ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
ダークプリキュアとブラックビートは月影ゆりとブルービートこと甲斐拓哉がいる場所をダークプリキュアが持つプリキュアの種をゆりが持っているプリキュアの種と同調することを利用して移動しながら探していた。
「どこにいるキュアムーンライト」
「焦るな。その種の反応が強くなってきている。・・奴らはこの近くにいる筈だ」
片翼を使い大空へと舞い上がるように飛ぶダークプリキュアと黒い光球となり高速移動するブラックビート。二人は暫くの間はプリキュアの種の反応を頼りに手探りに移動する・・・するとしばらくして3つの人影が二人の視界に映った。
「ふぅん・・・そちらから来るとは都合がいい」
キュアブロッサム、キュアマリン、ブルービートの3人が黒い二大戦士の前に立ち塞がった。地上に着地する黒いカミキリと片翼少女は3人を威圧するように睨みつける。
「ここから先には行かせません!!」
「お前達の好き勝手にはさせない。・・・・いくぞ!!」
凄まじい威圧を眼からはなってくるのにも怯まないまま身構える3人の大樹の守護者達。3人はそれぞれダークプリキュアとブラックビートという因縁の相手に向かっていた。
「邪魔をするなら容赦はせん」
目的の相手はこの弱いプリキュアではない。もうひとりの自分『月影ゆり』なのだとダークプリキュアは黒いソニックブームでブロッサムとマリンに叩き込んでいき遠くへと凄まじい勢いで吹っ飛ばすとそのまま追撃の一撃を叩き込んでやるが前回の戦いとは違い二人はダークプリキュアの攻撃を受け止めて二人はお互いにバックアップを取りながらダークプリキュアと対等に渡り合う。
△
「スティンガービュート」
「スティンガーブレード」
その近くでは蒼いカブトムシと黒いカミキリムシが自分の武器を右手に装備しそれぞれ風が吹く野原で睨み合いながら仕草を伺う。それぞれ自分が持つ鎧『インセクトアーマー』の戦闘能力(スペック)は殆ど互角。
つまりは戦いを制するためには必要なもの・・・それは鎧を纏う装着者の技量次第ということになる。
「やぁああっ!!!」
「ふん!!!」
お互いに刃を相手に振りかざし鎧に叩きつける。ブレードの刃とビュートの刃が黒と蒼の鎧を叩きつけ合い火花を散らせる。同時に相手の胸を切り刻み振り仮ざまに刃と刃をぶつけていく。
「はぁああっ!!!」
「ぐぁああっ!?」
振り返りざまからの鍔迫り合いを制したのはブラックビートでビュートの刃をブルービートの鎧に叩きつけ火花を散らせるとビュートを首に挟んでいき地面に押し倒した。
「がぁあっ!?・・・ぐぅ!?」
首にスティンガービュートが挟まれて火花が散るブルービートのアーマー。苦しみに悶えながらもブルービートはビュートを左手で抑える。
「この世に“俺は”二人もいらない。貴様が消え・・・・この俺が残ればいいのだ!!」
「どう言う意味だ!?・・・・それは・・・」
ブルービートのゴーグルから映るブラックビートの姿から伝わってくるのは自分に対する凄まじいまでの嫌悪と憎しみ。ビュートが首を締め付けてきており苦しい・・・視界が霞んできた。俺はこのまま・・・負けるのか?
しかしブルービートの耳にブロッサムとマリンの悲鳴が響いた。視界を悲鳴がした方向に移すとそこには飛ばされながらもダークプリキュアに怯まず反撃の一手を叩き込もうと懸命に頑張る二人の姿。
それにブルービートも闘士に火がつき業炎の如くに燃え上がった。
「ブロッサム・・・マリン・・・・そうだ、俺はこんなとこで負けるわけにはいかないんだ」
そうだ。俺はここで負ける訳にはいかない!!大樹の守護者として・・・ゆりネェの意思を魂を継いだビーファイター・・・ブルービートとして!!
