ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
いつきの武術稽古がひと段落を終えやっとファッション部の件について話ができると4人は外に移動する。外は既に夕日が見えておりその綺麗な太陽の光が広い中庭を包み込んでいった。
「生徒会長、ファッション部を廃部にしないでください!!部員名簿だってこのとおり出来てたんです」
えりかはつぼみが持っている部員名簿を見せてそう言う。実際出来ていたのだからまだ廃部の決定をくだされるには早すぎるという言い分だ。
「しかし、幹部会でもう決まったことだし」
しかし生徒会長としての立場があるいつきも簡単には首を縦には振れない。自分にも生徒会役員を統率している以上は特例というのを簡単には出すわけにはいかなのは言うまでもないようだ。
「今日中に提出すればいいって言ってたじゃないですか。日直でたまたま遅くなったんです」
「・・・・・!!」
思わずいつきと目線が合ったつぼみはまたも顔が赤くなる。これは本気の本気で惚れてしまっているようだと拓哉は直ぐに察しがつくが本人の前ということもありあまり大っぴらには何も言えない。
「つぼみ、拓哉なにやってるの?アナタ達からも頼みなさいよ!!」
ボーッとしているつぼみと拓哉にえりかが容赦なくそう言われるとつぼみは我に返り拓哉はというと少し嫌そうな顔をするも仕方がないと3人は同時に頭を下げる。
『お願いします、どうかファッション部を廃部にしないでください!!』
「今日はウチの道場の稽古日で僕も早く下校してしまったからね・・・分かりました。改めて幹部達と話し合ってファッション部を続けられるようにしましょう」
たしかに【今日中】と言っていたのに自分は彼女たちの事を考えず予定を優先して先に下校してしまったの。しかし部活存続のために彼女たち3人はわざわざ自分の家に来たところを考慮すると自分にも非があるのは事実だと自分の非を認めると3人にそう言う。
『ありがとうございます!!』
つぼみ、えりかの二人は意外な太っ腹ぶりにここまで来てよかった喜び拓哉も安堵したようにため息をついた。
「いつき“お嬢様”お茶を」
「ありがとう。3人もどうですか?」
「いただきま~す」
「ちょうど喉渇いてたのでじゃあ俺も」
門下生のひとりがお茶を持ってきたのに拓哉とえりかも貰おうと駆け寄った。しかしつぼみはある言葉を聞いて動きが固まった。
「お、『お嬢様』?」
お嬢様ということは女のコつまり自分と同じ同性ということになる。あんなにカッコよくて凛々しい男装が似合う女のコが・・・・思考回路が停止したつぼみは何がどう言うことなのだという状態になっている。
「生徒会長は女のコ。そんなの全校生徒が知ってるよ?言おうとしたのにつぼみ、聞かないんだもん」
つぼみの態度とは全く真逆に拓哉とえりかは湯呑に口をつけてお茶を飲みながらいつきが実はいつきはれっきとした女の子であるということを説明する。
この事は学園では既に知りわたっている事実であるので常識とまではいかないのだが誰もが認知している事実である。
「そうそう。と言っても外から来たつぼみが知らないのは当然なんだけど」
「花咲さんは転校してきたばかりだったね。僕はある事情で男子の格好をしているけどれ、れっきとした女の子なんだ」
「そうなんですか・・・そうなんですかぁああ!!!」
本人からも事実を聞かされてつぼみは現実へと引き戻される。まさか本当にこんなに自分好みの相手が同性であるなんて・・・・
認めたくはないが事実ならば受け入れるしかないとつぼみは砕かれた恋心という傷を胸に秘めながら心の中で泣いた。
「元気だしなってば・・・・・・・と言っても無理か」
事実を知ったつぼみはと言うと拓哉が危惧していた通りの状態になってしまっていた。後ろでえりかに励まされながらもその言葉も上の空のつぼみを見て拓哉は恐らく明日にはえりかと同じ状態になるなと次の予測が立っていた。
「だから言ったてしょ?【やめといたほうがいいって】」
拓哉の隣にいるえりかは落ち込んでブルーになっているつぼみの手を抱えながらそう言う。自分も去年同じ状態になってしまっているので気持ちはわからなくもないのだが・・・いや、女子にとってダメージがデカいのは二人にしかわからないだろう。
「生徒会長さんが女のコだったなんて・・・・・・私の初恋がぁ・・・3分で終わってしまいました!!!」
二人はつぼみと一緒に自宅の帰路を歩いていながらもどう励まそうかもといどうやって回復させてやろうかと考えているが思っていた以上に自体は深刻だ。どうしようかとえりかはつぼみの顔を見ながらも・・・・思いついたセリフは・・・・
