ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~   作:sora1996

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13話「寂しさと本音」

 翌日の放課後に3人はまたいつもの学校帰りの道を歩いて帰っている最中に三浦ラーメン二号店の前を通ることとなるのだが其処には既に先客がいるようだった。

 

 

「あ、親不孝もの。お花壊したりしないだろうな?」

 

 

 幸いえりかの毒舌はあきらには届いていないようだ。拓哉も正直それをやりかねないのではないかと思っていたがそれどころか意外にも彼は風か何かで飛ばされた花を元に戻した。

 

 

「・・・・(アイツ・・・やっぱり)」

 

 

 それを見た拓哉は自分の中での疑問が確信に変わった。あきらは本心では父親のラーメン屋を応援していないわけではない。でも何かが迷いを生んでいる。

それが一体何かであるのかは流石に本人にしか分からないが虚勢で自分と他人を誤魔化そうとしているだけなのだ。

 

 

「つぼみ?」

 

 

 拓哉が内心でそう思っていると突然つぼみがあきらを追いかける。えりかと拓哉は一体どうしたんだと思いながらも同じく追いかける。

 

 

「あ、あの・・・すいません」

 

 

 つぼみは自分なりに勇気を振り絞って彼に話しかけようとするのだが言いたいことを言う前にあきらが逃げるように階段を走って登って行ってしまう。つぼみはそれに気がつき急いで追いかけるが・・・

 

 

「うわぁああっ!?」

 

 

 なんと上がっている派手に転んでしまう。慌ててドジをするのは彼女らしいというべきか・・・あとを追っていたえりかと拓哉は急いで転んだ彼女に駆け寄った。

 

 

「いてて・・・」

 

 

 

「大丈夫?つぼみ」

 

 

 やれやれとつぼみに駆け寄った拓哉とえりかの二人は彼女が擦りむいた膝の傷を見る。痛がってはいるが転んだ程度なのでそれほど大きな傷ではない。だが傷からは血が出ており見た目はそれなりに痛々しい。

 

 

「大丈夫?あぁ~あ、血が出てる・・ちょっと待って、今ティッシュを・・・」

 

 

 女の子に傷を残すのはよろしいものではないと応急処置をするべく拓哉はカバンからティッシュを探すがそれを出す前にあきらがつぼみに駆け寄る。

 

 

「ほら、これやるよ」

 

 

 

「え?」

 

 

意外も意外つぼみに絆創膏を手渡したのだ。拓哉が言えた立場ではないが昨日までのぶっきらぼうな彼にはあまり想像し難い。

 

 

「野球部だからな。いつも持ってるんだよ」

 

 

 

「あ・・ありがとうございます」

 

 

 つぼみは意外な優しさを感じやっぱり何かがあると疑念が確信へと変わった。絶対に今の彼には何か理由があるから父親を避けている・・・つぼみはタイムの花言葉【勇気」を振り絞って彼に声をかける。

 

「あ、あの!!・・・三浦君はお父さんにどうしてほしいんですか?」

 

 

 

「っ!?」

 

 

 つぼみに父親に何を求めているのかと聞かれいきなり動揺したあきらの顔は動揺したように表情が変わる。・・・・というよりもいきなりそのようなことを聞かれれば誰しもがああいう反応になるのが普通なのだが・・・・

 

 

「どうしてお店を応援できなくなっちゃったんですか?お父さんにラーメン屋をやめてほしんですか?」

 

 

「そんなわけねぇだろ!!!」

 

 

 つぼみのマシンガントーク調の問い詰めに大声でそう返したあきらの態度に3人は驚く。そして彼自身も自分の感情的な行動に驚いたのかその場から走るように逃げていってしまう。

 

 

「・・・・・・」

 

 

 残された3人はますます理由がわからなくなる。彼の本心は一体なんなのか・・・もしかしたら答えは自分たちが思っているほどかなり複雑で入り組んだものなのかもしれない。

 

 

