ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~   作:sora1996

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第34話「こころの大樹での決戦ー前篇ー」

 次の日には拓哉達は約束通りいつきに自分達が知っている情報全てを話すべく待ち合わせている私立病院へと足を運んでいた。拓哉は語る。大樹の守護者【ビーファイター】伝説の戦士【プリキュア】の事、こころの大樹を狙う砂漠の使徒と言う存在、そして彼女自身が【伝説の戦士】に選ばれたという事、自分達が何のために戦っているのかを。

 

 

「そうか・・・じゃ、あの時の出来事も夢じゃなかったんだね」

 

 

「そう言う事になる。でも驚いたよ。まさか会長が本当にプリキュアだったなんてな」

 

 

 拓哉は今でも信じられないのだった。最初こそポプリの選好みによる選出だと思っていたのだが第6感(シックスセンス)とでも呼べるものに導かれたのだとしたらそれも運命なのかもしれない。自分がブルービートのインセクトアーマーの適合者になった事もそれに値するから恐ろしいものを感じる。

 

 

「僕自身そうさ。・・・今でも信じられないよ。でも、この力を手に入れた以上は僕もこれからは君たちと一緒に戦う。改めて僕を仲間として認めてくれるかい?」

 

 

 つぼみやえりかとは違い覚悟の視線を持った表情でいつきは拓哉に問うた。拓哉は暫く何も言い返さないで黙っていた。何かを考え込んでいるかの様子で・・・・

 

 

「もちろん。だよね、つぼみ!!」

 

 

「はい!!」

 

 

 何故か黙っている拓哉の後ろからつぼみ達がそう言った。拓哉はすこし考えながらも「ふぅ」と息を吐くと3人から少し離れるように歩を進める。そして3、4歩進むと窓際を眺めながら口を開いた。

 

 

「・・・まぁ、取り合えず・・あれだ・・・。これからは宜しくな。会長・・・・いや、いつき」

 

 

「・・・・うん!!」

 

 

 拓哉は照れ隠しのつもりなのだろうか3人に顔を見せることなくそっけなくそう言った。その姿を見てつぼみはクスっと微笑し隣のえりかはと言うと珍しい態度にププっと笑った。不器用ながらも彼なりの挨拶なのだろう。

 

 

「じゃあここに新生プリキュアチーム結成だね!!」

 

 

 えりかが手を伸ばしそれにつぼみの手を乗せる。その次にいつきが手を乗せる。最後に渋々と拓哉が手を乗せて4人は決意を新たにする。

 

「・・・ああ(・・・これで俺達の陣形はかなり強化された。だが素直に喜んでいいのだろうか?・・・この胸騒ぎは一体何なんだ?)」

 

 キュアサンシャインと言う頼もしい仲間の加入は砂漠の使徒との今後の砂漠の使徒との戦いで必ず有利となるはず。しかし拓哉は安堵だけではなく不安もあった。言葉にできない胸騒ぎと言った方が正しいだろうか?しかも……遠くない未来に。

 自身にも与えられた伝説の剣【パルセイバー】が蘇ったことと合わせてもタイミングが良過ぎる事も何か引っかかるからだろうか?

 絶対に何かが起こる……それも計り知れないほどの大きな何かが。無意識に自分へと予言しているのかもしれないがそれも漠然としたままでハッキリとした事は言えないのだが。

 

 

「っ!?・・・一体何!?」

 

4人が決意を新たにしたその瞬間に合わせて突然ポプリの胸のクリスタルからゴールドの光が放たれて周囲を眩しく照らしていく。周りに人がいたら注目の的は間違いなしであったが幸いな事に大きく光ったのは一瞬だけでありそのあとは懐中電灯よりも少し強いばかりの光程度にまで弱まった。

 

 

「こころの大樹が呼んでるでしゅ!!」

 

 

「こころの大樹が近くにきてるですっ!!」

 

 

『ええっ!?』

 

 

 拓哉達は驚いて病院の外に出た。実際に【こころの大樹】を見たのは夢以外ないため「近くにきている」何ていわれても信じられなかった。というか夢で見た限りでもあんな大きなものがどうやって移動しているのか……そもそも何処に在るのかさえ謎に包まれていた事もあってか気持ちが急かされる。

 

 

「取り合えず外に出たけど・・・・一体どこにあるんだ?・・・」

 

 4人はシプレ達の案内を頼りに外に出てみたものの其処は近くの河川敷でありそれ以外は特に何もない。一体どこにあの大きい大樹が隠れているというのだろうか?拓哉が何処にあるのだと辺りを少し見回しているとポプリが声を大にして場所を示した。その場所とは・・・・・

