魔法少女リリカルすれいや~ず!   作:タカヒロオー

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今回前後編になります。


五十一、いざ行かん 激闘の待つ 海鳴へ(前編)

SIDE:リナ

 

シャブラニグドゥ・ナハトによって夢の世界に閉じ込められたあたしを待っていたのはあたしの記憶から産み出されたガウリイ。彼の導きによってユーノが助けに来てくれたのはいいんだけど…

 

「ごめんユーノ、もっかい言ってみて。」

 

まだ寝ぼけてんのかなあたし…なんか幻聴がきこえた気がしたんだけど…

 

「うん、僕の前世は君のパートナーだったガウリイさんで…」

 

「いや、そのあと。」

 

「…君が好きだって言ったんだよリナ、姉や友達じゃなく1人の異性として。」

 

あ、やっぱり…って何なのよこの展開。

 

ユーノの前世はガウリイ、ってだけで超展開なのにさらに愛の告白?!

 

「…僕にはガウリイさんの記憶は全く無い。…けどリナ、君が僕にとって大切な人だって事は解るんだ。だから…この戦いが終わったら僕の彼女になってほしいんだ!」

 

…まったく…あんたホントにガウリイの生まれ代わりなの?…直球すぎるわよ言い方が。でも悪い気はしない、むしろ…嬉しいかも。

 

「…しっかたないわね、解った、あんたと付き合ってあげるわ…し、仕方なくだからね?!」

 

…言っててなんだけどツンデレまっしぐらよね、これ…

 

「よかったなリナ。…これで俺も安心して逝ける…」

そういうガウリイの身体が透け始めた…えっ、ガウリイどうなってるの?

 

「…元々俺はお前の残留思念から産み出された幻影だ。お前に新たなパートナーが産まれた以上、俺の出番は終わりだ。」

 

「そっか…それじゃここでお別れだねガウリイ。でも…また逢えて嬉しかったよ。」

 

あたしとガウリイは拳を突きだしグータッチ。そして…

 

「それじゃリナを頼んだぞユーノ、必ずリナを護ってやってくれ!」

 

「もちろんだよガウリイさん…僕はリナを護り、そしてリナと共に生きる!!」

 

ユーノもガウリイと拳を合わせる。

 

「いい返事だ。…そろそろ時間だ。お前たちの行く道はこの亀裂の先だ、さぁ行くんだ…それじゃぁまたな、リナ…。」

そういうとガウリイの姿は消えていった。

 

「バイバイ、ガウリイ…またね。…さぁて行くわよユーノ!多分この先にはやてたちも捕らえられてるはずよ。」

 

あたしの言葉にユーノは頷く。

 

「解ったよリナ。何があっても君は僕が護る!」

 

そしてあたしたちは空間に現れた亀裂に飛び込む。するとそこには漆黒に塗りつぶされた世界。そして…魔王の赤い結界の中で眠り続けるはやてと、必死に破壊しようと抵抗するクロハネだった。

 

『…穿て、ブラッディダガー!』

 

クロハネの放った射撃魔法は全弾命中、しかし結界には傷ひとつ付かない。

 

『くっ、ならば…貫け、クラウソラス!!』

続けざまに放つも吸収されてしまう。…駄目だ、闇雲に攻撃しても魔力を消耗するだけ!

 

「クロハネ!」

 

あたしが声をかけるとクロハネは攻撃の手をやめ、こちらを振り返る。

 

『リナ、ユーノ?!…君たちもナハトに吸収されたのか…』

 

「クロハネ、はやては無事なの?」

 

『あぁ、眠っておられるだけだ、命に別状はない。だが我が魔力を持ってしてもこの結界が…くそっ!』

 

…冷静さを欠いちゃダメよクロハネ。必ず方法はあるはず…

 

あたしたちは結界の奥で眠り続けるはやてを見上げる。

 

『ふ~ん、なるほど…リナ、あの結界は魔王シャブラニグドゥの力が変異した特殊なやつだね。』

「L様?…それで、破壊は可能なの?!」

 

突然声をかけてきたL様にあたしは聞き返した。

 

『破壊はできるけど…ほら、あれを見て。結界の端に目玉みたいなのあるでしょ?』

 

言われてみると結界の端に3つの目玉があり、結界はそこから発生しているようにみえる。

 

『…あたしの見たところだと、結界を破壊しようと思ったらあの目玉を3つ同時に、しかも強力な斬撃でぶった斬るしかないみたいだよ。』

 

強力な斬撃…あたしには神滅斬[ラグナ・ブレード]があるし、ユーノはゴルンノヴァを使って居合を打ち込めば…クロハネ、あんた斬撃魔法は?!