「ビームモード!!」
ビュートが首に食い込む痛みを受けながらもブルービートは左手をホルスターに伸ばしてインプットマグナムを手に取りブラックビートの胸に銃口を向けて近距離からのビームモード砲撃を叩き込んだ。
「ぐあぁあああっ!!!??・・・おのれぇ、またしても小癪な真似を」
思わぬ反撃怯み飛ばされたブラックビートは体制を立て直そうと立ち上がるも既に目の前にはスティンガーブレードを構えたブルービートがこちらに向かって走ってくるブルービートの姿があった。
「はぁあっ、でりゃぁあああっ!!!」
「ぐあぁっ!?・・ぐっ!!!?」
ビュートでブレードの刃を受け止めるも薙ぎ払われ体が勢いに力負けするとブルービートのブレードの斬撃がブラックビートの黒い鎧に叩き込まれる。何が奴の心に火をつけたというのだ?思わぬ闘志に怯むブラックビート。
追撃の手を緩めずブルービートはスティンガーブレードのハッチをスライドさせて銀色のギアを高速回転させる。そしてエネルギーを限界の限界まで溜めていくと普段の数倍の質量のエネルギーが刃に集まり凄まじいほどの蒼い光でブレードが輝いた。
「ビートルブレイク!!!」
ブルービートはスティンガーブレードの刃を普段の右斜め切りだけではなく振り下ろした刃をもう一度振り上げて左からブラックビートに向けて二度目の斬撃を振り振り下ろした。
エネルギーが消え去る前に素早く二度目の斬撃を叩き込むことでのX字斬りのビートルブレイクは流石のブラックビートといえども大ダメージは避けられなかった。
「ぐあぁああああぁあっ!?!?・・お、おのれぇ・・・・・ぐっ・・・・・」
パワーアップしたブルービートの猛攻についにブラックビートも限界を迎えてしまったのか膝をついてしまう。今の自分なら絶対に勝てる。その奢りがブルービートの勝利への執念に足元を掬われてしまったのか・・・・
傷つけられた鎧に手を当てながら呼吸を整えるもすぐに立ち上がれなかった。
△
ブルービートとブラックビートの戦いに決着がついた頃ダークプリキュアとブロッサム&マリンチームの戦いにも決着がつこうとしていた。
終始ダークプリキュアの圧倒的な力の前に実戦経験で劣るブロッサムとマリンは何度も追い詰められそうになるも決して諦めず最後の最後まで食らいつくかのように粘っていた。
「闇の力よ集えダークタクト、プリキュア!ダークパワーフォルティシモ」
しかし遊びはここまでだとダークプリキュアがダークタクトを手に取りそのまま自身を闇の力の塊へと変化させる。キュアムーンライトを負かした技に対抗できるかわからないがブロッサムとマリンは臆することなく傷だらけの体に鞭をうち立ち上がる。
「ゆりさんは私たちが守ってみせます!!」
ブルービートも命懸けで戦っている。だからこそ今この場から自分たちだけが逃げるわけにはいかない。キュアムーンライトの意思を継いだプリキュアとして。フラワータクトを二人は手に取り闇に対をなす光の力を集める。
『集まれ花のパワー!!!』
「ブロッサムタクト!!」
「マリンタクト!!」
ピンクと青の光がタクトに集まっていくと花のパワーが吸収されるように二人のタクトに集まっていく。二人のタクトのエンブレムに光が灯る。その後二人はタクトのクリスタルドームを回してタクトにエネルギーを充填させるとタクトの先端のクリスタルが輝いた。
『集まれ二つの花の力よ、プリキュア!フローラルパワー・フォルティシモ!!!』
二人はタクトをクロスさせて充填させたそのエネルギーを解放させてタクトを振ってフォルテッシモ記号のような形をしたピンクとブルーのエネルギーを生み出しダークプリキュアのフォルティシモとぶつかり合った。
『ぐぅうっ・・・・っ!!!』
二つのフォルティシモの勢いはほぼ互角・・・どちらが勝つかは分からない・・・と思われのだがダークプリキュアが本気を出すとばかりに瞑っていた右目を開き金色の瞳が姿を見せると黒いオーラがブロッサムとマリンのフォルティシモを飲み込んでしまった。
「ブロッサム、マリン。やめろ、ダークプリキュア!!」
変身が強制解除された二人にブルービートが駆けよりスティンガーブレードを構えるブルービートは二人を自分の背に隠すように庇う。
「・・・ブラックビート、いい加減に休んでないでお前もこっちに来い」
「・・・言われるまでもない」
ダークプリキュアの言葉に動かされるように回復したブラックビートもビュートを構えて3人に一気に襲いかかろうと戦闘態勢に入る。ビートルブレイクの攻撃を短期間で回復させたブラックビートと無傷に等しいダークプリキュアの二人を相手にするなどは流石にブルービートでも絶望的な程に力の差がある。
「来るなら来い。・・・絶対にお前たちをゆりネェに近づけさせない!!」
しかし例え勝てる可能性が低くても逃げるわけには行かないとブルービートも黒の二人に合わせて立ち上がった。負けるとわかっていても逃げるわけにはいかない・・・・守護者として負けないという決意を胸に秘めて。
「やめろ、ダークプリキュア、ブラックビート」
ダークタクトとスティンガービュートを構え突進しようと力を込めた黒のタッグチームだったがそれを止めるサバークの声が響き渡った。
声の主の正体がわからないブルービート達は混乱するもそれ以上に動揺していたのは他ならぬダークプリキュアとブラックビートであった。
「キュアムーンライトには関わるなと言ったはずだ。すぐに戻ってこい」
「分かりました。運のいい奴らだ。」
「どうやらまた決着はお預けだな。ブルービート」
命令というのならばやむを得ないとダークプリキュアは空を飛びブラックビートはその場から瞬間移動で消え去った。
「・・・・」
残された3人のうち特にブロッサムとマリンは二度目の敗北に悔しくて言葉に出ない。辛くも勝利したブルービートも勝利の余韻に酔っている余裕などはない。
サソリーナ立ち3幹部、上級幹部のダークプリキュアとブラックビートの上をいく更なる存在を前にして3人は緊張を強いられるのだ。
「待って、ゆりネェ!!]