 

「あそこって・・・空ですか!?」

 

「早くみんなで行くですぅ!!!」

 

 

ポプリが指をさした場所を見る・・・その場所は天高く広がる青い大空で。まさか大樹があると言う場所はここから数千メートルも上空にあると言うことか?確かにあんな大きなものが突然出現したら近隣住民は大騒ぎするだろう。しかしそれにしても問題が一つある。

 

 

「行くって・・・・どうやって?」

 

 

 遥か高い上空にある場所へ行く手段は一つしかない。空を鳥のように羽ばたいて大空を舞う事。だが其れは人間には無理な話だ翼がない以上は飛ぶことなんて無理な話。

 プリキュアになったとしても高く跳んだあとには重力に逆らえず地面に落下すると言う末路が待っている。手段があるとすればヘリコプターなどで自分達を運んでもらうぐらいだがそんな伝手(つて)もコネもない。

 

 

「僕たちに任せるですっ!!」

 

 

 そう言ってコフレ達は一度つぼみ達よりも高い位置に浮遊していくと手品でよくみられるような一瞬の芸当で光のように変化する。その次の瞬間つぼみとえりかの両名の首筋に纏わりついて某国のヒーローを思わせるマンとへと姿を変えた。つぼみはシプレだった其れを触りながら妖精にこのような能力がある事に驚いていたが・・・・

 

 

「うーーーん・・・ファッションとしては微妙かも」

 

 

 えりかはと言うとファッション部部長としての影響かそう呟いていた。どんな状況下でもこのような事が言えるのがえりかのいい部分でもあるとはいえ・・・拓哉は少し呆れたように苦笑いする。

 

 

「サンシャインが生まれたからこころの大樹は来たんでしゅ。いちゅき、一緒にこころの大樹を守ってほしいでゅ」

 

 

「うん。分かった……僕に出来る事があるなら協力するよ。ポプリが守りた者を僕も守りたい」

 

 

 改めてポプリはいつきに共に戦ってほしいと彼女に言うとそのまま二つ返事で首を縦に振る。しかし其れはもう迷いも何もない証拠。同じ目的のために戦う仲間となった瞬間だ。

 

「いちゅき、しゅきーーーーー!!」

 

 

 いつきが改めて自分のパートナーになってくれた事にポプリは気持ちをストレートに言葉で表すとそのまま彼女の首に飛びついてシプレ達と同様にマンとへと姿を変えた。これでプリキュアチームは準備が整った。しかし、問題がここでまた一つある事に3人は気がついた。それは・・・・

 

 

「あ、そう言えば拓哉はどうやって空飛ぶわけ?」

 

 

「あぁ!!」

 

 

 えりかの問いにシプレとコフレは青ざめたような声を出す。そう言えばブルービートって空飛べるのだろうか?・・・いや、ビーコマンダー自体には浮遊の力がある事は確認済みでるが拓哉を運ぶ手段は・・・・と思っていると拓哉の胸ポケットからアラーム音が鳴る。

 

 

「っ?・・・・やっとメンテナンスが終わったぜ。よぉし・・これなら問題ない」

 

 

 ビーコマンダーを取り出してみると中に収納されているブルービートの甲冑から青い光が煌めいてコマンダー全体を包み込んだ。3人はどうするつもりなのだろうと思っていると拓哉はコマンダーのウィングを開いた。

 

 

「重甲!!!」

 

 

 なんとそのまま彼はメンテナンスが終わったアーマーを身に纏ってブルービートの姿に変わる。まさかその姿は飛ぶこともできるのだろうか?

 

「お前たちみたいにマントがないのがちょっと残念だけど・・・まぁ、仕方ないな。よぉし・・・んじゃ、行こうか?」

 

 

「レッツフライですっ!!」

 

 

 えりかを先頭にプリキュアチームは上空に飛び上がる。一番最後の出発となったつぼみは高所恐怖症であった事を今になって思い出したのかビクビクと怯えながら一人悲鳴をあげて空に消えていった。

 

 

「……っ!?・・・誰だ!?」

 

 

 3人が上空に飛び上がった後に続いてブルービートも上空にジャンプしようとするがその前に後ろを振り向いた。何かの気配を確かに感じたのだがそこには誰もいない。あの気配は思い過ごしだったのだろうか?

