ハートキャッチプリキュア!~大樹の守護者と青い鎧戦士~   作:sora1996

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第7話「儚い理想と無情の現実」

 つぼみ達が学校で昼休みを過ごしているのと同じ頃に別次元のよると大きな満月が空に浮かび闇が広がる無限迷宮のような場所に禍々しい雰囲気のある場所があった。

 見渡す限りの無限迷宮のような闇空間にひとつだけ建造物があった。そうこの【秘密基地】という言葉が浮かび上がるこの悪魔の城こそが心大樹を狙い地球侵略を企む【砂漠の使徒】のアジトだ。

 

 

「何?・・・新しいプリキュアが現れただと?」

 

 

 広い空間で玉座に座っている仮面の男はでサソリーナの報告を聞きそう問い返した。この仮面に包まれた長髪の男の名はサバーク。【砂漠の使徒】の司令塔にして最高幹部の人物だ。

 この男こそがつぼみたちの夢で見た敵側の仮面の男の正体でありキュアムーンライトを倒した「堕天使」の言葉が一番似合うであろう存在【ダークプリキュア】とジースタッグ、レッドルを玉砕した黒い鎧騎士にして悪のビーファイター【ブラックビート】を生み出した張本人なのだ。

 

 

「いきなり現れたので不覚をとってしまいましたわぁ。そしてビーファイターの最後の守護者【蒼鎧騎士ブルービート】のビーコマンダーも適合者を見つけたようですわぁ。おかげで妖精たちを取り逃がしてしまいました。」

 

 

「そうか。ブルービートのみならず新しいプリキュアまで出現するとは・・・奴らにこのまま【心の種】を集められたら厄介なことになるな」

 

 

 キュアムーンライト、ジースタッグ、レッドルを倒したことで心の大樹を守る【守護者】は完全に消し去ったと思っていたのだが思わぬ事に危惧の態度を浮かべるサバーク。

 

『・・・・・・・』

 

 玉座の両端には黒の申し子ダークプリキュアとブラックビートが立っていてそこにいるということでサソリーナと違い上の身分の【上級幹部】であるという事を示しているかのようだった。

 特にブラックビートは黒い仮面に黄色い目を光らせてサソリーナを睨みつけて完全に見下しているようであった。

 

 

「・・・心配ありませんわぁ。キュアブロッサムはまだなりたてで今のうちなら私一人でも倒せますわ。・・・では」

 

 

 二人の黒い戦士の威圧を感じながらもサソリーナは汚名返上のために次なる作戦を発動すると言い瞬間移動で姿を消した。

 

 

「サバーク様、サソリーナ如きにブルービートが倒せるとは思えません。是非ともこの私にも出撃命令を!!」

 

 

 サソリーナの姿が消えた瞬間にサバークの右隣にいたブラックビートは彼の前に膝まづいて自分の出撃許可を直訴するようにそう言った。

その態度はどこか焦っているようにも見え夢で見た余裕を感じることができないほど態度ににじみ出ていた。

 

 しかしながらサバークはブラックビートに向かって首を振って返事を返した。

 

 

「何故です!?・・・私ならば必ずブルービートのアーマーを粉々に・・・」

 

 

 それに納得ができないようでブラックビートは反論するしようと声を荒げるもさバークの仮面の目の部分が突然光ると言葉が止まる。

 

「今は泳がせておけ!!・・・ブルービートの適合者が誰なのか断定できた後にお前には出撃を下す。それまではダークプリキュアと共に待機だ・・・いいな?ブラックビート」

 

 

 ブラックビートの言葉を無理やり止めたサバークはそう命令を下し彼を無理やり黙らせた。普段の彼を知っている二人からすれば反論されることは逆に珍しいようでそれからは何も言わなくなった。

 

 

「はっ!!」

 

 ブラックビートは渋々とした態度ではあったが命令には逆らえないという忠誠心とプライドがあるようで大人しく身を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃明堂学園中等部ではえりかを司令塔として拓哉、つぼみの両名を巻き込んでファッション部の部員増強の為の勧誘大作戦・・・という名で中等部のクラスに乱入し宣伝し回っていた。だが結果は・・・・・

