ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
いつもの変わらない平日。普通の家庭であればそろそろ起床する時間であり学校や仕事の支度をはじめる頃合である。
「ふぁぁ・・・・おはよぉ~~~」
朝起きるのは好きではないが学校がある以上は仕方がないと渋々自室から出て今に降りると其処にはこの出ては日常茶飯事の光景があった。
「ももかちゃん急いで」
「ちょっと待って。今日は私服撮影だから服選ばないと」
姉のももかがモデル撮影のため母が慌ただしく急いでいるのだ・・・もはやこの光景は慣れたものだが・・・
「・・・・(朝から騒々しいな~って・・・ももネェは今日もお仕事か)」
そう学校があろうとも関係ないのがモデルの仕事というものなのだ。本日も彼女は仕事でその準備で母は追われているのだ。だが当の本人はというと逆にどっしりと構えていて大慌ての母とは対照的だ。
「・・・・・」
あの姿を見ているとある意味肝が座っているというか流石になれているというべきなのだろうか。
「えりかちゃんご飯適当に食べてね~~~」
「はい、はい」
「【はい】は一回!!」
「はぁ~い!!」
「もう、朝から慌ただしんだから」
学校がある平日であるというのにここまでバタバタしている家庭はそうはないだろう。えりかはそう思いながらも冷蔵庫にある牛乳を手に取る。いくら仕事といえども学校に行く前の朝ぐらいはゆっくりとさせて欲しいと思うものである。
暫くすると準備が出来た姉の姿を見て思わずその姿を見て見惚れる・・・が
「あぁ~あ、モデルはいいな~~学校は休めるし、ちやほやされるし撮影で綺麗な服を着せてもらえるし~~」
「・・・悔しかったら、あんたもモデルになればいいじゃない?」
皮肉を言ったつもりが返り討ちにあってしまった。えりかは自分で喧嘩を売ったのに逆に挑発されて煽られると朝から不機嫌モードマックスまで跳ね上がってしまう。またいつもの姉妹での張り合いが始まったと母親は呆れてしまうが・・・・
「いやぁ~ウチの娘達は可愛いね~~~!!」
写真家の父親はというと愛娘たちのその姿に親バカ丸出しとでも言うべきか写真を撮る始末であった。
そんなひと朝の悶着があったえりかは学校に行き授業を受けたあとの休み時間・・・・またしてもその出来事を思い出すことが起きるとは予想してなかった。
「じゃぁ~~ん♪」
「どうしたのそれ?
「ファッションのこといつもえりかに教えてもらってばかりだから少しは自分で勉強しようと思って買ったんです」
つぼみが持っているファッション雑誌の巻頭グラビアに自分の姉の姿がデカデカと映し出されているのを見ていい気分がしない。えりかは少しぶすっとした態度になっているのだが・・・つぼみが気がついてない様子で話を続ける。
「この“ももかちゃん”ってモデルさん凄く可愛いですよね。今一番人気のカリスマモデルさんらしいですけど、えりかはやっぱり知ってました?」
「その“ももか”ってモデル・・・私のおねえちゃんなんだよね」
「へぇ~~~・・・・って、えええぇえええ!?!?!?」
えりかの発言にベタな態度で大いに驚くつぼみ。それをとなりで見ていた拓哉は何だ何だ?と思いながら休み時間を過ごすのであった。
「ママも昔はすごいカリスマモデルでさだから・・・あたしも、ももねぇもモデルになれると自然と思ってた・・・結局モデルになれたのはももねぇだけだったけどね」
「そうだったんですか」
また時間が流れ昼休みに3人で屋上に行き昼食をとりながらもさっきの話の続きになった。えりかが珍しく過去を語っているのを見て拓哉とつぼみは黙って聞いていたが二人は思い出した・・・・えりかがデザトリアンになったときのことを。
「(そうか、やっぱり今でも悔しんだな・・・自分だけがっていう今の現状が)」
拓哉がえりかの心中を察していると後ろにいたコフレを掴み抱えてそのまま彼の顔をつまみ上げて弄り始める。その間に「姉妹でどうしてこうも違うかな~」とつぶやいているのを見て・・・二人はなんと彼女に声をかけるのを迷ったが不意につぼみが立ち上がる。
「えりか、ええっと・・・駅前に新しいクレープ屋さんがオープンしたんです。今日はそこでファッション部の活動をしませんか?」
「おお、それいいね!!そうと決まればさっさと食べちゃって皆を誘いに行こう」
「はい!!」
つぼみの一言でえりかも気持ちが切り替わったのか普段の表情に戻ったようで抱えていたコフレを飛ばしてしまう。拓哉は飛ばされたコフレを見て「あぁ~あ」と声をかけるも機嫌が治ったようで一安心になる。
だが弄られ者となったコフレにとっては少し散々だったかもしれない。投げられたコフレはベンチから転び落ちてしましシプレが慌てて駆け寄る。それを見てコフレも姉気分に付き合わされて大変だなと拓哉は思った。
「やれやれ・・・予想はしていたが流石にこうもなると」
