ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
太陽に輝く戦士キュアサンシャインの誕生は敵味方問わずその場にいたプリキュアチーム、ブルービート、サソリーナまでもが驚愕していた。名前の通り暗雲を消し去るような光を放つその姿はまさに「神々しい」の一言以外誰も思いつかないだろう。
「はぁあ、たぁああっ!!!」
その彼女は美しさだけではなく強さも並大抵ではないブロッサムマリンがあれだけ苦戦したデザトリアンの攻撃を蝶が空を舞う様に身体を動かして避けると蜂が一瞬の隙を見極め敵に攻撃し着実にデザトリアンにダメージを蓄積させて戦いの流れを掴んでいるのだ。
「強い!!・・・いや、ただ強いだけじゃない。相手の動きを逆に利用して自分に絶対優位な戦いを作り上げている?」
軽やかな身のこなしと素早すぎる攻撃はまさにプロ級の一言。それを今流行りの言葉で思いつくのはまさに『超高校級の格闘家』だろうか?その強さは下手をすればブルービートの力をもってしても五分 ……いや、油断すれば一方的に負けてしまうとさえ錯覚するほどだ。
「ぐっ!?・・・ああっ・・・・・うぐぅ!??」
戦いを見ているブルービートだったが突然身体に違和感を覚えるとその場に倒れこんでしまう。それと同時に身体全体が青い光に包まれるとインセクトアーマーは収縮してビーコマンダーに回収されて甲斐拓哉の姿に戻ってしまう。
「・・・っ!?・・・・・・インセクトアーマーが自分から重甲の解除を。くっ・・・流石にアーマーが持たなかったか」
ビーコマンダーのスイッチを押してウィングを開かせると収納されたアーマーのメンテナンス状態に入り中で光を放っている。他の機械とは違い心や意思を持つインセクトアーマーが自分から強制解除をするまで追い詰められたのは拓哉自身も初めての事。メンテナンス完了までにどれだけの時を消費するかは未知数で今はもう戦えない。しかし少なくとも今この場には自分がいなくても心配はなさそうだ。その理由は考えるまでもない…………
「人の弱みに付け込んでその心を悪事に使うなんて・・・・その心の闇、私の光で照らして見せる!!」
そう、もう既に勝負は拓哉が見る限りでは決まりつつあるのだ。サンシャインの圧倒的なパワーの前にデザトリアンはペースを乱されて彼女に対して適格なる判断で反撃をすることなどできないのだ。つまり、言いかえればその余裕すら無いという事。勝負において自らの心の余裕をなくすことは相手に敗北を認めるも同然……拓哉はそれをよく知っている。
「キュアサンシャイン、君の手で決めろ……大切な人をその手で取り戻せ!!!」
「……うん!!」
拓哉の言葉を聞きサンシャインは再び飛び上がった。デザトリアンの伸縮自在の腕を両手で防御し股の間を素早く滑り込むように移動する。まさに今の動きは一瞬の神業でブロッサムとマリンは何が起きた変わらないほどだ。
「はぁあああっ!!!」
デザトリアンの振り向きざまからのジャンプキックを顔面に叩きこんだあとエネルギー弾による爆撃で目くらましをして一気に体勢を崩した。
「負けないで。お兄様!!」
いつきは目の前に居るデザトリアンに向けてそう呟いた。兄は絶対に弱さに負けない…例え負けそうになって迷ってしまっても自分が道標(みちしるべ)の光になればいいのだと強い思いがこもった口調に彼女の胸のクリスタルは輝いた。
「集まれ花のパワー、シャイニータンバリン!!」
ゴールドの光がハートの形になると其処から更に別の形に変形していった。それは縦にも見える輝かしい黄金色のタンバリン型のアイテム「シャイニータンバリン」でありブロッサムとマリンの「フラワータクト」ブルービートの「スティンガーブレード」や「パルセイバー」と同じ力を持つ彼女の武器だ。
外周部にひまわりの花状の金色の飾りがついていて、黄色とオレンジ色のハート型の宝石が交互にあしらわれているその武器は他の3人とは明らかに違う。一体どのような武器なので
「はぁあっ!!!」
シャイニータンバリンの外周部にひまわりの花状の金色の飾りがついていて、黄色とオレンジ色のハート型の宝石が交互にあしらわれている。その部分をサンシャインが回転させると光が辺りに輝いた。
その瞬間サンシャインはタンバリンをリズミカルにたたいていきその場に舞い踊る。タンバリンをたたいていくと辺りにはヒマワリの結晶が形成されて彼女の後衛に待機する。無数のその結晶はまるでミサイルのようだ。
