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NO SIDE
初めて迎えるSt.ヒルデの学院祭にリナやなのはたちは、はやてプロデュースのコスプレ喫茶〈MIDORI‐YA〉をする事に。準備も着々と進むなか、学院内では妙な噂が…?
SIDE:リナ
「…幽霊?」
「うん…なんか出るんだって。」
学院祭を間近に控えたある日、クラスメイトたちの間で流れていたのは夜中の校舎に現れる幽霊?の噂。
「…なんでも、夜な夜な現れては模擬店で準備している食べ物や飲み物を荒らしてるって…」
「…やだ、怖い~っ?!」
んっ?…ちょっと待って…?
「あのさぁ…それって幽霊なんかじゃなくて、ただの食材荒らしじゃないの?」
「…え、えっ?…そーなのかっ?!」
あたしの言葉にさっきまで耳を塞いで聞かない振りしてたヴィータが反応する。…この子、自分も魔法的な存在のくせして幽霊とか苦手なのよね~。
「よく考えてみて。そもそも幽霊はご飯なんて食べないわよ?」
「あっ…!」
ヴィータはあまりにも単純な答えに顔を赤らめ…
「…そうと解りゃ怖くねーっ!…でもどうすんだ?」
う~ん…うちのクラスは今のところ被害は無いけど…はやて、どうする?
「そやなぁ…まぁそんな迷惑な輩がおったら皆もおちおち準備できひんしなぁ。…しゃあない、わたしらで幽霊退治といこか?」
…ま、それが順当なとこね。…で、幽霊に関する情報は?
「なんでも青色のツインテールの女の子で、見つかったら超スピードで逃げてくらしいよ?」
「一昨日の晩は2年生の模擬店のカレーが寸胴ごと食べられたって?!」
「なんか大きな鎌を持ってたって聞いたけど…」
………
「…リナ、まさかと思うんだけどこれって…あの子なんじゃあ…」
「…可能性は高いわね。全く…『こっちの世界に遊びに来い』とは言ったけど…はぁ。」
情報を確認したあたしとアメリアはとある世界で知り合った少女に思い当たりため息ひとつ。
「えっ、リナちゃんとアメリアちゃん何か心当たりあるのっ?」
「まあね…はやて、この件はあたしとアメリア、あとフェイトの3人で動いてみるわ。」
「そうしてくれるか?まぁリナちゃんに任しといたら安心やわ、頼んだで!」
「ふふんっ、まっかせなさ~いっ!」
こうしてあたしたちの幽霊捕獲(?)作戦はスタートしたのだった。
時間が過ぎて今は夜の8時。あたしたちは空いた教室に罠を仕掛けて待機中なんだけど…
「ほんっとに大丈夫なのアメリア…?」
「大丈夫ですっ!もしあの子が犯人ならこれで捕まえられますっ!…たぶん。」
たぶんって…ちなみに仕掛けられた罠って、定置式のバインドの上にはやて特製のカレーが置いてあり、カレーを取るとバインドが発動する仕掛け。
「いくら〈あの子〉がアホの子だとしてもさすがにこれはないんじゃ…」
あたしはそういいながら傍らにいるフェイトをちらり。
「ど、どうしてわたしを見るのっ?」
さあてね。…仕方ない、しばらく様子を…
ガサッ、ガサガサッ!
物音と同時に閉めていたはずの教室の扉がすうっと開き中に何かが入ってきた。…薄暗くてよく分からないけど人間らしいのは間違いない。
『クンクン…カレーのにおいがするぞ…あ、見ぃ~つけたッ!』
侵入者はトラップに一直線に近づいていく。そして…
バギッ!
『ん~、なんだこれは~っ?!でもMAXパワーのボクにはこんなものっ なんとも…』
…今の声…間違いない、あの子だわっ!でもなんでここに?
ブチッ!
侵入者はバインドを力任せにぶち切り、逃走を図る。…もしかしてにげられる?!
ゴチンっ!
『あだっ?!』
…アンタ、今いったいどこにぶつかったのよ…
「…アメリア、電気つけて?」
「は~いっ…(パチッ)…やっぱり貴女だったんですね、レヴィ。」
明かりを付けるとそこにいたのは、あたしとアメリアが訪れた異なるミッドチルダで出逢った少女、レヴィ・ラッセル。
その正体は向こうの世界のフェイトを元に構成された〈力のマテリアル〉。
スピードはフェイト並み、パワーはヴィータに匹敵する…これってチートじゃない?
