ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
思わず飛び出してしまったあきらだったがその彼を待っていた影があった。その正体は世界一美しい男を自称するナルシスト幹部ことコブラージャだった。
「君、君の心いい具合に萎れているね」
透視能力であきらの心の花がデザトリアンを生み出すには丁度良い具合に弱っているのを確認するとコブラージャは目を怪しく光らせる。
「心の花よ、出てくるがいい!!」
次の瞬間にはコブラージャがあきらに向けて腕を伸ばすとあきらの身体が光に包まれて心の花が取り出されてしまう。心の花を取り出されたあきらは水晶玉に閉じ込められてしまいコブラージャは水晶玉を分離させて心の花を手にとった。
「さぁ、ショーを始めよう。デザトリアンのお出ましだぁ!!!」
自分の部下【スナッキー】に持ってこさせたあきらの父のラーメンが入った丼ぶりを媒体として心の花と融合させるとラーメンの丼に手足が生えたデザトリアンが生み出される。
「ああ、アレ見てですぅ!!」
「デザトリアン!! つぼみ、拓哉」
『うん!!』
デザトリアンの気配に気がついたシプレがつぼみ達に知らせる。それに気がついた3人はそれぞれ変身アイテムを取り出す。つぼみ、えりかの二人はココロパヒュームを拓哉はビーコマンダーを取り出す。
『プリキュア・オープンマイハート』
ピンク、水色の二つの光がそれぞれつぼみとえりかの身体を包み込んでいく。その過程の中でピンクと水色の光はお互いに混ざり合うように交差していくと二人の少女は大地の戦士と海の戦士へと変わっていく。
「重甲!!!」
ビーコマンダーのウィングを開きそこから発せられた蒼い光りは眩く拡散し拓哉の身体を包み込んでいくと重厚なる鎧を纏った昆虫の王カブトムシの力を持つ蒼き守護者の騎士へと変わる。
「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!!」
「海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!!」
『ハートキャッチプリキュア!!』
少女二人が大地と海の戦士の姿『プリキュア』に変身し二人揃ってポーズを凛々しくそしてキュートに決める。
「ブルービート!!」
その隣で重厚なる蒼い鎧騎士も名乗りあげて鎧を唸らせながらポーズを決める。3人はそれぞれ名乗り上げを終えるとブルービートは飛び上がりブロッサムとマリンはダッシュでデザトリアンへと向かっていた。
「・・・来たね。プリキュア、ビーファイター」
ブロッサム、マリン、ブルービートの3人は器用に鉄格子の上に飛び乗るとそれに気がついたコブラージャが3人に目を向ける。
「砂漠の使徒の新しい幹部!!」
「名を名乗りなさい!!」
ブロッサムとマリンはサソリーナ、クモジャキーに続く3人目の幹部にも怯まずそう言った。
「僕の名はコブラージャ。よろしく!!」
意外にも礼儀正しいコブラージャはブロッサムとマリンに向けて何かカードのようなもの投げつけてきた。二人はそれを手で取り見てみるとそれは・・・なんと彼の敷筆サイン入のブロマイドであった。ブロッサムとマリンはそれを見て絶句する。
「おい、二人とも・・それ貸せ」
自分には渡されなかったことにブルービートは苛立ったのかコブラージャのブロマイドを二人の手から取り去るとそれを空に投げてインプットマグナムを乱射してブロマイドを一瞬で消し炭にする。
「君、僕のブロマイドになんて事を!!」
コブラージャは自分丹精込めたブロマイドを灰にされ当然気に食わない様子でブルービート睨む。だがブルービートはと言うと自分を無視したお前が悪いとばかりに逆に睨み返す。
「うっさい。男とは言え敵を無視した罰だ。ていうか自分のサイン付きブロマイドなんか渡すか普通・・・はっきり言うが自己意識のナルシストキャラも度を越すと凄く気色悪いぞ?」
「気持ち・・・・悪い・・・・?この僕が気持ち悪いだと!?」