 

 

「これだけ回って・・・ぜ、全滅なんて」

 

「結局一人も入部してくれませんでしたね」

 

 

 そうまさかの大惨敗だったのだ。えりか特注のハチマキを頭に巻きつけてつぼみは旗を持たされ拓哉は法被を着せられて中等部の殆ど全クラスを回った3人であったが結局たった一人も新入部員を見つけることはできなかった。

そしてあっという間に時間は流れ放課後になり3人は校庭で反省会を開いていた。

 

 

「明日から作戦を変えよう!!」

 

「え?」

 

「はい?」

 

 

 突然のえりかの発言に首をかしげる拓哉とつぼみ。作戦を変えるといってももう全クラスを回って散々宣伝した結果がコレだったのにまだ何かあるのか?という顔をして二人は顔を見合わせて無言の会話状態になった。

 

「ウチのお店のカッコイイ服を着て勧誘するってのどう?」

 

 

 

 

「・・・それって格好を変えただけだから印象は違っても決定的な効果にはならなくないか?」

 

 

 えりかはそう言って満面の笑みで提案するが拓哉は乗り気ではないようで渋い顔を見せた。

 

「えーーー、じゃあ拓哉は何かいいアイディアあるの??」

 

 

「そうは言ってもこれだけ散々動いてダメだったんだぞ?・・・簡単に勧誘できるなら苦労しないっての!!」

 

「なによそれ~~~ていうか諦めるの早いってば!!」

 

 えりかに文句を言われると拓哉も黙ってはいられないと反論し口喧嘩となる。お互いにアーでもない、コーでもないと言い合うのを見てつぼみはオドオドとし始めてしまう。

 

 

「何度言えば分かるんだ?ダメなものはダメだ!!」

 

 

 えりかと拓哉の口喧嘩を止めたのは後ろから聞こえてきた男子生徒の声だった。何事だと思って3人は声のした方向をソっと覗いてみると其処には女子生徒と男子生徒が何やら真剣に話し合っているようだった。

 

 

「なんだ?・・・デートの誘いか?」

 

 

「んなわけ無いでしょ!!・・・あ、あの娘は確か・・・」

 

 

 拓哉のボケにそう突っ込むえりかは怒鳴られている女子生徒に見覚えがあった。確かあの娘は・・・拓哉がジトーと女子を見ると声を出した。

 

 

「あ、アイツはえりかに喧嘩を売った女子!!」

 

 記憶を手繰り寄せていたところで拓哉の一言で完全に思い出す。そうあの女子生徒はファッション部の勧誘の時に「軟弱な部活」と言って喧嘩を売ってきた人物だ。

 

 

「サッカー部に女子は入れないと言っているだろう」

 

 

「お願いします」

 

 

「練習の邪魔。じゃ」

 

 

 話を推察するにこの女子はサッカー部に入りたいらしいがソレを部長と思われるあの男子生徒に門前払いを受けていたようだ。

スバっと女子生徒を一刀両断するように男子生徒はそう言うとサッカー部のグランドへと戻っていってしまった。

 

 

「・・・・・」

 

 

 女子生徒はというとハッキリ断られたことで心に傷を負ったように悲しげな表情を浮かべている。ソレの一部始終を見ていた3人の中で最初にえりかが動き女子に声をかけた。

 

 

「・・・ふん」

 

 

「甲斐くん行かなくていいんですか?」

 

 

 だが拓哉は動かずその場で横になった。その様子を見てつぼみは驚いたように声をかけるが拓哉はと言うと逆に不思議そうな顔をしてつぼみを見た。

 

「だってなんて声をかけるの?・・・彼女はサッカー部に入りたいと言っているようなものじゃないか・・俺達が関与できる問題じゃないよ」

 

 

 拓哉はそう言ってつぼみを諭す。確かに今の彼女に一体何をすればいいのだ?一体どうすれば解決できるというのだ?今の彼女はサッカー部に入れないという現実を直視して傷ついている。その彼女に向かって何を言って励ますというのだ?否励ます術などはそうはない。

