SIDE:リナ
まったく…フェイトが覇王雷撃陣[ダイナスト・ブラス]なんて使うから、誰がそんな余計な事したのよ?っておもってたんだけど…あんただったら納得だわ。
『ナ、ナーガって誰の事かしら?!わたしはプレシア・テスタロッサ。そういう貴女こそ…って…嘘でしょ…』
プレシアを名乗った女性はそっぽを向いて誤魔化してるけど、その顔には一筋の冷や汗…間違いなくナーガだし、あたしが誰かもわかったみたいね。
『その傍若無人な態度といい、見境なしの竜破斬[ドラグ・スレイブ]といい…』
待てや、おい…
『何よりその膨らみを感じないその胸!間違いないわ貴女、リナ・インバースね!』
あんたの判断材料はそこか~?!
「久しぶりね、ナーガ…最後に別れてからどれくらいになるかしらね…」
『えっ?貴女に最後に会ったのは…1年前ぐらい?』
「そんなわけあるか!!あたしが転生してから9年、あんたの影も形もみてないわ!!」
ナーガの気配なんて感じたらすぐにわかるはずだもの…
『だって、貴女と最後に別れてすぐ、とある迷宮に物凄い御宝があるって聞いて、わたし1人で侵入したら通路に点々と金貨が落ちてたから…』
…で?
『それを拾いながら先へ進んだら、気付かないうちに不思議な宝珠に触ったらしくてあっという間に吸い込まれて、気が付いたのが1年前にこの体の持ち主、プレシア・テスタロッサに拾われた時ね。』
な~る、理屈はあってるわ。ゼルと状況は似た感じだけど、かたや元の身体を取り戻す為、かたや目先の金貨に目が眩んで…。
「ナーガ、あんたやっぱり器小さいわ…。」
『なっ?!貴女よりはましよ、リナ・インバース!!』
ナーガはあたしの胸に視線を向けて言葉を返す。
「…そこを見るな!!…で、あんたはその身体とフェイトたちを使って何をしようっての?!」
『おほほ、これを見なさい!!』
ナーガが身体をかわすとその後ろにあったのは…
「えっ、あれは…」「フェイト…ちゃん、なの?」
それは、カプセルの中に死んだように眠るフェイトそっくりの少女だった。
「…えっ?!なんでフェイトが2人いるんだ?」
「わ、わたしが聞きたいよアルフ。どういうことなの、母さ…ナーガさん!」
フェイトの問いに笑みを浮かべると、ナーガは自慢げに説明する。
『ほーほっほっほっほっ、この娘はアリシア・テスタロッサ。プレシア・テスタロッサの実の1人娘よ!』
えっ、今なんて…なんかとんでもない事実を聞いたような…
「嘘だ!母さんの娘はわたし1人だけ…
アリシアな…、んて…?!」
そう言ったフェイトの顔色は血の気を失っていた。まるで何かを思い出したみたいに…。
『あら、プレシアが施した記憶操作が解けたみたいね?そうよフェイト、あなたは
アリシアと呼ばれていた記憶があるわ。
でも今の今まで忘れていた…。
それは…フェイト、貴女がアリシア・テスタロッサの出来損ないのコピーだからよ!!』
「?!」
ナーガがふんぞり返ってフェイトを指差しそう告げると、フェイトは気を失って墜落していく。
「フェイトー?!」
アルフが慌てて追っかけて、なんとかキャッチしたみたいだから一安心ね。
で、フェイトが[出来損ないのコピー]?
「ナーガあんた、あたしやなのはの友達を出来損ないっていい度胸じゃない?!
一体あんた何様よ?!」
『…ナーガ様?』
うがぁぁぁこいつはぁぁぁ!!
『…まぁいいわ。今のわたしはデバイスの力で、心の弱ってるプレシアの身体を支配してるだけ…でもジュエルシードの力を
使ってアリシアの身体を蘇生させ、そこにわたしの魂を移せばわたしは完全に蘇るのよ!』
…なっ?!あんた、なんて大それた事を…変態だとは思ってたけど、まさかそこまで外道だとはね…[白蛇のナーガ]も堕ちたもんだわ!