「・・・・拓哉。何か用?」
「・・・まだ、俺はゆりネェには遠く及ばないかもしれない。でも絶対に俺はゆりネェみたいに強くなる。ゆりネェや父さんが出来なかったことを・・・俺が・・・俺達が絶対に成し遂げてみせるから・・・その、だから・・・・」
「・・・拓哉、背伸びしなくていいわよ。どんなに頑張っても貴方は貴方にしかなれない。ほかの誰でもない。貴方は貴方でしかないわ」
言葉をつづけようとした拓哉にそう言ってゆりは背を向けた。拓哉は「どういう意味?」と聞き返したがゆりは振り返らすに歩みを進めて言って・・・・
「それぐらい自分で考えなさい」
答えを自分で考えろという彼女らしいと言えば彼女らしい切り返し。キュアムーンライトとして戦っていた心の傷が言えていないこともありいつも以上に冷たく接している。
「ゆりネェ・・・・・・」
拓哉は夕日の中を歩くゆりの姿を見て決意した。悲しみを背負った彼女のためにも絶対に俺達は負けない。砂漠の使徒の思い通りにはさせない・・・そしてダークプリキュアとブラックビートを必ず倒すと決めた。
「・・・はぁ~、私達もゆりさんから見ればまだまだなんでしょうね」
「チョー悔しいよ。こうなったら意地でも、ゆりさんにあたし達の事認めさせたい!!」
「・・・・認めさせる・・か」
悔しがるえりかの隣で拓哉はそう呟いた。いつもと違う様子にえりかは不思議そうな顔をして彼を見る。
「誰かに認めてもらう事って難しい。時にはそれに執着するがゆえに大事な事を忘れてしまう……」
拓哉は一人夕日を見てそう続けた。珍しい程しんみりしている彼の顔につぼみは勿論えりかも声をかけられない。仲間になってから時々見せる拓哉のさみしそうな表情と何かを秘めた言葉・・・真意は彼にしか分からないが以前にも見せた彼のこ・・何を求めているだろう?もしかしたら求めていてももう手に入らないものなのか?
「・・・・・・」
やはり彼には自分が背負っているものとは何か別のモノがある。それもそれを理解するなど到底できないような何かを・・・・。夕日に照らされる拓哉の後姿を見てつぼみは何と言えばいいか分からなかった。
「なんてな。ゆりネェはああ言ってるけど・・・いつか、認めてくれる。だから俺達なりにやれる事をすればいいんじゃん……な?」
拓哉は二人に振り返ってそう言った。空元気の様にも見せるその態度に二人は合わせて笑って見せた。
「そう言えば拓哉はどうしてゆりさんの事を【ゆりネェ】って呼んでるんですか?」
「そう言えばそうだね。ゆりさんも拓哉の事を昔から知ってるみたいだけど二人って知り合いなの?」
植物園の帰り道を3人は歩いていた。一日の終わりを告げるように夕日が町を照らしていて3人はその光に照らされる街を見ながら帰路を歩いているのだった。
「小さい頃からの付き合いだよ。ゆりネェのお父さんと俺の父さんは大学時代の友達でな。だから家族ぐるみで仲がよかったんだ……昔のゆりネェはすっごい優しかったんだぜ?」
「そうだったんですか。あ、そう言えば拓哉のお父さんとか会ったことないですね。今度会わせて・・・」
「つぼみ!!!」
言葉を続けようとしたところにえりかがつぼみの口を塞いだ。つぼみは訳がわからないと混乱しているようだ。拓哉はそれにそっとえりかの手をつぼみの口から退けた。
「いいんだ、俺には父さんは居ない・・・死んだんだ。5年前に」
拓哉の口から出た衝撃言葉につぼみはえりかが自分を黙らせた事を理解した。知らなかったとはいえ拓哉の辛い過去を思い出させてしまった・・・やらかしてしまったと拓哉のほうを見ながらも謝ろうかと言葉を詰まらせる。
「・・・えっと、ごめんなさい。辛いことを思い出させてしまって」
「気にしないでくれよ。知らなかったんだから。それに・・・・どう足掻いても、誰に何と言われてもその事実は変わらない。だからいいんだ」
つぼみへのフォローをしながら拓哉は不意に空を見た。つぼみには彼が無意識に見せる何かは父への憧れなのか?・・・それともまた何か別のモノ?……いずれ自分達に語ってくれるのだろうか?・・・だとすれば今は待つしかない。彼が自分から教えてくれるその日まで。