「あのさ・・・俺、結構遠くにあるものなんじゃないかと思うんだ。本当に大事なものってさ」

 

 

 夕焼けに包まれる土手の道を歩きながら3人はモヤモヤした気持ちになっていたがその中で突然拓哉がふとつぶやいた。

 

 

「何よ、どうしたのさ急に?」

 

 

 普段の冷たくドライな態度からはらしくない拓哉の言い方にえりかが微笑する。昨日の一見から今朝のことで思うことあったのか・・・拓哉は突然止まり夕焼け色の空を見る。

 

 

「・・・俺たちはそれぞれ大切なものを持っている。それは普段は気が付かないけど【一番近くにあるようで一番遠い】・・・・そう思う。」

 

 

「一番近くて・・・・」

 

 

「一番遠い・・・・」

 

 

 拓哉のセリフをつぼみ、えりかと繰り返していると拓哉は止めていた足を再び前へ進める。いつもの彼からは想像できない程優しい口調だがその本心は何かを思い出して寂しそうで複雑な心境・・・それだけは二人にも理解できた。

 

 

「その大切なものを突然・・失くしちゃうとさ。大事のものであればあるほどきっと遠くに行ってしまう・・・だから必死に守ろうとする。でもどんなに手をのばしても届かないものもある・・・・親とか家族も同じでさ。いつも近くにいるのが当たり前に感じてるけど、気が付いてみると案外遠くにいるもんなんじゃないかな・・・って」

 

 

 夕焼け色に染まっている空を見て語る拓哉の意図がわからない二人は互いに顔を見合わせて首をかしげる。だが拓哉本人はというと突然懐からビーコマンダーを出して少しの間それを見つめ、また喋りだす。

 

 

「・・・・たぶん、それは皆同じなんだよ。自分が普段は見えてないだけ・・・本当はいつも近くで自分の大切な人のために頑張ってる人がいて、その人のこと誰よりも大切に思っているからきっとあんな風に言ったんだと思う。三浦にもきっとなにか理由があるはずなんだ」

 

 

「それって一体どういう・・・・・っ!!・・・拓哉、もしかして思い出しちゃった?」

 

 

 えりかの問いに、拓哉は少し顔を俯かせたあとにすぐに顔を上げてある方向を見る。その視線の先には、土手したで仲良く遊ぶ幼い子供と父親の姿があった。それを見てえりかは彼の心中に思うもの察しがついた。

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 えりかは察しがついたようだがつぼみは一人置いてきぼり状態だ。しかしつぼみにも拓哉の言葉がただの思いつきなどではなくちゃんと感じ自分が思っている本心だということは分かった。

 彼の過去に何があるかは詮索できないがそれでも分かる・・・何か悲しみと痛みを背負っているという事は。

 

 

「・・・・いつだって、親は子供が心配なんだよ。どんなに離れていても、言葉が届かなくても。ちゃんと必要なものは伝えててくれるんだ。例えいつか突然自分の目の前から消えてなくなっても」

 

 

「拓哉・・・・」

 

「おっと、らしくない話が長くなっちゃったね。・・・ごめん、今の忘れてくれ。なぁ、3人で三浦ラーメンの開店日に食べに行かないか?・・・せっかくなんだしさ」

 

 

 いきなり話題を変えるように明るく振舞う拓哉だがつぼみは彼のどこか寂しく辛そうな表情が頭から消えることはなかった。それ以上言葉が出なかった。拓哉にはまだ自分にしか言えないような何かを抱えている。それもただの痛みじゃない。想像を絶する痛みなのだろう・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 砂漠の使徒では緊急の幹部招集されていた。ブロッサムとマリンのプリキュアチームに2回、ブルービートに1回敗れたサソリーナ、ブルービートと正面からの決闘を挑み敗北したクモジャキーは勿論のことだが下界に降りていたコブラージャも呼び出されておりまさに緊急の作戦会議・・・いや御前会議という名の叱責という方が適切だろう。

 

 「サソリーナに続きまたしてもプリキュアとビーファイターに遅れを取るとは・・・どういう事だクモジャキー?」

 