「あたしが言えることはねぇ・・・ファッション部が続けられてよかったよ!!」
『そっち!?』
そのセリフを聞いた拓哉とつぼみは同時にそう言った。いや、いくらなんでもそれでフォローのつもりだったら少し笑えないのだが・・・拓哉も思わぬえりかの発言にどう言おうかと思ったがその前につぼみが言い返した
「友達ならそこは励ましてください!!」
「いやぁ・・・ほら、初恋は甘酸っぱいって言うし」
「はぁ~~私、もう立ち直れません」
親友であるはずのえりかにそう言われ拓哉は苦笑いしたまま何も言えないようであった。つぼみは思った・・・ここまで衝撃的すぎる出来事が起きてしまったらもう立ち直れないと
その頃明堂院亭ではいつきがある人の車椅子を押して中庭を散歩していた。車椅子に乗っているのはいつきの兄の『明堂院さつき』。実は若くして体が弱く車椅子に乗ることもしばしばある。
「とめて」
さつきが車椅子から降りて立ち上がると中庭にある池を見る。立派な鯉が泳いでいて中庭に釣り合うその風景を綺麗に彩っていた。
「友達が来ていたようだけど?」
「ああ、来海さんたちのこと?」
「いつきが女の子の友達を連れてくるなんて滅多にないから驚いたよ」
夕日を見ながらさつきは妹には珍しい同性の友達が来たことを喜んでいるようだった。それだけ今の彼女が同性の友達を連れてくることが彼にとっては嬉しいのだ。
「別に友達じゃないよ」
だがそう言われてもいつきにとってはあの3人は友達でもなんでもない。兄はそう思ってくれているみたいだけども・・・さみしげに
「僕はいつきにもっと女の子に付き合ってもらいたいんだけど」
「お兄様・・・」
いつきが男装している理由はその為でもあった。自分が武道家として家を継ぐためには女子であるということを捨てなければならない。
そう思ったから学校でも特例で特別仕様の男子制服を身に纏っているのもそれが理由なのだ。
「僕の体が弱いばかりにいつきが明堂院家を継がなきゃならなくなったけど・・・ぐっ!!・・・ゴホゴホ・・・」
突然咳き込むさつきの身体を支え車椅子に座らせる。さつきは「すまない」と言いながらも体を休めるように車椅子にもたれかかった。
自分の情けない姿にやはり自分の体では武道家として実家を継ぐなどは到底できない。妹に任せる意外はほかに方法がないのか・・・自分の体の弱さを嘆くようにため息をついた。
「お兄様、私は・・いや、僕は一生お兄様を守ると決めたのです。僕は今の生活に満足しているしお兄様が気に止むことはありません」
いつきがここまで自分を犠牲にしていた理由・・・それは兄を守りたいからという純粋な理由だった。家を継ぐことだけじゃない。自分の体の弱さでさつきが自分を責めないように守りたいから。それ故に自分が頑張ればいいという自己犠牲でもあった
「・・・・無理だけはするなよ」
いつきは兄に心配などかけたくないためそう言ってはいるが本心は・・・本当にどう思っているかなんて自分でもわからない。さつきは彼女に手を取り優しく励ますようにそう言った。
「・・・・・」
いつきはそれを聞き自分でも隠している本心があることは兄妹だから兄に知られているのかもしれない。でもそれでも自分はこの道を選んだのだから最後まで突き進む。そう決めたのだと自分に言い聞かせた。
二人がいる中庭を夕日が照らしていって夜闇が包み込んでいく。いつきの心の奥底にある迷いが生まれ始めたのはその日が初めてだった。
次の日の朝にえりかはつぼみの家に迎えに来たのだが・・・つぼみは学校を休むと言っていた。理由はやはりいつきが女子だと分かったショックが大きすぎたことがあった。
仕方がないとつぼみへの伝言をシプレに託しえりかはそのまま拓哉の家に向かった。
「おはよー・・・やっぱ、つぼみは重症?」
「お察しの通り・・・・まぁ、無理ないよ~~あたしも同じ去年理由で寝込んじゃったからさ」
つぼみがいないことに拓哉は自分の予測がまたしても大当たりしたことに占い師の才能でもあるのかと思うほど自分ながらに驚いていた。
学校へ行く支度を済ませて拓哉はえりかと久しぶりに二人での登校に昔の話をしながらしばらく歩いていた。
「ああ、今でも覚えてる。こんなこと言いたくないがちょっと聞いていいか?・・・あの生徒会長のドコに惚れるんだよ?・・・俺にはサッパリわからないんだけど」
拓哉は去年に体だけは丈夫であるはずのえりかも大熱を出して寝込んだことを思い出し思わずえりかにそう聞いた。やはり男の子からすれば男装したあの凛々しい姿の良さはわからないようだ・・・
