待ってくれていた皆様、あとコラボ先の作者であるオウガ・Ω様、お待たせいたしました!
NO SIDE
海鳴市を突如包み込んだ闇の結界。緊急の事態に装備を展開したリナ達[チーム・ナイトメア]と魔戒騎士タカヤの前に立ちはだかったのは、倦族ホラー・ズィヌフの大群だった。
「…こりゃまた大層なお出迎えだこと。どうやらズィヌフィアはいないみたいね…?」
「いいえ、ズィヌフィアはおそらく…近くまで来ていますよ。ホラー特有の重い空気を感じます。」
リナの言葉に反応するタカヤ。その手には既に得物の魔戒剣斧・オウガが握られている。
「どうしますリナさん?コイツらだけなら良いですけど、親玉まで出てきたら…?」
心配そうに尋ねてくるノーヴェにリナは苦笑いを浮かべながら応える。
「愚問ねノーヴェ、みんな纏めてぶっ飛ばすに決まってるでしょ!アメリア、アリサ、キャロはこの辺りのズィヌフの殲滅をお願い。そんでもってあたしとタカヤ、ノーヴェはズィヌフィアを探しだして決着をつけるわ。ゼロスは…どうすんの?」
「僕はリナさん達のチームと合流しますよ。『写本』がからんでいるならそれは僕の管轄ですから。」
ゼロスはそう言うと、自らの本体とも言うべき黒い錐を具現化させ周囲のズィヌフを一掃していく。
「あ、ゼロスさんズルい~!アリサさん、キャロ!」
「うん…行くよ、フリード!」
「ギャオ!」
「こっちは任せなさいっての!」
それと同時にアメリアたちはズィヌフに向かって突貫し前方に道が開けた。
『…この反応は…居やがったぜ、ズィヌフィアだっ!』
キリクの声に視線を向けた先には、一際大きな体躯の鎧武者。その手には巨大な斬馬刀が握られている。
『…やっと来やがったか…千年前/この間の怨み、今こそ晴らさせてもらうぜ?秋月の騎士と逢魔リナっ!』
SIDE:リナ
ズィヌフの大群の先に待ち構えていたのは他とは明らかに違う甲冑の騎士…あいつがズィヌフィアねっ!
「…でも、おかしいですね…タカヤさんの事はともかく、リナさんの名前まで知っているのは。」
確かにゼロスのいう通り。タカヤの事は魔戒騎士特有のオーラでも感じたんだろうけど、あたしの事を名指ししたと言うことは…過去に面識のある人間?!
まぁ転生者はそれこそ星の数ほどぶっ飛ばしたからなぁ…
『ええぃ、なにゴチャゴチャ言ってやがる?!…まさか俺様の事を覚えてねぇとは言わせねえぜ!』
いや、覚えてないも何も…いや待てよ、この妙にイラッとする喋り方どこかで…あっ?!
「まさか…アンタは確かに4年前、跡形も無く消滅させたはずなのに…どんだけしつこいのよ?」
「リナさん、アイツの正体に心当たりがあるんですか?」
「多分ね…久しぶりね、山d…」
『その名前でよぶなぁぁっ?!』
あたしが本名で呼ぼうとするとズィヌフィアはそれを全力の大声で阻止する。
『黒歴史の名前で呼ぶんじゃねぇぇっ!今の俺は魔獣甲冑の王、ズィヌフィアだっ!』
黒歴史って…付けてくれた親が泣くわよ?
『そんな事はどうだっていいっ!俺が望むのは織斑一夏と逢魔リナ…お前ら2人に復讐する事だけなんだよぉぉっ!』
…で?
『へっ?』
「いや、あたしと一夏に復讐したとして、アンタその後はどうするつもり?どーやら人間捨てたみたいだけど、どーせ何も考えてないんでしょ?」
よくいるのだ、後先考えずに善からぬ事を企む輩が。
『…グウォ~、相も変わらず馬鹿にしやがって?!』
いや、馬鹿にされて当然だとおもふ…全然成長してないんでやんの。
「タカヤ、ノーヴェ…油断は禁物だけど、一気に片をつけるわよ!あたしが呪文で牽制するからあんたらは近接戦闘を仕掛けて…いいわね?」
「「はいっ!」」
あたしの指示に頷くと2人はズィヌフィア目掛けて突貫する。さ~て…
『喰らいなさい、[魔竜烈火咆・拡/ガーヴ・フレア・ブレイク]!』
あたしのカオス・ワーズに応えるように放たれた赤い魔力砲は突貫するタカヤ達の背後で無数の魔力弾に拡散、辺りのズィヌフを捲き込みつつズィヌフィアへと襲い掛かる。
『はっ?!そんなの効かな…なにっ?!』
ズィヌフィアは避けようともせず魔法障壁で受け止めた…つもりだったら甘いわよ!
あたしの魔力弾は奴の障壁を破壊し本体に命中、体勢を崩す事に成功する。
『ば、馬鹿な?!俺の障壁はその程度の呪文じゃ破れないはずなのに、何故っ?!』
うん、確かに竜破斬でもザナッファーの障壁は破れないんだから、魔竜烈火咆…しかも拡散型じゃ本来びくともしないはず。
でも、実はここ最近この呪文の威力が目に見えて上がってきてる…ちょうどキャロとフリードが家族になった頃ぐらいかな?