「ひょえ?…えっ、リナリナにアメりん?!…なんでこんなとこに?」
「…それはこっちの台詞よまったく…」
「えっ、この子ってわたしにそっくり…?」
あたしたちの後ろからフェイトが除き込みながら声をかけてきた。
「…あれっ?へいと?!…なんでここにいんの?」
「へ、へいとっ?」
相変わらず人の名前まともに呼べないのかレヴィ…そのくせして恋人だけは名前ちゃんと言えるってのは不思議なのよね~。
「…レヴィ、その子は〈この世界〉のフェイトよ。それでフェイト、この子はレヴィ。あたしとアメリアが平行世界に迷い込んだ時に世話になった子よ。」
「ほら話したじゃないですか、なのはさんやフェイトさん、はやてさんを素体として産まれたマテリアルの1人ですよ。」
あたしとアメリアの説明で納得する2人。
「お~、それじゃボクの知ってるへいとじゃないのか~。ま、よろしくへいと♪」
「…フェイトだよ。よろしくね、レヴィ。」
2人の自己紹介も終わり次に聞きたいことは…
「ところでレヴィ、あんたどーやってこっちの世界にきたのよ?確か自由に行き来は出来ないって…?」
「それはボクが聞きたいっての?!突然空に穴が開いたって思ったら皆吸い込まれて…気がついたらここにいたんだよっ!」
空中に穴?!それってあたしたちと同じ…ん、皆?
「…ちょっとレヴィ!〈皆〉ってあんた1人じゃないのっ?!」
「うん。一夏にシュテルん、王様、それとユーリも一緒だったんだ。でも…目が覚めたら誰もいなくて…」
…!!
「まさか時空の狭間に閉じ込められたんじゃ…」
「それは大丈夫じゃないアメリア?もしそうなってもあの子たちだったら自力で脱出できると思うから…たぶん。」
実際あの面子がその程度で苦難に陥るなんて想像できないもん。
「…それでここが何処か分かんないし、全然知らない場所だし、お腹ペコペコで困ってたら…あちこちでいいにおいがするから♪」
「するから♪じゃないっ?!」
スパパーン!
あたしは懐からスリッパを取り出すとレヴィのどたまを一閃した。
「あだぁ…何すんのリナリナっ?!…ってそのスリッパどこからっ?!」
「こっちの女子高生のマストアイテムなのよこれはっ!」
「えっ、ほんとにっ?!そう言われてみれば便利な気も…「「いやいやいやいや、そんな訳ないから。」」…え、そーなのっ?」
あたしの出任せを真に受けたレヴィにツッコミをいれるフェイトとアメリア。
…てか信じるなよレヴィ…。
「…で、ここ何処なのリナリナっ?!ボクの知ってる世界じゃないのは解るけどさ…?」
一夏や王様たちがいないせいかレヴィの表情は不安げ。
「…アンタの思ってる通りよレヴィ。そっちの世界と比べると何年か前だとは思うけどね。」
確かあっちのなのはたち、23歳っていってたから…7年ぐらいずれてんのかな?
「…で、ここはst.ヒルデ魔法学院高等部…あたしたちの通っている学校の校舎。」
「…せんとひるだ?!…あ、ヴィヴ…「いっちゃダメ~っ?!」…ほぇっ?!」
あたしは慌ててレヴィが喋るのを止め、念話で釘をさす。
『…こらレヴィ!あの子たちの事はなのはたちには内緒じゃなかったのっ?!』
『…あっ、そ~だ忘れてた。ごめんごめん。』
まったくもう…あたしたちは向こうの世界に行ったときに未来の出来事(一部だけど)を知ってしまった。その上、何故か記憶封鎖もうまくいかなかったりしてちゃんと覚えてる。
(まさかなのはやフェイトに娘…しかも…あ、これも秘密だった、いけないいけない…。)
「で、元の世界に帰る方法なんだけど…」
『リナ、あたしは一度行った世界にだったら道は繋げられるけど?!』
…マジで?!…ほんっとに頼りになるわねL様って…でどうするレヴィ、1人で帰る?
「そんな…一夏や王様たちを置いて帰るなんてあり得ないって?!帰るならみんな一緒に帰るっ!」
「よく言ったわレヴィ!あたしたちも探したげるから頑張ろっ?…そうなるとまずは何処に寝泊まりするかだけど…」
あたしが思案してると…
「あの…レヴィってわたしが素体なんだよね?だったらわたしの部屋に来ない?…学校には親戚の子が学院祭の見学に来た事にして。」
フェイトナイスっ!それだったら問題ないわ。
「…それに母さんやアリシアお姉ちゃんにも紹介したいし…。」
…あれ?…フェイトの話を聞いてレヴィは目が点に…
「えっ…お姉ちゃんって…へいとにはお姉ちゃんがいるのっ?!」
「うん…もしかしてそっちの世界じゃお姉ちゃんは死んだままなの…かな?」
あ、そうか。あっちの世界のテスタロッサ姉妹はフェイトと妹のシャルロット、フーカだけでアリシアは居ないんだった。
「お姉ちゃんとお母さんにレヴィを見せたら驚くだろうなぁ…」
そりゃ…、ね。はぁ…この学院祭、波乱の予感しかしないわ…。
NO SIDE
こうして再び出会う事となったリナたちとレヴィ。果たして一夏たちは何処にいるのか…そしてどうなる学院祭?!
いよいよ次回から学院祭当日!新たなトラブルメーカー(レヴィ)を加えて波乱は必至っ?!
次回「はいすくうる〈13〉アカデミーフェスタ(学院祭編)(仮)」
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