 

「気のせい・・・か?」

 

 本当にそうなのだろうか?・・・ブルービートは疑念を抱きながらも思い過ごしならばそれでも構わないと気持ちを切り替える。とにかく急がないとつぼみ達を見失う。跳び上がっていくと次の瞬間には彼の身体は青い球体状に変化して空へと飛んだ。

 

 

『・・・・・・・・・・』

 

 

 全員が居なくなったその場所に突然現れた二つの黒い影。ブルービートの感じていた気配の主の正体は影以外の姿を見せないままその場から気配を消した。その様はまるで獲物を見つけた蛇の様に狡猾さと獰猛さを秘めていて気配を殺す殺し屋の様なおぞましいものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大空へと飛び上がった4人はまるで鳥になった気分であった。えりかは特にフライングを楽しんでいるようで大はしゃぎだ。しかし……

 

 

「うぅ~~~~」

 

 

 つぼみはと言うと高所恐怖症であるためもガクブルと身体は震えてしまっている状態だ。隣に居るブルービート(拓哉)はその様を見てやれやれと少し仮面の下で顔を苦笑いしている。仕方がないとブルービートは近くに飛んでいくと手を出して彼女(つぼみ)の手を握る。

 

 

「怖いのなら飛んでる間俺が傍に居る。だからそんな顔するなよ」

 

 

「は、はい。あ、ありがとうございます」

 

 

 つぼみはブルービートの手をしっかりと握る。そう言えば前にもこんな感じの夢を見た気がする。それは確か拓哉がブルービートであると知る少し前の事であったかな?あの時の夢は・・・・・今思いだすと非常に恥ずかしいものだ。

 

 

「・・・・ねぇ、あそこだけ空気が違う気が」

 

 

「・・・うん。でもあの二人・・・なんだかいい感じだよね」

 

 

 いつきとえりかは二人の様子を近くで見ていてそう思った。いつきは特に何も思っていないようであったが・・・えりかはと言うと何か少しだけ不機嫌な様子。そのやりとりがありながらも4人は大空を進んでいくと途中で大きな雲を見つける。

 

 

「ここだ。この先で【こころの大樹】が待ってる」

 

 

 インセクトアーマーから何かに共鳴するような感覚を感じるとブルービートはつぼみと手を繋いだまま先陣切って突入する。するとその中に広がっていた景色はまるで某ファンタジックな童話の物語に出てくる『龍の巣』を思わせ神秘的で神々しい世界が広がっていた。

 

 

「・・・・・」

 

 

 今自分は生身のままその世界に入り込んでいる・・・このような体験は普通の人間ならば絶対に出来ない経験。考えてみれば今まで生きてきた中で飛行機も乗ったことない自分がこのような体験をすること自体があり得ない事なのだ。

 つぼみはそう思いながらも未知の世界の恐怖と興奮からかブルービートの手を両手で強く握って辺りの雲という白い空間に目を奪われてしまう。

 

 

『・・・・っ!!!」

 

 その世界の出口に出ると太陽の眩しさが凄く思わず目を瞑る。目を開けてみると其処には広大な空の景色に堂々と浮かんでいる一つの島がある。その島の中央には夢でしか見た事のない【こころの大樹】があった。4人はその小島にゆっくりと着陸する。

 

 

「・・・・・これがこころの大樹か」

 

 

 ブルービートは重甲を解除して改めて目の前にある大樹の全体を見回していく。夢で見た通りでもあるがやはり自分の目で確かめると迫力が違う。その威厳と言うべく何かに4人はその迫力に息をのんでしまうほどだ。

 

 

「・・・はじめまして。花咲つぼみです!!……やっと会えましたね」

 

 

 不意につぼみが大樹の方に近づいていくとそのまま大樹を見上げて自己紹介を始めた。そう言えばこうやって対面するのは今まで初めてであった。

 つぼみに続いて次にえりかが自己紹介すると大樹はそれに反応するように枝が揺れる。まさか自分達の言葉が伝わっているのか?

 

 

「こころの大樹も『はじめまして』って言ってるですぅ。二人の気持ちがちゃんとこころの大樹に伝わってるですぅ」

 

 

 なんと予想通りと言う事になった。やはりと言うべきか普通の樹木ではないようだ・・・えりかは其れに感心したのか上から目線に「流石こころの大樹だね」と言ってみせる。

 

「それにしてもデッカいね~~夢で見た通りだよ」

 

 

「夢?もしかしてキュアムーンライトとビーファイターがここで戦う夢の事?」

 

 

 いつきはえりかの言葉に反応しそれを聞いてすぐに二人は彼女の方に詰め寄った。どうやらポプリの選好みは偶然ではなく必然だったようだ。えりかはアレだけ苦労したのはなんだったのだろうかと今更になって文句を言う。

