を入れて起き上がり再度両手の拳を握り締めた。

 

 

「お前なんかに負けてたまるかぁっ!!!」

 

 

 力強く叫ぶとブルービートは自分のアーマーに縛られているゴールネットを一気に引き千切ろうと力を込める。中々力を込めても引きちぎれないのだったがブルービートは両手の拳を全力で握りしめて震わせると身体に絡みついたゴールネットを握り凄まじい握力で引っ張り上げる。

 

 

「おおおおおおおおおおお!!!!!・・・ぐぅう!!!・・おぉおおおおおおお!!!!!!!!」

 

 

 ブルービートの赤い目の部分が光り輝いた瞬間に全身を震わせていたアーマーに閃光が走るとギチギチとゴールネットが音を立てて引っ張り上げる。

 

 

「力を込めても無駄よォ~~!! デザトリアン、今のうちにブルービートにトドメをさしちゃって~~~!!」

 

いくらどれだけ力を込めようともデザトリアンのゴールネットは簡単に引きちぎれない。無駄なあがきだとサソリーナはタカをくくってデザトリアンにトドメの一撃を命令する・・・がその油断からの奢りが決定的な綻びを生むことになった。

 

 

「ぐぅううううううううっ!!!・・・・うおおおぉおおおおおああああああああああああ!!!!!!」

 

 

デザトリアンが距離を縮めトドメの一撃を放とうとした次の瞬間にブルービートは身体の周囲に火花が散ると同時に自分の身体に絡みついていた蜘蛛の糸のようなに強靭であったゴールネットを引き千切る。

 

 

「でりゃぁああああっ!!!!」

 

 

 そして次の瞬間には反撃のジャンピングダブルパンチアタックをデザトリアンに叩き込んで向かってきた勢いを逆にそのまま打ち返す。先ほどのゴールネットを利用した攻撃を今度は逆にブルービートがそのまま返したのだ。

 

 

「ゴーーーーールゥ!?!?!?」

 

 

すると自分のパワーをそのまま身体に打ち返されたデザトリアンは返り討ちとなりグランドに叩き潰された。

 

 

「何!?」

 

 

馬鹿力とでも言うべき凄まじいパワーを目の当たりにしてサソリーナは驚く。プリキュアも想定外は大概であるがこのビーファイターという鎧騎士ブルービートも同じぐらいに危険因子だと改めて感じるサソリーナだったが今更気がついても既に遅い。

 

 

「スティンガーウェポン!!」

 

 

ブルービートは一気に勝負を決めると右手を背中に回す。するとその腕が蒼い光を放ちながら眩しく光り輝く。次の瞬間には蒼い光は何かの形をなしていき数秒後には変化いや、光から出現したブルービートの専用武器が初めて姿を見せる。

 

 

「スティンガーブレード!!」

 

光が収まった彼の右腕にはビーファイター専用の手甲武器【スティンガーウェポン】が装備された。ソレを背中から前に出して胸の前に掲げる。

ビーコマンダーと同じカラーリングで銀色と黒で彼の武器は自身の鎧の色と同じ蒼色の長く鋭利の刃が装備された剣【スティンガーブレード】だ。

 

 

「はぁあっ!!!」

 

 

スティンガーブレードを構えたブルービートは勢いよくジャンプしてデザトリアンとの距離を一気に縮めるとデザトリアンの身体に一閃を叩き込み斬りつけるとデザトリアンは再度倒される。

 

 

「まだまだいくぞ!!」

 

 

だが反撃だとすぐに起き上がる。それを見たブルービートも同じく剣を構えデザトリアンに向かって走る。そして距離を縮めながらの素早いスティンガーブレードの攻撃にブルービートに戦いの流れは一気に傾き始める。

 

 

「ゴーーーール!!」

 

 

 自分に向かってくるブルービートにデザトリアンはゴールネットでもう一度動きを封じようとするが同じ手はブルービートには通用しない。ブルービートはスティンガーブレードを構え振り上げると素早く移動した。

 

 

「遅い!!」

 

 

放たれたゴールネットをスティンガーブレードの蒼い刃が全てそれを斬り裂きバラバラにしていた。もはやデザトリアンの攻撃はブルービートには一切通用しない。

追い打ちの一撃だとブルービートは飛び上がると上空からデザトリアンに狙いを定める。

 

