ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~ 作:sora1996
公園での出来事から一時間後ぐらいたっただろうか・・・夢を見ているかのような感覚で突然つぼみを呼ぶ声がした。その声に呼ばれるように目が覚めると目の前に自分の祖母の優しい顔があった。
「おばあちゃん?・・・どうして私ここにいるのかしら?」
目覚めたその場所はつぼみの祖母の花咲薫子が園長を務める植物園だった。つぼみはどうして自分がここに居るのだと頭に疑問視が浮かぶ。確か私は・・・・その様子を見て薫子は笑う。
「私が温室に入ってきたら此処で倒れてたのよ?」
薫子にそう言われるとつぼみは頭の中がしっかりしてきたようで記憶をたぐり寄せるように思い出す。そう確かに自分は公園で蒼い鎧騎士に助けられたのだ。つまり自分をここに運んでくれたのは彼・・・でもどうしたこの場所にと疑問が疑問を呼ぶ。
「あ、ブロッサム!!」
コフレとシプレが何やら謎の巨大な置物のようなモノのお腹の部分から頭を出してつぼみの元に飛んでいく。シプレがつぼみの顔に擦り寄りつぼみはシプレの体を抱きしめてやった。
「あ、キュアフワラーだァ!!!」
コフレもつぼみの元に近づいている途中でつぼみの隣にいる薫子の存在に気がつき大声を上げた。それにつぼみは目が点になった。
「シプレにコフレ久しぶりね」
「はぁ!?・・え、おばあちゃん・・・この子達と知り合いなの!?」
驚きが隠せないつぼみ。いや、この状況で驚かない方が逆に肝が座っているというべきだ。つぼみの問に薫子は「ええ」と答えてつぼみの隣に座った。そして再度確認するようにつぼみは詰め寄った。
「今、この子達がキュアフラワーって・・・・・」
もしかしたらもしかする。考えたくはないがここまである徹底的な証拠から推察するにもしや・・・返答するまでの間つぼみは息を飲んだ。
「実は私・・・昔はプリキュアだったの」
「お、おばあちゃんがぁあ!?・・・おばあちゃんってずっとここの植物園の園長をしていたんじゃないの?」
つぼみは普段になく興奮した口調になって食い入るように問いただした。自分が知っている限りでは祖母はこの植物園の園長をしていたことしか知らない。いや、それしか知らないのが普通なのだが。
「そうだけど・・・此処で【心の大樹】の研究をしているうちにコッペに出会ってね・・・」
妖精は巨大な者の正体に気がつくとそのまま興奮しながら擦り寄った。妖精2匹が言ったセリフは・・・・
「伝説の妖精・・・・・コッペ様?」
妖精のリアクションとの温度差が激しい理由があるとすれば1つ・・・はっきり言えば「伝説」という言葉には合わないほどの顔つきをしているのだ。
「コッペは私がプリキュアだった頃のパートナーよ。シプレやコフレの大先輩ね」
なるほどそういう事なら納得ができる。だがつぼみは納得ができないでいた。なぜならば確実に一つ思うことがあるのだ。それは・・・・
「あれが妖精・・・全然違うような・・・」
正直に出た一言だった。自分が思い浮かべる妖精のイメージは童話に出てくるような可愛らしいものなのだから。しかしコッペは一言で表すならば・・・やはり「怪獣」か?
「カッコイイですぅ!!!」
「ボクも早くコッペ様のようになりたいですっ!!」
シプレとコフレのセリフを聞いてつぼみはその場にずっこけるリアクションを取った。あ、あれがカッコイイ・・・の?