 

 

「ポプリは最初から分かっていたでしゅ!!」

 

 

 3人の会話を聞いてポプリはまるで自分が予言者であったかのような言い草をするが拓哉はそれを聞いて「おいおい」と心の声で呟いた。散々選好みでいつきを指名していたの子供が言えた事ではないと思ったのだろう。

 

 

「不思議だけど夢で見るたびに思ってたんだ。花が散ってしまったこの樹にまた美しい花が咲かせられないかと」

 

 この大きな樹に花が満開の姿をさせてあげたい、そう思ったのはこの場に居る全員がそうだ。この大きな大きな大樹を・・・

 

 

 

「はっ!!・・・見てください。あそこ、“花の蕾”があります!!」

 

 

 つぼみが大樹をよく見るとあちこちに花の蕾(つぼみ)があちこちに確認できる。つぼみ達は大樹全体を見回すと色取り取りの花の蕾があり。それはまだまだ花には程遠いがいつか必ず成長し綺麗な姿を開花するだろう。

 

 

「【こころ大樹】はみんなの【こころの花】と繋がってるですぅ。これまで3人が頑張って【こころの花】を元気にしてきたから【こころの大樹】も元気になってきたですぅ」

 

 

「そうか・・・今まで頑張ってきた甲斐があったね」

 

 

「はい。こころ大樹の花が咲くのが楽しみです!!」

 

 

 拓哉は3人が歓喜に溢れているところで大樹を見回すように動くと大樹の根元で何かが光っているのを見つける。なんだと思い思わず拓哉は近づいていくと・・・・・

 

 

「ビーコマンダー!?」

 

 拓哉が見つけたのは自分が持っている変身アイテムと同じものだった。唯一の差異はクワガタの顎とカブトムシの触角のアンテナが立っている事。そう詰まりこの二つのコマンダーはあの二人のモノなのだ。

 

 

「これはジースタッグとレッドルのビーコマンダーじゃないか。どうしてこんな所に?」

 

 

 手に取った二つのビーコマンダーは土で汚れて更にあちこち傷だらけでボロボロになっていた。試しに赤いボタンを押してもウィングが開かない。拓哉はシプレとコフレの方を見ると二匹の顔が突然暗いものになった。

 

 

「二人はシプレ達を守るためにその身を犠牲にしたんですぅ。そのビーコマンダーにはもうジースタッグとレッドルの力は残ってないのですぅ………だから」

 

 

「じゃあもう二人は・・・・」

 

 

『・・・・・』

 

 そこから先の言葉が出ないシプレとコフレ。拓哉もその表情の意味に察しがついたようでコマンダーを強く握りしめる。二人は自分とは違いインセクトアーマーの装着者を必要としないいわば精霊のような存在。

 その二人が自らの命を削ってシプレ達を守りその残骸こそがこの二つのビーコマンダーなのだ。拓哉は手に持っているそれからには二人の受けた痛みと決意の強さが伝わってくる。

 

 

「・・・・先輩」

 

 

 二人のビーコマンダーを拓哉はポケットにしまった。持っていても仕方がないかもしれないがそれでも先輩たちの亡骸をこのまま此処に放置する事だけは出来なかったのだ。誰も知らないまま戦い散っていた戦士の魂をせめて自分の手元に置きたかった。そんなつまらない感情だけではない・・・

 

 

・・・この二人は俺の父親と一緒に・・・

 

 

「!?」

 

 

 突然辺りが暗くなった……太陽が雲に隠れたのだ。それだけでなら別にさほど恐れる事はないのだがポプリはビクンっと身震いすると何かに怯えたような態度になって親に子供が飛びつくのと同じように、ポプリはいつきの方に飛んでいった。

 

 

「この気配は・・・まさか」

 

 明らかに様子がおかしい。この嫌な空気・・・何かとてつもなく邪悪な気配を感じた妖精達は後ろを振り返ってみると其処には今一番会いたくない最悪の相手がその場に居た。シプレ達に釣られて振り返ってみるとつぼみ達も驚きが隠せない・・・如何してこの場にこの二人が!?

 

 

「ふふふ」

 

 

「見つけたぞ・・・」

 

 

 その相手は黒い片翼の悪魔の戦士と黒い甲冑を纏った最悪の二人組だ。ダークプリキュアとブラックビートはいつの間にか4人の尾行していたのだ。こころの大樹が守護者を呼び出した事をまんまと利用された。

 あの時、拓哉が感じていた違和感の正体はこの二人組だった・・・やはりもっと注意していれば・・・・・しかし今更後悔してももう遅い。

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