ブルービートに自分の態度を客観的にそして尚且つコブラージャが最も嫌う言葉を投げかけられると静かなる怒りをコブラージャ。自分の容姿や美貌には並の女性以上に徹底的にこだわっている彼にとってはプライドをズタズタにされたも同然の行為だが・・・
「ねぇ、なんか地雷を踏んだ気がするんだけど・・・・」
ブルービートのセリフに過剰反応しているコブラージャを見てマリンは彼にそういうもブルービートはと言うと・・・・・
「知るか。こういうやつは一度身の程を知ったほうがいい」
当のブルービートはというとマリンに軽くそう言ってその事は一切気にしていない様子でマグナムをホルスターに収める。ブルービート自身もコブラージャは何が気に食わないのかブルービートも食ってかかる態度を見せる。
「ほら、行くぞナルシスト野郎!!」
コブラージャの態度にイラつきがあるようでありいつも以上に嫌味のキレがかかっている。構えを見せながらも3人はコブラージャに向かっていこうとするがその前に暴走するデザトリアンを止めなければならない。
「ブロッサム!!」
「三浦くん!!」
シプレが回収した水晶玉には三浦あきらが閉じ込められていてあのデザトリアンは彼の心の花がデザトリアンの本体として利用されているということだ。それを察したブロッサムはコブラージャなどよりもデザトリアンを浄化することを第一優先に考えると我先に飛び上がった。
「小学生ノ時ハイツモ応援シテクレタジャナイカ・・・・ナノニ今ハ毎日【ラーメン】ノ事バカリ。俺ナンカモウドウナッテモイイト思ッテルンダ!!!」
デザトリアンの本体として利用されているあきらの本心が雄叫びとなって暴露される。それを聞いた彼の父親はやっと自分の息子の本心が明かされたことに動揺し動けなくなる。
その間にデザトリアンの怒りの矛先が向けられラーメンの麺の形をした腕が鞭のように降り注がれようとしていた。
『させない!!』
しかしその前にプリキュア、ビーファイターが割入りデザトリアンの攻撃を中断させる。
「ここは私たちに任せてください!!」
3人はデザトリアンの注意を引きつけるように飛び上がる。そのあとを追うようにデザトリアンも巨大な体には似つかわしくない素早い動きで飛ぶ。3人の守護者とデザトリアンは三浦ラーメンの店から離れた空地へと着陸する。
「はっ!!!」
ラーメンの麺のような腕が触手のように伸びて地面に突き刺さっていく。それをブロッサムは避けるとデザトリアンは次の一手だと麺の束をバラバラに分散して針山のようになってブロッサムに触手を伸ばしていくがそれも彼女は華麗なる身のこなしと動きで全て避ける。
「はぁあああっ!!
ブロッサムに気を取られているのを機にとマリンは伸ばされたラーメンの麺をスケートのように滑って一気に距離を縮めるとそのまま顔面に向けて廻し蹴りを叩き込んだ。
「メーーーーーン!!」
それに倒れるデザトリアンだが反撃だとナルトやメンマの形をした爆弾を3人に向けて発射する。パチンコで的を当てるかのような容量のその攻撃の速さはブロッサム、マリン、ブルービートを凌駕していた。
『きゃぁあああああああああっ!!!!』
凄まじい素早さの爆弾での狙撃攻撃を避けることができなかったブロッサムとマリン、ブルービートの3人に見事爆弾が命中し二人はその場に倒れてしまった。
「くっ・・・こんのぉっ!!!!」
爆撃を受けた3人はすぐには動けない。だが一番先に立ち上がったブルービートは爆弾の狙撃をなんとか避けていくと力を振り絞りジャンプして飛び上がる。
「ビームモード!!!」
反撃だとブルービートはインプットマグナムを連射してデザトリアンの動きを止めさせる。その間になんとか体制を立て直そうとするもデザトリアンの叫びにブルービートも動きが止まった。
「父サンハ俺ヨリ仕事ノホウガ大事ナンンダ」
デザトリアンはあきらの本音を曝け出す。寂しさ故の嫉妬・・・愛情を欲する故の嫉妬心を怒りと力に変えていきながら・・・だがその言葉を聞いて一番先にブルービートは首を振った。