 

「たぁあああああっ!!!」

 

 

 そのまま急降下から斬りつけ攻撃を叩き込み着地したあともブルービートは振り返りざまにデザトリアンの足を斬りつけデザトリアンに反撃の隙すら与えない。そして最後に縦一文字に斬りつけデザトリアンを倒れさせる。

 

 

「トドメだ!!」

 

 

 ブルービートはスティンガーブレードを胸に翳すと胴体部分がスライドして内部が露出する。内部は銀色のギアが内蔵されていてそれが勢いよく回転すると蒼いスティンガーブレードの刃も回転する。

キュイーーーーンと金属音を響かせながらブルービートはデザトリアンへと走り一気に距離を縮めてゼロ距離にまで近づくと一度スティンガーブレードを振りかざし下ろすとスティンガーブレードの蒼い刃に蒼い光の稲妻のようなエネルギーを充填させる。

 

 

「ビートルブレイク!!!」

 

 

凄まじいばかりのエネルギーを纏ったスティンガーブレードの刃をもう一度振り上げデザトリアンに向けて横斜めに振り下ろして斬りつけるとデザトリアンの身体に蒼い閃光が叩き込まれる。

 

 

「ゴーーーーールゥウ!!!」

 

 

数秒悶えたデザトリアンは倒れて爆発し消滅すると媒体となったサッカーゴールは元の場所へと戻り心の花と分離する。ブルービートは降りてきた心の花が入っているクリスタルを優しく取り回収する。

 

 

「キィーーーーーーー!!! ブルービート、覚えておきなさいよ!!」

 

 

 圧倒的な力の差を見せつけられて敗北したことにサソリーナは悔しがりながらその場から消える。心の花を取り戻したブルービートは事前に回収した水晶とクリスタルを持ち一度離れるように呼び上がると誰もいない屋上に移動する。

 

 

「よし、此処なら誰も来ないだろうし目覚めても大丈夫だ。」

 

 

 心の花と水晶を合体させてデザトリアンにされたサッカー部の少年を元に戻すと少年をその場に寝かせる。

ブルービートはその場から移動するように離れて学校の外へとジャンプして飛び上がった。

 

 

「そろそろ奴が・・・ブラックビートが姿を見せてもいい頃なのに・・・まだそこまで俺やプリキュアが危険因子と見なされていないという事か?」

 

 

デザトリアンを倒すことは出来たがブルービートはどこか満足していないようであった。彼自身も狙っている相手がいるがそれが一向に現れずイライラが募っているようだ。

いずれ必ず姿を見せる筈だと思いながらも苛立ちを隠すように気に拳を叩きつけると学園のチャイムが鳴った。

 

 

「っ!!・・そうだった、早くしないと昼休みが終わっちまう。重甲解除!!」

 

 

 そう、今は昼休み。早く戻って普通の中学生としての生活を演じなければならないと拓哉は重甲を解除しブルービートの鎧を拡散させてビーコマンダーに収納させると鎧騎士から人間としての甲斐拓哉の姿に変わる。

 

 

「今からなら5分でギリギリ間に合うな・・・よし、近道だ!!」

 

あと5分で午後の授業が始まるその前に拓哉は教室に戻ろうとグランドを囲うフェンスを飛び越える・・・上手く着地しようと下を見ると其処には予定外のものがあった。

 

 

「花が!?・・・ぐっ!!!」

 

 

 下を見ると自分が着地ポイントと定めていた所にはタンポポの花があることに気がつく。拓哉は花を避けようと無理やり別の場所に身体を飛ばすと見事着地に失敗してしまう。

 

 

「い、いってぇ~~~・・・・でもよかった」

 

 

 派手に尻餅をついてしまいその衝撃が腰に走ると痛みに拓哉は悶えてしまう。インセクトアーマーが体に装備されていればこの程度の痛みなど何でもないが流石に生身となるとそれなりの高さから派手に落ちると痛みもそれに比例する。

拓哉は自分の腰を摩りながらも花が無傷であることを確認し立ち上がる。さて、今から全速力で走れば授業に間に合うと重い拓哉は走ろうと立ち上がる。

 

 

「・・・か、甲斐くん?」

 

 

「っ!?・・・」

 

 

 聞き覚えのある声に拓哉はハッとする。声のした方向を見ると其処にはこちらを何かを知ってしまったというような顔になっている・・・まさか、重甲を解除したところを見られブルービートの正体が彼女にバレた!?