 

「この前はほんの小手調べじゃ。次は必ず」

 

 

 クモジャキーからすればブルービートとプリキュアの実力を図るが故での行動程度でしかないだろう。しかしながらサバークからすればいつまでもこのような事態をズルズルと野放しにしておくのはかなり都合が悪い話だ。

 

 

「それは言い訳かい?ライト」

 

 

 クモジャキーの言葉を切って割り込んだコブラージャは手下にライトをもらせて自分に目一杯の光を浴びて登場する。

 

 

「ふふっ、全く君はむさ苦しい上に見苦しいね~クモジャキー」

 

 

 高圧的で上から目線のその態度と仕草全てを傍から見ればただの【目立ちがたりのナルシスト】という言葉以外は思いつかないだろう。クモジャキーもそのナルシスト野郎に好きに言われて黙っているはずはない。

 

「やっかましいわコブラージャ。お前の出番はないぜよ・・・引っ込んどけ!!」

 

 

 まだ侵略作繊維参加すらしていない輩に文句を言われる筋合いはないとクモジャキーはコブラージャに噛み付いていくも当の本人は全く堪えている様子はない。

 

 

「どうでしょう?僕ならもっと上手くやってみせますが」

 

 

 どこから出てくるか分からない自信タップリにコブラージャはそう言う。玉座のとなりで彼の態度を見ていたダークプリキュアとブラックビートも半分呆れたような視線を送っているがそれもいまの彼には届いていなさそうだ。

 

 

「ならば行け、コブラージャ。プリキュアとブルービートを倒せ」

 

 そこまで言うのであれば今回の作戦の主導権を与え全て任せてやるとサバークは彼の出撃志願を承認する。

 

 

「・・・・お任せ下さい」

 

 

 その言葉を待っていたとばかりにコブラージャは唇を歪ませて笑みを作ると瞬間移動で下界へと降りていった。

 

 

「・・・・ふぅん(・・・コブラージャなんぞの【自己顕示欲の塊】風情に未熟なプリキュアはともかくブルービートを倒せるはずはない。奴を倒すのはこの俺だ!!)」

 

 

 玉座の隣でブラックビートは心中でそう呟きながら突如玉座の間から姿を消すべく足を動かした。彼にはまるで分かっているようだ。今回も作戦は失敗すると。

キュアムーンライトをダークプリキュアと共に倒した彼の実力が第六感【シックスセンス】を働かせているのか・・・・それとも何か別の力が彼に確信を与えているのか・・・・

 その根拠は全く分からないが彼にはわかっているかのようだ・・・自分が敵視している因縁の相手【ブルービート】は着実に成長している事が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グッモ~~ニ~~ング!!!いつまで寝てんの?起きた!起きた!!」

 

 

 つぼみの部屋に乱入したえりかは日曜日で爆睡している彼女の布団を剥ぎ取って無理やり叩き起こしていた。つぼみは一体何だ?というか何でえりかが自分の部屋に入っているのかと寝ぼけている頭での情報処理と感応処理が追いつかないままボケっとした顔でえりかを見つめた。

 

 

「んんぅ~~~~・・・学校はお休みじゃ?」

 

 

 まず一番に出てきたのはソレだ。今日は日曜日・・・日曜日ぐらいはゆっくりと普段よりもより多くたくさん寝ていたいは誰もが思う欲求だ。つぼみは低血圧な体質でもあるようであり寝起きはアクティビティに活動は出来ない様子。

 

 

「三浦ラーメン二号店の記念すべき開店日にのんびり寝てる場合じゃないっしょ」

 

 

「開店は11時からじゃぁ~~??」

 

 

 今の時間は朝の8時。いくらなんでも3時間も前から近くのラーメン屋に行くだけで準備するには早すぎるのでは?と思っているつぼみは寝ぼけながらもえりかは待ってくれずつぼみの手を掴んでベッドから引きずり出す。

 

 