 

『心配は無用だ。私は騎士の力をすべて使えるから…ふんっ!!』

クロハネが右手に力を籠めると、手の中に具現化したのは…黒いレヴァンティン。

 

『こいつで将の真似事でも撃ち込んでやるさ。威力だけならひけはとらん筈だ。』

 

…OK。それならさっそく…あたしはリンカーコアをブーストさせると詠唱を始める。…と同時にユーノとクロハネもそれぞれの剣を鞘に納め、魔力を充填していく。

 

『悪夢の王の一片(ひとかけ)よ 世界(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん… 神々の魂すらも打ち砕き!!』

 

いくわよ、ユーノ、クロハネ!

 

「いくぞ、極天一刀・真雲切!」

「喰らえ、黒天一閃!!」

 

「神滅…斬[ラグナ・ブレード]!!」

 

あたしたちの放った斬撃は全く同時に3つの目玉を切り裂き、結界を消滅させた!

 

『我が主?!我が主~っ?!』

 

空から気を失ったまま落ちてきたはやてをクロハネは飛び込んでキャッチした。…はやては大丈夫なの、クロハネ?!

 

『…大丈夫、気を失っているだけのようだ。…ありがとうリナ、ユーノ、それにL様。主はやてを助けられたのは君たちのおかげだ…』

 

「いいっていいって。友達を助けるのは当然の事でしょ?それよりはやてを起こして早くここから…」

 

ドガァーン!!

その時大きな衝撃と共に辺りが地震のように揺れた。

 

『…どうやら外の戦いも激しくなってきたようだな。』

 

…なのは…もう少し待ってて、すぐに助けに行くから!!

 

NO SIDE

 

クロハネの予感通り、夜天の書の外部ではあちこちで文字通りの熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

海鳴公園の上空では覇王将軍シエラとテスタロッサ一家が、海鳴中央病院近辺では覇王グラウシェラーとアメリア、アリサ、すずかが対峙していた。

 

そして一番激戦なのが魔王管制騎、シャブラニグドゥ・ナハトとなのは(+使い魔´S)の戦いだった。

 

パートナーのリナが夜天の書に吸収され孤軍奮闘となったなのはだったが、持ち前の戦術眼と使い魔たちの奮闘もあり押されながらも戦線を維持していた…。

SIDE:なのは

 

「ディバイーン…バスタァー!」

 

わたしの砲撃をナハトさんは詠唱をせず張ったバリアで受け止めるとそのまま直進、弾幕を張った…あれはフェイトちゃんのフォトンランサー?でも色が赭いということは…!?

 

「ヌクヌク、くおん、あの弾は全部避けて!多分あれは…」

 

「喰らうがいい、赭光槍[ブラッド・ランサー]!」

 

…やっぱりシャブラニグドゥの力…それでもベースが分かってれば!

 

わたしだけでなく、ヌクヌクとくおんも被弾することなく回避に成功すると反撃開始する。

 

くおんは火の玉を展開して投げつけるけど全然効いてないみたい。…あれ、ヌクヌクはどこに…

「ん~、黒妖陣[ブラスト・アッシュ]!」

 

どこからか声がしたかと思うとナハトさんは黒い霧に包まれた。でも…

 

「効かないと言ってるだろう?…そこだ!」

 

ナハトさんは霧を何事も無かったように振り払い、近くの建物に魔力弾を撃ち込む。そこに隠れていたのはヌクヌク。

 

作戦は良かったんだけど…いかんせん魔力量の差が大きすぎる。

 

「ヌクヌクとくおんは逃げ回って牽制をお願い、ナハトさんはわたしが止める!」

 

わたしの言葉を聞いてナハトさんは苦笑いしながら…

 

「わたしを止めるだと…あのリナという少女もいない今、馬鹿の一つ覚えみたいな砲撃が通ると…「通す!!」…何?!」

 