「ど、どこがカッコイイの!?」
コッペという妖精を知らないつぼみからすれば当然の反応だ。つぼみが思うカッコイイとは自分を助けてくれたあの蒼い鎧騎士のような者を言う。だがコッペは・・・・それ以上は言葉が出ない。
「つぼみ、失礼です!!」
「コッペ様は僕たち妖精の憧れです!!」
だがそれに反論するシプレとコフレ。憧れの対象の悪口を言われてしまえば誰もがする当然の反応だ。
「史上最弱のプリキュアに言われたくないですぅ~~~」
「ですっ~~」
それに付け加えシプレに言われた一言につぼみはムッとした顔でシプレとコフレを睨みつける。何も言い返せないのが悔しいが事実なので反論できない。
「ちょっと待って。今つぼみがプリキュアって・・・・」
「そうですぅ!!。つぼみが心の大樹の夢を見たって言うのでココロパヒュームを渡したら・・・」
「キュアブロッサムに変身できたですぅ!」
今度は薫子が自分の孫娘がプリキュアに変身したという話を聞いて驚いた。今度はつぼみと立場逆転という状態だ。
「つぼみが見た夢ってもしかして・・・キュアムーンライトとビーファイターが倒される夢?」
「うん。何度も何度も繰り返してみるの・・・それでこの子達に出会って無理やりプリキュアに・・」
薫子はつぼみに問いただしつぼみは頷く。殆ど成り行きでプリキュアになったことを説明する。
「僕たちを追いかけてきた【砂漠の使徒】の幹部サソリーナに襲われたですっ!!」
「そうだったの・・大変だったわね」
薫子はシプレコフレに手を添えて怯える2匹を落ち着かせる。その様子を見た
「・・・・(あの時私を助けてくれた蒼い鎧を纏った人は・・誰なんだろう・・・また来てくれるのかな)」
絶体絶命になったとき蒼い鎧騎士に助けられた事をつぼみは気がかりになっていた。自分を助けてくれたあの優しい戦士は一体誰なのだろう・・・また自分のもとに来てくれるのか・・・・等と少し考え込んでいると薫子がつぼみに話しかけてきた。
「それにしてもまさか、つぼみがプリキュアになるなんて思わなかったわ。でも・・・花が大好きなつぼみなら十分その資格はあるわね」
つぼみはそれを聞いて少し安心したのか笑顔を見せた。そして薫子の隣に座った。
「ねぇ、おばあちゃん【心の大樹】ってなんなの?」
夢に毎回出てきてはいるが実際にそれを見たことがあるわけじゃないのでずっとそのことだけは不思議に思っていた。夢の中でキュアムーンライトと2人のビーファイターが命をかけて守っていたあの大きな大樹についてだ。
「【心の大樹】は・・・【心の花】の源なの」
「心の花?」
つぼみの問に薫子は胸に手を当てて説明を始めた。それを聞くつぼみはというとまた聞きなれない言葉に首をかしげた。
「そう、人間は一人一人心の中に“自分だけの”【心の花】を持っているの。その花は種類も色も違っていてね。同じものは一つもないの」
「私も・・・心の花を持ってるの?」
「勿論よ。心の大樹は心の花と目に見えない力で繋がっていてね・・・心の花が萎えたり悪い色に変わったらと心の大樹は弱ってしまうの」
「そう言えばこの子達がえりかさんの心の花が赤くなったって・・・そうだ!!えりかさんは?」
蒼い鎧戦士に助けられてから今まですっかり忘れていた事を思い出して顔を真っ青にするつぼみ。そうだ自分はえりかを助けるために戦っていたのに・・その事を忘れいたと汗をかく。
「心配ないです!!」
コフレは胸にあるハート型の装飾品を光らせるとそのからえりかが閉じ込められている水晶を出現させた。
「えりかさん!!」
水晶の中で閉じ込められているえりかが苦しんでいる。悪夢を見たときに魘されるような声を上げている。
「可哀想に。心の花が弱りだしているのね」