 

「大体・・名前も知らないのにいきなり親しげに話しかけるのもおかしいよ」

 

 

 さらに言えば自分たちの力でその現実が変えられるわけじゃない。だがもしもそれを現実にするために実行できる手があるとすれば二つ候補がある。

 一つはあのいけ好かない生徒会長に直訴して彼女も入部出来る新サッカー部の設立すること。二つ目はあの男子生徒を説得して彼女を入部させるように根回しすること。この二つの方法ならば現実味があるしやろうと思えばゴリ押しでなんとかなる。

 

 

「それはそうかもしれませんが・・・見て見ぬふりをするなんて」

 

 

「じゃあ逆に聞くけど・・・俺たちが動いて一体どんなメリットがあるの?ましてや俺達のファッション部だって存続の危機なんだよ?」

 

 

 だが拓哉からすればだがそもそもそんな事をする義理は何もない。そもそもファッション部の悪口を言った人物に対して助け舟を出すことも拓哉は嫌なようだ。そして何より優先順位が高いのは自分の部活の部員勧誘があることを言った。

 

 

「それなのに俺達のファッション部を【軟弱】呼ばわりした奴の事なんか・・・・っ?」

 

 

 つまりは他人に時間を割くよりも自分たちのことを優先するべきだと拓哉は言っているのだ。中学生にしてこう考えるのはドライで冷たいかもしれないが的を射ている。厄介事はゴメンだと言う拓哉の言い分をつぼみは黙って聞いているが・・・

 

 

「・・・・・」

 

 

 拓哉が全て言い終える前につぼみは立ち上がった。そして寝ている拓哉を見下ろして拓哉の顔を見た。拓哉はその彼女の顔を見て急にそれ以上は言葉が出せなくなる。

 

「それでも私は困っている人をそのままにしておくなんて出来ないんです。私も行ってきます!!」

 

 

 つぼみは一言そう言ってえりかに続いた。ひとり残されてしまった拓哉はふてくされるように一度寝転んで空を見た。

 

 

(花咲さん、君は一体どうしてそこまで他人のことに真剣になれるんだ?)」

 

 

 少しの間考え込んみながらも拓哉は身体を起こして二人の様子をコソコソと隠れながら伺った。

 

 

「あの娘、泣いてる?」

 

 

 つぼみとえりかが女子生徒と会話が終わると女子生徒の目には涙が浮かんでいてそれが太陽光に反射して光っているのが拓哉にも見えた。

 

「っ!!・・・まさか、次は彼女が?」

 

 

 拓哉のポケットに入っていたビーコマンダーの角が蒼く光る。それを見た拓哉は彼女の心の異変を察知し奴らが来る前に引きとめようと立ち上がる。

 だが拓哉が合流する前に涙を見せた彼女はそのまま走って行ってしまい学校からも姿を消してしまう。今の彼女の心の弱さに漬け込んだ悪魔の蠍の影が忍び寄っているとも知らずに・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 3人は下校しながらファッション部の部員増強をどうすればいいかを考えていた。そんな中で突然つぼみはえりかに頼みように頭を下げたかと思えば・・・・

 

 

「えりか、明日も部員集め手伝いますから、プリキュアになってください!!」

 

 

「それとこれとは違うでしょ?」

 

 

 まるで昨日のえりかのファッション部勧誘のようだ。というか彼女からすれば真剣に頼んでいるのだが・・・えりかからすれば正直微妙でデリケートな問題だ。

 

 

「・・・・・っ!?」

 

 

 えりかを必死に説得するつぼみ、そのつぼみの頼みを聞いて考え込んでいるえりか、そしてそれらを黙って見ている拓哉3人の前に悲鳴が聞こえてきた。何事だと思って見てみると其処には・・・

 

 

 

「何?あの大きなサッカーボールは」

 

 

 巨大なサッカーボールの姿をしたデザトリアンが近所の少年団のサッカーチームを襲い追いかけている光景に驚く3人。

 