「花よ舞い踊れ、プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!!」
彼女の必殺技の掛け声とともに後衛に待機していたヒマワリ型のエネルギー弾はデザトリアンへと一斉に発射されてまるで雨の如く降り注いでいった。巨大な身体中にヒマワリのエネルギー弾が敵を包み込んでいった。
「はぁあああああああああああっ!!!!」
タンバリンをまわして浄化のエネルギーをデザトリアンにへと送り込んでいくとデザトリアンは抵抗も出来ないままデザトリアンは浄化されて媒体となった車椅子とこころの花が分離してその場へと出現する。
「キーーーー!!またしても厄介なプリキュアが出てきたわねぇ!!!」
サソリーナはいつも通りの捨て台詞を吐いてその場から消え去った。それを軽く受け流して拓哉達はサンシャインへと近寄った。
「やったな。キュアサンシャイン!!」
「うん」
「さつきさんを早く戻してあげましょう!!」
戦いを終えて少女たちは変身を解除しこころの花の結晶とさつきが閉じ込められた水晶玉を合体させて閉じ込められた彼を解放する。彼はそのまま眠ってしまっているようで暫くはそのまま寝かせる事になった。
「・・・・う・・・ん?・・いつき?」
それから30分ぐらいたった頃になると彼は眼を覚ました。目の前には妹の姿があり自分が覚えている光景を語る。
「今、夢で女の子にあったよ。怖がって逃げる僕を必死に励ましてくれて・・・その姿がキラキラしていてとても綺麗だった。太陽みたいに・・・・ごめんな。情けない姿を見せてしまって」
「お兄様は僕の憧れですよ。昔も、今も・・・・」
いつきにとってはそれは変わらない事実。人には弱い部分があって当然なのだ。人は機械のように完全なる完璧など出来る筈がないのだから……時には弱り苦しみ何かに対して逃げてしまいたくなる事もある。でもそれを仲間がそして大切な人が励ます事で乗り越えられる……それは以前いつき自身も経験があるから。
「・・・・今回はホント、やばかった」
もしもあのまま闘いが続いていたらブルービートは戦闘不能のあの状態では残りの戦士であるブロッサムとマリンだけでは太刀打ちできなかっただろう。そう考えると肝が冷える。
「会長、今はお兄さんのそばに居てやってくれ。俺たちが知ってる事は後日ちゃんと説明する」
「・・・分かった。甲斐君達も今日は休んだ方がいい・・・じゃあ、明日にでも病院で」
「ああ」
今日は戦いに体力のほとんどを使い果たしてしまった……本日は解散だと全員一度帰宅してその日の夜はぐっすりと眠る事になった。
拓哉達と同じようにその間にビーコマンダーの特殊能力によってインセクトアーマーは着実に修復されていき傷がいやされていった。次の闘いに備えて・・・・。
夜も更けてきた頃になると人々は皆眠りについて夢の中に旅をしているのが大半だろう。誰もが眠りを貪るように身を休めているその闇に紛れて黒い悪魔の翼が空を駆けている事など誰も気がつかない。空を舞う影は何かを探しているようでもあったが・・・・・
「あらゆる場所を探っておりますが未だ見つけられず申し訳ありません」
その正体はダークプリキュアであった。先日の任務の中であり今も尚寝る間を惜しんで目的の場所である【こころの大樹】を探していたのだ。しかし結局は見つからず渋々と彼女は本部に帰還し事の全てをサバークに報告していたところであった。
「【こころの大樹】は 人間達の「こころの花」と繋がっている。そう遠くへは行けまい」
慌てているダークプリキュアに対してそう言って宥めるサバーク。簡単に見つかればそもそもこのように手古摺(てこず)る事もない。ゆっくり虱潰しに探すしかない。また明日の朝に闇に隠れる事が出来なくなったその時こそチャンス・・・そう思っているからだ。
「サバーク博士!!大変、大変、金色のプリキュアが3人目のプリキュアが現れましたわぁ!!」
「何?」
こうも早く恐れていた事態が起こるとは予想外。これは悠長な事を言っている余裕はないかもしれないとサバークはサソリーナの蔵だない小言を聞き流しながらダークプリキュアとブラックビートを呼び出した。
「こころの大樹に居た第3の妖精か・・・・ブルービートに新しい武器【パルセイバー】が加わったことも考えると急いだ方がいいな。行けダークプリキュア、ブラックビート」
『はっ!!』
二人の闇の戦士は拝命を受けその場から姿を消した。これ以上敵を強化してしまえば面倒ことこの上ない。その前に奴らを潰す事・・・それこそが最優先なのだ。