「サソリーナ達の仕業です!!」
シプレが憤怒の声を上げる。早く何とかしなければと思っていた矢先に外で何かが地面を叩きつけるような大きな音が響いた。
外に出てみればデザトリアンが暴れ回っていた。つぼみ達が駆けつけるとサソリーナが出現した。
「見つけたわよ・・・妖精たち。さっきは邪魔が入っちゃったけど今度は逃がさないわよ」
サソリーナと共につぼみを睨むデザトリアン。えりかの呻き声が聞こえつぼみは水晶の中で苦しんでいるのを見てつぼみは心配そうな表情を浮かべる。
「アタシハァア、ツボミノ為ヲ思ッテメチャモテキャラシトウトオモッタダケヨ!!ソレナノニ【ももネェ】とキタラァア!!」
デザトリアンの叫びが大きくなればなる程水晶に閉じ込められているえりかの叫びも大きくなっていく。
「えりかさん!!」
一体何が起こっているのだ?シプレがハート型の鏡のようなものを形成していくとそれを双眼鏡のようにしてデザトリアンを見ていく。
「心の花の【白いシクラメン】がもうすぐ真っ赤に染まってしまうですぅ」
「白いシクラメンの花言葉は【純潔】赤になると【嫉妬】に変わってしまうわ」
シプレ曰くえりかの【心の花】のシクラメンが白から赤に染まる寸前・・・たしかシクメンの花言葉は・・・つぼみが思い出す前に薫子が解説する。
「そうしたら・・・どうなるの?」
「あとは枯れるしかないです。枯れちゃったらこの娘は心を乗っ取られたまま永遠にこの玉のなかで眠り続けるです」
「そんな・・・」
心の花が枯れた者の末路を聞いたつぼみはそれ以外に言葉が出ない。このままではえりかは永遠にあの玉の中で眠り続けることになる・・・それだけは防ぎたい。だが・・・・
「友達を助けるにはつぼみがプリキュアになってデザトリアンを倒すしかないです!!」
「さぁ、プリキュアに変身するです!!」
そう。最後の手段はもはやそれしかない。迷っている時間もないとシプレとコフレはつぼみに変身するようにもう一度説得する。
「わ、わかった・・・・?・・ない!?ない?・・ない!??」
つぼみはある物がないことに気がつく。何がないのだとシプレとコフレは頭に疑問視マークを浮かべるがつぼみの顔が青くなって顔に汗が浮かんでいることに気がつくと嫌な予感がした。
「変身する時にシュシュッとするやつが・・・なぁ~~~~い!!!!」
そう自分がプリキュアになる時に必要な変身アイテム【ココロパヒューム】が手元にないことに気がついたのだ。それを聞いたシプレとコフレも顔が青くなり叫び声を上げた。
「さぁデザトリアン、こいつ等をボコボコにしてぇ!!」
サソリーナの命令を受けてデザトリアンは大きく息を吐いてシプレとコフレを吹き飛ばす。
「オオオオオオオオ!!!!」
そして大きな腕を上げてその腕をつぼみ達に振り下ろされる。思わずつぼみは目をつぶってしまい動けなくなってしまうががその彼女に腕が振りおをされる紙一重のところで一つの影が乱入する。
「!?・・・あ、貴方は!!」
「なっ!?あ、アンタはさっきの蒼い鎧戦士」
サソリーナの驚きの声と共にデザトリアンは地面に叩きつけられた。蒼い鎧戦士は一度下がりつぼみの前に立った。
「君は下がって・・・ココは俺に任せろ」
青鎧の戦士はそう言うと勢いよく飛び上がりそのままパンチを放ちデザトリアンを吹っ飛ばした。
「ええい、何者かしらないけど・・・邪魔だては許さないわよぉ~~!!」
突然の乱入者しかもかなりの強敵とわかるとサソリーナは戸惑った。これはまさか大樹を守る“もう一つ”の守護の力?だとすれば・・・・焦りが生まれるサソリーナだが青鎧の戦士はそのまま右太腿のホルスターに差し込まれている銃を右手に取る。
「インプットマグナム!!」
