完結目指して頑張ります!
NO SIDE
遂に始まったチーム・ナイトメアと魔獣甲冑ズィヌフィアの闘い。その頃、ユーノとすずかの2人はミッドチルダからようやく海鳴へと帰還、リナたちに合流しようとしていた。
SIDE:ユーノ
バシュンッ!
僕とすずかが転送されたのは、夜の帳のように海鳴全体を包み込む漆黒の結界の前だった。
『…ユーノさん、すずかさん。その結界のせいで直接転送は無理みたいです。ごめんなさい!』
「仕方ないよシャーリー。なのはやフェイトたちも緊急任務で大変だろうから。大丈夫、この位の結界だったら突破できるよ。そっちも無理せず頑張ってね!」
『ありがとうございます…では御武運を!』
シャーリーからの通信が切れ、僕は隣のすずかの顔を見る。
「さてと…ゴルンノヴァの力を解放すればこんな結界楽勝…」
「待ってユーノ君!この結界だったらわたしに任せてくれる?」
すずか?
「この結界って平安時代の陰陽道を利用した物…だったら、『怪異』の類いだからわたしの力で!」
すずかはそういうと、指に嵌めたデバイス・スノーホワイトに魔力を込め1本の日本刀を具現化する。その刀って…まさか、「怪異殺しの妖刀」?!
「あれ、ユーノ君は見るの初めてだった?」
「うん…なのはやリナ姉さんから話は聞いてたけど…噂以上の妖気だ。」
確かすずかが高校時代に知り合った吸血鬼の女性から譲り受けた物で、『怪異』と呼ばれる存在に対して驚異的な力を発揮する代物…このタイミングでお目にかかるとはね。
「…わたしは元々夜の一族の末裔なんだけど、元の持ち主を無力化するために彼女の『怪異』を吸収した…と言うより、食べちゃったんだ。」
えっ?!
「その影響で、その子は不死の力を除けば…わたしが能力を返さない限りは普通の女の子。今は暦さん…わたしの高校時代の先輩と一緒にとある街で暮らしてるの。」
そんな事が…アリサといい、君たちも色々な体験してきたんだね。
「うん、だからここはわたしに任せて!…消し飛べ、邪なる結界よ!」
すずかが振り下ろした刀はまるで絹を切り裂くようにあっさりと結界を消滅させた。
「はは…退魔剣士形無しだね、これじゃ。」
「ふふ…さぁ、早くリナちゃんたちを助けに…」
「ざーんねーん、ここから先にはいかせないよー。」
えっ?今の声どこから…?
「ユーノ君上だよっ!」
すずかの声に空を見上げるとそこには日本刀を右手に携えセーラー服姿の長髪の少女がこちらを睨んでいた。
見た目年齢は同じくらいだけど、大人びた印象を受ける。
「あの、君は一体…ここはとても危ないから早く逃げたほうが…」
ぼくがそう語りかけるとその少女は不敵な笑みを浮かべる。
「知ってるー。だって…」
次の瞬間、少女は一気に距離を詰め襲い掛かってきた。…は、速い?!
僕はゴルンノヴァを展開させてかろうじて少女の剣戟を受け止める。
「…わたしたちがこの事件の黒幕だからねー、逢魔・S・
ユーノ、月村すずか!」
僕達の名前を知っているだって?僕はつばぜり合いから一旦距離を置き構え直す。
「ユーノ君、大丈夫?」
「僕は問題無いよ。それより…この人、強い。」
さっきの剣戟、受け止めるのがやっとだった。強さだけだったら父さんやアインスには及ばないかも知れないけど…
「はは、最初の一太刀で殺せなかったなんて久し振りだよ…さすがあの逢魔神威が後継ぎに選んだだけの事はあるよねー?」
?!
義父さんを知っているだって?
「…あ、自己紹介してなかったっけ。わたしの名前はヨミ。冥王フィブリゾ様の直属部隊[異端者/イレギュラー]の一員で[復讐者/アヴェンジャー]を拝命しているわ。ま、ここで死ぬあんたたちに教えても仕方ないんだけどさー、一応ね?」
「冥王フィブリゾだって?!それじゃあの転生者をよみがえらせたのも…?!」
「あ、それはわたしたちのリーダーの仕業。ちょっと…というか立派な変態だけど能力は認めるわ。それよりお二人さん、あんたたちにはここで私と遊んで貰うわよ。」
ヨミと名乗った少女は再び刀を構える。一見、適当に見えるけど全く隙が見えない。やはりこの人…強い!