「違う、違う!!子供が大事じゃない親なんてこの世界にどこにもいない!!!三浦、お前の親父さんだってお前のことが大好きなんだ!!」
「そうです!!お父さんは三浦くんのことを誰よりも大切に思っています。だから暴れちゃダメです!!」
ブルービートとブロッサムは即座に諭すように言葉を送りデザトリアンを説得しようと考える。
だがデザトリアンにはブルービート達の言葉は届かず自分の本心のまま欲望を叶えんとし苦しみの声を上げながらも凄まじい勢いで暴れる。
「ラーメン屋ナンテ無クナレバイインダァア」
暴れまわった末にデザトリアンはとうとう特大の大きさの煮玉子型の爆弾を取り出してそれをラーメン屋に向ける。3人はデザトリアンが次に起こす行動が火を見るよりも早く想像でき背筋に怖気が走った。
「やめろぉおっ!!!!」
予想通り三浦ラーメンに向けて発射しようとするデザトリアンを見て我さきにとブルービートが飛び上がって自らの身体を盾にして爆弾を受け止めた。爆撃が彼の身体を包み込み全身が見えなくなってしまう。
「がぁっ・・・あぁあ」
爆風の中で全身のインセクトアーマーから煙を上げながらブルービートは地面に落ちて呻き声を出しながらも傷ついた体を抑える。流石に如何なる敵の攻撃を受けきることが自慢のインセクトアーマーの強度といえどもあのゼロ距離爆弾の爆発にはかなりの大ダメージは必至だ。
「ブルービート!!」
「大丈夫ですか!?」
仲間を傷つけられたことにマリンは怒りの表情をデザトリアンに向けブロッサムは倒れたブルービートに駆け寄り彼の身体を起こすのに肩を貸す。ブルービートはフラつきながらも立ち上がりデザトリアンに身構えるが急にデザトリアンは苦しみ始める。
『ッ!?」
突然デザトリアンの動きが止まり頭を抱える。よく見ればデザトリアンの目からは大粒の涙が溢れている。一体何が起きたのだと3人は困惑するもその3人を無視してデザトリアンは悲痛の本性を暴露する。
「ヤメロ・・・ラーメン屋ヲ壊シチャ駄目ダ!!父サンノ夢ヲ壊シチャ駄目ダ!!」
デザトリアンが泣いている姿を見て3人は攻撃の手が止まる。さっきまでの態度とは全く違う行動。
「さっきまでラーメン屋なんてなくなれって・・・」
デザトリアンが心の本心を映し出した怪物ならばつまりこれもラーメン屋を壊したくないという心の叫びも本心の筈。一体どういうことなのだ?困惑する3人だが・・・・
「両方ともあの子の本心です」
「二つの気持ちの間で苦しんでいるんですぅ」
そうつまりは二つ嫉妬と寂しさによって生まれる【破壊衝動】の気持ちと父親の夢を守りたい・・・自分のために迷惑をかけたくないと言う【優しさ】という二つの感情からの板挟みのジレンマで苦しんでいたのだ。
どうしたらいいか分からない。二つの気持ちをコントロールできないが為の苦しみはその者にしか理解はできない。全てを悟った3人の戦士は言葉を失い数分の間その場から動けなくなってしまう。
「・・・スティンガーブレード!!」
だが凍りついた空気を切り裂くようにブルービートは動いた。泣き叫ぶデザトリアンを見てブルービートは続けざまに無言でスティンガーブレードを装備する
「ブルービート!?」
その姿を見てブロッサムとマリンは驚く。しかしブルービートは二人に普段は見せない優しく落ち着いて口調で口を開いた。
「苦しみを終わらせよう。俺達にしか出来ない・・・・苦しみを解き放つきっかけを作るのはビーファイターとプリキュアだけなんだ!!!」
これ以上苦しみを長引かせるつもりはないのは3人とも同じ。暴れるデザトリアンに向けて3人は決意を固めたように目をキリっとさせるがその3人にむけてデザトリアンを蔑む影があった・・・
「はぁ~~そんなことで心の花が萎れてしまうなんて弱くて情けないやつだ」
その正体はコブラージャであった。3人に向けてデザトリアンの本心を愚弄するように軽蔑の言葉を出したのだ・・・。それを聞いた瞬間にブロッサムの表情が憤怒に変わり彼女の隣にいたブルービートも仮面の下にある拓哉の顔が怒りの表情へと移り変わった。
