春と夏の中間に位置する比較的過ごしやすくはあるも少しだけ暑く感じて来る季節。箒は窓辺で外を歩く生徒、特に胸に視界を向けつつクラスメイトの話を聞いていた。
「ねえねえ聞いた? 今日転入生が来るんだって!」
「どんな娘なの?」
「ふっふっふっ、聞いて驚けなんと転入生は男の子だって!」
「ねえねえ篠ノ之さんもなにか反応しようよ」
「……と言っても、どう反応すればいいんだ?」
男、ソレはこの男子禁制であったIS学園の生徒の大半が求めるであろうモノなのだろうが、箒からしたらなんともない、路傍の石も同然の存在とも言えよう。自分の姉とは違い一般的に普通とされる返答などはするように意識はしているがソレ以上の対応には成り得ない。
「あー、そういえば女子も転入してくるらしいよ?」
「詳しく聞かせてくれないか」
話しかけられた瞬間からあたかも興味がありませんとばかりの態度を示そうと、机に身を任せる形でダラッとしていた箒だが、新しい
「えー、とね。朝見たって生徒の話によるとプラチナの髪でお人形さんみたいって」
「ほうほう……」
日本人の特徴とも言えるような黒髪が多いこの教室にプラチナが入ると浮くのではないか、という疑問が浮かび上がったが、視界の端にセシリアが入っていることによってその疑問は塵となる。
「お前ら、SHRの時間だ。席に着け」
詳しくは話を聞けなかったが、転入生ならいずれ見ることができるだろうと自分を納得させ、教室に入ってきた魅力的なおっぱいを持つ鬼教師の方向へ身体を向ける。
「すでに噂に出ているようだが、転入生がこのクラスに充てがわれることになった」
「せんせーい! 噂では二人いると思うんですけど―!」
「二人ともこのクラスだ」
「先生、人形さんは可愛いですか?」
「うるさい篠ノ之、お前は後で職員室に来い」
解せぬ。自分にしては珍しくテンションが上がったため、便乗して織斑先生に質問しただけなのに職員室に呼び出されるなどあっていいことなのであろうか。
胸の中で沸々と湧き出る理不尽に対する怒りとその原因について考えていると、転入生であろう二人が入ってきた。
なるほど、たしかに片方のプラチナの女子は噂通りにお人形さんの雰囲気がある。しかし、眼を見てみるとその印象は無くなった。冷めた眼、というのだろうか。周り全体を見下し、自分を絶対としている眼差しだ。
もう片方の者は男子という話だが……なぜだろうか、到底男子には見えない。喉仏も出ていないし、何より歩き方が男性のソレではない。後で試しに匂いでも嗅いでみよう。きっとソレでわかるだろう。
「シャ、シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが皆さんよろしくお願いします」
いきなりクラスメイトになる予定の生徒が呼び出されて混乱している風だが、しっかりと自己紹介を終える。そして、終了とともに教室全体が歓声で沸き立つ。新たに男子が来たと考えると当然とも言える反応だが、しかし、抱き合いながら「男子は織斑くんだけだし、篠ノ之さんは私達の胸を狙ってたし……よく今まで我慢してきたわね私達……」と言うのは頂けない。それに「そうね」などと返すんじゃない。あと狙ってた、ではない。現在進行形で狙っている。
そんなことを心のなかで呟きながら歓喜のあまり抱き合っている女子生徒の間で潰れている胸を凝視する。嗚呼、願わくばその間に私の腕を、と不純な思いを抱きそうになるが、腕を組みながら周りの意見に何故か賛同している織斑先生のこともあるし、何より気になるお人形さんの自己紹介も聞かねばなるまい。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
それだけで自己紹介を終わらせると、前々から狙いを付けていたかのように、抱き合っている生徒を退けながらとある方向へ進んでいく。
「貴様が織斑一夏か」
「え、あ、ああ……そうだけど」
パシンッ、という大きな音が突如クラスの中に響き渡る。音の発生源は被害者である一夏の頬であり、加害者である
「……!! お前っ」
「私はお前を教官の弟とは認めん、それだけだ」
事は伝え終わったとでも言うように、一夏から背を向け、箒の方向へ歩いて行く。
「貴様が篠ノ之箒か」
「ふむ、そうだが」
返答と同時に先ほど一夏にしたように、箒にも平手打ちを放った。