わたしはレイジングハートを正面に構え、足元に魔方陣を展開させた。

 

『レイジングハート・オリヴィアナ、フルドライブ!…カートリッジロード、…いくよ、レイジングハート!!』

 

『了解です、なのは。』

 

さらにカートリッジを2つ使用して魔力を充填していく。

 

すると杖の先から槍のような魔力光が具現化し、その余波が淡い桃色の翼となって纏われる。

 

「…これは…?!」

 

「…レイジングハートが…ううん、リナちゃんやフェイトちゃん、みんなが力を貸してくれてる!…泣いてる貴女を助けてあげてって!!」

 

チャージはOK、いくよ、わたしの秘密兵器その1!

『エクセリオンバスターA.C.S.…ドライブ・イグニッション!!』

 

わたしは術を発動させると、最大加速でナハトさんに突貫する。ナハトさんも何かを感じたのか動きを止めシールドを張って迎撃体勢だ。

 

ズッカーン!

 

わたしは槍のようにレイジングハートの刃先をシールドに突き刺す。でもナハトさんの防御は抜けない…それなら!

 

「レイジングハート、カートリッジフルロード!!」

 

わたしの声に答えるようにカートリッジが4連発で充填、刃先と翼が大きくなる。まだまだいくよ!

 

『レイジングハート…ううん、白輝の聖王オリヴィアナ、力を貸して!聖光突貫槍[セイクリッド・スピアー]!』

 

さらにレイジングハートを解放して白輝の聖王の力を上乗せ、さらに加速する!

 

「…なっ、これは…」

 

「…お願い、届いて!」

 

バリアに止められていた刃先はじわじわとバリアの内側に食い込み、遂に貫通した…今だ!

 

「ブレイク…シュートッ!!」

 

わたしはバリアの内側にいるナハトさんめがけて全力のバスターを発射した。辺りは爆煙に包まれ、わたしも至近距離射撃の反動でダメージを受けてしまう。

 

(はぁ、はぁ…バリアを貫通させた状態でのバスター直撃、これでダメなら…)

 

『なのは?!』

 

…大丈夫だよレイジングハート。わたしは折れないから…絶対に!

「見事だ、人間の娘よ。…私に少なからずダメージを与えるとはな…」

 

爆煙の落ち着いたその先にはナハトさん。その左手はバスターの直撃でズタズタになっている…自分でやっておいてなんだけど。

 

「しかし、まだ足りん…ふんっ!」

 

ナハトさんは自分の左腕を切り落とすと、すぐさま再生させた…え~~っ?!

 

「…レイジングハート、もうちょっと頑張らないと…だね!」

 

『…それでこそなのはです!』

 

わたしはレイジングハートを構え直した。わたしが絶対に助けて見せる、そのため手にした撃ち抜く魔法なの!

 

SIDE:アメリア

うっわ~、シャブラニグドゥってあんなに強いの?なのはちゃんのバスターも凄いけど、それ受けてほぼノーダメージなんて…

 

じつはわたし、シャブラニグドゥとは対戦してないからなぁ…ゼルガディスさんは戦ったことあるんですよね?

 

「あぁ。あの時はレゾの意志が残っていたのとリナのギガ・スレイブのおかげで勝つ事ができた。今回のやつはバグだという事らしいが…」

 

それでも魔王相手に単騎戦うなんて憧れます!確かに覇王グラウシェラーは強いし、操られた借りもあるからとりあえずぶっ飛ばすけど。

 

「ゼルガディスさん、アリサちゃん、すずかちゃん!…はやくこんな小者倒してなのはちゃんを助けるわよ!」

「「「了解!!!」」」

 

吸収されたリナも心配だけど多分大丈夫!そう信じながらわたしたちはグラウシェラーとの戦闘を再開した。

 

一方その頃、海鳴の海浜公園上空の戦いがあれほど一方的な戦いになろうとは…だれも思わなかった…

 

 




予告通りいよいよ各地でフルボッコです。…最初の犠牲者は…シエラだ!(笑)

それでは次回「五十二、いざ行かん 激闘の待つ 海鳴へ(後編)」

次回も見てくんないと…

「ほ~ほっほっほっほっほっ!いよいよわたしの…」

「…出番はないわよ?」

(BYナーガ&プレシア)

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