(でも短めです。)
NO SIDE
リナたち〈チーム・ナイトメア〉と魔戒騎士・秋月タカヤのホラー探索は2日目を迎えた。
ホラーは闇夜にしか現れない…と言うことで、それぞれに分かれて現場検証や聞き込みを行うことにした。
ユーノとすずかは一旦ミッドチルダの無限書庫に手掛かりを探しに戻り、ノーヴェとキャロはアリサに連れられ商店街に聞き込みに。
そしてリナとアメリア、タカヤは…
SIDE:リナ
「…本当にこの公園で間違いないのキリク?」
あたしたちはタカヤとキリクの案内で高台にある小さな公園を訪れていた。
あたしやアメリアもこの公園の存在は知ってたけど…?
「えぇ…。見た目の痕跡こそ消されてますが、間違いなくこの公園内でズィヌフィアは人を殺めそして…」
「喰らいやがった、ってわけだ。骨の一つ、血の一滴すら残さずに…な。」
公園内を一目視るなり断言するタカヤとキリク。
「…でも、タカヤさん達はどうしてそんな事が判るんですか?」
アメリアの疑問に答えたのはキリク。
「魔戒騎士や魔導具にはホラーや被害者の残留思念が見えるんだよ…まぁ、俺達にとっては基本だな。」
「ちなみにリナさんの後ろにいるんですけどね…」
びくぅっ?!
「な、何がよ…?!」
引きつった表情であたしが尋ねるとキリクが楽しそうな声で…
「決まってるだろ?ホラーに喰われた被害者の怨念だよ。…ん?もしかしてリッちゃんまさか…?」
それ以上言わないでっ?!
実はあたし、前世の頃からそーゆー幽霊話とか駄目だったりするのだ。
「あ~、そういやそうだったっけ。でもゴーストとかは平気なんでしょ?」
「ゴーストは呪文一発で吹き飛ばせるから問題ないけど…幽霊みたいに実体のはっきりしないのは苦手なのよっ?!」
何て言うか生理的に受け付けないって感じ。
「ほぅ…ちなみに犠牲者の怨念だけどよ…リッちゃんの後ろに立ってるぜ、怨めしそうに♪」
「楽しそうにいうなぁ~っ?!…いい加減にしないとL様に捻り潰して貰うわよ?」
「ひえっ?!それだけは勘弁してくれ~っ!…っていうか、L様の方がよっぽど怖くないか?!」
あたしの脅しにびびってるキリク。ふん、いい気味だわ。
「…どうやら犠牲者はホームレスの浮浪者だったようですね。たまたまこの公園で寝ていた所を襲われたみたいです。」
「それは不運でしたね…。この敵は必ずわたしたちがとりますから!」
お~、アメリアも気合い十分じゃん。
「それに、久々に思いっきりぶん殴れそうだし。」
…あんたの本音はそっちかい!…まぁアメリアの事だからそんなことだとは思ってたけど。
「…そういや昨夜もふつーにホラーどついてたよな、あの子?!リッちゃんやユンユンもそうだけどよ~、あんた等の前世の世界は化け物ばっかなのか?!」
化け物とは失礼ね~?そうはいってもあたしやアメリアぐらいだったら、それこそ掃いて捨てるくらいいるわよ?ま、ガウリイクラスの剣士はそうそう御目にはかかれないけどね。
「で?他に何か手掛かりは無かったのタカヤ?」
あたしの問にタカヤは渋い表情で応える。
「いえ…。この方は殺されてから時間が経ちすぎていて、あまり意志が残ってないんです。ただ…」
ただ、なんなのよ?
「どうやら、目的は復讐みたいですよ、リナさん。」
「ゼロス?!…復讐ってどーいうことよっ?!」
あたしに怒鳴られたゼロスは大袈裟にやれやれといったパフォーマンスをとり、代わりにタカヤが質問に応えてくれる。
「…今より遥かなる昔、この世が平安時代と呼ばれていた頃…僕の先祖である4代目魔戒騎士・秋月靜狼(あきつき・せろ)はこの地に召喚され、貴女の先祖である当代の逢魔家当主であった逢魔瑠那(あいま・るな)と共にズィヌフィアを封印する事に成功しました。しかしその封印は千年の時を封ずる事しか出来ずに…今回に至るわけです。」
なるへそ…ということはターゲットは秋月の末裔であるタカヤと逢魔の一族…?
「あとはそのとき力を貸してくれた妖狐・玉藻前(たまものまえ)と護鬼たちもだな。」
ふうん…あれ?
「ねぇキリク、その玉藻前ってあの伝奇物に出てくる玉藻御前の事?」
「なんだリッちゃん、知ってんのか?でもどうしてまた?」
あたしはキリクの質問には答えず、別行動しているアリサに通信を繋げる。
「どうしたのよリナ、なんかあった?」
「アリサ、あんたの相方の使い魔の名前はタマモだったよね?」
「「なっ?!」」
そう、アリサの相方を務める男性の使い魔の名前はタマモ。古の昔に伝わる伝説の妖狐・玉藻御前は転生を繰り返し今は使い魔としてアリサたちが経営する武禎事務所の助手を務めていたりするのだこれがまた。
「そんな…こっちの世界に来て色々あったけど、一番びっくりしましたよ?!」
まぁタカヤが驚くのも無理は無いとは思うけどね。あたしはタカヤから聞いた話をアリサに伝える。
「…うん、わかった。すぐに合流させる。翠屋で待ち合わせしましょ?」
そうね、タマモには当時の事聞いて見た方がいいかも。…それにしても、どんどん話が大袈裟になってる気がするんだけど。
「まぁまぁ、とりあえずタマモさんにお話しを聞くとしましょう。タカヤさんもそれで宜しいですね?」
ゼロスの言葉に頷くタカヤ。
こうしてあたしたちは翠屋に向かうことにした。…騒がしくなりそうね、はぁ…
SIDE:タカヤ
所は変わってここは再び翠屋。僕たちとアリサさんのグループは既に合流してタマモさんの到着待ちだ。
「…それにしても、玉藻前までいるとはな…この世界には驚かされるばかりだぜ?」
キリクがぼやくのも判る。それにしてもタマモさんは…?
カランカラン~♪
扉が開く音に振り向くと、入ってきたのは1人の少女。見た目はひと昔前の女子高生って感じ…ルーズソックスって久々に見た気がする。どうやらお客さん…
「あ、タマモ!こっちよこっち!」「…えっ、え~っ?!」
アリサさんに呼ばれた少女は笑顔を見せるとこっちに近寄ってくる。まさかこの少女が…タマモさん?
「紹介するわ。この子がタマモ、現代の玉藻御前よ。タマモ、この人たちが…」
「…あぁ、魔戒騎士…秋月の末裔だろ?少しアイツの…セロの面影があるからな。わたしはタマモ。あんたのご先祖様には世話になった…まぁよろしく。」
アリサに促されてぶっきらぼうに挨拶するタマモさん。
「びっくりしたでしょ、伝説の妖狐が女子高生って。」
「あぁ、まったくだ。だがこの凄まじいまでの妖力…玉藻前に間違いないぜ、こりゃ?」
キリクの言う通り、この人(?)が玉藻前…まさか逢えるとは思って無かったけどね。
「さ、聞かせて貰いましょ、ズィヌフィアとの事。」
僕たちが席に着くと、タマモさんは古の昔を思い出すように喋り始めた…。
リアルが忙しくなかなか進めなくて…次回はなるだけ早く投稿します。
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