「弱さじゃない!!!三浦くんの【優しさ】です」
「そうだ。その【優しさ】が自分の本心を押し殺していただけだ。その気持ちを利用し踏み躙りやがって・・・許さない。三浦の優しさを踏みにじった貴様を許さん!!」
ブロッサムに続きブルービートもスティンガーブレードを振るいながらいつも以上に怒りを見せた。左手の拳を握り締め震わせているその姿にブロッサムとマリンも同じく同調しコブラージャに対する怒りが今にも爆発寸前というところまできている
「私、堪忍袋の緒が切れました!!」
ブロッサムが自分の決めゼリフを決めてコブラージャに対して怒りを爆発させる。決めゼリフとともにコブラージャを威圧してはいるがコブラージャにはあまり届いていないようであったが・・・・
「あたしも【ムカーっ!!】ときて【ガーっ!!】って感じだよ!!!・・・あぁ~~なんか決まらない・・・次までになんか考えておくよ!!」
ブロッサムの決めゼリフに対してマリンも何かいいセリフがないかと思っていたが今は思いつかない。仕方がないとマリンは次までに考えておくとドヤ顔を決めるがそれを見て妖精二匹はすっ転ぶ。
「行くぞ、二人とも!!!」
『うん!!』
ブルービートはスティンガーブレードの胴体部分をスライドさせてブレードを高速回転させていきながらデザトリアンへと走る。
更にその後ろでブロッサムとマリンの二人はそれぞれのフラワータクトに大地と海の花のエネルギーを送り込み充填させて身体に光をまとった。
『集まれ二つの花の力よ、プリキュア!フローラルパワー・フォルティシモ!!!』
「ビートルブレイク!!!」
ブルービートのビートブレイクの蒼い閃光、ブロッサムとマリンのピンクと青のエネルギーが融合しデザトリアンに叩き込まれ直撃すると眩い光がその身体を包み込んでいくとデザトリアンの体を眩い光が包み込んでいった。
「セーフ!!」
デザトリアンを浄化し本体の心の花と媒体となったラーメン丼ぶりが光から現れるとマリンがラーメンをキャッチしブロッサムが心の花の結晶を確保しブルービートが水晶玉を妖精から受け取る。
「なかなかやるね。今日はこのくらいにしておくよ・・・アデュー!!」
3人の怒りの視線を受けながらもコブラージャは3人の実力を目の当たりにしたことでサソリーナとクモジャキーが倒せなかったのも頷けると納得した顔になると瞬間移動で姿を消した。
戦いを終えて3人は本来の目的である三浦ラーメンのラーメンを食べに行きキッチリ感触を済ませると帰る前にえりかがつぼみに耳打ちするように話しかける
「あのさ、三浦くんの本心あたし達が言ってあげたほうが良くない?」
「ううん。そういうことは本人が自分で言ったほうがいいと思います」
「ああ、俺たちが言っても意味はない・・・・あくまでもきっかけにするだけでいい」
えりかは気を利かせたつもりだがそこまでするのはお門違いだとつぼみは言う。それに拓哉も同調し3人はラーメン屋を出ようと入口の扉を開ける。すると噂をすれば影ということかナイスタイミングでその本人が登場する。
「ああ、本人。あのさ・・・っ!?」
えりかはまたも親切心のつもりだが拓哉とつぼみが同時にえりかの口を塞いで大急ぎで彼女を抱えて店をあとにする。
「・・・・・・」
3人は離れた場所で様子を見ていると父子がキャッチボールをはじめあきらは久しぶりに笑ったというような笑顔を見せていた。3人もそれを見て満足した顔になる。
「キャッチボールっていいですね」
「だね。いい仕事したね、あたし達」
「ああ、俺達にしか出来ない大切なことを・・・・な」
彼の心の花の【サルビア】の花言葉は【家族愛】。いつも近くにいる家族だからこそ言葉では伝えられないことがある。でもそれでも勇気を振り絞って伝えることで離れた絆はより強くなって再生するのだ。
二人のプリキュアと一人のビーファイターはこれからも人々の心を守るために戦い続ける。砂漠の使徒の悪しき野望を打ち砕くために。