放課後になって新しくオープンしたというクレープ屋にファッション部全員が集まった・・・のだがクレープ屋ということで常連客になっているのは学園の女子ばかりで拓哉にとってはかなり居づらい空気になっていた。
「何ブツブツ言ってんのよ。ほら、副部長クレープ5つね」
「へいへい。」
えりかに部長権限と言われ拓哉は渋々とクレープ屋でクレープを注文する。えりかはチョコ、つぼみはイチゴ、ほか三名はフルーツ系だそうな。拓哉は列に並びながら思う・・・女子は甘いものには目がないというのはやはり本当であるようだ
「あ、あとイチゴクレープにチョコをトッピングしたやつも一つください。飲み物はコーラ6つお願いします」
自分も小腹がすいてきたところだしと思いついでに自分のもちゃっかりと頼みクレープが6つをファッション部が集まっている机の上に運び全員揃ったところで部長からの活動方針を聞かされる。
「こんな感じでみんなにもデザイン画を書いてきてほしんだよね」
具体的な活動方針を聞かされてモチベーションが高まる新入部員の3人組。拓哉はクレープを食べコーラを飲みながらえりかの説明を聞いていると突然周囲の人間がざわめきだしたのに気がついた。
「なんだ?・・・あ、・・・・」
周囲の人がなぜ集まっているのか分かると拓哉も納得する。噂があればそこには影とでも言うが如くえりかの姉のももかの姿がありそれを見た人が騒ぎ始めていたのだった。
「(こうも大騒ぎだと大変だな。ももねぇ疲れてそうだな・・・)」
流石はトップレベルの人気を誇るカリスマモデルがひょんなところに姿を見せれば誰もがこうなるだろう。しかしちょっと街をうろついただけでこうも人も集まるようではプライベートもへったくりもないなと拓哉がそう思っている隣では・・・・
「・・・・・・」
突然不機嫌モードになったえりかの顔がありつぼみやほかの部員たちも人が集まっていることに気がついたようであり遠くからその様子を眺めているのだった。
『・・・・・・』
その様子を後ろで拓哉とえりかはやれやれと思いながら見ていると突然つぼみたちがこちらの方を振り返ってえりかに向かってゾゾゾと近づいてくる。
『え~~りぃ~~~~かぁ~~~~』
拓哉はともかくとしてえりかも突然のことでかなりの驚きの様子であったが理由を聞いてはっきりした・・・その理由を聞いてえりかはまた面倒事を引き受けてしまうことになった。
「撮影を見学したい?」
「友達がさどうしても・・ももねぇがモデルしてるとこ見てみたいて・・・・あたしはヤダって言ったんだけどこれもファッションの勉強だって言われると断りきれなくて・・・」
「ファッションの勉強?・・ああ、ファッション部だっけ?アンタの部活」
「そうだけど」
「どんなことしてるの?それ見せてくれたら撮影来てもいいわよ?」
「ええぇ?」
成行でこんなことを頼むことになってしまったのだがまさかの条件がデザイン画を見せることになるとは・・・えりかはどうしようかと迷う。だが頭に自分に目を輝かせて頼んできたファッション部のメンバーの顔が脳裏に浮かぶ。
「・・・・・・・あぁあ、もう分かった。はい、これ・・・デザインをおこして服にするの」
こうなればもうヤケだとデザイン画を見せるえりか。見せる文は減るもんではないのだがそれでもやはり実の姉にこんなものを見せるなんてかなり恥ずかしい・・・顔から火が出るとはまさにこのことなのだろう。
「もういいでしょ!! 明日見に行くからね!!」
顔が真っ赤になるほど体温が上がり途中で耐え切れなくなったえりかは突然ももかからデザイン画を取り上げてしまうと自分の部屋に逃げるように上がっていった。
「もぉ~~~なんであたしがこんな目にあわなきゃいけないのよぉ!!」
部屋に入るなりベッドにダイブして駄々をこねるようにそう言う。一体何事だとコフレは驚いているがその声を無視してデザイン画を見ながら一体どう思ったのかと考えるが・・・・絶対あの姉のことだから見下しているに決まっていると思うと・・・・
「恨むからねぇ、つぼみ!!」
八つ当たりもいいところだがこうしなければやってられないのだろう・・・・えりかあけた窓を締めるとそのまま自分の部屋でしばらく貯めたストレスを発散する術を考えるのだった。その結果・・・
「急に電話してきたと思ったら・・・お前も相変わらずだな」
「だってさぁ~~~つぼみや皆に頼まれちゃったら断れないじゃん。でもさぁ~あたしだって・・・・」
こういう時は話すに限ると拓哉に電話しさんざんいろいろと聞かされるが黙って話を聞いてくれたことに少しはストレスも発散できた様子ではあると電話からでもわかる程であった。
「・・・前にも言ったよな?お前にはお前でいいところがあるんだ。だから無理に比べる必要はないだろ?・・・それに」
「それに?」
「お前のデザイン画・・・俺は好きだぞ?」
「・・・・ありがとう。拓哉」
拓哉にそう言われると満更でもないようにえりかはそう言った。そのあとは明日の集合場所などを打ち合わせたり・・・久しぶりに二人でゆっくりと話したりと彼女にとっては充実な時間を過ごしたのだった。