その時あたしの後ろから物凄い魔力を感じて振り返ると…。
「許せない…フェイトちゃんの気持ちを
踏みにじったのも、プレシアさんだけじゃなく、アリシアちゃんの身体まで…
絶対に許さないの!!」
あ~あ、なのはがキレちゃった。
「ナーガ、今からそっちに行くから首とジュエルシード洗って待ってなさい!
全てのジュエルシードかけて最終決戦よ、覚悟なさい!」
あたしはナーガの方を指差し、宣戦布告!
『ほーほっほっほっほっ、望むところよ
リナ!前世からの腐れ縁、ここでたちきってやるわ!いつでもかかってらっしゃい!ほーほっほっほっほっ…』
ナーガは言いたい放題言うと、高笑いしながらフェードアウトしていった。
「なのは、それにみんな!これからあの
馬鹿女退治しにいくから、力を貸して!」「もちろんだよ、リナちゃん!」
「あの高笑い、鬱陶しいのよ!わたしが
跡形なく燃やしてやるわ!」
「じゃあ、わたしはかちこちに凍らせて
あげる…」
「ヌクヌクもがんばる~!」
「僕もがんばるよ、なのは。」
ありがとう、みんな。あ、それとクロノ、悪いんだけど…
「わかってる。ジュエルシードは全て君達に託すよ。それと僕も同行するがいいかな?」
「僕もいくよ。攻撃は苦手でも守備には
自信があるから…。」
クロノ、ユーノ…。
「わたしも行くよ!あの鬼ばばあも嫌いだったけど、あのナーガってやつは最低だ!…あいつは此所とは別次元の[時の庭園]にいるよ。そこまでの道案内はまかせな!」『フェイトさんはアースラで保護するわ。みんなは思う存分やってちょうだい!』
アルフにリンディさん…
ナーガ、あんたは絶対に許さない!
あんたとは長い付き合いだったけど、ケチョンケチョンにしてあげるわ。おとなしく待ってなさい!
SIDE:プレシア(心の声)
ん…ここは…そうか、私はデバイスの意思に身体を支配されて今まで眠ってたのね…
だけどそのおかげで病んでいた心はだいぶ癒されて、まともな感情を取り戻すことができたわ。
そして、わたしの目を通して伝えられた、悲しい現実…フェイトに自分がアリシアのクローンだと知られてしまった…それも、私(ナーガ)の口から!あの子はショックの余り気を失ってしまった…。
今思い返してみれば、フェイトには何の罪もない…。
確かにアリシアとは利き腕も、しゃべり口調も、そして魔法適正も違ったけれど、そもそもあの子はアリシアじゃない、フェイト・テスタロッサという1人の人間なんだ…
昔、アリシアが私にしたおねだり…
『わたし、妹がほしい!だったらお留守番も淋しくないもん!!』
だけど、シングルマザーだった私には無理な相談だった…。でも今なら言える、この子が貴女の妹、フェイトよって…。
そして今、アリシアは目覚める事なく、身体は得体の知れないデバイスに奪われて、フェイトの心を傷つけて…自業自得とはいっても、ね…。
でも、希望も見つけたわ。フェイトの事を友達と呼んでくれる女の子達…。
特にリナとなのはっていう2人は、私に
匹敵するぐらいの実力者ね。彼女達なら
この悪夢を打ち破って、わたしやフェイトを助けてくれるかもしれないわね。
リナ、なのは、そしてフェイト…
どうかナーガの支配から私を助けて…
いよいよ、リナ&なのはVsナーガ様のバトル開始!アリサ・すずかも頑張ります!
次回「二十一、大激突 時の庭園 大丈夫?」
それでは次回も…
「リリカル、マジカル、頑張って、みんな…」
(BY気絶中のフェイトさん)