 

「サソリーナの仕業ですぅ!!」

 

 

「大変ですっ!!心の花を取られたのは、さやかちゃんです!!」

 

 

「さやかさんの心の花を奪うなんて」

 

 

 コフレが持っている水晶の中に閉じ込められていたのはあのサッカー部に入部希望をしていたあの女子生徒の【上島さやか】であった。彼女が閉じ込められているその姿を見てつぼみは目付きが変わりココロパヒュームを取り出す。

 

 

「あの子を助けます。シプレ、プリキュアの種を!!」

 

 

「はいですぅ!!」

 

 

 つぼみはパヒュームを持ちながらシプレにプリキュアの種を召喚するように指示依頼する。シプレはそれにガッテン承知と腕を上げて了承するとつぼみのパフュームがピンク色に輝いた。

 

「プリキュアの種、いくですぅ!!!」

 

 

 

「プリキュア! オープン・マイ・ハート!!」

 

 

 シプレの胸にピンクの光が集まりひとつになるように収縮凝縮すると結晶に変化する。結晶となったプリキュアの種をつぼみが受け取りパヒュームにセットする。

 全身をピンク色の光に包まれつぼみはパヒュームの光を胸に浴びせて光を形成。そして上から下へとプリキュアコスチュームが形勢し身に纏われるた。最後に髪の毛が纏まりロングポニーテールになりココロパヒュームを腰に押し当てキャリーにしまいポーズを決めて大地の戦士キュアブロッサムの姿へと変身完了する。

 

「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!!!」

 

 

 手を花にたとえその花を開かせる仕草をしながら名乗り上げポーズを決めるブロッサム。その後ろで彼女の登場を見たえりかはコスチュームの可愛さに見とれてメロメロ状態となった。

 

「わぁああ!!!チョーキュート!!かわいい♪!!」

 

 

 

 やはりストライクゾーンのコスチュームはファッション家系の血が騒ぐのか大興奮のえりかは大はしゃぎだ。ブロッサムもその黄色い歓声は満更ではないようで笑顔を見せて飛び上がった。

 

 

「・・・・・」

 

 

 つぼみはデザトリアンと戦うことに、えりかは彼女の戦う姿に釘づけになりっていることを確認すると拓哉は2人に気がつかないように後ろに下がった。そしてコッソリと隠れるように息をひそめる。

 

 

「此処ならあの二人も気がつかないだろう」

 

 後ろは坂のようになっていて降りれば上から気がつかれない。周りを見て念入りに辺りを確認した後ズボンのポケットから銀色に煌くビーコマンダーを取り出してビーコマンダーを持った手を横に広げるポーズをとった。

 

 

「重甲!!」

 

 

 拓哉は変身コードを叫びながら腕をクロスさせてビーコマンダーの一番下の部分にある赤いスイッチを押す。

すると電子音のような音と共に黒い虫の羽根をイメージしたウィングが開きそのままビーコマンダーを空に掲げる。

中にある蒼い鎧騎士ブルービートの甲冑が小型縮小して収納されていてその甲冑が中で蒼く輝きを放つと彼の身体全身が包まれる。

 

「はぁっ!!」

 

 腕から胸に鎧が装着されていき最後に正面を向いた瞬間に拓哉の顔に蒼いカブトムシの仮面が付けられてポーズを決めると蒼い閃光が鎧から発生し変身が完了する。

 そして後ろから飛び上がってブロッサムの隣に着地する。

 

 

「わぁあっ!!・・・」

 

 

 後ろから現れたブルービートの姿を見てえりかの興奮はさらに高まった。某ヒーローショーでも見ているかのような気分だ。

 

 

「ブルービート、来てくれたんですね」

 

 

「・・・言ったはずだ。デザトリアンと砂漠の使徒がいる限り俺はいつでも現れると」

 

 

 歓喜の声を上げるブロッサムにそう言うブルービート。そして同時にデザトリアンの方に向き襲われているサッカー少年団のグループの救出へと同時に走った。

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