だが侮るなかれ、乳を揉むという目的を為すために鍛えられてきた篠ノ之箒の身体がそのような攻撃など受けるはずもない。箒は平手打ちが頬を捉える瞬間に少しだけ首を後ろへと傾ける。
結果、ラウラ・ボーデヴィッヒの平手打ちは外れ、身体は微弱に傾き始める。が、ラウラ・ボーデヴィッヒの身体もそう易々と倒れることを許さない。
無意識に行っていた重心管理を意識的にして、素早く体制を立て直す。そして、再度平手打ちを放とうと目の前の
どこへ行ったのか、と箒を探そうと首を動かし始めると同時に何故か胸のあたりに感触があった。
小さな胸でもふにゅ、という擬音が出そうなそのふわとろおっぱいはその掌の中に。
「ふむふむ、Aカップと言ったところだろうか」
「っ貴様!!」
背後にいる篠ノ之箒を振りほどき、ナイフのある腰の方へ右手を──。
「そこまでだ」
「……教官」
「篠ノ之、何度も言うがこの後絶対に職員室に来い」
「はい」
「ボーデヴィッヒとその他は即座に席に着け」
すると、クラスで抱き合っていた生徒に便乗して色々していた他十名ほどの生徒は即座に着席した。
「さて、SHRの時間は終わりだ。織斑……は保健室に行くように」
「……わかりました」
二度も頬を叩かれた彼の顔はまるで勧善懲悪でお馴染みの児童アニメの主役に非常に似ており、あの鬼教師にも心配され保健室に行くことを促され、一夏は仏頂面で返答した。
「……本来私が案内すれば済む話なのだが、煩わしいことに今は他の奴の相手をしなければいけないのでな。他の教師に案内させる、デュノアは待機だ」
話している途中に箒を睨み、そしてため息を一度吐いてシャルルの方へ向いてそう言った。
「それでは、各自急いでグラウンドに集合するように」
SHRが終わると同時に織斑先生は教室から出て行った。と同時にクラスメイトはシャルルの元へ集い始める。ソレを視界の端で軽く見た箒は織斑先生に怒られないようにと急いで職員室に赴くのであった。
「さて、先ほどのことについて説明してもらおうか」
「その場のテンションでやりました。こうして織斑先生の前に立てるなら後悔はしていません」
SHRが終わったあとはすぐに授業のため時間がなく、職員室の中で織斑先生の対面に立って会話することになってしまった訳だが、箒の顔は不満なしと言った顔つきである。
「お前は……いや、もういい。私の正面に立ちたいだけで血反吐を吐く努力をするような馬鹿者だったな」
「褒めないでください……照れます」
「褒めてなどいない」
ほんの少しだけ頬を赤く染め、人差し指で掻く動作をすると、眉間にしわを寄せながらその指を本来曲がってはいけない方向へと曲げられる。
「痛っ」
「ふんっ、白々しい」
「……で、呼びだされたのは何でです?」
茶番はお終い、と言った感じで二人とも真面目な表情で向き合う。
「デュノアの事だ。どうせお前のことだからなにか感づいているんだろう?」
「少し女っぽい、と感じたくらいです」
「先に言っておくが、ソレは事実だ」
「事実なんですか……」
「ああ、ソレと同時に言っておくが決して公言するなよ」
「……はい」
「そして重ねて言うが、問題行動は起こすな」
「…………」
「そこでハイと言わないのか……」
千冬は頭が痛いとばかりに眉間にシワを寄せて額を抑える。
対する箒は目線でなにか対価がほしいと伝えるが、人類は未だにテレパシーというものを習得していない。話が通じないと
「そういえば、織斑先生」
「なんだ」
「ラウラ・ボーデヴィッヒはなぜ私にも平手をしようとしたのでしょうか」
「…………」
「織斑先生?」
「知らんな、そんなことより早くグラウンドに向かえ。遅れたら罰を課す」
「……後で詳しく聞きますからね」
流石に罰を受けたくはないため、
◇◆◇◆◇
結局、箒は織斑先生に何も聞くことができずにタッグマッチ当日になった。
タッグマッチというと相方がいるはずなのだが、箒がクラスメイトにタッグを組んでくれるように、あわよくば練習中に事故に装って胸を触れないかという下心8割を胸のうちに秘めながら頼み込むと何故か断られてしまうため、ボッチで挑むことになってしまったのだ。
しかし、そこは学園が開催するタッグマッチなだけあってそういうヒトリボッチ対策として、試合2日前までに用紙を提出していないものはランダムでタッグを決められることになっているのだ。さすがIS学園外道、体育の時間にあまり仲の良くない生徒と組まされた気まずい思い出など無いのだろうか。