「ユーノ君、どうする?」
「…リナには悪いけど、簡単には突破できそうにないね。僕が前衛で当たるからすずか、援護を頼むよ。」
僕はそう言うとゴルンノヴァをフルドライブさせ、居合の構えを取る。
「わかった、全力でサポートするよ。いくよ、スノーホワイト!」
『よろしくてよ、すずか!』
すずかは妖刀を引っ込め、スノーホワイトをロッドモードに展開する。
「ヨミ、貴女には聞きたい事もある。…逢魔流師範代、逢魔・S・ユーノ、推して参るっ!」
「面白い…あの人が選んだ後継者、精々楽しませて貰うわよ!」
こうしてユーノとすずかが謎の剣士・ヨミと相対してる頃、結界の中でも死闘…
「えーいっ、リボルバー・スパイク!」
バゴッ!
「ぐぼっ?!…えぇい、まだまだぁっ?!」
「ならばっ!」
ザシュッ!
「ぬぅおーっ?!…ば、な…最強のはずのこの俺が…?」
…ではなく一方的になっていた。
SIDE:リナ
………
「…ねぇ、L様?」
『なーにぃ、リナ?』
あたしは目の前に繰り広げられる茶番劇を見ながら自分のデバイスに話しかけた。
「…あいつ、本当に何しに出てきたのよ。」
あいつというのは勿論〈魔獣甲冑ズィヌフィア〉こと山田の権兵衛。いかにもラスボスでございーって出てきたのはいいけど、タカヤとノーヴェの2人に手も足も出ないんでやんの。
「あれだったら学院祭の時の方が厄介だった気がするんだけど。」
『まぁシリーズ追う毎にボスが弱くなるのがこの作品の伝統だからねぇ…』
…よし、捨ててしまえそんな伝統。あとメタな発言もやめろ。
「ひ、ひえぇっ?!」
そうこうしてるうちに、ズィヌフィアの再生スピードが落ちてきた。
あれだけいた眷属ホラーもかなり少なくなったし、こりゃあたしたちは出番無し…ん?
「観念するんだな、ズィヌフィア!」
「…こ、こうなったら…?!」
…最期の悪あがきなのか、ズィヌフィアは甲冑の懐から赤い宝石を取り出し…
「このままじゃ終われねぇんだよっ!」
ズィヌフィアが石を握りつぶすと、禍々しい魔力光が甲冑を赤く染め上げていく。これは…マズイ!
「がっはぁ!これだ、これだよ!俺が求めてたのはよぉ!」
「な、何だ?」「これっていったい…」
ズィヌフィアの突然の変貌にタカヤとノーヴェも驚きの色を隠せない。
「2人とも気をつけて!今のは…」
「えぇ、恐らく冥王フィブリゾの呪符(タリスマン)…リナさんの体内に眠るリンカーコアには及びませんが、かなりの魔力を秘めてるでしょうね。…もっとも制御できれば、の話ですが。」
ゼロス…いつの間に?それに今の話…
「がっ?!…グゥゥオゥ…あ、アイツラ、オレヲダマシ…うワァァァ?!」
ズィヌフィアを纏った魔力はみるみるうちにその姿を変えていく。その姿は…
「お、鬼?」
そう、そこに現れたのは途轍もなく巨大な身体に2つの面、4本の腕を持つ異形の鬼だった。
『お、おい嘘だろ?なんでアイツが…?』
「知ってるのキリク?」
あたしが尋ねると替わりに答えたのはタカヤ。
「えぇ、アイツの名前はリョウメンスクナノカミ…古の昔から伝えられる大鬼神です。」
…!
えぇい、なんでこんな面倒な?!でも…あたし達ならやれる!
今度こそ止めをさしてあげるから、覚悟しなさい!
待っててくれた人お待たせしました。
まだスランプから抜けたとは思えないけど、少しずつ進みます。
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