「並んで待って1番に食べるのぉ~~~!!」

 

 

 何のこだわりか分からないと思いながらもつぼみはえりかに言われるがまま着替えさせられて準備をさせられる。外には同じく叩き起された拓哉が待っていた。

 

 

「ふぁぁあ~~~~~・・・眠い」

 

 

 食べに行こうといったのは自分であるためあの超が付くほどのウルトラマイペース幼馴染に言われるがまま半分以上強引に日曜日に叩き起されたのだが正直今の自分はかなり眠気が酷く辛い。

 

 

「・・やっぱ遅くまで漫画を読んでるんじゃなかったな。ていうかアレを貸してきたのはアイツなんだけど」

 

 

 

 その理由は単純な寝不足だった。先日えりかから借りた漫画を夜遅くまで読んでいたのが祟ったのだと思いながらも拓哉は欠伸をして眠気をなんとか発散しようとする。朝食も食べる暇もなかったので腹の虫も鳴っているがそれ以上に眠気が酷い。

 慣れない夜ふかしなどするものではないと思いながらも二人がつぼみの家から出てきたので眠気を抑えながらも3人は和気あいあいとしながら目的とへと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃野球部の練習のためにあきらは家を出ていた。普段の登校ルートだと途中に二号店の前を通ることになるのでどうしようかと迷ったが結局は時間の都合もあり普段の登校ルートを使うと事にしていつもの道を歩いていた。

 

 

「・・・・」

 

 

 本日は二号店の開店日で父親は勿論だが母親も回転の手伝い出向いている筈。見つかれば面倒なことになりそうなのだがそれでも今更戻る時間もない。声ぐらいはかけようかと目線が店に向かい迷っているうちに店から母親が出てきてしまう。

 

 

 

 

「・・・・」

 

 

 そしてそのまま店に入ると父親が開店の準備とラーメンの仕込みを始めている。正直それを見るのは今のあきらには辛い。だがそれを言葉にして伝えることが出来ない。そんな歯痒さが心を掻き毟るように彼を襲う。

 

 

「この2号店がうまくいったら次は3号店ね。【三浦ラーメン】をいろんな人に食べてもらいたいっていうお父さんの夢叶えなきゃね」

 

 

「ああ」

 

 母親はそう言うがあきらにとってそれは更に自分を苦しめるだけにしかならない。そうでも決してラーメン屋を止めてほしいわけじゃない。ただの子供じみたワガママで両親を翻弄したくない。

 

 

「・・・・・」

 

 

 だから自分の心の中で抱え込むしかない。だがそれも日増しに辛くなってきている・・・無意識に自分の本音が悲鳴を上げているの・・・出されたラーメンを見ると心の中に押し殺しているのがやっとの本音が叫びたくなる。

 

 

「どうした?冷めちまうぞ」

 

 

 あきらの父は自分の息子の様子の異変に気がついたようで声をかけるも黙ったままで何も返てってこない。

 

 

「食べたくない!!」

 

 

 一方あきらが出せた言葉はそれしかなかった。本当は違う。そうじゃないのに・・・母親が心配そうに彼に問いかけるも彼は拒絶しかできない。本当はそうじゃないのに・・・・言いたい事が言えない自分が腹立たしくて嫌になる。

 

 

「ラーメンが嫌いってわけじゃないよな?・・・・言いたいことがあるなら、はっきり言え」

 

 

 何か言いたいことがあるのは態度でわかる。だがそれをどうして言わないのかが分からない。思い切ってそう言って言うようにけしかけてみるがそれは今のあきらには逆効果だった。

 

 

「言ったてしょうがないんだよ・・・どうせラーメンが一番大事なんだろ!!!」

 

 

 

 逃げるようにあきらは店を飛び出す。自分の本当の気持ちは父親に伝えても変えられない。だからこそ黙っているしかない。でも本当は・・・・

その迷いを持ったまま店を飛び出したことが良くも悪くも目をつけていた邪悪な蛇がいることにこの段階では気がつけなかったのだった。

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