「おい篠ノ之箒」
「……? どうしたボーデヴィッヒ」
「着いて来い」
アリーナに隣接されている休憩室で一息ついていた箒は背後から気配がしたと思ったらラウラ・ボーデヴィッヒに話しかけられた。だが、話しかけたにもかかわらずに話の内容を言わずに着いてこいとだけ言って去って行く。
仕方なしについていくがラウラの後ろ姿を見ると目線が変態的なソレへと変わっていく。
肩肘を張るというのだろうか。二の腕と脇の合間に隙間は無く、足運びには淀みがない。こっそりと背後に張り付き、腕を大きく広げて肩に触れないように手の平をラウラの胸のあたりに運ぶ。
そして揉もうとした瞬間、手を弾かれた。
「!?」
「教官から聞いている、貴様は胸を狙うらしいな」
「……い、いや、そんなことはないぞ」
鼻を鳴らし、何事もなかったように先ほどと同じく肩肘を張って前を歩いて行った。
しばらく歩き、アリーナの一室に着いた。
「ここは……」
そこはアリーナへ出撃するためのカタパルトがある整備室だった。そして、そこに存在するは日本純国産IS『
そのISが眼の前にあるわけだが……。
「乗れ」
「……イマイチわからないのだが」
「ッチ、物分かりが悪いな。これを見ろ」
そう言って軍用のモノと思われる金属製のタブレット端末を投げ渡してくる。ソレに表示されるのは今回のタッグマッチのものと思われるペア一覧。そこには『ラウラ・ボーデヴィッヒ&篠ノ之箒』と書いてあった。
「ペアが発表されたのか」
「そうだ。とにかく乗り込め」
「ああ、わかった」
そう言って打鉄に乗り込む。
──
──
──ハイパーセンサー最適化/終了.
──『紅椿』をインストールします/
──
──管理者からのプログラムコード受信/搭乗経験のみをフィードバックします.
──
──機体起動.
そうして打鉄が動き出す。
「……?」
「どうした、早く出撃しろ」
少しだけ違和感を感じた箒だが、背後に立つ黒いISを身に纏うラウラに急かされてカタパルトを脚に接続する。
「篠ノ之箒、出撃します」
一応管制塔へと確認のために一言告げ出撃する。
カタパルトから放り出されたその身に纏う打鉄を上手いこと操作し、スラスターに火を点け身体全体をアリーナの地面へと運ぶ。そして
「ふむ、教官の言っていた通りそこらの有象無象よりはできるようだな」
隣へとラウラが着地してきてそう言い放った。
そんなラウラを一瞥するだけにすまし、視点を前に向ける。対戦相手は一夏・シャルルのタッグだった。
《それでは、試合……》
「なあ箒」
「何だ」
「俺の姿を見ててくれよ……!」
「……すまない。私にその趣味はないんだ」
それは思春期特有の「かっこいい俺を見ててくれよ!!」という意味の物だったのだろう。しかし、思考がピンク一色に染まっている箒は「俺の胸筋も見てくれよ!」という意味に受け取ってしまう。
《開始》
「シャル! 作戦通りに行くぞ!」
「わかったよ一夏!」
一夏・シャルルのタッグは試合開始の合図とともに散開する。対する箒・ラウラのタッグは作戦も何もありはしない。ラウラは自分一人で十分だとでも言うかのように、一人前方へ向かう。
そして、箒は――。
「……どうなっているんだ」
ISに搭乗して保護されているとしても揺れぬシャルルの胸に疑問を抱いていた。
恐るべきはデュノア社か。シャルルが女だと伝えられている
だがしかし、シャルの胸がAカップではないのは確認済みだ。具体的にどう確認したのかというと、彼女が帰ってくる前にベッドの下に隠れ、シャワーに入った時に
「よそ見なんてしてる余裕が有るのかっ」
「…………」
視界の端に映る
そのままのらりくらりと一夏の攻撃を避けている途中で
『ラウラ・ボーデヴィッヒ』
『っ、なんだっ!』
『一夏を任せる』
端的にそう伝えると、今までの避けるだけだった戦闘スタイルから一転、攻めに入る。
左手に握っていた
手応えがあったため、吹き飛ぶ様子をちらりと見ることすらせずにシャルルの方へと向かう。
「ボーデヴィッヒ! 一夏の方へと向かえ!」
「言われ、なくても……!」
箒が横からシャルルへと突撃する姿を確認すると、その黒いISの特殊機能であろう銃弾によって作られた壁を崩し、一夏の方へと向かう。
「……随分なことだね」
「なに、私がお前と対決したかっただけだ」
「僕としては学園中に広がってる噂からして関わりたくない部類の人だ、よ!」