 

 

『・・・・』

 

 

なんとかこの状況をやり過ごせないか・・・何とかしてこの状況誤魔化せないかと拓哉は必死に普段は使わない頭をフルに回転させる。想定外のこの状況に拓哉の精神は精一杯で何も出てこない。気まずい空気がつぼみと拓哉の二人を包み込んでいった。

嫌なほど続く重い沈黙。吹き抜ける風に揺れる木々のざわめきが酷く五月蝿いほどよく聞こえた。季節はずれの汗が拓哉の額から溢れるように出る。・・・なんとかこの娘を納得させるような嘘を考えければと焦る拓哉だったが・・・・

 

「甲斐くん・・・・あ、あの」

 

 

 拓哉はつぼみに名前を呼ばれると身体がビクンと反応した。彼女との目線がぶつかり反らすことができない。だがようやくつぼみの唇が、僅かに動いた。その瞬間、ようやく拓哉も身体の自由が利いたのか動く。

つぼみが言葉を形成す前に彼女の前に立ち彼女が何を言う前に威圧を送り込んで黙らせる。

 

 

「今・・何を見た?」

 

 

「え、え?・・いえ、あの・・・」

 

 

 普段見ない拓哉の威圧感につぼみは恐怖する。日ごろ大人しい姿しか見せない人間が凄い剣幕で近づいてくるのを見たら誰もがこうなるだろう・・・はっきりしない態度に拓哉は苛立ったようにしながらも一度彼女を見る。

 

 

「今見たことは忘れろ。そして絶対に誰にも言うなよ・・・特に絶対にえりかには・・・誰かにバラしたらその時は・・・」

 

 

 拓哉はハッキリしない態度でオドオドするつぼみの身体を押さえつけるように肩を掴んだ。そして念押しするように彼女に忠告する。つぼみは拓哉の言葉につぼみは少し震えながらも頷きそれを見た拓哉はつぼみの拘束を解いた。

 

 

「・・・・」

 

 

拓哉はそのあとすぐに全速力で教室へと走りその場から逃げるように姿を消し残されたつぼみは数十秒ほど放心状態となるが予鈴のチャイムが成り我に返る。そして自分も急いで戻らなくてはと走りながらも思ったことは・・・

 

「甲斐くん、昼休みに学校に抜け出すのはよくありませんよ!!」

 

 

 つぼみは拓哉が居なくなったあとにそう呟いた。実は彼女が見たのは拓哉が重甲解除した場面などではなく拓哉が学校の外からフェンスを飛び越えたあとタンポポの花を庇って尻餅をついて怪我をしたその瞬間だったのだ。

 先ずは学生が昼休みとは言えど勝手に学校を抜け出したことをクラスメイトとして注意しそのあとに花を庇った事を褒めて嫌な空気を相殺しようと思ったが拓哉の思わぬ威圧に押し負けてしまったため何も言えなくなってしまったのだ。

 

「・・・でも甲斐くんが花を庇ったのは意外でしたよ」

 

拓哉が全速力でつぼみの前から逃げるように姿を消したあとつぼみも急いで教室に戻るとギリギリ二人は授業に間に合う。

 

 

「つぼみ、拓哉、二人とも何処に行ってたのよ?」

 

 

 教室にほとんど同時に入ってきた二人は自分の席に着席するなりえりかに問いただされる。しかし二人の耳にはえりかの言葉は届いておらず拓哉とつぼみはお互いに的違いの抱えてをしてしまっていた。

 

 

「(正体がバレたのは本当に花咲さんだけか?・・・いや、もしも他に誰か見ていたとしたら・・・・やっぱり学校で重甲なんてするじゃなかったよ!!)」

 

 

「(甲斐くん・・・やっぱりあとでちゃんと一言言わないと。でも言われた通り、えりかにはちゃんと黙っておきましょう)」

 

 

 お互いに勘違いしたまま午後の授業を受けるのだが・・・その間にも拓哉とつぼみは何処かぎこちない雰囲気を醸し出している。

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