銀色の銃身の真ん中にから1から0までの数字キーがある認証コード入力銃【インプットマグナム】をブローバックして起動させる。
「【1,1,0】・・・インプット。ビームモード!!」
コードを入力し引き金を引くと黄色の光線がデザトリアンに向けて放たれた。ダメージはそれほど与えられていないようだが衝撃で怯んだようで大きな隙が出来る。
「やぁあああっ!!!」
それを見逃さず距離を一気に縮め蒼鎧戦士は飛び蹴りを放った。時間稼ぎにしかならないがそれでも鎧戦士は怯まずデザトリアンに攻撃を仕掛ける。
「・・・・っ!!」
蒼い鎧戦士にデザトリアンが気を取られている間につぼみは薫子の手を取って近くの茂みに隠れていた。足元に転がるえりかが閉じ込められている水晶みてココロパヒュームを何処にやったのだと探すが見当たらない。
「ココロパヒュームをどこにやったですぅ?」
「そんなこと言われても・・・」
つぼみは困ったようそれが分かれば苦労はないとそう言う。早く見つけて彼と合流して戦わなければならないが・・・焦るつぼみの肩を薫子がトントンと叩くとつぼみに彼女のココロパヒュームを見せた。
「ココロパヒュームですっ!!」
「つぼみの横に落ちてたわよ」
「ありがとう、おばあちゃん!!・・・もう少し頑張ってね!!」
つぼみは水晶玉にそう言ってえりかがもう少しだけ持ち堪えてくれることを祈った。その頃既に蒼鎧戦士はインプットマグナムを持ちながらもなんとかデザトリアンの気を引こうと出来るだけ傷つけないようにと攻撃を最小限にとどめていた。
「(彼女を庇いながら戦うのは厳しい・・・・だけどアイツをあのままにしておくわけには)」
蒼鎧の戦士がそう考え込んでいるとデザトリアンのパンチを身体に受けて彼は飛ばされる。なんとか受身を取るが腹に直撃したため直撃した鎧は少しショートしたように火花が散って痛みが走る。
「うぐぅっ!?・・・・このままじゃ負ける・・・・どうすれば!!」
蒼鎧戦士は切羽詰った状況に焦る。すると逃がしたはずの少女―つぼみがーがデザトリアンに下に走ってきた。
「なっ!?・・馬鹿、逃げろと言っただろ!!」
何をするつもりだと蒼鎧戦士は声をかける。その声を聞きつぼみは一度彼を見る。
「助けてくれてありがとうございます。でも私も戦います!!・・・絶対、えりかさんを助けるんだから!!」
つぼみはココロヒュームを前にかざしもう一度光に包まれた。 決意を胸にもう迷わないと今度は凛々しく堂々と自分の変身コードを叫ぶと光がパヒュームから発生する。
「プリキュア! オープン・マイ・ハート!!」
ピンク色の光に包まれつぼみが次の瞬間には彼女の姿は既に大地の戦士キュアブロッサムの姿に変わっていた。
「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!!!」
「・・・キュアブロッサム・・・自己紹介がまだだったな。俺の名はブルービート。大樹が残した最後の守護者【ビーファイター】だ。」
彼女の決意を見た青鎧戦士も飛び上がりブロッサムの隣に着地しデザトリアンの前に立った・共にファイティングポーズを取りながらも一度ブロッサムに声をかけ名を名乗った。
「ブルービート?・・・それが貴方の名前・・・わかりました!!」
突然話しかけられてブロッサムは驚きながらもこれで確信に変わった。彼はプリキュアと共に戦う守護者【ビーファイター】の最後の一人。一人でダメなら二人で行くぞとブロッサムは最初の公園の時とは違い勇気が湧いてきた。
「必ずえりかを助け出す・・・・ブロッサム、行くぞ!!!」
「はい!!」
蒼い鎧戦士とピンク色の大地の戦士は共にダッシュしデザトリアンへと向かっていた。果たして2人はデザトリアンとなったえりかを救い出すことができるのか!?