手の中にグレネードを出現させて話が終わると同時に投げつけてくる。位置計算をして近くに来た瞬間に爆発するように信管を弄っているのだろう。しかし、ソレはあくまで私が今の機動で進んだ場合のモノだ。
そして、グレネードを打鉄の装甲で弾いた後、
そう、一夏との交戦の最中に思いついた『とあること』とは名づけて『男子(仮)であるシャルちゃん? の胸を事故を装って揉んじゃおう! 作戦』略して『乳揉み作戦』である。
「まさかイグニション・ブーストを使えるなんて思わなかったよ」
「今のはイグニション・ブーストではない、通常起動だ」
「……!」
「そしてこれが……イグニション・ブーストだ!!」
ノリノリで乳を揉みに行く箒。対するシャルルは逃げ腰だ。ちなみに箒はイグニション・ブーストは使えない。
右へ左へ上へ下へ。アリーナ中を飛び回り鬼ごっこをする二人。傍から見たらただのISを用いたい鬼ごっこに見えるが、実のところを言うとシャルルは背後を向いて射撃しながら逃げていて、箒はその攻撃を華麗に避けて
グレネードは腕を振るうことによって弾かれ、銃弾も装甲任せに弾かれる。そして跳弾はなぜか一夏たちの元へ。アリーナの中は混乱で満ちていた。
その乱戦は跳弾の中のある一発がラウラに当たることで終わった。
跳弾の一発を頭部に受けたラウラの集中力が切れ、
ソレは敗北を意味する。
「あああああああああああああああああああああっ!!!!」
「ッ!? どういうこと!?」
「隙あり!」
ラウラが突如発生した黒い泥に包まれてしまったのだ。当然その光景を見てシャルルと一夏は固まってしまう。
その中で、箒はシャルルの胸に触れることに成功する。
「絶対気づいてるでしょ!」
「ふむ、知らんな」
触れた感触は金属のようにとても硬いものだが、金属の質感はしないもの。最近のパッドは奥が深いモノだな、今度調べてみよう、と感慨深く頷いているとシャルルから
そして、その適当な返答を受け取ったシャルルは口篭もり、ソレ以降何も離さずに一夏の元へ飛んでいってしまう。
「私にできることは無いし……とりあえずは観客席にいる生徒の胸でも見るか」
そんな緊急事態の中、箒は暇だとばかりにISの高性能な視点拡大機能を使って
◇◆◇◆◇
ソレは春と夏の中間に位置する比較的過ごしやすくはあるも少しだけ暑く感じて来る季節。箒はいつの日かの如く窓辺で外を歩く生徒の胸を見ていた。
そんな朝だが、いつの日かの如く噂などで教室内が騒然としているわけではなく、比較的静かなものとなっている。
そして
「席に着け。今日は連絡が二件ある」
「あはは……部屋割り組み直さなきゃ……というか篠ノ之さんの一人部屋って必要なんですか……?」
若干疲れ顔の織斑先生と虚ろな目をした山田先生が教壇でそう言い放つ。片方は独り言だが。
「一件目は……入って来い」
そう言われて入ってきたのは、女子の服装をしたみんなの貴公子シャルルくん。
「え、と。シャルロット・デュノアです。みんな、騙してごめんね?」
少し困惑顔で周りを見回しそう言う。ソレに対する一組の生徒の反応は……。
「ガッデム! 神は死んだ!」
「あああああああっ!!!!」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:」
発狂しているものから人語では無いものを口走っているものまで。最後の人語を話してないものは転入してきた際に抱き合っていた者だ。
「それともう一件、篠ノ之の大浴場立ち入りが許可された」
「ッ!! 本当ですか!?」
喜色満面、日頃にないテンションで織斑先生へと詰め寄る箒。今まで一人部屋で過ごし、一人寂しくシャワーを浴びてきたのだ。大きな風呂に入れるのは嬉しい。
「ああ、お前は浴場では何もしてこないとわかっているからな」
「家が家でしたからね……」
神社というか巫女の家。その辺りの礼儀はしっかりしていなければいけないという幼少の頃に叩きこまれた事が今も続いている。
「と、言うわけでこいつの風呂場での行動は非常に不服だが私が保証しよう」
「広いお風呂に入れるだけでも嬉しい限りだ。何もしないことを約束しよう」
周りを見回し軽く一礼して座る。
さて、今日も1日頑張るぞい!
少し考えた結果、銀の福音戦までは書こうと思ってます。水着おっぱいが揉みたいぞい!
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