(これってやっぱり…フリードがアイツの転生体ってのが一番しっくりくるわね。)
これは今度ちゃんと確認しておく必要ありよね。まぁそれは後の話っ!
「タカヤ、ノーヴェ、後は頼んだわよっ!」
あたしは突貫する2人に檄を飛ばしつつ、次の呪文の詠唱を始めた。
SIDE:タカヤ
ズィヌフィアに斬り込む僕達の後ろから放たれたリナさんの拡散弾は魔法障壁を容易く破り奴に命中!ダメージこそほとんど無いみたいだけど、予想外の状況に動揺を隠せてない様子だ。
『…すげえなリッちゃん…ズィヌフィアの防御力にはセロですらてこずったのに。』
「でもチャンスですよタカヤお兄ちゃん!一気に決めちゃいましょう!!」
ノーヴェはエアライナーで間合いを詰め魔力をブラストエッジに充填、デバイスの足首についたギアが唸りを上げる。
「いっけ~、リボルバー・スパイク!!」
ドガーン!
『ぐぼぅっ?!』
ノーヴェの放った蹴りはズィヌフィアのボディにめり込み、苦悶の声をあげさせる。
『やるなぁ、ノーヴェ嬢ちゃん…魔力が通じないなら直接、って事か。』
それでもズィヌフィアはノーヴェの蹴り足を掴むと、そのまま…
『お返しだ、ぶっとびやがれっ!』
「えっ…きゃあぁぁぁっ?!」
「…危ない、ノーヴェっ?!」
地面に投げつけられたノーヴェは咄嗟にエアライナーを展開させ、そこを滑るように体勢を立て直す。
「大丈夫、ノーヴェ?」「はいっ!」
ぼくは剣を空に掲げ…
「いくよキリク、一気に決める!」
掲げた剣で円を描く。そこから放たれた光に包まれ、僕の身体に魔戒騎士の鎧が纏われていく。
「…魔戒騎士・惶牙(オウガ)、ここに降臨!…お前の陰牙、ここで断ち切る!」
「タカヤお兄ちゃん、カッコいい…♪」
金色に輝く鎧はホラーにとっては死神に値する。ズィヌフィアも本能的に萎縮している感じだ。
『さぁ時間が勿体ねぇ、さっさと…はぁ?』
どうしたのキリク?
『おかしいもなにも…どうして?』
キリクの動揺ぶりが皮膚越しに伝わってくる…一体何が?
『…これ、魔導刻を見てみろよタカヤ。』
魔導刻は僕達魔戒騎士が変身していられる時間を表示したものだ。通常は99.9秒しかないからこんな事してる場合じゃ…はいっ?!
そこに記されていたのは…
[∞(笑)]
ち、ちょっと待って?何時もの時間ですら変身には多大な魔力を消費するのに、無限大って…?
「あ~多分それ…あんたの仕業なんでしょ?L様。」
「『なっ?!』」
リナさんの言葉に絶句する僕とキリク。
『やっぱりバレるか。ま、たまにはいいんじゃないの。(やな予感がするとは言えないし。)』
何だろ、後半言葉を濁された気がするんだけど。
それでも時間を気にしなくていいのなら、落ち着いて戦える…いくぞ、ズィヌフィア!
「わたしもまだまだっ!」
「無理すんじゃ無いわよノーヴェ!タカヤ、ここで決着つけるわよ…いいわね?」
「はいっ!」
『嘗めやがって…てめえら纏めて捻り潰してやる、覚悟しやがれ!』
それはこっちの台詞だ、千年に渡る禍…ここで断つ!
NO SIDE
…こうしてチーム・ナイトメアとタカヤ、そしてズィヌフィアの戦いが本格化した頃、少し離れたビルの上から眺める3人の人影があった。
1人は学生服に身を包んだ、一見平凡そうな少年…球磨川禊。そして…
「…じゃあそろそろ動こうか…ドクター、ヨミ?」
「そうしましょうかミソギ…彼女たちが僕達のまいた餌に引っ掛かってくれればいいのですがね?」
ドクターと呼ばれたのは眼鏡を掛けたインテリそうな青年。白衣を纏ったその姿はまさしく医者か科学者を思わせる。
「…はともかく、ユーノとかいう子はまだ帰ってないんでしょ?…帰ってくるまでもつの、あの馬鹿?」
もう1人…ヨミと呼ばれた少女は長い黒髪に古風なセーラー服という出で立ち。その腰には不釣り合いな日本刀を携えている。
「まぁ大丈夫なんじゃないかな?一応切り札も渡しておいたし、僕達は今回は顔見せだからね。アイツがどうなろうが知った事じゃないから、うん。」
「ふーん。ま、私は私でやりたいようにやるだけだしー。」
「まぁもう少し高みの見物といこうよ。共倒れしてくれたら楽だしさ…多分無理だけど。」
禊は他人事のように呟くと、リナ達が戦う空に視線を戻す。
そう、とうとう動き出したのだ…冥王フィブリゾの尖兵「異端者/イレギュラー」が。
まさか2ヶ月もかかるとは…スランプとは恐ろしか。(汗)
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