「アンタ、恋愛とかホントに疎いもんね~~女のコはね・・・突然胸が高鳴っちゃうことがあるの♪」
「そんなもんかね~?・・・ていうか今日はやけに機嫌がよさそうだけど・・・何かいいことでもあった?」
えりかにそう言い返されるが拓哉はまだ理解ができてないようだった。やはり異性の感性の違いというのは彼にはまだ理解できていないようだ。そして何故か今日のえりかはいつも以上にテンションが高い様子で楽しそうに花歌を歌っているのに気がついてまたしてもそう聞いた。
「別に~~~♪」
「???」
えりかのはぐらかすような態度に拓哉はまたしても疑問顔になる。一体何を考えているんだこの珍獣はと思ってはいたが・・・それにしても何故かえりかは楽しそうだ。
何かいつもと様子が違うように拓哉には見えていたがこのマイペース珍獣のことだから予測不可能なのはもはや平常運転だからあまり気にしないほうがいいか?考えるだけ疲れるしあまり変に憶測を立てるのも面倒だ・・・・
「まぁ、お前が楽しいのなら別にいいけどな」
何を考えているか分からないがいつもそんな感じだし別にそこまで複雑に考えなくてもいいかと拓哉はスルーする。
久しぶりの幼馴染同士の二人だけでの登校をやけに楽しそうな幼馴染を引き連れて学校へと向かう拓哉であった。
二人よりも先にいつきが車で先に学校へと向かっていた。流石に学園の理事長の孫ということもありこういう待遇は特別視されているということなのだろう。
いつきが車から出て学園の門へと向かうと待ち構えていた1年の女子生徒達にぬいぐるみやら花束やらファンレターなどなどのプレゼントの贈呈が待っていた。
「ありがとう」
いつきは笑顔でそう返すと女子生徒達は大喜びでその場から散り校舎へと入っていく。いつきは彼女たちを見てなにか思い当たることがあるのか珍しくため息が出た。あの女生徒たちを見て自分にはないものをそして一番欲しいもの持っているとでも言いたげな表情だ。
いつきはそのままコソコソと移動すると誰にも気がつかれないようにしながら学園の理事長の彫像の後ろに隠れる。プレゼントの中で貰ったウサギのぬいぐるみをマジマジと見つめると思わず見惚れる。
「か、かわいい!!」
実はいつきは可愛いモノに弱くこういう類ものが大好きなのである。やはりどんなに自分を偽っても自分は女のコであることは完璧には隠せないようだ。
「女の子みたいだね?」
「っ!?・・誰だ、お前は!?」
自分の姿を誰かに見られたと思って後ろを振り返ると其処には見かけない男・・・その正体砂漠の使徒の幹部の一人コブラージャだ。
その事を知る由がない彼女は不審者が学校に入ったとしか思えない。先生に報告するべきか迷っているとコブラージャは自分のブロマイドを取り出すと・・・
「イケメンがぬいぐるみに頬擦りをするとは・・・美しいじゃないか!!」
投げたブロマイドはいつきには当たらなかったがウサギのぬいぐるの耳をかすめてその耳を切り裂いてしまう。
「っ!?・・・・はぁあっ!!」
それに気がついたいつきは人前ではほとんど見せたことがない怒りの表情になるとコブラージャにいきなり格闘戦を挑んだ。しかしコブラージャには人間の技はそう簡単には通用せずブロマイドを投げて反撃する。
「っ!?・・・???」
いつきは手に来たブロマイドを手にとって攻撃を防いだが思わず目に入ったそれに絶句して動きが止まってしまう。それをチャンスに思いその隙を逃がさないとコブラージャは目を光らせた。
「心の花よ出てくるがいい!!」
いつきが危険を感じた時にはすでに手遅れであった。彼女はコブラージャの発生させた光に包まれてしまうと心の花を取り出されて彼女は水晶玉に閉じ込められてしまった。
「なんだ?・・・・っ!?」
「この美しい牡丹を真っ黒に染めてあげよう」
悲鳴を聞いて拓哉とえりかは学校に入ると其処には既に遅くいつきの心の花を抱えてそれを持ちながら舌を不気味に這いずらせている姿がそこにはあった。
「デザトリアンのお出ましだ!!」
まさか二度も学校でデザトリアンを召喚されるなど思ってもいなかった。えりかと拓哉はパヒュームとビーコマンダーを出す。
「えりか、行くぞ!!」
「やるっしゅ!!!」
拓哉の言葉に同意し二人は周りに人がいないことを確認するとえりかはパヒュームを開閉しコフレからのこころの種をセットし拓哉はビーコマンダーのウィングを開かせる。
いつきに学校で暴れさせるわけにはいかない。二人は各々の変身アイテムから光を発生させるとそのまま青い光を発生させる。
「プリキュア・オープンマイハート!!!」
「重甲!!!
二人は同時に青い光に身を包まれ海の戦士と守護者の鎧騎士の姿へと変身するとデザトリアンの前に立った。